医学 生物学

難病・筋強直性ジストロフィーは治る?日本発の画期的遺伝子治療

2025年8月7日

私たちの体を構成する細胞の一つひとつには、生命の設計図である遺伝情報が収められています。この設計図はDNAという分子に書き込まれており、その情報がRNAという伝令役を経て、最終的にタンパク質という生命活動を担う実行役に翻訳されます。このDNAからRNA、そしてタンパク質へと情報が流れる一連の過程は、生命科学の中心的な原理として知られています。

従来の医薬品の多くは、この最終段階であるタンパク質の働きを調節することで、病気の治療を目指してきました。しかし、病気の原因が設計図であるDNAそのものに書き込まれている遺伝性疾患の場合、根本的な治療は極めて困難であるとされてきました。

近年、この長年の課題に立ち向かうための新しい考え方が登場しました。それは、情報の流れのより上流、つまり伝令役であるRNAに直接働きかけるというアプローチです。科学者たちは、一部の疾患が、異常なタンパク質によってではなく、異常なRNAメッセージそのものによって引き起こされることを突き止めました 1。この「毒性RNA」が細胞内で正常な機能を妨げることで、様々な症状が引き起こされるのです。この発見は、これまで治療が困難であった疾患に対して、全く新しい治療戦略の可能性を切り開きました。

この記事では、まさにこの新しいパラダイムを体現する、日本の大学発スタートアップ企業「エディットフォース」が開発した画期的な技術について深く掘り下げていきます。これから、とある複雑な遺伝性疾患を理解することから始まり、自然界の思わぬところに潜んでいた解決策、そしてそれがどのようにして未来の治療薬へと姿を変えようとしているのか、その物語を一緒に辿っていきましょう。

筋強直性ジストロフィーを理解する:複雑な多系統疾患

疾患の定義

筋強直性ジストロフィーは、成人に発症する筋ジストロフィーの中では最も患者数が多い疾患です 3。その名前から筋肉の病気という印象を受けますが、実際には骨格筋だけでなく、心臓、脳、眼、内分泌系など、体の様々な臓器に影響が及ぶ複雑な多系統疾患であることが知られています 3。この疾患にはいくつかのタイプが存在しますが、エディットフォースが治療の対象としているのは、成人で最も頻度が高い「1型筋強直性ジストロフィー(DM1)」です。世界における患者数は約300万人と推定されており、遺伝性疾患としては決して稀なものではありません。近年の調査では、新生児2100人に1人の割合で発生するという報告もあり、その有病率の高さが示されています 4

遺伝的な根本原因:遺伝子の「繰り返し」異常

1型筋強直性ジストロフィーの原因は、私たちの体の設計図であるDNAに潜んでいます。具体的には、19番染色体に存在するDMPKという遺伝子に異常が見られます 3。この異常は、遺伝子の中の特定の塩基配列、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(G)からなる「CTG」という3文字の並びが、異常に何度も繰り返されることによって生じます。健康な人の場合、このCTGの繰り返し回数は5回から37回程度ですが、患者さんの体内ではこの繰り返しが不安定になり、50回以上、場合によっては数千回にも及ぶ異常な伸長が起こります 3

この遺伝子異常には特筆すべき現象があります。それは「表現促進現象(アンチシペーション)」と呼ばれるものです。これは、この不安定な繰り返し配列が世代を経るごとにさらに長くなる傾向があるため、親から子へ遺伝する際に、子が親よりも若くして発症したり、より重い症状を示したりすることがある現象です 2。この事実は、この疾患が家族に与える影響の深刻さと、有効な治療法の開発が急がれる理由を物語っています。

RNA毒性:病態メカニズム

この疾患の理解を深める上で最も重要な点は、病気の直接的な原因がDMPK遺伝子から作られるタンパク質の異常ではない、ということです。真の元凶は、異常に伸長したCTGリピートを持つ遺伝子から転写されて作られる、異常なRNA分子にあります。遺伝子のCTGという配列は、RNAに転写されるとCUGという配列になります。そのため、患者の細胞内では、このCUGの繰り返し配列が異常に長い「毒性RNA(CUGexp)」が大量に作り出されます 9

