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MDVのサービス解剖!診療データベース調査、病院経営支援、オンライン診療プラットフォーム

2020年12月12日

リアルワールドデータの代表例に、診療データがあります。

通常、レセプトデータや電子カルテデータなどは、保険組合や医療機関から出ることはありませんが、何らかの工夫をすることで民間利用可能にして販売を行っている企業があります。

その代表例の1つに、メディカル・データ・ビジョン株式会社があります。

英語表記は Medical Data Vision Co.,Ltd. であり、頭文字をとって MDV と呼ばれることが多いです。

江藤先生
エムディーブイ、エムディーヴィー、どっちが正しいのかしら。

MDVの主要事業

MDVは主要事業として、次の5つを掲げています。

  1. 医療情報統合システムの開発、製作、販売、保守業務
  2. 各種医療データの分析、調査、コンサルティング業務
  3. 医療機関向け経営コンサルティング業務
  4. 各種医療データの運用及び提供サービス業務
  5. ポータルサイトの企画、設計、開発、運営

これだけ見てもよく分からないので、実際のサービスを一つ一つ見ていきましょう。

MDVのサービス

MDVのサービスは、大別して次の3つの柱から成ります。

  1. 医療機関向けサービス
  2. 製薬企業・アカデミア向けサービス
  3. 個人向けサービス
江藤先生
3つめの個人向けサービスが気になるわね。

医療機関向けサービス

医療機関向けサービスとして、次の8つが挙げられています。

  1. Medical Code
  2. EVE
  3. CADA-BOX
  4. カンゴッチ+
  5. Vision
  6. MDV四半期サマリー
  7. MDV Assessment Analyzer (A2)
  8. MDV MUST

Medical Code:経営支援システム

DPCデータを活用し、院内に埋もれている様々な経営課題の解決を支援するシステム。

病院原価計算(コスト分析)、各種指導管理料の算定率向上(医療の質・収益の向上)、薬剤処方改善(後発品薬剤への切替検討)等などを通じて、実際の経営改善の手法を提示する。

  • 各種指導管理料の算定率を病院全体、診療科別、病棟別に、また未算定症例を明らかにし、算定率や一人当たりの算定件数等を他院と比較可能。
  • 一般的な診療科別の原価計算の他に、疾患(MDC6、DPC)単位、さらに患者別・日別まで細粒化して原価計算をすることが可能。
  • DPC単位の経過日数ごとの収益・費用・累計利益の可視化や、費用・利益率の他院比較が可能。
江藤先生
要するに、無駄なコストが発生していないか、他の施設と比較できるってこと。

EVE:DPC分析ベンチマークシステム

次のような分析を行うシステム。

  • 出来高請求とDPC請求の差額分析
  • 患者数・在院日数・医療資源等の各指標を疾患別・症例別に分析

他医療機関との比較ができるベンチマーク機能も搭載されており、自施設の相対的な強みと弱みを知ることができる。

江藤先生
Medical CodeとEVEの違いは、出来高請求とDPC請求の差額分析ができる点かしら?

CADA-BOX:病院経営用の情報活用基盤

MDVが個人向けに展開するサービス「カルテコ」「CADA決済」を電子カルテと連結させるシステム。

主に「待ち時間」「医師の説明」「治療費」に関する改善策を提供することを目的とする。

  • 医師の説明:カルテコにより、医療機関と患者が診療情報を共有することになり、患者の積極的な診療への参加や、医師の説明への理解を深めるきっかけとなる。
  • 待ち時間・治療費:CADA決済により、医療費を後払いにすることで、診療後に会計を待たずに帰宅することも可能になる。また、医療費の支払い方法や支払時期を患者が選択できるようになり、突然の出費に伴う金銭的な不安を和らげることに繋がる。
江藤先生
PHR (Personal Health Record) と EHR (Electronic Health Record, 電子カルテ) を結びつけるサービスということかしら。CADAというクレジット決済とも連動しているし、かなり踏み込んだサービスね。

カンゴッチ+:看護必要度チェックアプリ

看護必要度の確認に必要な作業を効率化するためのアプリケーション。

主な機能
  • 看護必要度Ⅰ・Ⅱの算出、モニタリング
  • 診療データ(EFファイル)による評価漏れチェック
  • Hファイルによる算定漏れチェック
  • B項目のデータチェック
  • 投薬処方データの適正化
  • ベンチマーク機能による看護必要度精度分析
  • ベンチマーク機能によるベッドコントロール支援

Vision:病院経営レポート

病院経営状況を月単位でレポートするサービス。

  • 病院全体や病棟機能別の収入・新入院患者数・診療単価・看護必要度Ⅰ,Ⅱ・リハビリテーション単位数などについて、前年同月比や月次推移を確認
    • DPC病院の場合、DPCデータをもとにレポート作成(匿名加工ツールを介してデータを提出)
江藤先生
患者数、入院数の把握、リハビリ実施状況といった情報を整理してまとめるのも相当な手間がかかるでしょうから、こうしたサービスは大規模病院ほど必須でしょう。

MDV四半期サマリー:経営状況レポート(病院経営層向け)

