お薬を作る会社って、実はとっても大変なんです。新しいお薬を開発するには、ものすごいお金と長い長い時間が必要で、成功すれば大きな喜びがあるけれど、特許が切れると売上がガクンと減ってしまう…そんな厳しい世界。
でも、そんな中で、日本の「塩野義製薬」という会社が、なんと売上の35%以上も利益を出し続けているんです! 2024年3月期には売上4,351億円に対して営業利益1,533億円(利益率35.2%)、その前の年も売上4,267億円に対して営業利益1,490億円(利益率34.9%)と、安定して高い数字を叩き出しています。これって、業界でものすごく珍しいことなんですよ。
「たまたま大当たりのお薬が一つあっただけでしょ?」なんて思うかもしれませんが、どうやらそう単純な話ではなさそうです。そこには、きっと賢いビジネスの仕組み、未来を見通すリーダーの存在、そして常に変わり続けようとするチャレンジ精神があるはず。
この秘密、知りたくありませんか? さあ、一緒に塩野義製薬の「ものすごい儲け」のカラクリを、じっくりと解き明かしていきましょう!
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社長はまるで魔法使い? 手代木社長の「人を活かす」リーダーシップ
塩野義製薬の近年の大活躍を語る上で、絶対に外せないのが手代木功社長の存在です。手代木社長は薬学の博士号を持ち、アメリカでの勤務経験もある、いわばお薬のプロフェッショナルであり、国際感覚もバッチリな経営者なんです。
その手腕は、一部で「手代木マジック」なんて呼ばれることも。まるで魔法みたいに難しい問題を解決し、会社をどんどん良くしていく力がある、という意味が込められているのかもしれませんね。
手代木社長の考え方がよく表れているのが、交渉の時の言葉です。「ビジネスはずっと続いていくもの。だから、自分だけが100対0で勝つんじゃなくて、相手も少し得をする『51対49』くらいがいいんだよ」と。これって、短期的な利益だけを追い求めるんじゃなくて、相手との信頼関係を大切にして、長い目で見てお互いにハッピーになろうよ、という考え方ですよね。
この「みんなでハッピーに」という考え方は、塩野義製薬が得意とする「ライセンスビジネス(お薬の権利を他の会社に使ってもらうビジネス)」で、とっても上手くいっています。例えば、以前主力だったコレステロールのお薬「クレストール」の特許が切れそうになった時。普通なら「もう終わりだ…」となるところを、手代木社長は提携先のアストラゼネカ社と交渉して、お薬の権利料をもらう期間を延ばしてもらい、さらに「最低でもこれだけはもらえる」という約束を取り付けたんです。これは、アストラゼネカ社にとっても新しいお薬を売るための資金的な余裕が生まれる、まさに「51対49」の精神が生きた素晴らしい交渉でした。
手代木社長のリーダーシップは、会社の仕組みを変える時にも発揮されました。2004年、彼が研究開発のトップになった時、当時の社長と一緒に、20以上もあった研究分野を、感染症を含むたった3つに絞り込むという大胆な決断をしたのです。当時、感染症のお薬はあまり儲からないと思われていましたが、将来を見据えたこの判断が、後の新型コロナウイルス感染症のような事態で、塩野義製薬が社会に大きく貢献する土台になったんですね。
手代木社長は、株主・投資家、お客さん、従業員、そして社会全体という「4つの大切な人たち」とのバランスをいつも考えていて、厳しい意見にも耳を傾け、自分の判断が本当に正しいかを常にチェックする姿勢を持っています。こういう長期的な視点と、時には勇気ある決断をすることが、「手代木マジック」の本当の秘密なのかもしれませんね。
「権利ビジネス」がすごい! 塩野義製薬の賢いお金の生み出し方
塩野義製薬がなぜこんなに高い利益を出せるのか? その大きな秘密は、「ロイヤリティ収入」という、とってもユニークな儲けの仕組みにあります。