この毒性RNAは、細胞の核内で異常な立体構造を形成し、蓄積していきます。その結果、核内に「核内フォーカス」と呼ばれる凝集体を形成することが観察されます 2。問題は、この核内フォーカスが、細胞の生命活動に不可欠な様々なタンパク質を磁石のように引き寄せてしまい、本来の働きができなくさせてしまう点にあります。特に重要なのが、「マッスルブラインド様タンパク質1(MBNL1)」と呼ばれるRNA結合タンパク質です 8

MBNL1は、「選択的スプライシング」という非常に重要な生命現象を制御する役割を担っています。選択的スプライシングとは、一つの遺伝子から多様な種類のタンパク質を作り出すための巧妙な仕組みです。細胞は、この仕組みを利用して、体の様々な組織で必要とされる多種多様なタンパク質を効率的に生産しています。しかし、筋強直性ジストロフィーの患者さんの細胞内では、MBNL1が毒性RNAに捕らわれてしまうため、この選択的スプライシングが正常に行われなくなります。その結果、全身の様々な細胞で、本来作られるべきでない異常なタンパク質が作られたり、必要なタンパク質が作られなくなったりする混乱が生じます。この、毒性RNAが引き起こす選択的スプライシングの破綻こそが、「RNA毒性」と呼ばれる病態の核心であり、この疾患が全身の多岐にわたる症状を引き起こす根本的な理由なのです 1

 臨床像:全身に広がる症状の連鎖

前述のRNA毒性とそれに続くスプライシング異常は、患者さんの体に様々な症状として現れます。このメカニズムを理解することで、一見すると関連性のないように思える多彩な症状が、なぜ一つの病気として現れるのかを論理的に説明することができます。

まず、疾患名にもなっている筋肉の症状です。顔面、首、そして手足の末端部分を中心に、進行性の筋力低下と筋萎縮が起こります 3。これにより、表情が乏しくなったり、顔の下半分が痩せて特徴的な顔つき(斧状顔貌)になったり、細かい手の作業が困難になったり、つま先が上がらず歩行中につまずきやすくなったりします 14。また、この病気に特徴的な症状として「ミオトニア(筋強直現象)」があります。これは、一度力を入れて収縮させた筋肉を、すぐには弛緩させることができない状態で、例えば、強く握った手を開こうとしてもすぐには開けない、といった形で現れます 14

しかし、症状は筋肉だけに留まりません。全身に及ぶ影響は深刻です。特に生命予後に大きく関わるのが心臓の症状で、不整脈や心臓の電気信号が正常に伝わらなくなる心伝導障害は、突然死の原因ともなり得るため、厳重な管理が必要です 3。中枢神経系にも影響は及び、認知機能の低下、日中の強い眠気、特有の性格変化などが見られることがあります 2。眼の症状としては、比較的若いうちから発症する白内障が知られており、特徴的な虹色の輝きを放つことから「クリスマスツリー白内障」と呼ばれることもあります 3。その他にも、インスリンの効きが悪くなることによる糖尿病、ホルモンバランスの異常、嚥下障害、呼吸筋の衰えによる呼吸不全、特定のがんのリスク上昇など、その影響は全身に及びます 1

残念ながら、現時点ではこの病気の進行を止めたり、治したりする根本的な治療法は存在しません。行われているのは、心臓の不整脈に対してペースメーカーを植え込んだり、リハビリテーションで関節の動きを保ったりといった、症状を和らげるための対症療法に限られています 3。この状況が、病気の原因に直接アプローチする新しい治療法の開発への大きな期待につながっているのです。

予期せぬ革新的解決策:PPRプラットフォーム技術

大学発スタートアップのビジョン

筋強直性ジストロフィーという難病に対する新たな光は、福岡市に拠点を置く一社のスタートアップ企業からもたらされました。その名は「エディットフォース」。2015年に九州大学の研究成果を基に設立されたバイオテクノロジー企業です 17。この画期的な技術の礎を築いたのは、九州大学の中村崇裕教授です。彼の専門は、もともと医学ではなく植物科学でした。植物の生命現象に関する基礎研究が、予期せぬ形でヒトの難病治療への道を拓くことになったのです 19

自然から学ぶ:PPRタンパク質の力

エディットフォースの技術の核心にあるのは、「PPR(Pentatricopeptide Repeat)タンパク質」と呼ばれる分子です 19。このPPRタンパク質は、陸上植物に非常に多く存在するタンパク質で、細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアや、光合成を担う葉緑体といった細胞小器官(オルガネラ)の中で、遺伝子の働きを調節する重要な役割を担っています。その調節は、特定のRNA配列に結合することによって行われます 22

