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【投資家必見】エーザイ2025年決算!レケンビ好調だが「買い」?成長の裏側と課題

皆さん、こんにちは!私たちがお世話になっているお薬の会社、エーザイから新しい情報が届きましたよ。

ついこのあいだ、2025年5月15日に、エーザイは「2024年度(2025年3月までの1年間)はこんな結果でしたよ~」という決算の発表をしました。そして、それと同時に「次の1年間(2025年度、つまり2026年3月まで)はこんな風になりそうです!」という会社の"未来予想図"も教えてくれたんです。

そこで今回の記事では、まず、エーザイの決算での注目ポイントや、これから会社がどう成長していきそうか、という見通しを、皆さんに分かりやすく噛み砕いてお伝えしますね。

さらに、ちょっとだけ専門的なお話にもチャレンジ!「DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法」っていう、ちょっとカッコイイ名前の方法があるんですが、これを使って「エーザイっていう会社の本当の価値って、今どれくらいなんだろう?」というのを、じっくりと計算してみたいと思います。簡単に言うと、将来エーザイが生み出すであろうお金の価値を、今の時点で見積もる方法なんですよ。

そしてさらに、その計算結果と今のエーザイの株価を比べてみて、「私たちにとって、エーザイの株って、今どうなんだろう?買い時?それとも…?」といった、皆さんが一番気になる投資のヒントを一緒に考えていきたいと思います。どうぞ、お楽しみに!


Table of Contents

1. 2025年3月期決算の注目ポイント

全体業績:増収増益の背景

皆さん、エーザイの最新の「成績表」とも言える2025年3月期(これは2024年の4月1日から2025年の3月31日までの1年間のことです)の結果が出たんですが、これがとっても良かったんですよ!

まず、会社全体の「売上」、つまりエーザイがこの1年間でどれだけ稼いだかというと、前の年よりも6.4%もアップして、なんと7,894億円にもなりました!すごいですよね!

そして、本業でしっかりと稼いだ「営業利益」も、前の年より1.8%増えて544億円。

さらに、最終的にエーザイの手元に残った「純粋な利益」は、もっとグーンと伸びて、9.5%も増えて464億円だったんです!

つまり、売上も利益も両方ともアップする「増収増益」をバッチリ達成したんですね!

「どうしてこんなに調子が良かったの?」って気になりますよね。

この素晴らしい結果を引っ張ってくれた大きな力は、なんといってもアルツハイマー病のお薬「レケンビ」の急成長なんです!このお薬が、ものすごい勢いで伸びているんですね。

それに加えて、がんのお薬「レンビマ」や、なかなか眠れない方のための「デエビゴ」といったお薬たちも、引き続き安定して多くの患者さんのもとに届いているんです。

世界中どこで頑張ったかというと、特にアメリカでは「レケンビ」がどんどん広まって使われるようになってきています。そして、私たちがお住まいの日本を含むアジアの国々でも、エーザイがこれまで提供してきた大切なお薬たちが安定して売れ続けていることが、この良い結果をしっかりと支えてくれたんですよ!

エーザイの主力製品の売れ行きは?

エーザイには頼りになるお薬がたくさんありますが、特にあのお薬の伸びが本当にすごいんですよ! 詳しく見ていきましょうね。

1.がん治療のエース!「レンビマ」(お薬の成分の名前:レンバチニブ)

売上は、なんと 3,285億円! 前の年と比べて 10.4%もアップ したんです!

この「レンビマ」は、甲状腺がんや肝臓のがんなど、色々な種類のがんと戦うお薬です。アメリカのメルクっていう大きな会社と力を合わせて、世界中の患者さんに届けているおかげで、売上がグングン伸びているんですよ。本当に頼もしいですね!

2.心地よい眠りのお手伝い「デエビゴ」(お薬の成分の名前:レンボレキサント)

売上は 538億円! こちらも前の年と比べて、なんと 28.6%も大きく伸びました!

「デエビゴ」は、なかなか寝付けない方のための睡眠薬です。これまでのお薬とはちょっと違う新しいタイプで、特にアメリカと日本で「これならぐっすり眠れそう」と選んでくださる方が増えているんです。

3.大注目!アルツハイマー病の希望の星「レケンビ」(お薬の成分の名前:レカネマブ)

売上は 443億円! …え、これだけ?と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください!前の年の売上が43億円だったので、なんと 940.6%もの大幅アップ!! すごいですよね、数字で見ると約10.4倍も成長したんです!まさに驚きの伸びです!