まず、塩野義製薬は自分たちでお薬のタネを見つけ出すのがすごく得意で、新しいお薬の約70%が自社生まれ。これ、他の会社だと20~30%くらいなので、驚異的な数字です。
そして、ここからがポイント。自社で作った素晴らしいお薬の多くを、自分たちで世界中に売って回るのではなく、海外の大きな製薬会社(メガファーマって言います)に「このお薬、あなたの会社で売ってみませんか?」と権利を貸し出すんです。そして、そのお礼として「ロイヤリティ」というお金をもらう戦略をとっています。2023年度の売上を見ても、このロイヤリティ収入が大きな柱になっていることがよく分かります。
この戦略が大成功した例が、先ほども出てきたコレステロールのお薬「クレストール」。アストラゼネカ社に使ってもらうことで、長年にわたって莫大なロイヤリティ収入が塩野義製薬にもたらされました。
さらにすごいのが、HIV(エイズウイルス)のお薬でのヴィーブヘルスケア社との協力関係です。ヴィーブ社は、HIV治療薬専門の会社で、塩野義製薬も株主の一員。塩野義製薬が作った「テビケイ」というHIVのお薬などをヴィーブ社に提供し、売上に応じたロイヤリティをもらうだけでなく、ヴィーブ社の株を10%持っているので、会社の利益が出れば配当金ももらえるという、まさに「二度おいしい」仕組みを作り上げたんです。実際に2024年3月期には、ヴィーブ社からのロイヤリティ収入が前の年より16.2%も増えて1,958億円、配当金も339億円! 合計で2,343億円もの収入になり、塩野義製薬の業績をグイグイ引っ張っています。
では、なぜこの「ロイヤリティ中心」のやり方だと、そんなに利益が出るのでしょう? 答えは会社の「お金の使い方」にあります。お薬を売るための営業活動や宣伝はパートナー企業にお任せするので、塩野義製薬自身はたくさんの営業マンを抱えたり、莫大な広告費を使ったりする必要がありません。作るのも、多くはパートナー企業が担当するので、製品を作るためのコストもすごく低いんです。2024年3月期の売上原価率は約13.2%、その前年も約14.6%と、モノを作る会社としては信じられないくらい低いんですよ。
だから、もらったロイヤリティ収入の多くが、そのまま利益として残りやすいんですね。このモデルは、塩野義製薬が自分たちの得意な「お薬のタネを見つけること」に集中して、世界で売るのは上手なパートナーにお願いするという、とっても賢い戦略と言えるでしょう。ヴィーブ社との関係では、ただ権利を貸すだけでなく、株を持って経営にも関わることで、パートナーの成功が直接自分たちの利益につながるように、より強い絆を結んでいるのも、さすがとしか言いようがありません。
特許が切れる大ピンチ! でも塩野義製薬はあきらめない
新しいお薬を開発する会社にとって、避けては通れない大きな試練があります。それが「パテントクリフ(特許の崖)」。新薬は特許で守られている間は独占的に販売できて大きな利益を生みますが、特許期間が終わると、同じ成分の安いお薬(ジェネリック医薬品)がたくさん出てきて、お薬の値段が一気に下がり、売上が崖から落ちるように急激に減ってしまう現象のことです。武田薬品工業の「ベルケイド」や第一三共の「メバロチン」など、多くの会社がこの崖っぷちを経験してきました。ファイザー社の「リピトール」というお薬は、特許が切れた後、売上が60~70%も減ってしまったという話もあるくらいです。
塩野義製薬も、このパテントクリフと無関係ではありません。実は、会社の大きな収入源であるHIVのお薬「テビケイ」なども、2028年頃に特許が切れると言われています。この「崖」をどうやって乗り越えるのか、会社にとって一番大きな課題の一つなんです。