中村教授らの研究における決定的な発見は、このPPRタンパク質がどのようにしてRNA配列を認識するのか、その「認識コード」を解明したことでした。PPRタンパク質は、「PPRモチーフ」と呼ばれる約35個のアミノ酸からなる単位がいくつも連結した構造をしています。研究の結果、この一つのPPRモチーフが、RNA上の塩基(A, U, G, C)の一つひとつに対応して結合すること、そして、どの塩基に結合するかは、PPRモチーフ内のわずか数個のアミノ酸の種類によって決まることが明らかになったのです 19

「魔法の弾丸」を設計する:RNAへの特異的アプローチ

この認識コードの解明は、画期的な可能性を秘めていました。それは、標的としたいRNA配列が分かっていれば、その配列に特異的に結合する人工のPPRタンパク質を、まるでブロックを組み立てるかのように自由に設計・製造できるようになったことを意味します 4

筋強直性ジストロフィーの治療において、この技術はまさに理想的な解決策となり得ます。病気の元凶は、異常に繰り返されるCUG配列を持つ毒性RNAでした。そこでエディットフォースの研究者たちは、この毒性CUGリピート配列にピンポイントで結合するように設計した、人工のPPRタンパク質を開発しました 9

この治療法の作用機序は、「RNAブロッキング」という非常に直接的で巧妙なものです 25。設計されたPPRタンパク質が、毒性RNAのCUGリピート部分に物理的に固く結合します。すると、このPPRタンパク質が盾のような役割を果たし、毒性RNAがMBNL1などの重要なスプライシング因子を捕らえるのを防ぎます。その結果、毒性RNAは無力化され、細胞内で捕らわれていたMBNL1が解放されます。解放されたMBNL1は本来の働きを取り戻し、破綻していた選択的スプライシングが正常化へと向かうのです 9。このアプローチは、病気の根本原因に直接働きかけ、その毒性を中和するものです。

多様な応用が可能なプラットフォーム技術

このPPR技術の真に注目すべき点は、それが単一の疾患に対する一度きりの解決策ではないということです。これは、様々な応用が可能な「プラットフォーム技術」なのです 25

RNA配列に結合するPPRタンパク質の部分は、目的地を正確に探知するプログラム可能な誘導システムと考えることができます。そして、この誘導システムに、異なる機能を持つ「エフェクタードメイン」と呼ばれる部品を連結させることで、様々な操作が可能になります。

例えば、特定の酵素をエフェクタードメインとして連結すれば、RNA上の塩基を一つだけ別の塩基に置き換える「RNA編集」が可能になります。これにより、遺伝子の塩基配列の誤り(いわゆる遺伝子変異)を、RNAの段階で修正できる可能性があります 25。また、別の種類のタンパク質ドメインを連結すれば、特定のメッセンジャーRNAからのタンパク質生産を促進させる「翻訳活性化」を行うこともできます 25

このように、PPR技術は、筋強直性ジストロフィーの治療で用いられるRNAブロッキングだけでなく、RNA編集や翻訳制御など、多彩な機能を持つ治療薬を創出する基盤となります。この汎用性の高さは、この技術が将来的に、現在治療法のない多くの遺伝性疾患や、さらには農業、化学産業といった幅広い分野に革新をもたらす大きな可能性を秘めていることを示しています 28

治療を届ける:研究室の成功から生涯にわたる治療の可能性へ

デリバリーという課題:治療タンパク質を細胞内へ

前章で述べた治療用のPPRタンパク質は、それ自体が非常に優れた分子ですが、次の大きな課題は、これをどのようにして体内の標的細胞、すなわち数百万個にも及ぶ筋肉や神経の細胞内部に届けるか、という点です。単純にタンパク質そのものを注射する方法では、体内で分解されてしまうため、効果を維持するためには頻繁な投与が必要となり、長期的な治療法としては現実的ではありません。

そこで科学者たちが選択したのが、「遺伝子治療」というアプローチです。これは、治療用のタンパク質そのものを届けるのではなく、そのタンパク質の設計図である「遺伝子(DNA)」を患者さんの細胞に送り込むという考え方です。この遺伝子を受け取った患者さん自身の細胞が、いわば小さな製薬工場となり、治療用のPPRタンパク質を体内で継続的に作り続けるようになるのです。

