第12回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会
日時 令和4年7月13日(水) 16:00~
場所 TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターホール4A
開催形式 Web会議
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第12回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中御参加いただきありがとうございます。はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。
本日の会議は、新型コロナウイルス感染対策のため、対面の会議とWeb会議を併用しております。会議の内容は公開することとされており、傍聴者にYou Tubeでのライブ配信を行っております。また、厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点等がありましたら、適宜事務局がサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。
審議中に御意見、御質問される構成員の方々にお知らせします。まず会場にお越しになって御参加いただいている構成員におかれましては、挙手していただき、座長から指名されましたら、卓上のマイクを御使用いただき御発言いただきますようお願い申し上げます。また、Webで御参加いただいている先生方におかれましては、Zoomの挙手ボタンを押していただきますようお願い申し上げます。その後、座長から順に発言者を御指名いただきますので、御発言いただく際はマイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言をお願いいたします。御発言以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。音声の調整が悪い場合には、チャットによりメッセージをお送りください。そのほか、動作不良等がありましたら、事務局まで御連絡ください。
以上です。それでは以降の進行については、西島座長にお願いいたします。
○西島座長 皆さん、こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。まず議事に入る前に、事務局から構成員の出席状況の報告と資料の確認をお願いいたします。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 まず、構成員の交代がありましたので、御報告いたします。早乙女構成員の後任として、東京都福祉保健局健康安全部薬務課長の中島構成員、鈴木構成員の後任として、東京大学医学部附属病院教授・薬剤部長の高田構成員、平野構成員の後任として、第一三共株式会社執行役員渉外管掌の羽柴構成員、以上3名の方に構成員として本日の会議より御参加いただいております。
なお、高田構成員におかれましては欠席の御報告を頂いており、本日は13名の構成員に御出席いただいております。榊原構成員、武田構成員、野木構成員、長谷川構成員、政田構成員、山口構成員はWebにて御参加いただいております。
続いて、事務局にも人事異動に伴いメンバーの変更がありましたので、御紹介させていただきます。医薬・生活衛生局長の八神です。
○医薬・生活衛生局長 八神と申します。よろしくお願いいたします。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 医薬・生活衛生局総務課長の衣笠です。
○医薬・生活衛生局総務課長 衣笠です。よろしくお願いします。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 また、今回は文部科学省高等教育局医学教育課にも御出席いただいております。また、医薬・生活衛生局大臣官房山本審議官におかれましては、遅れて到着する予定です。以上、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
続いて、資料の確認です。Web参加の構成員におかれましては、事前にメールにて送付しております。直接お越しいただいている構成員におかれましては、お手元のタブレットを御確認ください。資料ですが、資料1-1は「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ」、資料1-2は取りまとめの本体、資料2は「検討会とりまとめへの対応状況等」、資料3-1は「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ(素案)(概要)」、資料3-2は素案の本体です。また参考資料として、検討会の開催要綱と検討会の取りまとめ、薬剤師確保のための調査・検討事業報告書を付けております。以上です。
○西島座長 ありがとうございます。それでは議事を進めていきたいと思います。本日は議題が3つあります。最初の議題は、「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ~薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン~について」ということで、薬剤師が地域で活躍するためのアクションプランについてです。
皆さん御存じのとおり、この検討会の下に薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループを設置いたしまして、本年2月より集中的に御議論いただいてきたところでございます。まずは当ワーキンググループの主査を務めていただきました赤池構成員より一言頂きまして、その後に、事務局から具体的な議論の内容やその取りまとめについて御報告をお願いしたいと思っております。それでは赤池構成員、一言お願いいたします。
○赤池構成員 今回、薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループの主査を務めさせていただきました赤池でございます。詳細につきましては事務局から説明いただきますので、私のほうからは、簡単に経緯、あと、私自身が強く感じたところと言いますか、印象に残ったところを2点ほど申し上げたいと思います。
まず、本ワーキンググループでは、「患者のための薬局ビジョン」で打ち出された門前からかかりつけ、そして地域へという考え方と、それから対物業務から対人業務へというこの2点を基本的な考え方といたしまして、地域で活動する医療職種としての薬剤師の役割の強化、あるいは電子処方箋等を通じた医療情報の共有等の新しい技術を活用した将来の薬局薬剤師の業務の在り方に必要な対策を検討するということを行いました。特に、大きく4つのテーマに分けまして、これは資料1-1でまた事務局から説明いただけると思いますが、対人業務の充実、薬局薬剤師のDX、医療安全を前提とした対物業務の効率化、地域における薬剤師のサービスの提供といった点につきまして、先ほど座長からお話がございましたように、2月から6月までの間で書面開催も含めまして合計7回にわたりまして、しかも各回3時間を超えるという非常にタフな議論を行ってまいりました。
2点だけ私のほうから申し上げたいと思います。1点目は、いわゆる対物業務という点です。これはもともと薬局において、先ほども申し上げましたように、薬局ビジョンで対物業務から対人業務へ移行するということが非常に重要な課題であるということで議論に上がったわけですが、やはりその中で、薬剤師の方々が時間をしっかりと取って対人業務に行くためには、対物業務の効率化ということが必須であるということでございました。その中でも、特に対物業務の効率化を進める上で、調剤業務の一部ということですけれども、外部委託につきましてかなり重要な議論をいたしました。委託の内容ですとか、それから距離制限の考え方について各構成員によってかなり意見が様々でございまして、意見の取りまとめには大変苦労したところでございます。ただ、安全性の確保を前提に、まずは実施をしてみた上で、改めて必要な決め直しを行うという条件を付けた形として、これはあくまでワーキンググループとしての考え方ということでございますが、一定の合意を得たというように考えております。
もう1点は、均てん化ということでございます。例えばモデル事業等で実施された対人業務の好事例が、一部の地域あるいは一部の薬局では行われているものの、十分に均てん化しておらず、対人業務に尽力する薬局と、必ずしもそうでない薬局が混在するという点が問題であろうということでございます。薬局全体の対人業務の底上げが必要であり、好事例が全国に普及しない原因をこれからいろいろ精査していく、対応を考えていくと、そういったことが必要であろうということが議論されました。
まだ多くの議論がなされましたが、そちらのほうは事務局から説明いただくということで、私のほうは以上の2つだけ、私自身が感じた点につきまして御紹介させていただきました。ワーキンググループの各構成員の皆様におかれましては、大変活発な議論をいただきまして感謝申し上げます。また、参考人の先生方からは非常に重要な情報を頂きまして、その上で、今申し上げたような議論を行ったということでございます。はじめにも申し上げましたように、本ワーキンググループの具体的な議論の中身や取りまとめた報告書につきましては、この後、事務局から説明いただきますので、御説明をよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 それでは、続きまして事務局から資料1-1と資料1-2について御説明させていただきます。資料1-1が取りまとめの概要版になっています。資料1-2が本体の資料ですが、本体のほうは大部になりますので、今回は資料1-1の概要版を用いて説明をさせていただきます。
それでは資料1-1を御覧ください。まず1ページ目です。こちらは取りまとめを1枚に凝縮した形のものです。内容については、2ページ目からです。目次があります。3ページ目を御覧ください。まず、「はじめに」ということで、取りまとめの作成経緯です。大きく取りまとめの作成経緯の背景として、3つ挙げています。地域医療を担う一員としての薬剤師の役割の増大、さらにはICT等の技術発展、3つ目は本検討会、親検討会の提言の中に、薬局薬剤師の業務の在り方について検討をするといった内容が盛り込まれていたこと。こういった背景と、その他の背景として、規制改革推進会議等においての、対物から対人への部分の推進をさらに強化するために、調剤業務の一部外部委託や処方箋の40枚規制の見直し等について議論が必要であるといった要望があります。
