医薬品産業強化総合戦略 Ⅰ イノベーションの推進

医薬品産業強化総合戦略 はじめに

Ⅰ イノベーションの推進

我が国で革新的新薬が創出されることは、国民の生命・健康の向上に貢献するものであるとともに、産業政策の面からも重要である。

創薬を巡る国際競争を勝ち抜き、我が国で革新的新薬の創出を進めるため、「健康・医療戦略」等を踏まえてイノベーションを推進する施策を講ずる。

(1)日本発のシーズが生まれる研究開発環境の改善

① リアルワールドデータの利活用

医薬品の研究開発は長期間にわたり多額の費用を要するが、特に臨床研究・治験の段階において多くの期間と費用がかかる。このため、実臨床を反映した電子的な医療情報(リアルワールドデータ)の利活用による、臨床試験・治験、市販後調査の効率化、低コスト化、迅速化を図ることが重要である。

  • レギュラトリーサイエンスに基づき、疾患登録システムを活用した革新的な医薬品等の開発環境を整備することにより、我が国の医薬品・医療機器等の開発競争力を強化する。また、透明性及び個人情報に配慮した上で、診療で得られるリアルワールドデータを収集・解析する体制・システムを整備し、創薬や医療の場で有効に活用する。具体的には、国立高度専門医療研究センター(NC)、国立大学病院、学会等が構築する疾患登録システムなど各種疾患登録情報を活用して、臨床研究中核病院、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)を中核とする国内外のネットワーク(クリニカル・イノベーション・ネットワーク)を構築し、拡充させる。また、レギュラトリーサイエンス研究に基づき、海外の規制当局の動向も踏まえて、疾患登録システムを治験・市販後調査に活用するための国際連携等の環境整備を行う。
  • 2018 年(平成30 年)度から、PMDA は、協力医療機関10 拠点における約400 万人以上の規模の医療情報を保有する医療情報データベースシステムとしてMID-NET の本格運用を開始する。
  • 匿名加工された医療情報の医薬品等の研究開発への利活用を進めるため、2018 年5月までに次世代医療基盤法を円滑に施行する。

② 治験環境の整備等

近年は世界同時開発による国際共同治験の大規模化等に伴って、研究開発費用の高騰も指摘される。臨床開発インフラの整備を進め、我が国の研究開発の拠点としての魅力を高める。こうした取組を通じて、我が国が世界をリードする「治験先進国」となることを目指すべきである。

  • 日本発の革新的医薬品等の開発等に必要となる質の高い臨床研究や治験を推進するため、医療法上の臨床研究中核病院が、我が国の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担う病院として機能するよう、安全性確保体制の構築等の必要な措置を講じるとともに、国際共同治験の推進に必要な体制整備の支援を図る。
  • 共同研究や治験を促進するため、2017 年(平成29 年)度税制改正で、研究開発税制について大学・公的研究機関等との共同・委託研究に要する費用を対象とするオープンイノベーション型の手続要件を企業活動の実態に合わせて緩和し、運用改善を行った。加えて、売上高に対して研究開発費が高い場合に使用できる高水準型の適用期限を延長した。引き続き、創薬の研究開発のインセンティブをより高める税制の検討を行う。
  • 希少疾病用医薬品等の開発リスク低減を目的として、既存薬と希少疾病等を関連付けるためのエビデンス構築に係る研究を推進しており、適応拡大の為の医師主導治験も開始された。また、国内で汎用または現場からの開発の要望があるものについて医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議のスキームに乗せるなど、引き続きドラッグ・リポジショニングを促進するための施策を実施する。

③ 人材育成

医薬品の研究開発には、多様な学問領域が関わっており、それぞれの領域で高度な人材が求められる。また、研究開発にあたって臨床研究・治験が必要という特徴を有する医薬品分野においては、人材は産業界のみでは足りず、アカデミア等も含めて必要となる。そのため、行政においても人材育成のために必要な措置を講ずる。なお、臨床研究・治験に携わる人材の育成は、臨床研究不正等の防止にも資するものである。