「運び屋」の役割:無害なウイルスの利用

この遺伝子を細胞内に送り届けるための「運び屋(ベクター)」として用いられるのが、「アデノ随伴ウイルス(AAV)」という特殊なウイルスです 32。このウイルスは、元来ヒトに対して病原性を持たないことが知られています。科学者たちは、このAAVが持つウイルスとしての遺伝子を完全に取り除き、その代わりに治療効果を持つCUG-PPRタンパク質の遺伝子を組み込みます。こうして遺伝子操作されたAAVベクターは、ウイルスの殻が持つ「細胞に侵入する能力」だけを利用して、治療遺伝子という大切な積荷を目的の細胞まで効率良く運び届けるのです。

AAVベクターを遺伝子治療に用いることには、いくつかの重要な利点があります。第一に、前述の通り、ヒトに対して病気を引き起こさないため安全性が高いと考えられています。第二に、筋肉細胞や神経細胞のように、活発に分裂しない細胞にも効率よく遺伝子を導入することができます。これは、まさに筋強直性ジストロフィーで主に障害される細胞種であるため、非常に好都合です。そして最も重要な第三の利点は、AAVベクターによって送り届けられた治療遺伝子が、細胞の核内で長期間にわたって安定して存在し、機能し続けることができる点です。これにより、一度の治療で、その細胞が寿命を迎えるまで、あるいは生涯にわたって治療効果が持続する可能性が生まれるのです 32

前臨床での証明:マウスモデルでの成功

この治療法の有効性を実証するため、決定的な動物実験が行われました。研究者たちは、遺伝子操作によってヒトの筋強直性ジストロフィーに似た症状を示すように作られたマウスモデルを用意しました。そして、このマウスに対して、CUG-PPR1タンパク質の遺伝子を搭載したAAVベクターを、全身に行き渡るように一度だけ注射しました 9

その結果は、目覚ましいものでした。治療を受けたマウスは、その症状から顕著かつ長期的な回復を示したのです。具体的には、この病気に特徴的な筋強直の症状が改善し、さらに細胞レベルで解析したところ、破綻していた選択的スプライシングのパターンが正常な状態にまで回復していることが確認されました 9。提供された情報によれば、投与されたマウスのおよそ半数で症状の回復が見られたとされており、この事実は、治療法の確かな効果を示唆しています。

特筆すべきは、これらの劇的な効果が、たった一度の投与で達成されたという点です。これは、現在開発が進められている他の多くの治療法候補とは一線を画す、この遺伝子治療アプローチの最大の強みと言えるでしょう。

科学的妥当性:権威ある学術誌への掲載

科学の世界では、研究成果が客観的に評価され、その価値が認められるためには、専門家による厳格な査読を経た上で学術論文として公表されることが不可欠です。エディットフォースが大阪大学および山口大学との共同研究で得たこの画期的な成果は、2024年4月、世界的に権威のある米国の科学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に掲載されました 34

この一流学術誌への掲載は、この治療アプローチの科学的な基盤が強固であること、実験結果が信頼に足るものであること、そしてこの技術が真に有望であることを、世界の医学・科学界に対して証明するものであり、科学的な妥当性が確立された瞬間でした。

臨床試験、競合、そしてPPR技術の未来

次なる障壁:マウスからヒトへ

マウスでの目覚ましい成功を受け、エディットフォースは次なるステップ、すなわちヒトでの有効性と安全性を確認するための臨床試験(治験)へと進む具体的な計画を固めています。同社は、2026年中に日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)および米国の食品医薬品局(FDA)といった規制当局に対して治験の実施を申請し、2027年には臨床試験を開始することを目指しています。この明確なタイムラインは、研究室での発見が、実際に患者さんの元へ届くまでの道のりにおける重要なマイルストーンとなります。

競合状況:治療法開発競争

筋強直性ジストロフィーの治療法開発において、エディットフォースは唯一の挑戦者ではありません。フランスのサノフィやスイスのロシュといった世界的な巨大製薬企業をはじめ、英国のAMOファーマや米国のアビディティ・バイオサイエンシズなどのバイオテクノロジー企業も、この疾患の治療薬開発に精力的に取り組んでいます。現在、世界では30件以上の臨床試験が進行中であり、まさに治療法開発の競争が繰り広げられている状況です。