この「レケンビ」は、2023年にアメリカで「このお薬、使っていいですよ!」と正式に認められてから、ものすごいスピードでたくさんの患者さんに使われ始めています。日本や韓国でも販売がスタートして、これからもっと多くの国で、そしてもっとたくさんの患者さんのもとに届くことで、さらに大きく成長していきそうですよ。

この「レケンビ」がこんなに急激に売上を伸ばしているのは、アルツハイマー病の進行そのものを遅らせることを目指した、世界で初めて広く認められたお薬(専門用語ではDMT:疾患修飾薬といいます)だからなんです。それだけ、世界中から大きな期待が寄せられているんですね。

もちろん、がん治療の「レンビマ」や睡眠薬の「デエビゴ」も、それぞれの分野でしっかりと成長を続けていて、エーザイという会社全体の製品のバランスを上手に支えてくれているんですよ。

エーザイのお金の使い方や利益の状況

さて、エーザイがたくさん売り上げた一方で、「どんなことにお金を使って、どれくらい効率よく利益を出せたのかな?」って気になりますよね。そのあたりを一緒に見ていきましょう!

まず、お薬をたくさんの人に知ってもらったり、会社をスムーズに動かしたりするためのお金(これを専門用語で「販管費(はんかんひ)」って言います)ですが、これは前の年よりも8.2%増えて、4,083億円になりました。

特に、期待の星「レケンビ」をアメリカの市場で多くの人に届けるための活動費や、世界中の患者さんに使ってもらうための準備に、しっかりとお金を使った結果なんですね。未来への大切な投資と言えそうです!

そして、新しいお薬を生み出すための「研究開発費」も見てみましょう。こちらは1,716億円と、こちらもたくさん使っています。これは、エーザイが稼いだお金(売上)のなんと21.7%にもなるんです!すごいですよね。将来、もっとたくさんの人を助けられるように、新しいお薬のタマゴを育てたり、あの「レケンビ」がさらに多くの場面で役立てるようにするための重要な費用なんですよ。

こういった未来への投資もしっかり行ったので、「営業利益率」(売上に対してどれだけ効率よく本業で儲けられたかを示す数字ですね)は6.9%でした。前の年が7.2%だったので、ほんの少しだけ下がったんですが、心配しないでくださいね!売上そのものが大きく伸びたおかげで、実際に会社が稼いだ利益の「金額」は、ちゃんと増えているんです!しっかり儲けは出ているんですよ。

最終的に会社に残った利益が、前の年より9.5%もグーンと伸びたのには、他にも理由があるんです。例えば、外国のお金との交換レートの関係でちょっぴりお得になったこと(これを「為替差益」って言います)や、税金の支払い方での工夫(「税効果」ですね)も、この良い結果につながったみたいですよ。

そして、株主の皆さんにとっては嬉しいお知らせです!配当は、1株あたり160円をこれまで通り続けてくれるそうです。これは、会社が得た利益のほとんど(なんと配当性向97.7%!すごいですよね!)を皆さんと分かち合うということで、エーザイが株主の皆さんを大切に思っている気持ちが伝わってきますね。


2. 2026年3月期 業績見通し

エーザイのこれからの1年間の売上と利益の見通し

さて、エーザイの「次の1年間(2026年3月期、つまり2025年の4月1日から2026年の3月31日まで)はこんな感じになりそうですよ~」という未来予想図も発表されました。一緒に見ていきましょう!

エーザイが考えている来年の見通しは、こんな感じです。

  • 売上(会社全体でどれだけ稼ぐか):7,900億円(今年と比べて、ほんのちょっぴり0.1%プラス。だいたい同じくらいになりそうですね)
  • 営業利益(本業でどれだけ儲けるか):545億円(こちらも今年と比べて、ほんの少し0.2%プラスの予想です)
  • 当期純利益(最終的に会社に残るおカネ):415億円(こちらは残念ながら、今年より10.6%ほど減ってしまう見込みなんです…)

まとめると、売上は今年と同じくらいで、本業の利益も少しは増えそうだけど、最終的な利益は1割くらい減っちゃうかもしれない、ということなんですね。

「あれ?どうして最終的な利益が減っちゃうの?」って気になりますよね。

これにはいくつか理由があるみたいです。まず、期待の星「レケンビ」はこれからもグングン伸びてくれそうですが、これまでエーザイを支えてきたがんのお薬「レンビマ」の成長が、少しペースダウンするかもしれない…という、良い面と少し心配な面の両方があるようなんです。

それに加えて、未来のため!と、新しいお薬を開発するための研究費や、お薬を多くの人に知ってもらうための宣伝費なども、引き続きしっかり使っていく計画だから、というのも影響しているんですね。お金をしっかり使う分、手元に残る利益が少し減るイメージです。

実はこのエーザイの計画、株の専門家たちの間では「営業利益は662億円くらい、最終的な利益は528億円くらいは行くんじゃないかな?」って予想されていたんです(これを「QUICKコンセンサス」って言ったりします)。