続きまして、4ページを御覧ください。まず、取りまとめを検討するに当たり、現在の薬局薬剤師の状況についてまとめたものです。大きく3点です。1つ目は薬剤師や薬局の概況です。約6万の薬局があり、そこに19万人の薬剤師が従事していること、単純比較はできませんが、人口当たりの薬剤師数はOECD加盟国の中で最も多い状況、一方で小規模な薬局や、門前薬局が多い、さらには多店舗を経営する薬局の割合が増加傾向にあるということ。
2つ目、患者のための薬局ビジョンへの対応状況です。患者のための薬局ビジョンでは、「2025年までに、全ての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指す」という目標がありますが、かかりつけ薬局を持っている患者さんはまだ少ないパーセンテージであることや、医療機関の数が増えれば、そこに通う薬局の数も増えるといったデータ等を鑑みますと、薬局ビジョンで掲げられた目標を達成しているとは現状では言い難いという段階にあること。
3つ目、薬局薬剤師のDX関連では、電子処方箋システムをはじめとする医療情報基盤が整いつつあり、こうしたデジタル技術への対応が必須であること、マイナポータル経由での医療情報等の閲覧が進んできていること、電子処方箋システムの導入の準備も進められており、さらにオンラインの服薬指導についても、恒久化のルールが策定されたところです。そういった形で、デジタル技術の活用が求められていること。大きくこの3点を現在の状況として整理をさせていただいています。
続きまして、5ページ目を御覧ください。取りまとめの作成に当たっての基本的な考え方を示したものです。1つ目は、対人業務の更なる充実ということです。これは患者のための薬局ビジョンにも示している事項ですが、特に処方箋応需時だけではなく、調剤後のフォローアップであったり、未病の段階、セルフケア、セルフメディケーションの支援等の健康サポート業務、こういった対人業務への更なる充実が求められていること。このためには、対人業務以外の業務の効率化が不可欠であることを示しています。
2つ目、ICT化への対応としては、データヘルス改革・電子処方箋の導入を通じた各種医療情報を活用して、薬局薬剤師のDXを実現していく必要があるということ。
3つ目、地域における薬剤師の役割ということで、地域包括ケアシステムにおける薬剤師サービスは多岐にわたっており、求められる全ての機能を単独の薬局が十分に有することは容易ではない。特に新興感染症、今回のコロナ禍、災害時、有事への対応等、地域全体で効率的・効果的に提供すべき薬剤師サービスがあるということで、地域の薬局全体で提供していくという観点も必要であること。以上、3点を基本的な考え方としています。
6ページ目からが、具体的な対応策になります。まず対人業務の充実に関する事項です。対人業務については、先ほど申し上げたとおり、特に処方箋受付時以外の業務を推進していく必要がある。その上で、調剤後のフォローアップの強化、医療計画における5疾病、薬剤レビュー、リフィル処方箋への対応等について、具体的な推進すべき対人業務を挙げています。さらには、こういった対人業務について、均てん化を図るために、例えば手引き等の作成による啓発や周知、さらに好事例が全国的に普及しない問題点というか原因分析、そういったものを実施することで対人業務の充実をさらに進めていく、また均てん化を図るといった方策が盛り込まれています。
また(2)に記載しています対人業務に必要なスキル習得ということで、日々のスキルアップも大切です。勉強会や症例検討会の開催・参加も挙げられています。こういったものは、個々の薬局で実施するのではなく、地域の薬剤師会等が中心となり、地域の基幹病院等と連携するための対策を検討することといった事項も盛り込まれています。
続きまして、7ページ、対物業務の効率化についてです。対人業務を充実させるためには、医療安全が確保されることを前提として、対物業務を効率化し、対人業務に注力できる環境を整備することが必要です。この効率化に関連する内容として、ここの緑の所に挙げました調剤業務の一部外部委託、処方箋の40枚規制のほか、その他の業務の効率化として薬剤師以外の職員の活用、調剤機器の活用、院外処方箋における事前の取決めに基づく問合せ簡素化について、議論を行いました。
具体的には、調剤業務の一部外部委託については資料の8ページを御覧ください。まず基本的な考え方として、外部委託の目的ですが、対物業務の効率化を図り、対人業務に薬剤師が注力できるようにすることです。大前提としては、患者の医療安全、医薬品の安全使用や医薬品のアクセスが脅かされてはならないというところ。ただ、影響が未知数であるため、効果や影響等を検証するという観点から、適切な範囲で開始し、検証後に見直しを行うという基本的な考え方の下に方向性について検討を実施しました。
対応方針については、緑の所に記載した部分です。まず外部委託の対象となる業務については、当面の間、一包化とすることが適当。理由については、一包化業務は委託することにより、高性能の機器を使うことで業務の負担の削減が見込まれること、さらには自動で機械を使って業務を実施する、監査も自動で実施するといったことから、ミスの低減等、安全性についても向上することが見込まれるのではないかといったことです。
また委託先については、薬局とする。さらに当面の間、委託先の制限については同一の三次医療圏内としています。この同一の三次医療圏内とした理由については、外部委託のサービスの提供が期待でき、さらに地域医療への影響が大きくなり過ぎない程度の集約化が想定できる地理的範囲として設定しています。この委託の対象となる業務や委託先の範囲については、合意に至るまでに、様々な御意見を頂きました。例えば、一包化に付帯する処方、軟膏や湿布、頓服薬等、さらには一包化が必要な患者と同一建物内に居住する患者への処方についても、一緒に委託を可能とすることを検討すべきではないか。距離制限についても、ニーズの把握等により範囲の境目の地域や空白地域ができてしまうのではないか、そういった中で弾力的な運用を可能とすべきではないかといった御意見もいただいたところです。そういったものも鑑みて、実施が可能となった後に、安全性、地域医療への影響、薬局のニーズ、そのほか地域の薬局の意見等の確認を行い、その結果を踏まえ、必要に応じて対象の確認や見直しを行うということも入れています。
また3つ目の安全性については、これは医療安全の確保は大前提ですので、海外で実施しているガイドラインなどを参考に基準を設ける必要があるといったこと。そのほか委託先及び委託元における薬機法及び薬剤師法の義務や責任についても整理し、必要な見直しを行うこと。患者に十分に説明して同意を得ること等も盛り込まれています。
資料の9ページを御覧ください。9ページはプロセスのイメージ図を参考に添付をしています。一番左側は現状を示しており、処方を受けてから患者さんにお渡しするまで、同一の薬局で実施をしていますが、これを外部委託する場合には、委託元の薬局と委託先の薬局でそれぞれ実施する業務が出てきます。委託元の薬局で、患者さんに対して処方内容の分析、調剤設計、さらには服薬指導等も行っていただいて、最終監査も委託元で実施するということになりますが、委託先の薬局で一部業務を実施する際に、情報の伝達等、についてどう安全性を確保した上で、工程管理していくのかといったところは、今後詳細に検討していくことになります。
続きまして、10ページ目を御覧ください。10ページ目は処方箋の40枚規制です。現状の診療報酬の体系が、処方箋受付時の評価が中心となっていまして、単純に40枚規制を撤廃したり緩和すると、処方箋の応需枚数を増やすために対人業務が軽視される危険性があります。よって、ワーキングでは、見直しの検討を行う場合は、診療報酬における評価等も含め、対人業務の充実に逆行しないように慎重に行うべきとされました。
また一方で、調剤業務の一部外部委託を検討する場合は、本規制が支障とならないように必要な措置を講じるべきといったことについても記載をしています。現状を見ていただくと、大体、薬剤師1人当たりの処方箋の受付枚数は、16~20枚ぐらいの所にピークがありますので、現状、この40枚規制で非常に困っているといったことは起こっていないのは調査結果から見て取れるのですが、今後の在り方として、枚数の規制というよりも、対人業務のプロセスやアウトカムの評価で行うことが理想的といった御意見もありました。
続きまして、11ページ目を御覧ください。3つ目の検討事項の薬局薬剤師DXです。薬局薬剤師のDXの推進のために、具体的な対策を記載しています。DX化に当たっては、オレンジの部分に記載したとおり、周辺環境の変化として、薬局薬剤師にも情報の活用といった点で、様々な事項がデジタル技術を駆使して、今後、連携や対応を進めていくことが求められているところです。その中で、アクションプランとして挙げているものが、まず1つ目は活用事例の共有。健康相談の対応や一般用医薬品の販売時の活用など、各種医療情報の活用を全国的に進めていくべき。今般、電子処方箋のモデル事業などが、これから実施、検討されるわけですが、こういった中での先進的な取組を通じて、好事例の収集等を展開するべきといったことです。
さらにオンライン服薬指導については、今年度末に恒久化のルールも策定されたところですが、今般、このワーキングで議論されたのは、薬剤師の働き方改革の関係で、自宅等の薬局以外の所からオンライン服薬指導を実施することについてです。こちらはテレワークという観点からも、薬局薬剤師においても自宅等からオンライン服薬指導を実施できる方向で検討するという結論となりましたが、データのセキュリティの関係やプライバシーの問題等、留意すべき点はありますので、こうした点も留意しつつルールを決めていくことになります。
3つ目のデータ連携基盤については、病名や検査情報など、薬剤師が必要とする医療情報に薬局がアクセスできる仕組みを構築する必要があります。今、マイナポータル等を通じて、データヘルス改革により様々な医療情報の共有が進められているところですが、こうした情報について薬局薬剤師もしっかり入手できるというか、閲覧できる状態のシステムを構築することが必要だという御意見を頂いたところです。また民間のアプリケーションとの連携や情報の標準化、こういったものも支障のないように整備を進めるべきといったところです。また、大前提として、薬局薬剤師についても、こういうデジタル技術に関する知識や技術の習得といったものは必要だという御意見もいただいています。
その他としては、調剤後のフォローアップや薬歴の活用、にもデジタル技術を積極的に活用していくべきという御意見も頂いたところです。