でも、塩野義製薬はただ手をこまねいているわけではありません。パテントクリフへの対応は、コストを削るような守りの姿勢ではなく、とっても戦略的で積極的! その良い例が、先ほどお話しした「クレストール」のケースです。特許が切れるのが近づいてきた時、アストラゼネカ社との契約を見直し、ロイヤリティをもらう率を下げる代わりに、もらえる期間を最長で7年間(2023年まで)延ばしてもらい、さらに2020年までは毎年かなりの額の最低保証金までもらうという合意を取り付けました。これによって、売上が急に減ってしまうショックを和らげ、次の一手を打つための時間を稼ぐことに成功したのです。これぞまさに、手代木社長の「51対49」の交渉術が生きた結果であり、パートナー企業にも喜んでもらいながら、自分たちの利益もしっかり守るという、高度な作戦でした。
もちろん、パテントクリフに対する一番大切な対策は、新しいお薬をどんどん開発し続けることです。塩野義製薬が売上の23.6%(2024年3月期で1,026億円!)もの大金を研究開発に注ぎ込んでいるのは、この「新しいものを生み出し続けなければならない」ということを、誰よりもよく分かっているからに他なりません。特に、もうすぐやってくるHIVのお薬のパテントクリフに対しては、今あるお薬を少し良くするだけじゃなく、なんと半年に1回の注射で済むような、次世代の超スゴイ治療薬の開発を進めています。これで、HIV治療薬のビジネス全体の寿命を延ばして、崖の影響をできるだけ小さくしようとしているんです。
「パテントクリフのない安定した経営」という言葉が、会社の資料の中に見られるそうですが、これは単なる夢物語ではなく、ビジネスのやり方を変えることで特許切れのショックを乗り越えられる強い会社になろう!という塩野義製薬の固い決意の表れでしょう。目の前のピンチをバネにして、次の成長に向かってアクセルを踏む。これこそが、塩野義製薬のパテントクリフとの戦い方なのです。
「権利頼み」だけじゃない! 新しい強みを増やす挑戦
「ロイヤリティ収入」という賢い仕組みで大きな利益を上げてきた塩野義製薬ですが、いつまでも一つの得意技だけに頼っているわけにはいきません。もし、その得意技が通用しなくなったら大変ですよね。だから、塩野義製薬自身もそのことをよく分かっていて、もっと色々な方法で儲けられるように、そして新しい成長のタネを見つけるために、積極的に動き出しています。その中心にあるのが、たくさんの新しいお薬を生み出すための研究開発と、それを後押しする賢い会社の買収(M&Aって言います)です。
まず研究開発では、なんと売上の23.6%、金額にして1,026億円(2024年3月期)ものお金を注ぎ込んで、未来の稼ぎ頭になる新しいお薬のタネを一生懸命探しています。特に力を入れているのが、もともと得意な「感染症」の分野と、みんながより良い生活を送る(QOL:クオリティ・オブ・ライフって言います)ために役立つ病気の分野です。
感染症の分野では、新型コロナウイルス感染症の治療薬「エンシトレルビル(日本ではゾコーバという名前です)」を世界に広めたり、薬が効きにくいバイ菌(薬剤耐性菌、AMRって言います)をやっつけるお薬「セフィデロコル」をもっと売ったり、そしてHIV治療薬では、注射の回数がぐっと減る次世代のお薬(S-365598など)の開発を進めています。他にも、RSウイルスのお薬(S-337395)や、インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」の新しい使い方、鼻からシュッと入れるインフルエンザワクチン(S-872600)など、期待の新作がたくさん控えています。
一方、生活の質を上げるお薬の分野では、ひざの関節の痛みに効くお薬「レジニフェラトキシン」、珍しい病気である脆弱X症候群のお薬「ザトルミラスト」、うつ病のお薬「ズラノロン」、ポンペ病という病気のお薬(S-606001)、そして世界中で増えている肥満症のお薬(S-309309)など、まだ十分な治療法がない病気で困っている人たちのための開発が進んでいます。これらの新しいお薬で、2030年度には売上8,000億円を達成するという、大きな目標を掲げているんですよ!
