ビジネス全般

ヘルスケアサービスの社会実装の促進

ヘルスケアサービスの社会実装の促進(エビデンスに基づく信頼性確保)

令和3年11月
商務・サービスグループ

ヘルスケア産業創出に向けたアプローチ

①需要面

  • 健康経営による需要創出等
    健康経営を通じた、企業・保険者による健康への投資促進。

②供給面

  • サービスの信頼性確保を通じた社会実装の促進
    実証事業を通じた医学的エビデンスの構築や品質評価の仕組みづくり。
  • PHR(Personal Health Record)活用の推進等
    民間PHR事業者向けのガイドラインや認証制度の整備。

ヘルスケア産業の創出 ▶ 健康寿命の延伸、健康長寿社会の実現

 

これまでの検討経緯とAMEDに求められている機能強化

「当面優先して議論する課題の取りまとめ」(医療機器・ヘルスケア開発協議会令和3年5月25日)

予防・健康づくりに関する実証事業のエビデンスを活用したヘルスケアサービスの社会実装を促進するため、生活習慣病等の診療ガイドラインを策定する関連学会やサービスを開発する事業者等によって行われる、検討やガイドラインづくりをAMEDにおいて支援する。

「健康・医療新産業創出に向けた『アクションプラン2021』」(健康・医療新産業協議会令和3年6月9日)

(前略)あわせて、予防・健康づくりに関する実証事業のエビデンスを活用したヘルスケアサービスの社会実装を促進するため、生活習慣病等の診療ガイドラインを策定する関連学会やサービスを開発する事業者等によって行われる、検討やガイドラインづくりをAMEDにおいて支援する。

ヘルスケアサービスの信頼性の確保に向けた課題

  • 医薬品・医療機器については、法律に基づいて安全性・有効性等を確認するプロセスが確立しているが、行動変容による予防・健康分野においては、社会実装に必要なプロセスが確立していない。
エビデンス構築 オーソライズの仕組み
医薬品による治療 患者への投薬を通じた医薬品のエビデンス構築 制度に基づく承認
PMDA審査(ベネフィット/リスク評価)を経て、薬機法に基づく厚労大臣承認、保険収載
行動変容による予防・健康づくり 民間主導でエビデンス構築が進みにくい

(社会実装に繋がらない学術研究)

オーソライズの仕組みが制度化されていない

(健康増進効果のエビデンスが不十分な商品販売)

(1)予防・健康づくりのエビデンス構築支援

  • 経産省においては、糖尿病軽症者を対象にした行動変容事業等、AMED事業を通じたエビデンス構築を行ってきた。
  • また、厚労省・経産省が連携し、2020年度から予防・健康づくりの健康増進効果等のエビデンスを確認・蓄積するための実証事業を行っている。

実証事業の内容(順次追加)

厚生労働省

  • 特定健診・保健指導の効果的な実施方法に係る実証事業
  • がん検診のアクセシビリティ向上策等の実証事業
  • 重症化予防プログラムの効果検証事業
  • 歯周病予防に関する実証事業
  • AI・ICT等を活用した介護予防ツール等の効果・普及実証事業
  • 健康増進施設における標準的な運動プログラム検証のための実証事業
  • 女性特有の健康課題に関するスクリーニング及び介入方法検証のための実証事業
  • 食行動の変容に向けた尿検査及び食環境整備に係る実証事業
  • 健康にやさしいまちづくりのための環境整備に係る実証事業

経済産業省

  • 認知症予防プログラムの効果検証事業
  • 認知症共生社会に向けた製品・サービスの効果検証事業
  • 複数コラボヘルスを連携させた健康経営の効果検証事業
  • メンタルヘルスプロモーションに関する効果検証事業

スケジュール

2019年度 実証事業の枠組みを検討
2020年度~2022年度 実証の実施(実施~評価まで)
2023年度~2025年度 制度反映(保険者インセンティブ、ガイドライン等)