なので、エーザイが出した今回の計画は「あれ?思ったよりちょっと慎重だな…」「もう少し頑張れるんじゃないかな?」と市場では受け止められてしまったみたいで…。

この発表があった後、エーザイの株価は前の日と比べて4.45%下がって、3,708円という動きになりました。市場の期待には少し届かなかった、ということなのかもしれませんね。

はい、承知いたしました!エーザイの主要なお薬たちがこれからどうなっていくのか、皆さんに分かりやすくお伝えしますね。特に「レケンビ」と「レンビマ」という二つの大きなお薬には、それぞれ明るいお話と、ちょっぴり気がかりなポイントがあるみたいなんですよ。

エーザイの「顔」となるお薬たち!これからどうなる? ~「レケンビ」と「レンビマ」の未来予想図~

期待の星!アルツハイマー病治療薬「レケンビ」は、ますます大活躍の予感!

 来年の「レケンビ」の売上は、なんと 765億円 になる見込みです!これは、今年と比べてさらに 72.8%もグーンとアップ する予想なんですよ!すごい勢いですよね!

どうしてこんなに伸びるかというと、アメリカでどんどん使われるようになっているのに加えて、私たちの住む日本や、お隣の韓国、そしてメキシコといった国々でも、これから本格的に販売が広がっていくからなんです。

さらに嬉しいニュースも!もっと手軽に注射できる新しいタイプのお薬(皮下注射製剤っていうんですよ)の開発が進んでいたり、血液検査でアルツハイマー病の兆候がより分かりやすくなるような技術(血液バイオマーカー検査)も出てきたりしていて、これからもっと多くの患者さんが「レケンビ」を使いやすくなることが期待されているんです。

ただ、一つだけちょっと心配なのは、ヨーロッパでのお薬の承認が少し遅れていることなんです。ヨーロッパの専門機関(EMA)から一度「うーん、ちょっと待って」という意見が出て、今もう一度話し合ってもらっている最中なんですね。ここがどうなるか、少し見守る必要がありそうです。

これまで大活躍!抗がん剤「レンビマ」は、ちょっと一息つく時期かも?

がん治療で長年頑張ってきた「レンビマ」ですが、来年の売上は 3,120億円 と予想されています。これは、残念ながら今年より 5.0%ほど減ってしまう かもしれない、という見通しなんですね。

「どうして?」と思いますよね。これは、お薬を独占的に販売できる期間(これを「特許」って言います)がそろそろ終わりの時期に近づいていて、お値段が手頃な同じ成分のお薬(ジェネリック医薬品ですね)や、ライバルになる新しいお薬が出てくる影響があるからなんです。

もちろんエーザイも、この「レンビマ」が女性特有のがんなど、新しい種類のがんにも使えるように開発を進めて、売上の減少をできるだけ抑えようと頑張ってはいるんですが、一番たくさん売れていた時期(これを「ピーク」って言います)は、少し過ぎてきているのかもしれませんね。

ぐっすり眠るお手伝い「デエビゴ」は、これからも安定して人気!

そして、眠りのお悩みを持つ方のための「デエビゴ」ですが、こちらは引き続き安定して成長してくれそうです!(詳しい売上の予想数字は発表されていませんが)市場でどんどん知られてきていて、これからも「これがいいな」と選んでくれる人が多そうですよ。

まとめると…お互いの力で、会社全体は「横ばい」に

というわけで、来年のエーザイは、期待の星「レケンビ」がグーンと伸びて会社全体の売上を力強く引っ張ってくれる一方で、これまで大黒柱として頑張ってきた「レンビマ」の成長が少しゆっくりになることで、お互いの力がちょうどバランスを取るような形になりそうです。その結果、会社全体の売上としては、今年とだいたい同じくらいに着地しそう、ということなんですね。

研究開発費と成長投資の影響

エーザイは、これからもっとたくさんの人を助けられるように、未来のためのお金の使い方もしっかり考えているんですよ。特に、新しいお薬を生み出すための研究には、これからもグーッと力を入れていくみたいです。

研究開発にはどれくらいお金を使うの?

来年(2026年3月期)の計画を見てみると…

新しいお薬を開発するための費用、つまり「研究開発費」は、1,665億円 を使う予定だそうです。これは、今年(2025年3月期)と比べると3.0%ほど少し減るんですが、それでもエーザイが稼ぐお金(売上)のなんと 21.1% にもなるんです!引き続き、未来のためにたーっぷり投資する!という強い気持ちが表れていますね。

そして、お薬を多くの人に届けたり、会社を運営したりするためのお金(これを「販管費(はんかんひ)」って言います)も、3,960億円と、こちらも今年より少し(2.9%)抑える計画のようです。

どんな「未来のお薬」にお金を使うの?