続きまして、12ページです。地域における薬剤師の役割です。地域における薬剤師の役割を推進するために、地域の関係者と連携した対人業務、さらにセルフケア、セルフメディケーションの支援等の健康サポート業務、地域で求められる多岐にわたる薬剤師サービスの全てを単独の薬局が有することは容易ではなく、地域全体で必要な薬剤師サービスを提供していくという視点も必要といった観点を踏まえて、取組を検討したところです。
1つ目の他職種との連携については、特に在宅医療における他職種との連携について御意見を頂きました。退院時カンファレンスについて、病院の退院時カンファレンスに薬局薬剤師は呼ばれないことが多いという問題点から、病院の地域連携室との連絡体制の構築や薬局間の調整を行うことが重要ではないか、さらに、在宅医療において、他職種からどの薬局がどういった在宅医療をしているのか、そもそも在宅医療を実施しているかどうかについて、分かりづらいという御意見が多数あったことを踏まえて、在宅医療の見える化を実施して、他職種にも患者さんにも分かるような仕組みを構築すべきといったところ。連携に必要な文書の様式を地域で定めるという形で、効率的に連携が行えるのではないかといったことが方策として示されたところです。
2つ目の健康サポート機能の推進については、今、健康サポート薬局の届出制度が始まりましたが、まだ認知度も低く、届出の件数も少ないといった状態です。こうした背景も踏まえて、まずは健康サポート機能が患者さんや住民にとってどんな意義があるのか、どんなメリットがあるのかというところを明確にして、それを発信していくということが必要なのではないか。さらに、こうした健康サポート機能、その健康サポートの取組は個々の薬局が実施するというだけでなく、地域全体でという意味で自治体や保健所の活動と連携して、そういった活動に薬局薬剤師が参加をするということから、地域全体への均てん化を図ることも必要ではないかといった御意見も頂きました。
続いて、地域の実情に応じた薬剤師サービス等の提供体制の検討ということで、地域の全体で薬剤師サービスを効果的に提供していくという観点からは、薬局間の連携の必要性が提示されました。連携に当たっては、連携することによって各薬局のリソースを効果的に活用できますので、各薬局の業務の充実にもつながるの可能性があり、薬局についても、こうした連携が進むことで、効率的、効果的に業務が実施できると考えられます。
この薬局間連携については、現在でも個々の取組で実施されているところがありますが、こうしたものにまとめ役となる薬局が存在して、より連携を推進していくという考え方も必要ではないか、このまとめ役となる薬局については、地域連携薬局の要件の拡充又は発展型として検討を進めてはどうかといった御意見もいただきました。
地域サービスの1つである有事への対応についても、効果的にこの連携自体を自治体や地域の薬剤師会が把握して、地域の中でのニーズというものをうまくキャッチアップすることによって、効果的に実施できるのではないか、さらにはへき地・離島への対応などが可能となるのではないかとの御意見を頂いたところです。
以上が取りまとめ本体の内容ですが、その他事項として、13ページ目です。敷地内薬局についても議論を頂きました。敷地内薬局については、薬局の機能、病院との関係性に関する論点整理を行ったところです。1.現状にありますように、敷地内の薬局数をここに表として掲げていますが、年々増えているような状況です。特に超大型の店舗の薬局が増えている傾向が見受けられます。こういった現状をもとに、頂いた御意見をまとめたところですが、かかりつけ機能という点で、本来あるべき機能を敷地内薬局が有しているとは考えにくいという御意見が多数寄せられたものの、一方で、高度薬学管理の点で、希少疾病やがんなどの高度な薬学管理であったり、高価な薬剤の在庫維持という観点からは、地域の薬局では果たせない役割を持つ場合があるのではないかといった御意見もいただいたところです。こちらについては、今後、敷地内薬局の機能も含めた実態をしっかり調査して、調査結果に基づき、改めて議論を行うべきだとされています。
最後14ページを御覧ください。地域の薬剤師会の活動についてです。取りまとめの内容のうち、多くは地域薬剤師会の活動が関連している一方で、地域薬剤師会の活動には地域ごとに差があり、本取りまとめの内容の実効性等に疑問があるといった指摘がありました。地域の薬剤師会の活動は、基本的には地域における活動の主体となることが想定されますので、地域の取組のあり方を検討する際には、地域薬剤師会にしっかりと活動していただくことが必要だと考えます。これについては、厚生労働省は日本薬剤師会やその他関係者と連携して、現状の状況を調査して、うまくできていないところがあれば、その原因の分析や解決策の検討を行うべきとされたところです。
また、具体的な対策の所に書かれているように、地域の薬剤師会が主体ではあるものの、会員、非会員にかかわらず、地域の薬剤師が協力して取り組むといったことも大事ですので、そういったもののニュアンスも盛り込む形で、取りまとめには記載をさせていただきました。以上、ざっとですが、取りまとめの概要の説明となります。御意見等、よろしくお願いいたします。
○西島座長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。安部構成員お願いいたします。
○安部構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の安部でございます。この取りまとめについては、ワーキンググループで7回の議論を積み重ねて、構成員の様々な立場での様々な御意見を集約したということだと思います。まず、赤池主査に取りまとめていただいたことに感謝をしたいと思います。議論の積み重ねで作られた取りまとめですので、それも尊重させていただきたいと思っています。その上で意見ですが、少し各項目にわたりますのでちょっとお時間いただきましてお話したいと思います。
まず、対人業務の更なる充実が求められるわけですが、その際に、いわゆる対人業務以外の業務の効率化が求められる中で、医療安全の確保が前提ということは先ほど赤池構成員からも御指摘があったとおりだと思っております。この資料の8ページ、本体資料1-2の12ページになりますが、調剤業務の一部外部委託に関わる考え方及び対応方針において、その基本的な考え方と実施要件が示されております。基本的な考え方の中には、外部委託は法的に認められておらず、我が国の医療、調剤業務において実施例がないことから、評価が困難と整理されているわけです。その上で、実施要件に関する議論がワーキングで行われたということですけれども、正に現行法令上では実施例がないことから、一部外部委託が対人業務の充実につながるという仮定において、その上で要件上の仮定を重ねたというような印象を受けております。ワーキンググループの報告、議論においても、様々な懸念が示されておりますが、日本薬剤師会としても、私、一個人の薬剤師としても、医療安全、この医療安全といいましても、単純に一包化が正しく実施されているかどうかではなくて、調剤業務一連の結果として医療安全が確実に守られるのか、果たして対物業務の効率化が図られ、対人業務の充実につながるのか。また、二重の作業や設備投資で発生する費用が賄えるのか。外部委託に依存した薬局が果たして薬局として果たすべき使命並びに本来備えるべき機能を維持存続し得るのか。例えば外部委託に依存してしまった場合、業務の委託先にその業務の引受けを断られた場合にどうなってしまうのかなど、様々、予測もできない影響が起きるのではないかと懸念しているところです。
そこで、事務局へのお願いですけれども、今後、一部外部委託のあり方を検討する上では、モデル事業などで大型機器で調剤をしたところ、単純に一包化作業時間が短縮したとか、機械上の単純な業務エラーが起きなかったというような、ほんの一部分での時間短縮や作業の確実性だけの結果のみをもって、短絡的に一部外部委託の安全性確保や対人業務に資する効率化の評価としないということが必要かと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思っています。
先ほど様々な懸念事項を申しましたけれども、そういったことが解決できることを確認した上で議論することが重要でありまして、仮に法令改正等を行う場合には、そうした視点で検討を行うべきであろうかと思っております。それが国民の命・健康を守る厚生労働省、そしてまた我々薬剤師の役割であると考えているところです。
関連として、資料1-1の13ページ、資料1-2は30ページに、敷地内薬局に関する記載があります。医療に関わる様々な審議会、中医協、本ワーキンググループでも、敷地内薬局は医薬分業の本旨や地域包括ケアシステムにおける薬局のあり方として、あるべき姿との乖離があって問題であると多くの指摘があるわけです。また診療報酬や調剤報酬でも、令和4年の改定において抑制的な評価がされているところです。
敷地内薬局につきましては、厚生労働省が示している「患者のための薬局ビジョン」の政策と真逆な位置にあると言わざるを得ないと考えております。地方社会保険医療協議会などでも敷地内薬局に反対の声が挙がります。一方で、そうした反対の声があっても、保険薬局の許可を受けてしまっているのが実情です。資料1-1の13ページにもあるように、敷地内薬局が急速に増えています。この発端は、これも資料1-2の30ページにありますように、平成27年の構造規制の見直しによって、結果として敷地内薬局の申請を受理せざるを得ない状況となり、それが前例、既得権化して、医療機関の過剰な薬局誘致・公募等にもつながっているわけです。そもそもはフェンスを外すといったほんの小さなルール改正であったはずが、結果としてこのような状況を生み出してしまっていることについては、指摘せざるを得ないと考えております。この一部業務の外部委託に関しても、こうした轍を踏まないように慎重に対応しなければいけないと思っております。しっかりとした検証と同時に、営利追求のビジネスモデルとか、地域の医薬品提供体制が混乱するような可能性に結びつかないよう、十分な検討が必要かと考えております。
長くなりますが、続きまして、40枚制限のあり方です。この資料にも、「単純に40枚制限を撤廃又は緩和すると、処方箋の応需枚数を増やすために、対人業務が軽視される危険性がある。見直しの検討を行う場合は、診療報酬における評価等も含め、対人業務の充実に逆行しないよう慎重に行うべきである」という整理がありますが、これは妥当な、大変重要なポイントと思っております。薬局が医療提供施設として国民・住民に責任ある薬剤師サービスを提供するには、開設者に必要な薬剤師を従事させて管理及び業務を行わせることが必要です。薬剤師が開設者に対し、薬剤師の適正な従事者の確保を求める意見具申をする際の基準にもこの40枚要件は機能しているわけです。調剤を受ける国民、従事する薬剤師を守るためにも、現在の40枚規制は一定の合理性があるものと理解をしているところです。
