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1.令和3年度の経済動向及び令和4年度の経済見通し
(1)令和3年度及び令和4年度の主要経済指標
国内総生産
令和2年度(実績) | 令和3年度(実績見込み) | 令和4年度(見通し) | |
国内総生産 | 535.5兆円 | 544.9兆円 | 564.6兆円 |
民間最終消費支出 | 286.9兆円 | 293.2兆円 | 307.3兆円 |
民間住宅 | 19.8兆円 | 21.0兆円 | 21.5兆円 |
民間企業設備 | 84.5兆円 | 88.3兆円 | 93.4兆円 |
財貨・サービスの輸出 | 84.1兆円 | 101.6兆円 | 109.6兆円 |
(控除)財貨・サービスの輸出 | 84.5兆円 | 107.5兆円 | 116.5兆円 |
国民総所得
令和2年度(実績) | 令和3年度(実績見込み) | 令和4年度(見通し) | |
国民総所得 | 554.7兆円 | 566.9兆円 | 589.0兆円 |
労働・雇用
令和2年度(実績) | 令和3年度(実績見込み) | 令和4年度(見通し) | |
労働力人口 | 6,683万人 | 6,871万人 | 6,873万人 |
就業者数 | 6,664万人 | 6,681万人 | 6,705万人 |
雇用者数 | 5,962万人 | 5,981万人 | 6,004万人 |
完全失業率 | 2.9% | 2.8% | 2.4% |
生産
令和2年度(実績) | 令和3年度(実績見込み) | 令和4年度(見通し) | |
鉱工業生産指数・増減率 | ▲9.5% | 5.7% | 5.0% |
物価
令和2年度(実績) | 令和3年度(実績見込み) | 令和4年度(見通し) | |
国内企業物価指数・変化率 | ▲1.4% | 6.5% | 2.0% |
消費者物価指数・変化率 | ▲0.2% | ▲0.1% | 0.9% |
GDPデフレーター・変化率 | 0.7% | ▲0.8% | 0.4% |
国際収支
令和2年度(実績) | 令和3年度(実績見込み) | 令和4年度(見通し) | |
貿易・サービス収支 | 0.2兆円 | ▲5.3兆円 | ▲5.8兆円 |
貿易収支 | 3.9兆円 | ▲1.4兆円 | ▲3.7兆円 |
輸出 | 68.4兆円 | 83.4兆円 | 88.7兆円 |
輸入 | 64.4兆円 | 85.2兆円 | 92.4兆円 |
経常収支 | 16.3兆円 | 13.6兆円 | 15.2兆円 |
経常収支対名目GDP比 | 3.0% | 2.5% | 2.8% |
(注1)消費者物価指数は総合である。
(注2)Go Toキャンペーン事業による消費者物価(総合)上昇率への影響を機械的に試算すると、2020年度に▲0.1%ポイント程度、2021年度に0.1%ポイント程度、2022年度に▲0.0%ポイント程度と見込まれる。また、携帯電話通信料引下げによる消費者物価(総合)上昇率への影響を機械的に試算すると、2021年度に▲1.3%ポイント程度と見込まれる。
(2)令和3年度の経済動向
我が国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響の下にあるが、令和3年9月末をもって、全国の緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置は全て解除され、行動制限も段階的に緩和されてきたこと等から、厳しい状況は徐々に緩和されており、このところ持ち直しの動きがみられる。
ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、新たな変異株の出現による感染拡大への懸念が生じていることから、新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
こうした中、政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え、未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を柱とする「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(以下「経済対策」という。)を策定し、令和3年度補正予算を編成した。
これを迅速かつ着実に実行することを通じて、足元の経済の下支えを図り、景気下振れリスクに対応するとともに、感染が再拡大した場合にも国民の暮らし、雇用や事業を守り抜き、経済の底割れを防ぐ。また、「新しい資本主義」を起動し、「成長と分配の好循環」を実現して、経済を自律的な成長軌道に乗せる。
こうした下で、令和3年度の実質国内総生産(実質GDP)成長率は2.6%程度、名目国内総生産(名目GDP)成長率は1.7%程度となり、GDPは令和3年度中に感染拡大前の水準を回復することが見込まれる。また、消費者物価(総合)変化率は▲0.1%程度と見込まれる。
(3)令和4年度の経済見通し
令和4年度については、後段で示す「2.令和4年度の経済財政運営の基本的態度」に基づき、「経済対策」を迅速かつ着実に実施すること等により、実質GDP成長率は3.2%程度、名目GDP成長率は3.6%程度と見込まれる。GDPは過去最高となることが見込まれ、公的支出による経済下支えの下、消費の回復や堅調な設備投資に牽引される形で、民需主導の自律的な成長と「成長と分配の好循環」の実現に向けて着実に前進していく。また、消費者物価(総合)変化率は、0.9%程度と見込まれる。
ただし、引き続き、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要があり、また、感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