  • 国内におけるバイオ医薬品の生産基盤を整備し、研究開発力を強化するため、製薬企業におけるバイオ医薬品の開発・製造全体のシステムに精通した人材の育成を推進するとともに、PMDA でバイオ医薬品のGMP 適合性調査等に関わる職員の研修体制を整える。具体的には、産業界・アカデミアとの連携の下、GMP 準拠抗体医薬品製造施設(次世代バイオ医薬品製造技術研究組合が開設)を活用し、2018 年(平成30 年)度中を目途に、バイオ医薬品の生産技術や品質管理手法に関する基盤的な研修プログラムを策定し、2019 年(平成31 年)度からの研修実施を目指す。
  • NC、臨床研究中核病院、PMDA、AMED を中核とする国内外のネットワークを構築し、ネットワーク内の病院とPMDA との人材交流、製薬企業や臨床研究中核病院との連携による生物統計家の育成などを通じ、臨床研究の質の確保に資する人材を育成し、臨床開発環境の充実を図る。

④ 今後進展が見込まれる分野への支援

諸外国においても研究開発予算が増額されるなど、創薬の国家間競争が激しくなる中で、政府予算を効率的に活用するため、「選択と集中」という観点から、「医療分野研究開発推進計画(2014 年(平成26 年)7月22 日健康・医療戦略推進本部決定)」も踏まえ、今後の進展が見込まれる分野には重点的に支援する。

(ア)ゲノム医療

ゲノム医療の実用化により、効率的かつ質の高い効果的な医療が実現できることから、世界的に取組が推進されている。しかし、我が国では欧米に比べ実用化に向けた取組が出遅れており、実用化を加速させる必要がある。

  • ゲノム医療実用化に向けて、オールジャパンのネットワークを形成。具体的には、がん、希少・難病性疾患、感染症、認知症等の4疾患領域を対象にゲノム解析を行い臨床ゲノム情報のデータベースを構築し、ゲノム情報をゲノム創薬、ファーマコゲノミクス等、医療・医学分野で利活用する環境を整備する。
  • 「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」や「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」の報告書を踏まえ、2017年(平成29 年)10 月に策定した第三期の「がん対策推進基本計画」に基づき、「がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)」や「がんゲノム情報管理センター(仮称)」等の整備を進め、がんゲノム医療を提供するための取組を推進する。

(イ)iPS 細胞を用いた創薬・核酸医薬品

日本発のiPS 細胞研究がノーベル賞を受賞し、これまで我が国がiPS細胞研究において世界をリードしてきたが、この分野に関する国際競争は激化してきている。

創薬の観点からは、ヒトiPS 細胞から目的とする細胞を作製し、新薬の候補となる物質の安全性や有効性を評価することにより、開発費用の軽減や開発期間の短縮が期待される。

また、iPS 細胞と同様に日本が優位性を保っている核酸医薬品の分野においても、今後、海外勢との競争は必至である。

  • iPS 細胞等を用いた創薬等の研究を支援するため、AMED で配分される研究開発予算について、文部科学省、経済産業省と連携して重点化を推進する。
  • iPS 細胞技術を応用した医薬品毒性評価手法の開発及び国際標準化への提言を行う。
  • iPS 細胞と同様に日本が優位性を保っている核酸医薬品の分野においても、今後、海外勢との競争は必至であることから、AMED における「中分子ライブラリ」をはじめとした支援を推進する。
  • 核酸医薬品の品質・安全性評価に関する方法論の開発、判断基準の設定、審査指針の明示に資する研究を推進する。
  • 疾患iPS 細胞等を活用した効率的な創薬の推進や、核酸医薬の低コスト化を含めた総合的な開発支援を実施する。

(ウ)バイオ医薬品・バイオシミラー(医薬品の生産性向上と製造インフラの整備)

近年の世界の医薬品売上上位品目には、多くのバイオ医薬品が入っているが、バイオ医薬品は製造技術や周辺産業の技術の確立が必要であり、我が国の製薬企業は参入に遅れたこと等からバイオ分野が弱いと指摘されてきた。

今後、売上規模の大きいバイオ医薬品の特許切れが見込まれるため、日本企業もバイオシミラーに積極的に対応することが期待される。しかし、バイオシミラーの研究開発・製造のコストは低分子である化学合成品の後発医薬品よりも高く、将来的にはイノベーションが高く評価される革新的なバイオ医薬品の製造販売を目指し、バイオシミラーの製造はその一里塚として捉えることが望ましい。