続きまして、薬局薬剤師DXに対してです。資料1-1の11ページ、本体資料1-2の17ページに記載があります。現在、事務局の説明にもありましたとおり、オンライン資格確認、マイナポータルを通じたレセプト情報を活用した連携、電子処方箋、オンライン服薬指導、HPKI等の電子認証、電子カルテの3文書6情報の活用における薬歴との連携など、こういう対応が求められることになっているわけです。ワーキンググループの取りまとめに記載されている考え方については、基本的には了承いたしますが、当面は、国が進めているデータヘルス改革のこの大きな基盤整備に対応することが最優先に求められているわけです。その基盤が落ち着かないうちに個別の薬局のDX対応や事業改革に投資をしたりすることは大きなリスクを伴うわけでもありますので、まずは全ての薬局で基本的な基盤整備を実施できるように、厚生労働省はもちろん、我々日本薬剤師会や日本保険薬局協会などもしっかりと支援をしていく必要があろうと思っております。これらの対応につきましては、厚労省内の関係局がまたがっているわけですが、薬局薬剤師に関するこのDX関連に関しては、医薬・生活衛生局にしっかりと横串を刺すような積極的な支援をお願いしたいというところです。これはお願いでございます。
続きまして、資料1-1の14ページ、これが最後になります。薬剤師会の活動についての御指摘がありました。少し誤解があるようですので説明をさせていただきますと、日本薬剤師会は1つです。そのほか47都道府県に都道府県薬剤師会があり、748の地域薬剤師会がございます。それぞれが国、都道府県、市区町村の行政や、それぞれにある医師会や歯科医師会、それから医療団体の方々とそれぞれ連携をしながら地域の中の医薬品提供を担っている。また、コロナの対応とかワクチンの対応などもそういう連携の中でやっているわけです。そうした連携の中で各地域の取組は変わってきますので、単純に薬剤師会がどう取り組んだから何が違うのか、それが均てん化できるかというような単純な問題ではないことは御理解いただきたいと思います。調査をしろということですので、必要があれば、やぶさかではありませんけれども、単純に薬剤師会の活動だけに着目して何か評価をしようとしても、全くミスリードな結果になる可能性が高いと考えておりますので、地域ごとの状況、都心部とそうではない所、市区町村の大きさなども含めて検討することが必要かと思います。私は板橋区におりますけれども、例えばコロナ対策にしても、ワクチンや医薬品提供に対しても、国で行われている共通の項目の対応、都道府県、私の場合は東京都から依頼されて実施する活動と、それから板橋区から依頼されている件というように分かれるわけです。板橋区と隣の北区と練馬区は全く違う対応をするわけですので、結果が違っているのが当たり前です。そういうことも含めて検討をしていただきたいと思っております。
それから、これは蛇足ではありますが、ワーキングにおいて、薬剤師会に入会している薬剤師がいる薬局と、いわゆる大きな規模の薬局チェーンの薬局とが相反するような役割と位置付けがあるというような御意見や議論があったようにお聞きしておりますが、そこはちょっと誤解がございます。保険薬局数は資料にもありますとおり6万1千軒です。薬剤師会の会員は10万余ですが、そのうち約半数の5万1千人は薬局の開設者か管理者、つまりその薬局を管理している人間が会員となっているわけです。6.1万分の5.1万ですから84%の薬局には必ず薬剤師会の会員がいるということです。当然、全ての会員に日本薬剤師会、都道府県薬剤師会、地域薬剤師会より分け隔てなく情報提供もされますし、地域連携に関わる調整、例えば休日当番のや今回のコロナ対応のこと等、様々な情報提供や公開がされていますし、研修会も同様にしているわけですので、そういうところは御理解いただきたいと思います。長々と話して申し訳ございませんでした。以上です。
○西島座長 ありがとうございました。いろいろな点、5点6点ほどについて御意見を頂きましたけれども、これらについて事務局から今何かお答えすることがございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 個々のコメントにつきましては、正に今後の検討に御指摘を活かしていきたいと思います。特にこちらから今の段階で申し上げることはございません。
○西島座長 ありがとうございます。ほかの構成員の方から御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 東京都の中島でございます。調剤業務の一部の外部委託について、こちらの資料にもありますとおり、医療安全を確保することは非常に重要になってくると考えております。また、実施に当たっては、委託に関する基準の作成とか、また自治体のほうで行っています薬局への監視指導の方法などを詰めていく必要があると思いますので、その際には自治体にも早めに情報提供を頂きたいのと、あと意見交換の機会等を設けていただけると有り難く思います。よろしくお願いいたします。
○西島座長 ありがとうございます。山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 COMLの山口でございます。私もワーキンググループの構成員の一人として、非常に長時間にわたる毎回の議論に参加して、いろいろ意見を申し上げてきましたので、今日同じことをまた繰り返すつもりはございません。ただ1つ、今回のワーキンググループの取りまとめを、6万1千軒ある薬局、そして19万人の薬剤師さんにどのように実効性をもって伝えていくのかについて、事務局の考えをお聞かせいただきたいと思います。と言いますのも、私は2015年に行われた健康サポート薬局の議論にも参加してきまして、今回この資料1-1に書いてある、薬剤師・薬局をめぐる状況と課題の内容が、7年前にも同じようなことが状況と課題として出されていたと思っております。健康サポート薬局が公表されて、その後に薬局ビジョンが発表されたわけですけれども、今回の取りまとめの中にも、2025年に全ての薬局をかかりつけ薬局にする、そういう目標が達成しているとは言い難いというように書かれているので、薬局ビジョンを出しても実効性がなかったと、今回もこれだけ時間をかけて話合いをして、その結果を取りまとめたわけですけれども、どうすれば本当に多くの薬局・薬剤師にこのことが伝わるのかということについて、非常に懸念をしております。
先ほど安部構成員が、8割が薬剤師会に所属しているので情報提供できるとおっしゃったのですけれども、そうであれば、もっと早くにこういうことが実効性をもって、薬剤師さんたちが変わらないといけないという意識になっていないといけないのではないかなと思っていますが、ずっと7年間同じことが課題として出されているわけです。今回、今年4月の調剤報酬で、患者に何をするかということで調剤報酬の中で切り分けたような報酬になったことで、少し対人業務へシフトするのかなと期待はしているところですけれども、本当に、もう調剤だけをしていたのでは成り立たないぐらいの調剤報酬改定にしないと動かないのかと正直思っております。ですので、どのように届けていくのかということ、これまでと同じことにならないためにはどうするかということをお聞きしたいのが1つです。
それから敷地内薬局のことについては、私もワーキンググループの中で、かかりつけ薬局ということに逆行することと、特に敷地内薬局については大病院の敷地内がほとんどですので、医療機能の分化を考えると、大きな病院にはかかり続けないことが前提になっているわけですので、これは政策と逆行しているのではないかと思っていまして、そのことについても発言をしました。それと同じように、門前薬局のことについてもやはり見直しが必要ではないかと思っています。今、超高齢社会になって、複数の疾患を抱える方が複数の医療機関に行かれて、そしてその医療機関のそばにある門前薬局に行っていることで、かかりつけ薬局というような考え方が実現していない大きな要因があるのではないかと思っていますので、そのことについてもきちんとこれからも検討をしていく必要があると思っています。
それから、先ほど安部構成員が、薬剤師会のことについて調べるということに懸念を表明されましたけれども、私の理解としては、地域で医師会や行政などの連携ということではなくて、薬局同士の連携が中心になって薬剤師会が取り組んでいる所もあれば、そういうことが全然なされていない所もあるというようにワーキンググループの中では受け止めていましたけれども、その理解で間違いないのかどうかも事務局に確認したいと思います。以上です。
○西島座長 ありがとうございます。今、実効性の問題と敷地内薬局に関すること、薬局間の連携ということですが、最後の点について、安部構成員から何か付け加えることはございますか。
○安部構成員 基本的に、748ある地域薬剤師会が市区町村と連携をして、個別の薬局が市区町村と交渉するわけにいきませんので、薬剤師会の代表が様々な交渉をしたり、その情報を会員に流したり、その市区町村で様々な関係者とと連携をして研修会をしたりというところが、地域薬剤師会の大きな仕事でもあろうかと思います。そういった意味で、その地域でどういう取組をしているのか、会員間でどういう取組をしているのかは、我々としては調べられると思うのですが、それだけではなくて、やはり地域の中の連携の中でどういう活動をしているかも併せて調べないと、ちぐはぐな調査になってしまうというような意見を、先ほど発言をさせていただきました。
○山口構成員 座長、私の最後の質問は事務局に対しての確認です。
○西島座長 それでは事務局からお願いします。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 事務局です。山口先生、たくさんの御指摘ありがとうございます。順番に答えさせていただきます。まず、今回の取りまとめの実効性という部分ですが、今回は正に御指摘のとおり、対物から対人へという長年にわたる課題が、やはり解決に向けて一歩でも推進を強力に加速していかなければいけないという中で、表題の副題にもございますように、「アクションプラン」という形で、より具体的に誰が何をしなければいけないのかを取りまとめに書かせていただいた部分があるかと思います。厚生労働省は、薬剤師会は、薬局薬剤師はという形で、それぞれがそれぞれの分野について具体的にやっていかなければいけない課題や事項を、明確により具体的に記載をしたつもりですので、そうした内容を厚労省側も受け止めて、複数ありますので、どの内容について、どういったスケジュールで、どのように進めていくのかをしっかりプランニングして、今後具体的に進めていければと考えているところです。