①実質国内総生産(実質GDP)
(ⅰ)民間最終消費支出
感染拡大防止と社会経済活動の両立が図られる中で、社会経済活動が正常化に向かい、また、雇用・所得環境の改善が進むことにより、増加する(対前年度比4.0%程度の増)。
(ⅱ)民間住宅投資
緩和的な金融環境の下、おおむね横ばいで推移する(対前年度比0.9%程度の増)。
(ⅲ)民間企業設備投資
「経済対策」の効果もあって、デジタル化・グリーン化の促進等に伴い、増加する(対前年度比5.1%程度の増)。
(ⅳ)公需
過去の経済対策等の実施が進んだ一方で、「経済対策」に伴う政府支出や、社会保障関係費の増加等により、おおむね横ばいとなる(実質GDP成長率に対する公需の寄与度0.0%程度)。
(ⅴ)外需(財貨・サービスの純輸出)
海外経済の回復に伴い、増加する(実質GDP成長率に対する外需の寄与度0.2%程度)。
②実質国民総所得(実質GNI)
実質GDP成長率と同程度の伸びとなる(対前年度比3.1%程度の増)。
③労働・雇用
社会経済活動が正常化に向かう中で、雇用者数は増加し(対前年度比0.4%程度の増)、完全失業率は低下する(2.4%程度)。
④鉱工業生産
内外経済の回復に伴い、増加する(対前年度比5.0%程度の増)。
⑤物価
消費者物価(総合)は、経済の回復や前年度における携帯電話通信料の影響が剥落する下で、上昇する(対前年度比0.9%程度の上昇)。こうした中でGDPデフレーターは上昇する(対前年度比0.4%程度の上昇)。
⑥国際収支
所得収支の黒字が続く中、経常収支の黒字はおおむね横ばいで推移する(経常収支対名目GDP比2.8%程度)。(注1) 本経済見通しに当たっては、「2.令和4年度の経済財政運営の基本的態度」に記された経済財政運営を前提としている。
(注1) 本経済見通しに当たっては、「2.令和4年度の経済財政運営の基本的態度」に記された経済財政運営を前提としている。
(注2) 世界GDP(日本を除く。)の実質成長率、円相場、原油輸入価格については、以下の前提を置いている。なお、これらは、作業のための想定であって、政府としての予測あるいは見通しを示すものではない。
(備考)
- 世界GDP(日本を除く。)の実質成長率は、国際機関等の経済見通しを基に算出。
- 円相場は、令和3年11 月1日~11 月30 日の期間の平均値(114.1 円/ドル)で同年12 月以降一定と想定。
- 原油輸入価格は、令和3年11 月1日~11 月30 日の期間のスポット価格の平均値に運賃、保険料を付加した値(83.0 ドル/バレル)で同年12 月以降一定と想定。
(注3) 我が国経済は民間活動がその主体をなすものであること、また、特に国内外の感染症の動向や国際環境の変化には予見しがたい要素が多いことに鑑み、上記の諸計数はある程度幅を持って考えられるべきものである。
2.令和4年度の経済財政運営の基本的態度
経済財政運営に当たっては、「経済対策」を迅速かつ着実に実施し、公的支出による下支えを図りつつ、消費や設備投資といった民需の回復を後押しし、経済を民需主導の持続的な成長軌道に乗せていく。
最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げる。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期する。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。
経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組んでいく。その上で、岸田内閣が目指すのは、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする新しい資本主義の実現である。成長を目指すことは極めて重要であり、その実現に全力で取り組む。しかし、分配なくして次の成長なし。成長の果実をしっかりと分配することで、初めて次の成長が実現する。
具体的には、「科学技術立国の実現」、地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」、「経済安全保障」を3つの柱とした大胆な投資とともに、デジタル臨時行政調査会における規制・制度改革等を通じ、ポストコロナ社会を見据えた成長戦略を国主導で推進し、経済成長を図る。また、賃上げの促進等による働く人への分配機能の強化、看護・介護・保育等に係る公的価格の在り方の抜本的な見直し、少子化対策等を含む全ての世代が支え合う持続可能な全世代型社会保障制度の構築を柱とした分配戦略を推進する。
加えて、東日本大震災からの復興・創生、高付加価値化と輸出力強化を含む農林水産業の振興、老朽化対策を含む防災・減災、国土強靱化や交通、物流インフラの整備等の推進、観光や文化・芸術への支援など、地方活性化に向けた基盤づくりに積極的に投資する。年代・目的に応じた、デジタル時代にふさわしい効果的な人材育成、質の高い教育の実現を図る。2050年カーボンニュートラルを目指し、グリーン社会の実現に取り組む。
これまでにない速度で厳しさを増す国際情勢の中で、国民を守り抜き、地球規模の課題解決に向けて国際社会を主導するため、外交力や防衛力を強化する等、安全保障の強化に取り組む。
これまでの政府・与党の決定を踏まえた取組を着実に進めるとともに、財政の単年度主義の弊害を是正し、科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家課題に計画的に取り組む。
日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
(参考)主な経済指標
1.国内総生産
2.実質成長率と寄与度
3.物価関係指数の変化率
4.完全失業率と雇用者数
参照
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