この自分たちでの薬作りをさらにパワーアップさせて、新しいビジネスにも乗り出すために、塩野義製薬は他の会社との連携(M&A)も積極的に行っています。その代表的な例が、日本たばこ産業(JT)のお薬部門と、その子会社である鳥居薬品を買収したことです。この買収には、色々な狙いがあります。まず、JTが持っていたお薬作りのノウハウやAIを使った薬作り技術を手に入れて、塩野義製薬自身の研究開発をもっと強くすること。次に、鳥居薬品が得意とする皮膚科や小児科、耳鼻咽喉科のお薬と、その専門の販売チームを手に入れて、日本国内でのビジネスを強化し、お薬の種類を増やすこと。これは、後でお話しする「自分たちでお薬を売る力を強くする」という戦略にも繋がっています。そして、塩野義製薬の世界的な販売力や生産力と、JTや鳥居薬品の研究力や特定分野に強いお薬を組み合わせることで、新しいお薬をもっと早く世に出したり、世界中に届けたりするスピードを上げよう、というわけです。
これらのM&Aは、ただ会社の規模を大きくしたいというわけではなく、塩野義製薬がこれから目指す新しいビジネスの形に必要な「特別な能力」や「市場への入り口」を手に入れるための、とても戦略的な一手と言えます。特に、薬が効きにくいバイ菌(AMR)と戦うお薬への取り組みは、まだ市場が小さかったり、お薬の値段の付け方が難しかったりするけれど、社会にとってはものすごく大切な分野。塩野義製薬の「長い目で見て社会に貢献するぞ!」という強い気持ちと、将来への期待が感じられますよね。今までの強みを生かしながら、新しい分野にも勇気を持ってチャレンジする。このバランスの取れた研究開発とM&Aこそが、「ロイヤリティ頼み」から抜け出して、これからも成長し続けるためのカギになるでしょう。
次のステージへ! 塩野義製薬が描く「健康サービスの会社」という未来
塩野義製薬は、2030年を見据えた大きな計画「STS2030(シオノギ・トランスフォーメーション・ストラテジー2030)」の中で、将来やってくるかもしれない特許切れのピンチを乗り越えて、これからも成長し続けるためのハッキリとした道筋を示しています。その一番大切なポイントは、今までの「お薬を作る会社」から、お薬を届けるだけじゃなく、病気の予防、診断、治療、そして治療後のケアまで、健康に関するあらゆることを「サービス」として提供する「HaaS(ハース:Healthcare as a Service)企業」へと進化することなんです! これって、お客さんの求めるものが色々になってきたり、今までのお薬を売るだけのやり方では限界が見えてきたりしたことに対応するための、ビジネスのやり方を根本から変えようという大きなチャレンジなんですよ。
この「HaaS企業」への変身を実現するための具体的な作戦の一つが、「自分たちでお薬を売るビジネス」を強くすること。これまではロイヤリティ収入に大きく頼ってきましたが、これからは自分たちの手で製品を市場に届けて、その価値を最大限に高めることで、もっと安定的で大きな収益を目指すというわけです。特に、日本、アメリカ、中国という大きな市場で、自分たちで売る力をつけることに力を入れています。
日本では、国内の営業チームを再編成して、それぞれの地域に合ったきめ細かい情報提供をすることで、「自分たちで稼ぐ力」を高めていく方針です。アメリカでは、バイ菌と戦うお薬セフィデロコル(製品名はFetroja)などを自分たちでどんどん売って、専門分野やお医者さんたちとの関係を強くしていきます。そして、世界で2番目に大きな市場である中国では、中国平安保険という大きなグループとタッグを組んで、お薬を売る力と研究開発する力の両方をパワーアップさせ、今までにない全く新しい健康サービスの仕組みを作ろうとしています。具体的には、平安グループが持っているオンライン診療の仕組み「Good Doctor」なんかを使いながら、まずはジェネリック医薬品や市販薬を販売し、その後は世界で開発した新しいお薬も売っていく計画で、これは今までの製薬会社の枠を飛び越えた、とっても野心的な取り組みと言えるでしょう。
もちろん、「HaaS企業」への道は簡単ではありません。お薬の研究開発・製造・販売という今までの仕事に加えて、デジタル技術の活用、データの分析力、サービスをデザインする力など、新しい専門知識がたくさん必要になります。でも、この変革は、特許に頼ったビジネスから抜け出して、特許が切れても収益がゼロにならない、もっと強くて長持ちするビジネスの仕組みを作るための、避けては通れない挑戦なのです。将来的には、自分たちで売る力とパートナーとの協力、特許を活かしたビジネスとそれ以外のビジネスをバランス良く組み合わせて事業を広げていくことが、STS2030の大きなテーマとされています。塩野義製薬が描く未来の姿は、単にお薬を作る会社という枠を超えて、人々の健康に色々な角度から貢献する「健康問題解決のプロフェッショナル」であり、その実現に向けた具体的な一歩は、もうすでに踏み出されているんですよ。
塩野義製薬を大解剖!「ものすごい儲け」の秘密をもう一度おさらい!
