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医薬品の民族的要因による影響の受けやすさ
薬物動態、薬力学及び治療効果に民族的要因が与え得る影響に関して医薬品を特徴づけることは、新地域でどのようなブリッジング試験が必要となるかを決定する上で役立つであろう。
医薬品の効果に対する民族的要因の影響は、その医薬品の薬理学上の性質、適応症、患者の年齢、性別によって異なる。民族的要因の影響を受けやすさを、医薬品のひとつの特性のみで予測することは出来ない。
必要とされるブリッジング試験の種類は、結局のところ状況に応じて判断していく以外にないが、当該薬物の民族的要因による影響の受けやすさの評価が、その判断に役立つであろう。
民族的要因の影響を受けにくい
次のような特性を有する化合物は、民族的要因の影響を受けにくいと考えられる。
- 薬物動態(PK)が線形であること。
- 推奨される用法・用量の範囲内で、有効性及び安全性のいずれに関しても薬力学的(PD)(作用-濃度)曲線が平坦であること。(このことは、当該医薬品の忍容性がよいことを示唆する)
- 治療量域が広いこと。(このことも、忍容性がよいことを示す指標となり得る)
- 代謝がわずかであるか、又は複数の経路で代謝されること。
- 生物学的利用率が高く、従って薬物吸収が食事の影響を受けにくいこと。
- 蛋白結合率が低いこと。
- 薬物間、薬物-食事及び薬物-疾病間の相互作用の可能性が少ないこと。
- 作用が全身的でないこと。
- 不適切な使用の可能性が低いこと。
民族的要因の影響を受けやすい
次のような特性を有する化合物は、民族的要因の影響を受けやすいと考えられる。
- 薬物動態が非線形であること。
- 推奨される用法・用量の範囲内で、有効性及び安全性のいずれに関しても薬力学的曲線が急峻であること。(用量がわずかに変化するだけで、効果が大きく変化する。)
- 治療量域が狭いこと。
- 高度に代謝され、特に代謝経路が単一で、そのために薬物間相互作用の可能性が大きくなること。
- 遺伝多型を示すことが知られている酵素により代謝されること。
- 民族により異なる酵素変換を受ける可能性があるプロドラッグとして投与されること。
- 生物学的利用率の個体差が大きいこと。
- 生物学的利用率が低く、従って薬物吸収が食事の影響を受けやすいこと。
- 多くの併用薬とともに使用される可能性が大きいこと。
- 鎮痛剤や精神安定剤のように不適切な使用の可能性が高いこと。
参照
https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0027.html
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