経済産業省と連携してバイオ医薬品の製造プロセスの高度化を進め、バイオシミラーでバイオ医薬品への基盤を整備した上で、それらの技術基盤を活用して開発することが期待される我が国発の革新的バイオ医薬品を、クリニカル・イノベーション・ネットワーク、臨床研究中核病院、先駆け審査指定制度といった制度を活用して、市場に投入するため、以下の措置を講ずる。

  • バイオシミラーの薬価については、研究開発や製造に要する費用が大きいため、引き続き化学合成品の後発医薬品よりも高い水準とする。
  • バイオシミラーの開発促進に資するよう、PMDA における相談の充実等について検討する。
  • 国内におけるバイオ医薬品の生産基盤を整備し、研究開発力を強化するため、製薬企業におけるバイオ医薬品の開発・製造全体のシステムに精通した人材の育成を推進するとともに、PMDA でバイオ医薬品のGMP 適合性調査等に関わる職員の研修体制を整える。具体的には、産業界・アカデミアとの連携の下、GMP 準拠抗体医薬品製造施設(次世代バイオ医薬品製造技術研究組合が開設)を活用し、2018 年(平成30 年)度中を目途に、バイオ医薬品の生産技術や品質管理手法に関する基盤的な研修プログラムを策定し、2019 年(平成31 年)度からの研修実施を目指す。【再掲】
  • 高度な製造技術を確立するための研究開発を進め、バイオ医薬品の培養から品質評価まで全プロセスを国産化するとともに、国内CMO(医薬品製造受託機関)を育成し、高品質なバイオ医薬品の製造を目指す。また、バイオシミラーの医療費適正化効果額・金額シェアを公表するとともに、2020 年(平成32 年)度末までにバイオシミラーの品目数倍増(成分数ベース)を目指す。
  • バイオシミラーの科学的評価、品質等について、医療従事者及び国民に対して適切な情報発信を行う。

(エ)新規作用機序(First in Class)

新薬メーカーが新規作用機序を有する医薬品の研究開発に積極的に取り組んでいくことを側面から支援することが必要。

  • 新規作用機序の新薬が有効かつ安全に使用されるようにするため、新薬の特性を踏まえた追加のリスク最小化活動などRMP(リスク管理計画)の改善と認知度の向上を図る。

(2)産学官の連携強化(大学発優れたシーズの実用化)