(2)社会実装に向けたAMEDによる環境整備

ヘルスケアサービスの信頼性の課題

  • ヘルスケアサービスへの期待が高まる一方で、一部の商品・サービスでは、適切なエビデンスの構築・検証がされておらず、不適切な表現が使われているケースも存在。
例:認知症関連の商品・サービスにおける不適切な表記
サービス エビデンスの検証 標記の例
サプリメントA 記載なし
(「○大学・□病院に臨床データ有り」と記載)
「成分○○で脳を活性化認知症のリスクを軽減します。」

脳神経細胞の退化を予防し、アルツハイマー型・脳血管性認知症の症状が改善される『脳機能活性栄養素』です。」

※景品表示法(消費者庁)に基づく「措置命令」があったケース

食品B 記載なし 「食品Bで認知症やがんの予防

「食品Bがアルツハイマー病に効果がある理由」

「食品Bを数年間摂取し続けると認知症の悪化の阻止に成功した事例もあります」

※景品表示法(消費者庁)に基づく「措置命令」があったケース

オンライン指導C 記載なし 効果について:

「…運動習慣を続けること、積極的な社会参加、栄養の偏りを是正することなどで認知症の発症リスクを低減することができます。」

検査D 記載なし 「発症前の「超早期」段階に発症のリスクを判定。」
  • ヘルスケアサービスの普及に向けて、各領域でのエビデンス創出に取り組む事業者は、課題に直面している。
事業者A(運動領域)の声
  • ヘルスケア分野では、エビデンスを創出することが、事業リスクの低減にもつながる。医療従事者が納得できるエビデンスレベルを確保したい。
  • 一方で、エビデンスを創出するためには、10年単位の時間を要する場合もあり、探索的に取り組むには企業体力が保たない。エビデンス創出に係る予見性を高めるためにも、評価基準がほしい。
事業者B(フェムテック領域)の声
  • 特に、10代女性(若年層)のヘルスケアの購入の意思決定は、友人の勧め、口コミや広告の力だけで購入しており、正確な情報やエビデンスに基づかない場合も多く、健康被害がおきないか心配である。
  • 事業から得られるデータ等を基に、エビデンス創出の主体として学会から頼られる存在になりたい。
事業者C(スタートアップ、心の健康保持・増進領域)の声
  • エビデンスを創出しても、購買選択の要因になっているか分からず、投資家からの反応が乏しい。リソースのないスタートアップにとっては、エビデンスを取り続けることが難しい
  • エビデンスに基づくサービス一覧表のようなものがあると、差異化できて、エビデンスを取り続ける意義も説明しやすい。

環境整備(概要)

  • AMEDにおいて、学会や事業者等と連携しながら、ヘルスケアサービスの社会実装を促進するための環境整備に係る支援を実施予定。
  • 来年度からの本格稼働に向けて、本年度は業務体制の整備、学会関係者等との意見交換、先進的に取り組むべき分野の選定などをAMEDとMETIで共同に実施。
設置・運営
  • 学会や事業者と連携し、これまで実施されてきた研究成果等を円滑に社会実装していくための全体戦略を策定するための有識者会議を設置。
支援
  • 予防・健康増進に係る疾患領域毎に、エビデンスを整理し、ガイドライン等の策定を検討する学会等を支援。
    ex.疾病予防や治療に活用できる行動変容指標の策定等
  • 今後の予防・健康増進に係るエビデンス構築に共通する課題についての研究を支援。
    ex.適切な試験デザイン(エビデンスレベル、RCTの要否など)等

ヘルスケア産業を取り巻く現状とターゲットとなる領域の候補(案)