じゃあ、その大切な研究開発費は、具体的にどんな「未来のお薬」のために使われるんでしょうか?エーザイが特に力を入れていくのは、こんな分野だそうですよ。

アルツハイマー病と戦うために!

期待の星「レケンビ」を、もっと患者さんが使いやすいように、例えばご自身やご家族が注射しやすい「皮下注射」タイプにするための研究。

さらに新しいタイプのアルツハイマー病のお薬候補(「E2814」という開発中の秘密兵器だそうです!)を、実際に患者さんに試してみて、効果や安全性を確かめる「臨床試験」という大切なステップを進めること。

がん治療の未来を切り拓く!

特定の種類のがん細胞(FGFR2融合遺伝子を持つがん細胞など)にピンポイントで効くことを目指す新しいお薬候補、「タスフィゴ」などの開発。

その他の難しい病気にも希望を!

ALS(筋萎縮性側索硬化症)という、筋肉がだんだん動かなくなってしまう難病のお薬候補、「ロゼバラミン」など、まだ良い治療法がない病気のための研究も進めていくそうです。

未来への投資と、今の利益とのバランスは?

こういった研究開発へのしっかりとした投資は、長い目で見たときにエーザイがもっと成長して、さらに多くの患者さんを助けられるようになるためには、絶対に欠かせないものなんですね。

ただ、新しいお薬が完成するまでには、どうしても時間もお金もかかります。なので、すぐに会社の利益がドーンと増える!というわけにはいかなくて、短期的には、こうした未来への投資が、利益を少し圧迫してしまう(少し抑え気味にしてしまう)要因にもなっている、ということなんです。未来の大きな花を咲かせるために、今は一生懸命、土に栄養を与えているようなイメージでしょうか。

レケンビの不確実性と市場環境

エーザイの未来をぐーんと引っ張ってくれると大きな期待が寄せられているアルツハイマー病のお薬「レケンビ」ですが、実はまだ「どうなるかな?」と見守っている部分や、乗り越えなければいけないハードルもいくつかあるんですよ。一緒に見ていきましょう。

レケンビ、意外に広まるのに時間がかかってる?

 まず一つ気になるのは、思ったよりも「レケンビ」がたくさんの患者さんのもとに届くのに、少し時間がかかっているかもしれない、という点です。

エーザイも最初は「2028年の3月頃までには、年間5,000億円くらい売れるといいな!」と大きな夢を描いていたんですが、最近、「うーん、やっぱり2,500億円から2,800億円くらいになるかも…」と、目標を少し見直したんですね。

なぜかというと、例えばアメリカでは、このお薬を使う前に必要な詳しい検査をするための仕組みや場所(これを「診断インフラ」って言います)がまだ十分じゃなかったり、お薬の値段が年間で約260万円(日本円で考えると)と、かなり高かったりすることが、なかなか皆さんの手に届きにくい理由になっているようなんです。

国のルールや政治も影響するかも? 規制リスクってなに?

それから、国のルールや許可に関する心配事、いわゆる「規制リスク」というのもあります。

例えば、ヨーロッパではまだ「レケンビ」を使っていいですよ、というOKが出ていなくて、少し時間がかかっています。(現在、専門の機関がもう一度話し合ってくれているところです。)

また、アメリカでは、もし大統領がトランプさんにまた戻ったりすると、お薬の値段を決める話し合い(これを「薬価交渉」といいます)がどうなるか、ちょっと先が見えにくい…なんていう声も出ているんですよ。政治の動きもお薬の未来に関わってくるんですね。

ライバルのお薬も出てくる? 競争はどうなるの?

強力なライバルのお薬が出てくるかもしれない、というのも気になるところです。

イーライリリーっていう強力な競合も、「ドナネマブ」という「レケンビ」と似たようなアルツハイマー病のお薬を開発していて、こういったライバルが登場すると、「レケンビ」がどれくらいの患者さんに選んでもらえるか、というシェア(市場での割合)の競争が激しくなるかもしれないんです。

希望の光もちゃんとあります!レケンビがもっと広まるためのカギは?