創薬に係る産学官の連携の強化、オープンイノベーションの推進により、アカデミア等で発見された優れたシーズの実用化の更なる促進を図る。

産業界やアカデミアとの対話を促進し、産業界の意見を的確に把握しつつ、アカデミアの協力体制を最適化するとともに、真の創薬立国に必要な施策の遂行を図る。

  • AMED が採択した研究課題のうち実用化段階に移行するものは、原則的にPMDA のレギュラトリーサイエンス戦略相談を受けることを採択の条件とする。
  • 企業間における創薬用化合物ライブラリの相互利用が行われている場合があるが、行政においても、創薬支援ネットワークにおいて、大学や産業界と連携し、化合物ライブラリの拡充や臨床効果予測などの新たな機能を構築する。
  • NC、臨床研究中核病院、PMDA、AMED を中核とする国内外のネットワークを構築し、ネットワーク内の病院とPMDA との人材交流、製薬企業や臨床研究中核病院との連携による生物統計家の育成などを通じ、臨床研究の質の確保に資する人材を育成し、臨床開発環境の充実を図る。【再掲】
  • 日本の医薬品開発の効率化やボトルネックの解消に向けた課題を抽出し、その課題ごとに、アカデミア、製薬企業、NC 等の関係者が参画し、AMED も含めた官民共同出資により、集中的な研究の推進や探索・解析・生産等の基盤的機能の整備に向け協調的に取り組む体制の構築を目指す。
  • NC、国立大学病院や学会等が蓄積した疾患登録情報を活用し、産学官がコンソーシアムを形成することで、効率的な治験実施体制を構築する。
  • 共同研究や治験を促進するため、2017 年(平成29 年)度税制改正で、研究開発税制について大学・公的研究機関等との共同・委託研究に要する費用を対象とするオープンイノベーション型の手続要件を企業活動の実態に合わせて緩和し、運用改善を行った。加えて、売上高に対して研究開発費が高い場合に使用できる高水準型の適用期限を延長した。引き続き、創薬の研究開発のインセンティブをより高める税制の検討を行う。【再掲】
  • 産業界と行政のトップの政策対話の場である官民対話について、2016 年(平成28 年)度から構成員にPMDA 及びAMED を加え、ワーキンググループを開催することにより頻度を増やした。更に、2017 年(平成29 年)度からは、ワーキンググループの開催に加え、官民対話を医薬品と医療機器の分野別で開催することで、それぞれの分野における議論の深化を図った。今後、開催頻度を更に増やす等、官民対話の議論の充実化を引き続き図っていく。
  • がん及び難病の研究においては、AMED を活用しながら、基礎研究の有望な成果を厳選して、実用化に向けた医薬品等を開発する研究を推進し、臨床研究等へ導出するとともに、臨床研究で得られた臨床データ等を基礎研究等に還元し、 医薬品等をはじめとするがん医療・難病医療の実用化を「がん研究10 か年戦略」及び難病法に基づく「基本方針」に基づいて加速する。上記の実用化の取組によって、引き続き革新的な治療方法等の開発を図っていく。(ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト、難病克服プロジェクト)
  • 2016 年(平成28 年)度第二次補正予算によるAMED への政府出資金により、2017 年(平成29 年)度から医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)を開始した。産学官の連携を通じて、我が国の力を結集し、医療現場ニーズに的確に対応する研究開発の実施や医療研究開発分野でのオープンイノベーション・ベンチャー育成が強力に促進される環境の創出等を推進する。

(3)薬事規制改革等を通じたコスト低減と効率性向上

研究・医療の環境整備、産学官の連携に加え、薬事規制においても、上記で述べたAI、バイオ医薬品・核酸医薬、ゲノム創薬、がんゲノムによる個別化医療、ビッグデータ利活用の進展等の革新的な治療や技術開発のアプローチに対応した整備が重要である。また、臨床研究・治験活性化等の項で述べたように、薬事規制の中でも活用できうる実臨床を反映した電子的な医療情報(リアルワールドデータ)の利活用により、臨床試験・市販後調査の効率化、低コスト化、迅速化を図ることが重要である。こうした施策等は、海外市場に日本での開発製品を展開する基盤となり、さらにビジネスモデルの変化や新規のプレーヤーに参入の機会に繋がることも期待される。

  • 規制制度の整備にあたっては、低コストで効率的な最先端の創薬が実現可能となることが求められる。例えば、条件付き早期承認制度を運用し、製造販売後調査等にリアルワールドデータを活用することを含め、より迅速に革新的な製品を日本で実用化することもその一例である。
  • リアルワールドデータの一例として、2018 年(平成30 年)度から、PMDA は、協力医療機関10 拠点における約400 万人以上の規模の医療情報を保有する医療情報データベースシステムとしてMID-NET の本格運用を開始する。そこで、行政・製薬企業・アカデミア等が、薬剤疫学的手法を用いた医薬品等のリスク・ベネフィット評価などにMID-NET を利活用していく。また、これにより、効率的かつ高度な医薬品等の市販後安全対策を推進する。
  • 上記に加え、先駆け審査指定制度の実施、効率的な創薬に資するクリニカル・イノベーション・ネットワークの構築、PMDA の「レギュラトリーサイエンスセンター」(2018 年(平成30 年)に設置)の設置等により医薬品・医療機器等の開発における国際競争力の向上を図るとともにレギュラトリーサイエンス研究をさらに推進する等の総合的な取り組みを通じて、世界に先駆けて革新的な医薬品、医療機器等が実用化される環境を整備する。

(4)適正な評価の環境・基盤整備

創薬に係るイノベーションの推進には、イノベーションを適正に評価することが重要。イノベーションが適正に評価されることが、研究開発のインセンティブとなる。また、医薬品の研究開発は長い期間を要するものであることから、イノベーションが適正に評価されることの予見性が確保されることも重要となる。適正な評価により得られた利益は、次の研究開発の原資となるものであり、イノベーションのサイクルを回す原動力となる。