また、敷地内薬局の話ですが、こちらにつきましては、今後、こういったかかりつけ薬局薬剤師の機能といったことも前提に調査を進めていく予定ですが、今般、電子処方箋や、オンラインの服薬指導、こういったものも、今まで立地がベースになっていた薬局の選択というのも少し変化が表われるのではないかと思っています。こうしたものを機に、より、かかりつけ薬局というものが、薬局薬剤師を持っていただくところに向けていければと考えているところです。
最後の薬剤師会の話ですが、山口先生がおっしゃるとおり、薬局間の連携といった部分で、地域の薬剤師会が主体となっていろいろ取り組める事項があるのではないかといった課題を多く頂いたという認識です。例えば、対人業務の充実に勉強会をするに当たっても、地域の薬剤師会がもう少し活動的に主体的に動いてくれると、より地域の薬剤師の底上げが図れるといったこともございますので、そうした様々な観点から、この地域薬剤師会の活動を調査し、より推進していけるように、厚労省としても取組を検討していきたいと思います。以上です。
○西島座長 ありがとうございました。それでは野木構成員から御質問、御意見お願いいたします。
○野木構成員 それでは私のほうから。私は薬剤師ではないので外から見た意見という形で、ちょっと厳しい意見になるかもしれませんけれども、聞いていただければ有り難いです。基本的には、これを長時間かけてやられたということは本当に大変なことだったと思うのですが、外部から見ていると、何のためにされているのかなというところがちょっと見えてこない。国民にとって今一番大変なのは、地域偏在の問題と、病院薬剤師の不足の部分があるわけなので、そこを全然解決せずに、こちらをどんどん進めていくというのはいかがなものかという気はいたします。健康サポートの機能の推進ということも非常に大切なことですが、そこまでするのならよほどすることがないのだなと見られがちというような気もします。やはり、実際、地域では薬剤師がいないし、病院にもいないし、そんな中で健康サポート、これは大切ですが、そこまでされる余裕があるのだなということを非常にうらやましく思うというか、先にやるべきことをもっとするべきではないのかという印象は、個人的にはあります。
それから当然のごとく、医薬分業で始まったことなのですが、こういう形で外部委託とすると、多分、医療費はもっと上がっていくと思いますが、そういうことを考えられておられるのかどうかというところですね。医薬分業で、いわゆる医療費は減るのではないかと厚労省は期待されていたのではないかと思うのですが、全然話は違ったと。安部構成員も言われましたが、病院の中でも病院給食を外部委託という形で、一時推進されました。でも、現実的にはどうなっているのかと言いますと、やはり今のような国際的社会問題が起こったときに、外部委託すると値段をどんどん上げられるのですね。そして、値段をそのままにしてくれと言ったら、患者さんに対する食事の質が下がるのです。質が下がるから、こんな食事よりもっと良いものにしてくれと言ったら、「じゃ、お金出してくださいよ」という。安部構成員が言われたとおり、「いや、では別の業者を検討します」と、「じゃ、どうぞ、明日からうちは来ませんから」と言われてしまいます。かと言って自分のところの病院ができるかと言ったら、職員はいないわけですから、もうできないのです。元に戻れないという現状が起こってくるという形になるので、やはりそこは慎重に考えなければいけないと思っています。
外部委託もいいと思うのですけれど、基本的には医療、薬局も含めて、やはり地域に根ざしたものをするべきで、この大手チェーンがぼんぼん入ってきて、全体を見るというのは、私はいかがなものかなという気はいたします。もっと厳しい言い方をすると、処方箋40枚規制の中で、外部委託するということは、ある意味、調剤放棄にもつながってくるのではないかなという印象を個人的には持ちます。40枚程度であれば、やはり一包化も含めてやっていただきたいという気はいたします。それが地域に根ざした薬局のあり方ではないかと。もっとほかの考え方ですれば、例えばうちの病院なんかもそうですが、調剤機が入っていますので、検品まで全部やってくれます。それで処方箋40枚というのは、変な話ですがあっという間にもう全部一包化されて出てきます。検品もします。だから、そういう病院と組んでやられるのはいいと思いますが、やはり外部の業者にまた委託するというのは、結局、医療費を上げるだけの結果になって、薬剤師さんにとって良い結果になるのだろうかという疑問点を持たざるを得ないというところはあると思います。簡単ですが、以上です。
○西島座長 ありがとうございました。今、地域偏在、あるいは病院での薬剤師の不足のこと、これは検討会では非常に大きな問題になったのですが、今回はその点が少し欠けていたかなという、そうでもないですか、事務局。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 今回、先生の御指摘の点については、議題2のほうで説明をさせていただく予定でございます。偏在だったり、薬剤師の確保についても大きな問題と認識しておりますので、そういったものについては別途しっかりした調査に基づき、検討を進めていくこととしております。
○西島座長 野木先生、それでいいでしょうか。
○野木構成員 ありがとうございます。ただ、先ほど言いましたが、やはりそちらの問題を解決してからでないと、これを進めないというふうにしていただかないと、またこういうふうな形で進んでいくと、こちらばかり進んでいって、地域偏在とか病院の人数が足りないことは全く進まないという状況を作ってしまわないかなという心配があります。以上です。
○赤池構成員 赤池でございます。先生の御指摘の部分は非常に重要だと思います。ただ、薬剤師の確保という点に関しましては、今、調査事業が行われており、昨年度行われまして、多分、今年度も行われると思います。こちらのほうも、実は私が座長を務めており、そういう意味では、このワーキングと並行して調査を行っておりますので、決してそちらが遅れているわけではないということは申し上げておきたいと思います。もちろん非常に重要な点ですし、これから調査結果を基に、いろいろ対応も考えられていくことになると思います。
○西島座長 ありがとうございます。武田構成員、御発言お願いいたします。
○武田構成員 ちょっと時間も押しているようなので、手短に。質問というよりも意見になるのかもしれませんが、まずはこのワーキンググループで非常に膨大な量を御議論をいただいて、このようにきれいに取りまとめていただいたのかなと感じました。ありがとうございます。基本的な考え方が3つ挙げられて、1)対人業務の更なる充実、2)ICT化への対応、3)地域における役割ですが、正に地域医療構想の中でこれらをしっかり進めていくという上で非常に重要な議論であったと思います。それから山口構成員、野木構成員がおっしゃったように、今後薬剤師は過剰になるなかで、病院に限らずですが地域偏在があるということも大きな課題であると思います。ですので、偏在があって少ない医療機関では対人業務が思うように進まないから、例えば、対人業務を充実させるために対物業務を効率化するというのは少し観点が違うような気がしております。対人業務の充実というのは非常に大事なのですけれども、対人業務をするために対物業務を効率化するというのは、そこに薬剤師がいないから効率化が必要という論理の展開なので、いわゆる、薬剤師不足や地域偏在が解消される状況になれば、当然、これまで薬剤師が担ってきた対物業務も、医療安全を担保するためにも薬剤師が担うべき業務であると思います。ヒューマンエラーを防ぐためにデジタル化するとか、機械化、オートメーション化することも必要かとは思いますが、対人業務へシフトするためには偏在を解消して対人業務も展開できる充分な薬剤師を確保する、そういった観点での議論が欲しいと思います。
安全性をより確保するとか、あるいは地域における医薬品の供給体制をしっかりするために在庫管理をしっかりやっていく。そのために、地域医療構想の中で、この地域にどの機能を持つ薬局がどれくらい必要だ、そしてその機能を果たすためにどれだけの薬剤師数が必要だというのを、それぞれの地域の特性に合わせて検討することが必要ではないでしょうか。薬局のこれからのデジタル化、DX時代に向かって医薬品の提供体制と薬物治療管理をしっかりと進めていくために、薬局の業務を、この取りまとめの内容を参考にしながら作り上げていく。地域ごとに検討していくという、そういった体制が必要になってくるのではないかというのを思いながら、読ませていただいたところです。
現在、地域医療構想会議の中で、薬局機能の方向性というのが議論されているのかどうか、いかがなものなのでしょうか。かなり地域によって温度差があるような気がしますが、どなたか御存じであれば教えていただきたく思います。
○宮川構成員 宮川ですけれども、その議論というのはないと思います。地域医療構想の中で、薬剤師や薬局がその地域にどうあるべきなのかというような議論は全くない、だから問題なのだと、私は認識しております。
○武田構成員 宮川先生、ありがとうございます。そういう議論が本当に必要ではないかと思います。この検討会でこれだけの議論が展開されているので、今後のことなのかもしれませんが、地域の医療を守るのは、先ほど野木先生がおっしゃったように、その地域を今担っておられる薬局の先生方が地域特性に応じた機能分化をし、協力しながら薬物治療管理を地域全体で考えていく、それには、薬剤師会だけではなくて医師会の先生方にもご協力いただいて地域医療構想会議の中で明確化していくのが大事ではないかと思うところでございます。宮川先生、ありがとうございました。
○西島座長 それでは宮川構成員、お時間のこともありますので、最後の御意見ということで伺いたいと思います。
○宮川構成員 端的に申し上げますが、今お話しになったように、地域医療の構想の会議の中で、薬局というのはどうあるべきかを真剣に考えていかなければいけない。それが全く議論がないということが問題です。それから、野木構成員がおっしゃったことは芯を突いているところで、いわゆる分業そのものが本当は問題だったということを振り返って、ここに出てくることは全て、今の一包化を含めた外部委託の問題だとか、それから敷地内薬局、これは分業でなかったら出てこなかった問題だと考えます。ですから医薬分業は本当に正解だったのかということを突きつけられている問題だと考えていかなければいけないのです。そこをある程度納得した上で進んだということであっても、医師の場合、医療機関では診診連携、病診連携、病病連携、その中で患者さんをどのように問題なく医療という枠組みの中でやり取りできるのかということを考えているわけです。では、薬局の場合はどうでしょうか。実際には薬局間の連携、一般の薬局と地域連携薬局、一般の薬局と専門医療機関連携薬局、地域において連携ができてないから問題だと考えます。それを突きつけられているというのが、薬剤師自身なのだと思います。例えば、5疾病のところで勉強会をやっても、その内容についていくことが出来なけれは、リフィルも含めて医薬連携が闊達にできなくなります。勉強についてこられない薬剤師がいたら、これは困るわけです。ですから、そういうようなレベルアップということもしっかりしていただかなければいけないということです。