心配なことばかりじゃありませんよ!「レケンビ」がもっとたくさんの人に届くようになるための、明るいニュースもあるんです。

例えば、もっと手軽に、ご自身やご家族が注射できる新しいタイプの「レケンビ」(これを「皮下注射製剤」って言います)が、アメリカで「使っていいですよ!」と認められるかもしれません。アメリカのFDAという、お薬の許可などを出す専門の機関が、そのための審査を始めてくれたそうですよ!これが実現すれば、病院に頻繁に行かなくても治療を続けやすくなるかもしれませんね。

それに、簡単な血液検査だけでアルツハイマー病の診断がもっと手軽にできるようになれば(これを「血液バイオマーカー」って言います)、これまでよりもずっと多くの患者さんが「レケンビ」を使い始める大きなきっかけになるかもしれません。

これらが実現すれば、「レケンビ」がもっとスムーズに、そしてもっと多くの困っている方々のところに届くようになるための、大きな助けになるかもしれないんですね!これからどうなっていくか、目が離せませんね。


3. 企業価値評価

DCF法の概要と前提条件

さて、今回はちょっと本格的に、エーザイの「会社まるごとのお値段」、つまり「企業価値」ってどれくらいなんだろう?というのを計算してみたいと思います。

そのために使うのが、「DCF(ディーシーエフ)法」という、株の分析でよく使われる方法の一つなんですよ。

なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと、「会社が将来、自由に使えるお金(これをフリーキャッシュフロー、略してFCFって言います)をどれくらい生み出せるかな?」と予想して、その未来のお金を「じゃあ、今の価値に直すといくらになるの?」と割り引いて合計することで、会社全体の価値を見積もる方法なんです。未来の夢を、今の現実のお金に置き換えてみるイメージですね!

もちろん、未来のことなので、計算するためにはいくつか「こんな感じで会社は成長していくんじゃないかな?」という仮のルール、つまり「前提条件」を決める必要があります。今回は、エーザイについて、こんな前提で考えてみました。一緒に見ていきましょう!

エーザイの企業価値を計算するための「お約束ごと」(前提条件)

 いつまでの未来を詳しく見る?(予測期間)

2026年の3月期から2030年の3月期までの5年間は、毎年細かく予想します。その先は、ずーっと安定して成長していく期間(これを「永続成長フェーズ」って言います)として考えますね。

売上はどれくらい伸びていくかな?(売上成長率)
  • 2026年:エーザイ自身が出している計画通り、7,900億円。
  • 2027年~2030年:期待の星「レケンビ」が年に20%くらいグーンと伸びる!一方で、これまで頑張ってきた「レンビマ」は、特許の影響もあって年に5%くらいゆっくりペースダウン。他のお薬たちは年に3%くらい安定して伸びる。
  • …と仮定して、会社全体としては年に3~5%くらい成長していくんじゃないかな、と予想します。
どれくらい効率よく儲けられるかな?(営業利益率)
  • 2026年:これもエーザイの計画通り、6.9%。
  • 2027年~2030年:お薬を売ったり会社を運営したりするお金の使い方がもっと上手になったり、「レケンビ」がもっと儲けやすくなったりして、だんだん良くなって8~10%くらいになるんじゃないかな、と考えます。
未来のための投資はどれくらい?(資本支出:CapEx)

新しい工場を建てたり、研究施設を充実させたりするためのお金は、売上の3%くらいとします。(これは、エーザイがこれまでどれくらい使ってきたかを参考にした数字です)

会社を回すのに必要なお金は?(運転資本)

商品の在庫を抱えたり、売ったお金がすぐに入ってこなかったり…といった、会社をスムーズに回していくために常に必要なお金は、売上の15%くらい。これはお薬の会社ではだいたいこれくらい、という平均的な数字(業界標準)を参考にしました。

未来のお金を今の価値に直す「割引率」は?(割引率:WACC)

未来のお金を今の価値に割り引くときの、とっても大事な「割引の割合」(これをWACC(ワック)って言います)ですが、これは計算が少し複雑なので、後でまた詳しくご説明しますね!

ずーっと続く成長の勢いは?(永続成長率)

会社が5年間の詳細予測期間の後も、ずーっと安定して成長していくときの伸び率は、1.5%とします。これは、お薬の業界が長い目で見てこれくらいは成長するかな、というのをちょっと控えめに(慎重に)考えた数字です。

会社の実質的な借金はどれくらい?(純有利子負債)

会社が持っている借金から、すぐに使える現金を引いた「実質的な借金」は、2025年の3月末時点でだいたい1,200億円くらいある、と考えておきます。(これは決算の数字を元にした仮の数字として設定しました)

株は全部で何枚あるの?(発行済株式数)

世の中に出回っているエーザイの株の数は、2025年の3月末時点で2億8700万株ですね。これを使って、最終的に1株あたりの価値を出します。

さあ、こんな感じの「お約束ごと」や数字を使って、これからエーザイの会社の価値を一つ一つ計算していくわけです。ちょっと数字が多くて頭がパンクしそうかもしれませんが、これがどういうシミュレーションになるのか、ゆっくり見ていきましょうね!