「EVE」、「Medical Code」を導入している急性期病院の病院長や事務長向けに、自院のDPC指標に関するレポートを四半期に1度提供する無償サービス。

MDV Assessment Analyzer (A2):診療報酬請求支援

診療報酬請求を行った際に、どのような請求に対して査定が行われたか等を可視化するツール。

他施設ではどのような査定状況なのかといったベンチマーク指標も搭載されており、自施設の相対的な状況を把握するためにも使える。

江藤先生
DPC病院のように重症な患者さんが多い施設ほど、承認の範囲内かどうか、外から見たら微妙なラインだとみられるケースも少なくないでしょう。そうした時に、他院での査定状況(どういう処方なら請求が受理されるか)といった情報はかなり貴重だと思うわ。新しい治療法ほど情報が少ないから、どんな些細な情報でも役に立ちそう。

MDV MUST:診療可視化システム(小規模病院・診療所向け)

患者の受診歴管理や一覧作成、特に注意が必要な症例の洗い出しなどの可視化システム。

江藤先生
MDVはDPC病院をメインの対象に置いていると思っていたから、診療所向けサービスも展開しているのがちょっと意外ね。

製薬企業・アカデミア向けサービス

製薬企業・アカデミア向けサービスとして、次の4つが挙げられています。

  1. アドホック調査サービス
  2. MDV analyzer
  3. MDV analyzer for Academia
  4. MDV analyzer Oncology

アドホック調査サービス:診療データ調査分析

MDV analyzerの定型分析メニューでは対応できない個別ニーズに応じて、分析データおよび調査レポートを提供するサービス。

  • 詳細な集計レポート作成
  • 研究論文用などのデータセットの提供

MDV analyzer:患者数、処方量分析ツール

急性期医療機関の薬剤処方実態を分析するためのツール。

  • 特定の薬剤に焦点を当てて、患者数、併用薬、併発疾患、処方量や処方日数などを分析することができる。
  • 疾患や薬剤だけでなく、手術や検査など実際の診療行為を起点とした分析もできる。
主な機能
  • 患者数分析
  • 併用薬ランキング
  • 併発疾患ランキング
  • 処方量・日数分析
  • 薬剤・疾患パターン分析

MDV analyzer for Academia:疫学調査支援ツール

薬と副作用の因果関係特定などの、疫学調査支援を目的とした分析ツール。

  • データベース研究におけるフィージビリティ調査にも利用可能。
主な機能
  • 患者数分析
  • イベント発症日数ヒストグラム
  • 薬剤・疾患・診療行為ランキング

MDV analyzer Oncology:疫学調査支援ツール(Oncology特化型)

オンコロジー領域に特化した分析ツール。

  • 実際の現場で利用されているレジメンのシェアをラインごとに分析できる。
  • 市場における薬剤ポジションニングや、適応追加・新規上市を行う前の潜在患者の検討などに利用可能。
主な機能
  • 患者数分析
  • 月別レジメン分析
  • レジメン治療期間分析
  • レジメン別投与量分析
  • レジメン別金額分析
  • レジメンパターン分析

個人向けサービス

個人向けサービスとして、次の4つが挙げられています。

  1. オンラインドクターバンク
  2. カルテコ
  3. CADA払い
  4. めでぃログ

オンラインドクターバンク(ODB)

患者と医療機関(医師)をつなぐオンライン診療プラットフォーム。

  • 患者:病名や症状に応じて医師を検索して診察を受けることができる。
  • 医師:既往歴や受診歴などの患者情報を確認した上で、診察をすることができる。
特徴
  • 検索:病名や症状に応じて医師に診察してもらえる
  • PHR:既往歴や服薬情報を医師に確認してもらったうえで診察してもらえる(※カルテコへの登録が必要)
  • セカンドオピニオン:納得した医療を選択できるよう、セカンドオピニオンを聴くことができる

カルテコ

医師が診療記録モジュールを通じて、患者に診療情報の一部を共有することで、患者自身が診療情報の一部を保管・閲覧できるようになるサービス。

  • 病院受診時の診療記録や健診結果をスマートフォンやタブレット、パソコンなどで閲覧できる。
  • ただし、医師が諸事情を鑑み共有しないと判断した情報については、患者は閲覧できない。
  • 「カルテコ」に会員登録することで、誰でも利用できる(登録手数料や利用料など全て無料)。
  • 「カルテコ」を導入している医療機関をカルテコアカウントに登録することで、受診された診療情報や健診結果を閲覧可能となる。

診療情報の一部の例

  • 受診した医療機関
  • 傷病名
  • 検査結果
  • 処方薬
  • 処置・手術

CADA払い

CADA払いは医療費専用のキャッシュレス決済サービス。

  • 現金・ カードでの精算が不要となるため、診察後すぐに帰宅可能。
  • ただし、医療機関によっては診療明細書や処方箋を受け取るために、会計窓口などに立ち寄る必要がある場合もある。
江藤先生
医療費専用のクレジットカードサービス、みたいなもの。MDVではなくて、CADA株式会社という別会社が運営しているサービスよ。

めでぃログ

自身の検査結果や、処方薬等の健康管理・医療費に関する情報を管理・閲覧できるサービス。

EHRとPHR

MDVは、従来のEHR(電子カルテ)関連サービスだけでなく、PHR(患者日誌など)関連サービスへの展開を開始したと言えます。

医療を取り巻く全体像をつかむことで、この変化が何を意味するのかが見えてきます。

簡単に言えば、医療者中心の医療が、患者中心の医療(Patient Centricity)へと変化しつつあります。

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