敷地内薬局に戻りますけれども、高度薬学管理ということが問題であるならば、それは当然、病院内の薬局が果たすべきであって、敷地内薬局が果たすべき役割ではない。特に、大学病院の敷地内にあるそういう薬局が担当すべきではなくて、大学内の薬局が担当すべきである。そして、当然なことながら、患者さんが居住する専門医療機関連携薬局や地域連携薬局と共有すべき問題なのです。敷地内薬局が高度薬学管理する、そのようなことは言い訳でしかないことを御理解いただきたいと思います。
それから外部委託のところなのですが、先ほど阿部構成員がモデルでという話があったのですが、モデルとしてもやるような計画はあるのでしょうか。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 厳密にモデル事業といったことは、これは実際、法律制度がそういった状況を受け入れる形にはなっておりませんので、難しいと思いますが、例えば、今、研究班を今年度から実施しておりまして、その中で模擬的に、実際に委託した場合にどういうことが起こり得るのかを検証することは可能かと考えておりますし、そういったことはやっていければと考えています。
○宮川構成員 なるべくそういうのは考えないほうがいいのかなと思っていますし、外部委託というのは、集約すれば、災害があったときなど分散化できないわけですよね、実際には。サプライチェーンの強靱化とか、リスクの分散化を考えるときには、拠点を作るのはいいのですが、その拠点が何かあったときには丸つぶれになります。災害とか、今回のコロナのことでよく分かっているはずです。そこには非効率的な一面があるからこそ、逆に救われる面があるのだということを私たちはよく理解しなければいけない。その理解なしに、外部委託という効率のみのことを追求してくれば、更なる諸問題が起こってくるだろうことは明らかだということは、皆で認識しなければいけないと思っています。以上です。
○西島座長 ありがとうございました。それでは藤井構成員、できたら手短にお願いします。
○藤井構成員 日本保険薬局協会の藤井です。私もワーキクンググループのほうに参加させていただいておりまして、外部委託のほうだけ少しお話しさせていただきます。正直、我々側からも、外部委託に関してはリスクが余りにも高い、特に後発品の問題もあった中で、今これをやるのかというところでは、安全性というところで疑義をさせていただいております。そうは言いながら規制改革のほう、そういった薬局、医療安全があるからこれができないということではなく、可能性としては是非とも検討してほしいということもありましたので、であるならば、我々として許容できる範囲ということをワーキングの中で皆様とも議論させていただいて、このような形になっていると思います。何もやらずに、これはもう意味がないと言っても、なかなか納得いただけないかなと思っておりますので、そういう意味では、まず1つ、2つきちんと成果として、エビデンスとして出させていただくことによって、本当にこれが薬局の対物業務の効率化になるのか、ほかにもやるべきことはいっぱいあるというお話はさせていただいておりますので、そういった観点でこういった形にまとまったということでは、私のほうからも申し添えさせていただきたいと思います。
○西島座長 ありがとうございます。それでは、赤池先生が座長でまとめられたこのアクションプランについては、以上で。これについては、いろいろな意見を頂きましたので、事務局のほうと座長とでそれを取りまとめて、またこの検討会で御報告することにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
続きまして、本日の次の議題ですが、「検討会とりまとめへの対応状況等」ということで、先ほど議論になりました薬剤師の確保と卒後研修についてです。これについて、事務局から資料に基づいて説明をお願いいたします。
○医薬・生活衛生局総務課国際医薬審査情報分析官 資料2に沿って御説明をさせていただきます。薬剤師の確保と卒後研修に関しては、昨年度、予算事業や研究事業を実施してまいりましたので、その概要を御報告するとともに、今年度の事業内容について御説明させていただきます。
スライドの番号1ページ目を御覧ください。「薬剤師確保のための調査・検討事業」ですが、こちらは各都道府県における薬剤師確保の取組事例の収集、薬剤師の地域偏在の状況と課題等を整理して、偏在に対応するための方策を調査・検討することを目的として実施したものです。
2ページ目です。具体的に実施した内容をこちらにまとめております。左側にあるように、都道府県、病院、薬局、そこに所属する薬剤師等へのアンケート調査を行うとともに、右上にあるように、三師統計の結果などを解析して偏在状況の分析・把握を行いました。それらの結果を踏まえて、偏在に対応するための方策の検討を行い、報告書を取りまとめたところです。報告書は、会議資料の参考資料3となります。3ページ目にあるように、本予算事業においては調査検討会を設置して調査・検討を進め、報告書を取りまとめたという次第です。以下、報告書の概要について御報告させていただきます。
5ページ目です。こちらは自治体や地域の薬剤師会に対して、都道府県内の薬剤師の不足状況の認識に係る調査を行った結果です。薬剤師の不足が、多くの地域、若しくは一部の地域で生じているとの回答が一定数あり、県内で地域偏在が生じている都道府県もあるという結果でした。また、都道府県と都道府県病院薬剤師会・薬剤師会の間で、薬剤師不足の把握状況や認識にギャップが見られているという結果でした。
続いて、6ページです。こちらは薬剤師の充足状況に関する認識(充足感)について、薬局・病院への調査を行った結果です。二次医療圏の人口規模にかかわらず、病院のほうが薬局よりも「全く足りない」と回答する割合が高く、両者で3倍以上の差が見られたという結果となっております。
7ページ目です。こちらは先ほどの充足感と、理想とする薬剤師数に対する充足状況、つまり充足率との関係を分析した結果です。充足感と充足率は、ほぼ対応するような結果となっていて、また、病院・薬局間でも大きな差はないというものでした。
8ページ目です。こちらは病院属性別に充足感について解析を行った結果です。国公立・公的病院は医療法人と比較して、また、高度急性期・急性期機能の病院は回復期・慢性期機能の病院と比較して、薬剤師の不足を認識する病院の割合が高いという結果でした。
9ページ目です。こちらは病院・薬局の規模別に解析を行った結果です。病院では病床規模が大きいほど、薬局では処方箋応需枚数が多いほど、薬剤師の不足を認識する割合が高くなるという傾向が見られました。
10ページです。こちらは薬剤師の不足により生じている弊害について、病院・薬局に対する調査を行った結果です。10ページ目が病院の結果、11ページ目が薬局の結果となっております。両者で共通して、時間外勤務が増えているという回答の割合が高い状況でした。また病院においては、病棟業務やチーム医療への参画、薬局においては、在宅対応や地域での多職種連携に弊害が生じているというような結果でした。これらの結果から、薬剤師の活躍が期待される業務で支障が生じているという実態が見えてきたところです。
続いて、12ページ目です。こちらは薬剤師の偏在の要因について、アンケート調査のほか、ヒアリング調査や三師統計の解析結果などを踏まえて、その要因について、検討会で考察を行った結果をまとめております。12ページ目は、地域偏在について考えられる要因として3つ挙げています。1点目は、薬剤師の業務内容、給与水準、研修機会などを重視する観点から、都市部での就業指向というものが1つの要因ではないかと考えられます。また、出身地で勤務する薬剤師の割合が高いといった結果を踏まえると、地方部出身の薬剤師数が少ないといったことや、出身地の都市部で就業をしていることが要因の1つとして考えられるとされております。3点目ですが、都道府県レベルで偏在対応を検討するに当たって必要な薬剤師の偏在状況に係る情報が不足しているのではないかと指摘されています。
13ページ目です。こちらは従事先業態の偏在に関する要因についてまとめたものです。要因としては4点挙げられております。1つ目が本スライドにあるように、こちらの図表の結果から、少なくとも20代~30代では病院のほうが薬局よりも給与水準が低いことが想定される結果となっており、給与水準の格差が要因の1つではないかと指摘されております。
14ページ目です。こちらは薬局・病院別に見る薬剤師の性別・年齢別の構成を見た結果です。こちらの結果から、病院では20代の構成割合が高い状況ですが、30代以降が急激に減少している結果となっております。一方で、薬局においては、特に女性ですが、幅広い年齢層で、一定割合で構成されている結果となっております。
15ページ目です。こちらは年齢別の薬剤師の就業形態を分析した結果です。薬局薬剤師の女性において、非常勤の勤務割合が30代以降で高いという結果になっております。こちらの結果とスライド14ページ目で御覧いただいた結果を踏まえると、病院と比較して、薬局のほうが薬剤師を確保できているといったことも背景の1つにあるのかと思われますが、薬局のほうが、現時点では柔軟な働き方への対応が取りやすい状況にある可能性があるのではないか、という働き方への対応が、偏在の要因の1つとして指摘されております。
16ページ目です。こちらの左側の図ですが、こちらは、病院・薬局の薬剤師が新卒時に就職した先を調べた結果です。薬局薬剤師では、新卒時に病院に就職をした方が一定割合いる結果になっております。右側は転職希望者における転職希望先を尋ねた結果ですが、病院薬剤師の場合、転職希望先として「薬局」との回答が一定割合を占める結果になっております。このような結果から、病院に就職した薬剤師では、主に新卒で病院に就職をして、病院薬剤師として勤め続けるというキャリアプラランのほか、新卒で病院に就職し、経験を積んだ後に薬局に転職するというキャリアプランがあるのではないかと思われ、これも1つの要因ではないかと指摘されています。そして、復職に際して、就業先業態を変更した理由として、知識不足への不安を挙げた割合は、病院から他業種へ転職した方のほうが高いという結果でした。