キャッシュフロー予測

以下は、2026~2030年のフリーキャッシュフロー(FCF)予測です(単位:億円)。

年次
売上収益
営業利益
税引後営業利益(NOPAT)
CapEx
運転資本増減
FCF
2026
7,900
545
381(税率30%)
237
119
25
2027
8,200
656(8%)
459
246
123
90
2028
8,600
774(9%)
542
258
129
155
2029
9,000
900(10%)
630
270
135
225
2030
9,450
945(10%)
662
284
142
236
  • NOPAT:営業利益×(1-税率)。
  • FCF:NOPAT - CapEx - 運転資本増減 + 減価償却費(CapExと同額と仮定)。

割引率(WACC)の算出

加重平均資本コスト(WACC)は以下の式で算出:

WACC = \frac{E}{E+D} \cdot Re + \frac{D}{E+D} \cdot Rd \cdot (1-T)

  • E:株式価値(時価総額、2025年5月15日時点で約1.06兆円)。
  • D:有利子負債(1,200億円)。
  • Re:株主資本コスト(CAPMモデルで算出)。
  • リスクフリーレート:1.5%(日本国債10年)。
  •  市場リスクプレミアム:6%(市場平均)。
  • ベータ:1.1(エーザイの株価感応度)。
  • Re = 1.5% + 1.1 \times 6% = 8.1%
  • Rd:負債コスト(2.0%、社債利回り参考)。
  • T:法人税率(30%)。

WACC = \frac{10,600}{10,600+1,200} \cdot 8.1% + \frac{1,200}{10,600+1,200} \cdot 2.0% \cdot (1-0.3)

WACC = 7.3% + 0.15% = 7.45%

企業価値の計算と感度分析

予測期間の現在価値
  • 各年のFCFをWACCで割り引く。
  • 例:2026年のFCF 25億円の現在価値 =\frac{25}{1.0745} = 23.3億円。
  • 5年間の現在価値合計:約600億円。
永続価値
  • 2030年のFCF(236億円)を永続成長率(1.5%)で割引。
  • [ 永続価値 = \frac{236 \times (1+0.015)}{0.0745-0.015} = 4,030 )億円。
現在価値:
  • \frac{4,030}{1.0745^5} = 2,860億円。
企業価値
  • 企業価値 = 予測期間現在価値 + 永続価値 = 600 + 2,860 = 3,460億円。
  • 株式価値 = 企業価値 - 純有利子負債 = 3,460 - 1,200 = 2,260億円。
  • 1株当たり価値 =\frac{2,260}{2.87} \approx 7,875円。
感度分析
  • WACCを6.5%~8.5%、永続成長率を1.0%~2.0%で変動させた場合、1株当たり価値は6,500~9,500円の範囲。
  • レケンビの売上成長率を±10%変動させると、価値は±1,000円程度変動。

4. 株価と企業価値、投資戦略

現在の株価と企業価値の比較

さて、これまで私たちがじっくり計算してきたエーザイの「1株あたりの本当の価値」と、実際の今の株価を比べてみましょう!これが一番気になるところですよね。

ついこのあいだ、2025年5月15日のエーザイの株の終わりのお値段は、3,708円でした。

一方、私たちがDCF法っていう方法で「エーザイの会社まるごとのお値段はこれくらいかな?」と計算して、それを1株あたりに直してみた価値は…なんと、7,875円にもなったんです!

この2つを比べてみると、どうでしょう?

計算してみた価値(7,875円)に対して、今の実際の株価(3,708円)は約53%も安い、つまり「お買い得」な水準にあるかもしれない、ということなんですよ! 例えるなら、本当はもっと価値があるかもしれないお宝が、市場で半額近くの値段で売られているようなイメージでしょうか。

「え、なんでそんなに差があるの?」「計算が間違ってるんじゃないの?」って不思議に思いますよね。

この大きなギャップ(差)が生まれている理由としては、もしかすると、株式市場に参加している皆さんが、期待の星であるアルツハイマー病治療薬「レケンビ」の先行きについて「本当に計画通りに売れるのかな?」「競争は大丈夫かな?」と少し心配しすぎていたり、エーザイの利益が一時的に減っちゃうかもしれないっていうニュースを、ちょっと深刻に受け止めすぎている(専門用語で「過度に織り込んでいる」なんて言います)のかもしれませんね。

ちなみに、株の専門家であるアナリストさんたちが「エーザイの株価、これくらいが妥当じゃないかな?」って考えている目標株価の平均も、だいたい4,839円くらい(これは「みんかぶ」っていうサイトで見た情報です ※2025年5月時点のデータと仮定しています)と、今の3,708円よりもずっと高いんです。

だから、専門家たちの間でも「今のエーザイ株は魅力的かも!買いのチャンスじゃない?」って考えている方が多いみたいですよ。

もちろん、これはあくまで計算や専門家の意見の一つで、株価というのは本当に色々な理由で上がったり下がったりするものですから、この通りになるとは限りません。でも、こうやって会社の本当の価値と今の株価を比べてみるのは、皆さんが投資を考える上で、とっても面白いヒントになるかもしれませんね!