これまでも各種の加算制度を創設・拡充してきたが、引き続きメリハリを付けた薬価制度により、「イノベーションの適正な評価」を更に進めることが重要。

また、市場実勢価格に基づき価格が決定される我が国の薬価制度において、イノベーションを適正に評価するためには、個々の医薬品の価値に見合った価格が決定される(単品単価契約となっている)ことが必要。

  • 新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度については、革新的新薬の創出を促進するための効率的・効果的な仕組みへと抜本的に見直すとともに、次々回以降の改定に向けて、企業指標について、新薬開発等に係る実態も踏まえつつ、検証を行い、見直し・反映を検討するほか、イノベーションの評価に関し、効能追加等による革新性・有用性の評価の是非について検討を行う。
  • イノベーション推進の観点から、類似薬のない新薬の評価のあり方を見直し、原価計算方式で算定された医薬品のうち、製造原価の内訳の開示度が高いものについては、薬価の加算額の引上げ等を行う。
  • 革新的新薬創出のためのイノベーションを適切に評価するため、最初の薬価算定においては、革新性などが加算されて総合的に決定されているが、市場に出てからも継続してイノベーションを評価するためには、唯一の指標である流通過程での市場実勢価格を反映する単品単価取引による評価が必要不可欠であるため、医療用医薬品の流通改善を図る。なお、単品単価取引の推進にあっては、現行薬価制度の趣旨を踏まえつつ、医薬品の価値に見合った透明な市場実勢価の形成に努めるために、流通関係者が取り組むべきガイドラインを作成し、遵守を求めていくことを検討する。
  • 医薬品の有効性及び安全性の確保のためには、添付文書等に基づいた適正な使用が求められる。さらに、近年の科学技術の進歩により、抗体医薬品等の革新的な新規作用機序を有する医薬品が承認される中で、これらの医薬品を真に必要な患者に提供することが喫緊の課題となっている。また昨今、革新的かつ非常に高額な医薬品が登場しているが、こうした医薬品に対して、国民負担や医療保険財政に与える影響が懸念されており、「経済財政運営と改革の基本方針2016」においても、革新的医薬品の使用の最適化推進を図ることとされている。革新的な新規作用機序を有する医薬品は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品と明らかに異なることがある。
    このため、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、まずは、当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対し、副作用が発現した際に必要な対応を迅速にとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用することが重要である。このため、新規作用機序を有する革新的な医薬品については、最適使用推進ガイドラインを作成し、当該医薬品の使用に係る患者及び医療機関等の要件、考え方及び留意事項を示す。
  • さらに、多剤服用の増加など、高齢化の急速な進展による高齢者の薬物療法に伴う課題に対処し、高齢者に対する薬剤の安全使用を確保するため、重複投薬や多剤投与を含む処方の在り方について検討し、高齢者の医薬品適正使用のためのガイドラインの作成を含め、適正な処方に係る方策の検討を進める。

(5)創薬業界の新陳代謝を促すグローバルなベンチャーの創出

近年、新薬をバイオベンチャーが生み出す事例が増加し、製薬企業のベンチャー企業買収等により新薬パイプラインを確保する傾向が強まる等、製薬産業におけるバイオベンチャーの重要性が高まっている。創薬の特性に鑑み、短期的な施策ではなく、長期的視点に立った実効性のある施策を講じていくことが重要。

  • 厚生労働省では2016 年(平成28 年)7月に、厚生労働大臣の私的懇談会である「医療のイノベーションを担うベンチャー企業の振興に関する懇談会」において、今後の医療系ベンチャーの支援策のあり方に係る提言が記載された報告書をとりまとめた。当該報告書に基づき、2017 年(平成29 年)4月に厚生労働省内に「ベンチャー等支援戦略室」を設置し、PMDA に部長級の実用化支援業務調整役を配置するなど、体制整備を進めている。
  • また、ベンチャー等支援戦略室を旗振り役として、ベンチャー企業と製薬企業等とのマッチングイベントの開催、知財や薬事等の専門人材バンクの設置、ベンチャー振興施策のPDCA サイクルを確認するための協議会の開催等を行っている。

参照

医薬品産業強化総合戦略 Ⅰ イノベーションの推進

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