17ページ目です。こちらは今回の調査結果を踏まえた偏在の対応策として、調査検討会において挙げられた内容をまとめたものです。1点目として、都道府県における対応に資するため、統一的・客観的な薬剤師偏在の度合いを示す指標の検討の必要性が指摘されております。また、不足する地域・業態で従事する薬剤師の増加に向けた対応として、6項目が挙げられています。経済的な対応として、給与水準の格差の是正や、奨学金貸与・返済の支援といった対応。人材育成・活用に関しては、地方部出身の薬剤師を増やすための対応や潜在薬剤師の活用。診療報酬上の対応ということで、薬剤師の体制整備に係る評価の充実や、回復期入院医療の評価として施設基準への薬剤師の追加を求めるといった意見が、本事業の検討会委員から挙げられました。
続いて、18ページ目です。偏在への対応の続きですが、他で勤務する薬剤師による支援ということで、地域医療介護総合確保基金などを活用し、不足している地域・施設への薬剤師の派遣に取り組むのも方策の1つではないかとされております。また、人手不足の解消の一助として、業務効率化という対応も1つあるのではないかとされております。その他として、冒頭の調査結果でお示ししたように、都道府県と県の薬剤師会との認識のギャップがあることなども踏まえると、都道府県内の連携の推進を更に図っていく必要があるのではないかと。それに当たって、医療計画において、薬剤師の確保の位置付けを明確化して、その中で連携を深めて取り組む必要があるのではないかと指摘されております。ここまでが予算事業の概要です。
19ページ目からは研究事業ということで、帝京大学の安原先生に進めていただいている研究事業の概要となります。2か年での研究となっており、効果的な薬剤師確保に資する取組について調査等を行うこととなっております。令和3年度の初年度においては、偏在に関する要因や関係性を明らかにすることを目的に、大学、薬学生を対象としたアンケート調査を実施しました。
21ページ目です。こちらは大学アンケート調査結果の一部となりますが、大学における薬剤師偏在に係る取組や教育の実施状況を伺ってみたところ、左の図にあるとおり、約半数弱の大学で取組が行われており、その中でも、地方部の大学での取組割合が高かったという結果です。右は取組を行っている大学において実施されている取組内容をまとめたもので、就職説明会や相談会の開催、薬剤師不足の地域等の求人とのマッチングといった取組を行っている大学等がありました。
続いて、資料22~25ページ目は大学の5、6年生を対象に実施したアンケートの結果です。22ページ目が就職決定先と、その決定要因。23ページ目が薬学生の奨学金の利用状況。24ページ目が薬学生の薬剤師不足地域への就業意向。25ページ目が薬学生の病院への就業意向についてアンケート調査を行った結果です。時間の関係もございますので、詳細な説明は省略させていただきますが、薬学生のアンケート結果として、研究班の報告書における、薬学生の進路選択の現状についての考察を26ページ目にまとめております。就職先の選定には、業務内容・やりがいが最重要、次いで、給料や勤務予定地、福利厚生などが重視されるいう傾向が見えております。また、回答者の3分の1は奨学金を利用していて、奨学金の返済が就職先の決定に少なからず影響をしているのではないかと考察されております。また、学生は地域偏在の問題はよく承知しており、薬剤師不足の地域に卒業直後に就職する意向を持つ学生が30%を占めるという結果です。また、病院での薬剤師不足についても学生の多くは知っており、ただ、給与水準が病院就職の最大の障害となっているという結果が見えてきております。また、卒後直後には都市部に就職を希望する学生のうち、46%は将来的に地方で勤務する意向を示しており、また、卒後直後は高度急性期や急性期病院に就職を希望する学生のうち、76%は将来的には回復期や慢性期病院での就業を考えているという結果になっており、学生は十分に柔軟な将来展望を持つと考察されております。
薬剤師確保に関して、次年度に取組予定の内容を27ページ目のスライドにまとめております。まず、予算事業に関しては、都道府県における偏在対応の推進に資するべく、偏在指標の算出を検討してまいりたいと考えております。また、研究事業については、今年が2か年目、最後の年となりますが、医師においては、キャリア形成プログラムを適用して医師の確保策に取り組まれており、これも参考にしつつ、薬剤師のキャリア形成プログラムの策定について検討を頂くという予定になっております。以上が確保関係です。
続いて、卒後臨床研修に関して、令和3年度に実施した予算事業について概要を御説明いたします。スライド28ページ目を御覧ください。本事業では、卒後臨床研修の効果的な実施に向けた調査検討として、令和2年度に研究事業でまとめられた「薬剤師の卒後研修プログラム」案を踏まえた上で、8つの地域ブロックにおいて、卒後研修をモデル事業として実施しました。事業の開始時期が遅かったこともあり、昨年度は3か月での実施となりました。29ページ目が実施施設と研修者数の内訳をまとめたものです。
31ページ目は、モデル事業の実施結果として、調査検討事業報告書の考察でまとめられた内容です。まず、提案としては、ジェネラリストの基盤育成ということで、薬局や病院といった所属施設の別なく研修を受けるのが適当ではないかとされております。また、急性期医療や慢性期医療に関する薬剤師の役割を一通り体験するという観点から、最低でも1年程度の研修期間があることが望ましいとされております。また、その1年の中でも、最低6か月程度は病棟業務研修を必須とするのが適当とされております。また、病棟業務研修の中では、担当患者さんを持った上で、責任を持って対応・実践する内容をプログラムに含め、チーム医療の中での薬剤師の役割というものを学び、自らの主体的な介入によって、患者アウトカムにどのようにつながっていくかということを経験することが重要ではないかとされております。これに加え、調剤研修の中で、病棟研修の中だけでは学べなかった幅広い診療科・患者の薬物治療に関する理解を深めることが望まれるとされております。さらに、卒後研修実の実施面の課題を下にまとめております。受入れ医療機関側のキャパシティの課題もある中で、卒後研修生を更に受け入れる体制の確保というところが課題の1つとして挙げられます。また、質の確保という観点から、研修施設の認定や指導者の要件等についても検討をしていく必要があります。また、中小病院や小規模薬局では、新規採用者を入職直後に外部研修に出す余力があるのかといった課題もあります。また、研修に係る費用負担の整理というものも必要になるということが課題として挙げられます。
32ページ目です。こちらは令和4年度の調査検討事業として実施を予定している内容です。本年度もモデル事業の実施を予定しております。令和3年度事業の提案も踏まえた上で、今回は、より長期の期間、6か月以上の卒後研修を実施し、その中で病棟業務を3か月程度行うプログラムでの実施を予定しております。また今回は、薬局での在宅業務といった内容についても研修内容に含めることも検討したいと考えております。また、卒後研修の有効性の評価も重要かと思われますので、研修の効果測定も、このモデル事業の中で実施いただくことを予定しております。その上で、卒後研修プログラムを含む卒後研修の実施のためのガイドライン案を作成することを予定をしております。
33ページ目です。こちらが全体のスケジュールとなっておりますが、本年度で各種事業の成果が出そろう予定ですので、これらの結果も踏まえた上で、今後、必要な対応について検討を進めてまいりたいと考えております。駆け足の御説明になりましたが、資料の御説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○西島座長 どうもありがとうございました。ただいま、薬剤師の確保と卒後臨床研修についての取りまとめへの対応状況ということでしたが、これにつきまして御質問・御意見はございますか。藤井構成員、お願いいたします。
○藤井構成員 藤井です。よろしくお願いいたします。こちらのほうの偏在ですが、病院のほうで特に充足率がなかなか厳しいというお話があったのですけれども、入っていただくために何をしていくかということも書かれておりましたが、そもそもでいきますと、入社というか、就職されてからの、いわゆる平均勤続年数はどれほどであったのか、そして退職率、退職理由、そういったものの調査というのをされたのかというのを1つお伺いしたいです。結果として、せっかく入っても勤め続けられる環境がなければ辞めてしまいますので、幾ら入れても出口を締めなければ、なかなかそこは充足するということはないのかなと思いますので、そこをお伺いしたいなというところです。
あとは研修のところですけれども、モデル事業として6か月以上の卒後研修を行うということでしたけれども、この辺りもやはり病院ですので機能別に、急性期、慢性期、回復期であったり、そういったところで研修をするというような機能別での研修予定があるのか。また、機能別にやったことによっての研修の効果測定というものも是非御検討いただければと思いまして、発言させていただきました。
○西島座長 ありがとうございました。事務局から、それでは今のことについてお答えをお願いいたします。
○医薬・生活衛生局総務課国際医薬審査情報分析官 御質問、どうもありがとうございます。まず1点目の確保事業における調査内容についてですが、今回の調査の中では、勤続年数や退職率といったところまでは調査しておりません。一方で、過去3年間に採用した薬剤師、及び過去3年間に退職した薬剤師の属性等の調査は、今回のアンケート調査の中に含まれております。本日の説明スライドには量も多くなるため取り上げておりませんが、報告書の中には、そういったところのデータも含まれておりので、御参照いただければと思います。
研修事業に関しましては、これからちょうど実施していこうという状況ですので、委託先が決まり次第、御指摘のあったような点も踏まえまして、検討を進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございます。
○西島座長 よろしいですか。安部構成員、お願いいたします。