投資判断のポイント

さて、これまでエーザイについて色々と見てきましたが、じゃあ実際に「エーザイに投資するぞ!」と考えたとき、どんなところに注目したらいいんでしょうか? ワクワクするような良いところと、ちょっぴり「ここは気を付けて見ておこうかな」というポイントを、分かりやすく整理してみました!

エーザイの「ここがスゴイ!」「これから期待大!」なポイント(ポジティブ要因)

期待の星「レケンビ」が、もっともっと大きくなるかも!

アルツハイマー病で悩んでいる方は世界中にたくさんいらっしゃって、これから「レケンビ」のようなお薬が、ますます必要とされる時代が来るかもしれません。市場がグーンと広がる可能性があるんですね!

それに、もっと使いやすい注射タイプのお薬(例えば皮下注射ですね!)や、もっと簡単な診断方法が出てくれば、「レケンビ」がさらに多くの患者さんのもとに届きやすくなる可能性も秘めているんですよ!これは大きな魅力ですよね。

未来のお薬を生み出す「研究開発力」がすごい!

エーザイは、新しいお薬を世に送り出すための研究開発に、ものすごく力を入れています。たくさんお金をかけて研究しているからこそ、「タスフィゴ」(新しいがんのお薬の候補です)や「ロゼバラミン」(ALSという難病のお薬の候補です)みたいに、これから出てくるかもしれない「未来のエース候補」(これをパイプラインって言います)がたくさん控えているんです。これは、エーザイの将来の大きな成長につながるかもしれませんね!

もしかしたら、今の株価は「お買い得」かも?

さっき一緒に見たように、私たちがDCF法で計算した「エーザイの本当の価値」や、株の専門家(アナリスト)たちが考えている目標の株価と比べると、今のエーザイの株価は、もしかしたら「割安」、つまりお買い得な水準にあるかもしれません。だとしたら、これから株価がもっと上がる可能性(これを「アップサイド余地」って言ったりします)も期待できるってことですね!

でも、ちょっと「ここは気をつけて見ておきたいな…」というポイントも(ネガティブ要因)

もちろん、いいことばかりじゃありません。投資を考える上では、ちょっと慎重に見ておきたいポイントもしっかり押さえておきましょう。

期待の「レケンビ」だけど、まだ分からないことも…

大きな期待が寄せられている「レケンビ」ですが、まだどうなるかハッキリしない部分もあります。例えば、ヨーロッパでのお薬の承認が少し遅れていたり、アメリカでお薬の値段を決める話し合い(薬価交渉って言います)がどうなるか、ちょっと心配な材料も残っているんです。

これまで頑張ってきた「レンビマ」が、少し元気がなくなるかも…

エーザイのがん治療薬のエースとして長年活躍してきた「レンビマ」ですが、お薬を独占的に売れる期間(これを「特許」って言います)がだんだん終わってきているんです。そうなると、同じような成分でお値段が安いお薬が出てきたりして、これまでのようにたくさんは稼げなくなってしまうかもしれません。これは、会社全体の売上にも影響してくるポイントですね。

今はちょっと、儲けの効率(利益率)が低めかも…

エーザイは、新しいお薬の研究や、「レケンビ」をたくさんの人に届けるための活動に、今たくさんお金を使っています。これは未来のためにはすごくすごく大事なことなんですが、一時的には会社の利益が出にくくなっていて、儲けの効率を示す「利益率」がちょっと低めになっているのも、頭に入れておきたいところです。

こんな感じで、エーザイには大きな夢と期待が持てる部分と、少し慎重に見ていく必要がありそうな部分の両方があります。これらのポイントをよーく見ながら、「自分ならどう判断するかな?」って考えてみるのが、投資の面白いところであり、大切なことかもしれませんね!

リスクと機会のバランス

さて、エーザイの株は、長い目で見ると大きな夢や期待が持てる一方で、すぐに解決しないかもしれない心配事もあって、まさに「チャンスとリスクが隣り合わせ」といった感じの銘柄かもしれません。

じゃあ、私たち個人投資家は、そんなエーザイ株とどう付き合っていけばいいんでしょうか? あなたの投資スタイルに合わせて、いくつかの作戦を考えてみました!