ヘルスケア産業を取り巻く現状

  1. 需要側:健康経営やデータヘルス等の取組により、職域を中心に予防・健康づくりへの期待が高まっている。
    • 例えば、
      • 企業:労働生産性への影響が大きい「心の健康保持・増進」、「生活習慣病」など
      • 保険者:医療費への影響が大きい、「生活習慣病」など
  2. 供給側:デジタル技術の発展により、新たなヘルスケアサービスの創出が拡大。
    • 例えば、
      • 日本人の約68%がスマホを保有。ライフログの測定が容易に。
      • 「生活習慣病管理アプリ」の日本市場は、3.9億円(2020)→7.3億円(2023)「メンタルヘルスアプリ」の日本市場は、0.5億円(2020)→2.5億円(2023)と拡大予想
  3. アカデミア:予防・健康づくり領域に対する関心が拡大。
    • 例えば、
      • 診療ガイドラインのあり方を整理している「Minds(公益財団法人日本医療機能評価機構により運営)」でも、2021年度より、診療ガイドラインのスコープを予防・健康分野にまで拡大。

事業者は適切な開発やエビデンス検証が可能になるとともに、サービス利用者(個人、企業等)は、有用なサービスの選択が可能になることが期待される。

上記3点を踏まえ、先行的に取り組むべき領域(例)

  • 心の健康保持・増進
  • 生活習慣病(肥満、高血圧、糖尿病等)
  • 認知症
  • フレイル
  • 女性の健康(月経困難症等)

など

(参考)予防健康づくりをスコープとしたガイドライン

予防・健康づくりの対象 疾患等具体名 ガイドライン名 作成者(監修、編集等)
生活習慣病 生活習慣病全般 生活習慣病とその予防(※ガイドラインの形ではない) 日本生活習慣病予防協会
生活習慣病 糖尿病 糖尿病予防ガイドライン2019 日本糖尿病学会
生活習慣病 虚血性心疾患 虚血性心疾患の一次予防ガイドライン 日本循環器学会、日本栄養・食糧学会、日本高血圧学会、日本更年期医学会、日本小児循環器学会、日本心臓病学会、日本心臓リハビリテーション学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、日本老年医学会
がん がん全般 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ
がん 乳がん 乳癌診療ガイドライン 日本乳癌学会
高齢者 閉じこもり、認知機能、うつ、要介護状態 介護予防ガイド実践・エビデンス編(※ガイドラインの形ではない) 平成31年度厚生労働科学研究費長寿科学政策研究事業

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

高齢者 骨粗鬆症 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版 日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、骨粗鬆症財団
高齢者 肺炎、熱中症 高齢者在宅医療・介護サービスガイドライン2019 日本老年医学会、日本在宅医学会、国立長寿医療研究センター
高齢者 褥瘡 褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版) 日本褥瘡学会
高齢者 サルコペニア サルコペニア診療ガイドライン2017年版一部改訂 一般社団法人日本サルコペニア・フレイル学会、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
高齢者 認知症 認知機能低下および認知症のリスク低減WHOガイドライン 令和元年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「海外認知症予防ガイドラインの整理に関する調査研究事業」WHO ガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』邦訳検討委員会
精神・神経疾患 ストレス 労働者個人向けストレス対策(セルフケア)のガイドライン(改訂版) 厚生労働科学研究費労働安全総合研究事業(主任:川上憲人東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野)
精神・神経疾患 うつ病(三次予防) 日本うつ病学会治療ガイドラインⅡ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害2016 日本うつ病学会気分障害の治療ガイドライン作成委員会
ウィメンズヘルス 産後うつ、疲労 高年初産婦に特化した産後1か月までの子育て支援ガイドライン 最先端・次世代研究開発支援プログラム子育て支援ガイドライン開発研究プロジェクト
成育 アレルギー 食物アレルギー診療ガイドライン2016 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会
感染症 新型インフルエンザ 感染拡大防止に関するガイドライン 厚生労働省
感染症 新型コロナウイルス感染症 (※感染拡大予防に関する業種別ガイドライン) (※各業界団体)
その他 腰痛 腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版) 日本整形外科学会、日本腰痛学会

参照

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