これらの競合他社が開発している治療法の多くは、「核酸医薬」と呼ばれる技術に基づいています 4。核酸医薬は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)など、短い核酸の断片を用いて病気の原因となるRNAに結合し、その働きを抑えるものです。このアプローチもまた、病気の原因である毒性RNAを標的とする点で有効性が期待されています。しかし、核酸医薬には一つの大きな課題があります。それは、体内で時間とともに分解されてしまうため、治療効果を維持するためには、月に一度など、定期的かつ生涯にわたる投与が必要になるという点です。

エディットフォース独自の優位性:持続性という約束

ここで、エディットフォースが開発するPPR遺伝子治療と、競合する核酸医薬との間にある本質的な違いが浮き彫りになります。エディットフォースの技術は、次世代の治療法として位置づけられています。

競合する核酸医薬は、この難病を、定期的な治療を続けることで管理可能な「慢性疾患」へと変える可能性を持っています。これは患者さんにとって大きな進歩であることは間違いありません。しかし、エディットフォースが目指しているのは、さらにその先にある目標です。それは、一度の治療によって、長期間、理想的には生涯にわたって治療効果が持続する、いわば「機能的な治癒」です。この「持続性」こそが、エディットフォースの技術が持つ最大の優位性であり、既存の治療パラダイムを根底から変える可能性を秘めた、破壊的イノベーションたる所以です。病気の根本原因にピンポイントで作用し、毒性RNAを持続的に中和するというアプローチは、患者さんの生活の質を劇的に改善する可能性を秘めています。

遺伝子医療の新たな一章

本記事で見てきたように、エディットフォースによる筋強直性ジストロフィー治療法の開発は、単一の疾患に対する希望の光であるだけでなく、同社が持つPPRプラットフォーム技術全体の有効性を力強く証明するものです 4

この物語は、ありふれた植物の生命現象を探求するという基礎科学研究から始まりました。そしてその知見が、これまで治療不可能とされてきた遺伝性難病に対する画期的な治療法の開発へと繋がりました。これは、一つの発見が分野を超えて大きな価値を生み出す、科学の醍醐味を示す好例と言えるでしょう。

今後、臨床試験という大きなハードルを越える必要はありますが、このPPR技術が成功裏に実用化されれば、筋強直性ジストロフィーだけでなく、これまで手の届かなかった数多くの遺伝性疾患の治療に新たな道を切り開く可能性があります。私たちは今、遺伝子医療の歴史における、新たな時代の幕開けを目の当たりにしているのかもしれません。

参照情報

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  17. 沿革 - エディットフォース株式会社, https://www.editforce.co.jp/company/history/
  18. 会社概要 - エディットフォース株式会社, https://www.editforce.co.jp/company/about/
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  23. 新規RNA結合タンパク質PPRによるイネミトコンドリア遺伝子発現制御機構の解明 - KAKEN, https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10J02016/
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  25. 開発技術 - エディットフォース株式会社, https://www.editforce.co.jp/technology/
  26. 論文掲載のお知らせ:PPRタンパク質によりヒト細胞内のmRNAの翻訳活性を高めることに成功しました - エディットフォース株式会社, https://www.editforce.co.jp/news-20240131-2/
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  28. エディットフォース株式会社 - New Tools Lead to a New World, https://www.editforce.co.jp/
  29. 論文投稿のお知らせ:PPRタンパク質によるRNA塩基編集メカニズムをまたひとつ解明しました, https://www.editforce.co.jp/news-20250307/
  30. ゲノム編集は世界を変えるのか ~創薬スタートアップ企業エディットフォース社を例に - note, https://note.com/beast_techdemia/n/n2bbe5fc640a2
  31. DNA・RNA編集技術で、新しい未来を。- EditForce | インタビュー | MUGENLABO Magazine, https://mugenlabo-magazine.kddi.com/list/2021-editforce/
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  33. 3.アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療, https://jsv.umin.jp/journal/v53-2pdf/virus53-2_163-170.pdf
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  35. Publication - EditForce, Inc. - エディットフォース株式会社, https://www.editforce.co.jp/en/technology/publication/
  36. EditForce, co-established by Prof. Takahiro Nakamura, opened the paper in Sciece Translational Medicine! | Integrated Initiative for Designing Future Society, https://in2fs.kyushu-u.ac.jp/en/news/editforce-co-establshed-by-prof-takahiro-nakamura-opened-the-publication-in-sciece-translational-medicine/

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