作戦1:「エーザイの未来を信じて、じっくり応援したい!」という長期投資家のアナタへ

期待の星「レケンビ」が世界中で大ヒットする「ブロックバスター」っていうお薬に育ったり、エーザイが開発中の新しいお薬の卵(これを専門用語で「パイプライン」って言います)が次々と成功したりする未来に「賭けてみたい!」「応援したい!」と思うなら…

今の株価が、私たちが計算した「本当の価値」よりもお買い得に見えるのは、もしかしたら大きな投資のチャンスかもしれませんね!

だいたい3年から5年くらいの長い目で見て、じっくりとエーザイ株を持ち続けることを考えてみてはいかがでしょうか。未来の大きな花が咲くのを待つ、そんなイメージですね。

作戦2:「ニュースを読んで、短い期間でチャンスを掴みたい!」という短期投資家のアナタへ 🐇

ヨーロッパで「レケンビ」の承認がどうなったか、とか、アメリカでお薬の値段を決める話し合い(これを「薬価交渉」と言います)が進んでいるか、といった最新のニュースをこまめにチェックするのがポイントです。

そういった新しい情報が出てきたタイミングを上手に見極めて、株を売ったり買ったりする作戦(これを「ニュースフローを活用したトレード」って言ったりします)が、あなたには合っているかもしれませんね。機敏な動きが求められます!

どんな投資家さんも忘れないで!大切な「もしも」への備え(リスク管理)

どんな投資スタイルを選ぶにしても、共通してとっても大切なのが、「もしも予想と違う方向に進んだら…」という時のためのリスク管理です!

例えば、アメリカの政治の動きや、ライバル会社が強力な新しいお薬を出してこないか、といった、エーザイにとってマイナスになりそうな情報には、常にアンテナを張っておきましょう。

そして、そういった周りの状況の変化に合わせて、自分がどれくらいの金額をエーザイ株に投資しているか(これを「ポジションサイズ」って言います)を調整して、大きな損をしないようにコントロールすることが、とっても大事ですよ。「無理のない範囲で」が鉄則ですね。

エーザイ株との付き合い方は、本当に人それぞれ。じっくり未来を応援するのも、ニュースに合わせて機敏に動くのも、どちらも一つのやり方です。一番大切なのは、自分に合った方法で、しっかりと情報を集めながら、賢く投資と向き合っていくことですね!


まとめ:エーザイへの投資、結局どうなの?

さて、ここまでエーザイのいろんなお話をしてきましたが、最後に「結局どうなの?」というところを、ぎゅっとまとめてお伝えしますね!

まず、エーザイの前の年度(2025年3月期)の成績は、期待のアルツハイマー病治療薬「レケンビ」がぐーんと急成長したおかげで、売上も利益もアップして、とっても良かったんでしたよね!ピカピカの成績表でした。

でも、次の年度(2026年3月期)は、これまで会社を支えてきたがん治療薬「レンビマ」の成長が少しゆっくりになりそうなことや、新しいお薬の研究開発などにお金がたくさんかかる状況(これを「高コスト構造」なんて言ったりします)は続きそうなので、会社全体の業績としては、だいたい横ばい、つまり今年と同じくらいになりそうだ、という予想でした。

そして、私たちが「DCF法」というちょっと専門的な方法でエーザイの「会社の本当の価値」を見積もってみたところ、今の実際の株価は、もしかしたら「お買い得」な水準にあるかもしれない、という面白い結果が出ました。

ただ、これはあくまで一つの分析です。これから「レケンビ」がどれくらいのスピードでたくさんの患者さんのもとに届くようになるか(これを「普及スピード」と言いますね)、そしてヨーロッパでの承認がどうなるか、アメリカでのお薬の値段の話し合い(薬価交渉)がどう進むか、といった「まだどうなるか分からない点」(これを「規制リスク」などと言います)が、エーザイのこれからの成績や株価の動きに、とーっても大きな影響を与えることになるでしょう。まさに、ここが注目ポイントですね!

だからこそ、私たち個人投資家にとっては、エーザイがこれからどれだけ成長してくれそうかというワクワクするような大きな期待と、「でも、こういう心配な点もあるんだよな…」という現実(これを「不確実性」と言ったりします)を、冷静に、そしてじーっくりと見極めることが大切になってきます。

その上で、「自分ならどういう作戦でエーザイ株と付き合っていこうかな?」と、ご自身なりの投資戦略をしっかりと組み立てることが求められる、ということですね。

エーザイの未来、皆さんの目にはどう映りましたか? このお話が、皆さんが投資を考える上での、何か一つでもヒントになれば嬉しいです!


注記

  • 本記事のデータは、エーザイの公式発表(2025年5月15日)および関連報道(日本経済新聞、Yahoo!ファイナンス、みんかぶなど)を基に作成。
    • DCF計算は簡略化モデルであり、実際の投資判断には専門家の助言や追加分析が必要。

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