塩野義製薬が達成している「営業利益率35%超え」という驚きの数字。これは、たった一つの理由でそうなったわけではなく、色々な賢い作戦が、まるで精密機械みたいに複雑に絡み合って生まれた結果なんです。その「カラクリ」を、もう一度整理してみましょう。
まず、何と言っても、自分たちでお薬のタネを見つけ出す高い能力を土台にした、効率的な「ロイヤリティビジネス」。これによって、世界中に営業マンを置いたり、宣伝にお金をかけたり、大きな工場をたくさん持ったりするコストを大幅にカットして、高い利益率を実現してきました。
このビジネスモデルを支え、そして進化させてきたのが、手代木功社長の未来を見通す素晴らしいリーダーシップです。「51対49」の交渉術に代表される、相手との長いお付き合いを大切にする力は、有利なライセンス契約を結んだり、コレストロールのお薬「クレストール」で見られたように、特許切れの影響を最小限に抑える契約更新を可能にしました。また、早い段階で「感染症」の分野に力を入れると決めた大胆な判断は、今の塩野義製薬の強みを作る上で欠かせないものでした。
お薬業界特有の「パテントクリフ(特許の崖)」というピンチに対しても、ただ受け身で対応するのではなく、契約交渉や次世代のお薬開発といった、積極的で高度な戦略で立ち向かい、儲けが続くように努力してきました。そして、その原動力となっているのが、売上の2割以上を占める積極的な研究開発への投資と、感染症から生活の質を高めるお薬まで、幅広いラインナップです。
最近では、ロイヤリティ収入だけに頼ることから一歩踏み出し、JTのお薬部門や鳥居薬品を買収することで、研究開発の力をさらに高め、日本国内での販売網を広げています。これは、未来の成長のタネを自分たちで育てて、もっと色々な方法で儲けられるようにしようという、ハッキリとした意志の表れです。
そして今、塩野義製薬は「HaaS企業(健康サービスの会社)への変革」という大きな夢を掲げ、今までの製薬ビジネスの枠を超えるチャレンジを始めています。日本、アメリカ、中国といった大きな市場で自分たちで売る力を強くしたり、中国平安保険グループと協力して新しい健康サービスの仕組みを作ろうとしたりしているのは、その具体的な行動です。
塩野義製薬の成功の秘訣は、今の強みを最大限に活かしながら(ロイヤリティモデル)、同時に未来の成長の土台をしっかりと作っている(自分たちでの販売、HaaS、新しい研究開発分野)という、とっても巧みな「二刀流」の経営を実践している点にあると言えるでしょう。もちろん、自分たちで売る力を強くすれば、その分コストもかかるので、今の利益率を保てるかはまだ分かりませんし、HaaSモデルがどれだけ儲かるかもこれから証明されていく段階です。
でも、この変化への挑戦こそが、塩野義製薬の「手代木マジック」の本当の姿であり、同社が厳しいお薬業界で「ものすごい儲け」を達成し、さらにその先を目指すための原動力なのです。その道は決して平坦ではないかもしれませんが、新しいものを生み出すことへの飽くなき追求、戦略的な身軽さ、そして未来を見据えたリーダーシップが続く限り、塩野義製薬はこれからも私たちをアッと言わせるような成果を生み出し続けるに違いありません。そう思いませんか?