○安部構成員 資料説明、ありがとうございました。こういった調査で、薬剤師不足や偏在に関して何となく思っていたことが、数字で表され整理されたことは非常に良かったと思っております。その上で、資料について、ちょっと感想的なこととか、薬剤師として思うようなことを申し上げたいと思います。まず5ページを見ていただきますと、薬剤師不足の認識についての記載がございます。これを見ると、都道府県薬剤師会は薬局について、都道府県病院薬剤師会は病院について不足しているという認識がしっかりありますと。つまり自分事の部分はしっかりと認識しているということであります。都道府県の行政については一定の認識をしている、半分ぐらいの認識をしているなというところで見ておりますけれども、やはり今後、薬剤師の確保については、特に病院薬剤師さんも含めて、医療計画の中で、しっかりと医療従事者の確保という中で薬剤師を確保していただくことが必要だということがございますので、この都道府県行政の認識を上げていただくということが、医療計画上、薬剤師の雇用に関して、地域医療介護総合確保基金などを活用する上でも非常に重要なのだなと思ったところでございます。そういった意味では、今、8次医療計画の議論をしておりますけれども、医薬・生活衛生局も医政局と連携をして、しっかりそこは後押ししていただきたいと思います。
次に、ちょっと感想的なことになりますが、15ページを見させていただくと、薬剤師の就業形態が男女、病院、薬局で分けて示されております。この表だけを見ると、数字はなかなか読みづらいわけでありますが、薬局では18万人の薬剤師が働いており、そのうち女性は11.9万人、男性が6.1万人と、2対1ぐらいであります。女性の12万人のうち、常勤は6万8千人で非常勤が5万1千人、これは四捨五入の関係で、ぴったりは合いませんが、女性の非常勤薬剤師が5万1千人いるということであります。男性は6万1,000人のうち常勤が5万4千人で、非常勤は7,500人であります。5万4千人いる病院薬剤師の中で、女性は3万4千人、男性が2万1千人であります。その女性のうち、常勤が2万8千人、非常勤が5千人、男性は常勤が2万人で非常勤が1,000人以下というのが、年齢別にこの15ページに示されているわけであります。開局薬局も病院薬局も、女性が多く、言ってみれば女性に支えられている職場であるということと、それから女性の非常勤薬剤師が開局で5万人、病院では5,000人と非常に多い人数がいるということであります。
そういった意味では、女性のライフイベントを踏まえ、薬剤師としてのキャリアを積み重ねる上で、女性が働きやすいような環境、休職後の研修ですとか、子育てとかは男女平等が原則ではありますが、そういったことの環境を整えるということも、薬剤師不足、偏在を解消する上では非常に重要なポイントかなと思ったところであります。
続きまして、12ページと23ページに関連してです。この会でも、薬学部の学生の奨学金が非常に縛られているのが問題だと指摘されたところでありますが、この数字を見ると35%ぐらいの学生が奨学金を利用しているということであります。ただ、一般にその他の学生の数字を見ると50%近いという数字も出ておりますので、必ずしも薬学部の学生だけが奨学金の割合が高いわけではないと。6年制ですから金額は多少高くなるかもしれません。
一方、12ページにあるように、出身地に勤務する薬剤師が、開局・病院ともに相当の割合を占めるというようなデータが示されていて、これは非常に興味深いと思っているところです。薬剤師が不足している地域などで、出身者に奨学金返済などの確保対策を実施することで、県外で就学した薬学生が自県にUターンするというようなインセンティブの中で、奨学金等を返済する支援などをするということは有効なのではないかなと思っているところでございます。
先ほど申し上げたとおり、そのためにも、都道府県行政において、医療計画の医療従事者の確保という観点から、薬剤師に関する確保をしっかり都道府県が自分事として認識してもらって、こういった学生がUターンして地元に帰ってくるということに関しても、しっかりつなげていく必要があるのではないかと思っております。
最後になりますが、確認も含めてですが、卒後臨床研修の効果的な実施のための調査検討事業についてです。28ページの背景にもありますように、卒後臨床研修の実施については、共通のカリキュラムがなくて、実施体制も施設ごとに独自で、卒後研修のモデルがないということから、今回の令和3年度事業の研究に着手していただいたわけであります。
31ページには、卒後研修に対する調査検討事業の報告として、4項目の提案と、その上での課題が整理されたということは大変評価するところでありますが、ここでちょっと事務局に確認させていただきたいのですが、この報告と課題については、あくまで現段階で研修制度はこのようにするのだというような意見ではなくて、研究班の中での取りまとめであったり、令和4年度モデルの事業を構築する上のプロセスであると、私は思っているのですが、そういう認識でよろしいかを確認したいということが1点、これは後でお願いします。
それから、27ページに令和4年度の取組内容が予定として記載されております。日本薬剤師会としても、5月に策定した政策提言の中で、卒後臨床研修の在り方については、キャリアパスに応じた義務化も含めて検討すべきと提言をしているところであります。その前提として、卒前の実務実習を、チーム医療を基盤とする患者ケア主体の卒前実習に見直すことが必要であるということや、また卒前実習後、6年生のときに、国家試験対策に追われて受験勉強ばかりしているというような状況がないよう、その時間に研究でありますとか臨床実習が可能となるような見直しも必要かと思っております。この27ページの事業・研究につきましては、日本薬剤師会としては、しっかり協力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。1点だけ確認をお願いします。
○医薬・生活衛生局総務課国際医薬審査情報分析官 御質問、どうもありがとうございます。卒後研修に関する31ページ目の記載の理解でございますけれども、ただ今、安部先生からご指摘いただきましたように、この方針で進めていくというものではなく、あくまでこの調査検討事業の中で出てきた考察といったところでございます。ここで出されている提案ですとか、あと、今年度実施する事業等の結果も踏まえた上で、また31ページに挙げているような課題もございますので、総合的にどのようにしていくかというのは、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。
また、医療計画に関する御指摘に関しましては、ちょうど今、第8次医療計画の検討が進められておりまして、そちらの会議の中でも薬剤師の確保に関する内容の御指摘がございました。今後、医政局とも連携をした上で、医療計画の作成指針への反映など、検討を進めてまいりたいと考えております。ありがとうございます。
○西島座長 ありがとうございます。大変時間が迫っておりまして、手が3つほど挙がっておりますが、手短に御意見をいただきたいと思います。政田先生、お願いいたします。
○政田構成員 すみません、手短に言います。薬剤師確保なのですけれども、皆様方御存じのように、日本の人口当たりの薬剤師数というのは、欧米の2、3倍はあります。前の議題であったように外部委託もいいのですけれども、海外でやっているようなテクニシャン制というものが、0402通知で、要するに薬剤師以外の職員の活用というのがあって、日本はどうしてテクニシャンを活用しないのか。外部委託よりも私はそのほうがいいと思うのです。
テクニシャン制を敷くということと、それともう1つは卒後研修も、私は大学にいて、6年間の間で臨床研修はたったの11週が病院ですよね。では6年間の間にそれができないのか、卒後にわざわざやらないといけないのかという議論がないと思うのですよ。昔の4年制のときですら、私の知っている限りでは、大学によっては、カリキュラムをどうにかして半年とか4か月とか大学病院にずっと行かせていたというような大学もあったと思うのですね。だから、その辺を6年間の間でそれができないのか。できないのであれば、なぜできないのか。せっかく6年になって2年増えているのですからね。
それと、先ほどの宮川先生がおっしゃった、地域連携のときについてこられない薬剤師というのは、臨床研修をちゃんとしていないからだと思うのですね。こんなついてこられない薬剤師がいるということ自体が、それはもうテクニシャンだと思うのですよ、そういう薬剤師は。だから、そういうこととか、根本的なことをもう一度、一から考え直さないと、6年制になって、今度コアカリも変えようというときに、もう一度しっかりと、なぜ6年制にしたのかと。
分業も、日本の医薬分業が本当になっているのか。私が思うのは、院内処方箋を発行しただけで、はっきり言って本当の意味の分業になっているのかというのも疑問な人がたくさんいると思うのですよ。だから、その辺のこととかが、やはりドクターのほうからの、要するに疑問もたくさんあって。今月号かな、日経DIで検査値の特集をやったと思うのです。あれは私が10年前に福井で一番初めに出したときから、ずっとやっているのですが、いまだに国立大学でも3分の1が出していないです。あの記事の中を見ると、お医者さんが出したけれど、2年かな、1、2年出したけれども薬剤師から何のレスポンスもないと言っているお医者さんもいらっしゃいます。薬剤師のほうは薬剤師のほうで、私の知らない検査値が出てくるけれども、こんなの分からないとか、そんなの勉強しろよというのですよね。だから、そういうふうなので、今の薬剤師が本当に薬剤師職務を、6年制の薬剤師職務を果たしているのかということも、もう一度考えながらやっていかないと、やはり卒後臨床だって、ちゃんと6年間の中できっちりとやらないといけないと思うので、それが足らなければ卒後臨床をやってもいいと思うのですけれども、その辺のこととかがちょっと曖昧になっているのではないかなと思っているので、ちょっと一言、言わせていただきました。以上です。
○西島座長 ありがとうございました。それでは山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 ありがとうございます。まず、偏在の問題ですけれども、私は医師需給分科会にずっと関わっていまして、やはり出身地の地域枠でも、その地域への定着率が高いというエビデンスが出ていますので、そういったことをやはり薬学部の中でも考えていく必要があるのではないかと思います。ただ、薬学部のない県が存在しているということからすると、それもできない地域もあるということは考えなければいけないと思っています。
それから研修ですけれども、先ほど政田構成員がおっしゃったように、私は今の6年間の中での実習では不十分ではないかなと思っておりまして、だとすれば、やはり臨床に出る前の研修ということが必要ではないかなと思っています。やはり患者としても、病院の業務をしっかり理解した上で患者に対応してもらいたい。なので、もし6年間の中で、更に充実した実習ということができないのであれば、卒後研修が必要ではないかと。ただ、全員がするというのは人数的にかなり無理があると思いますので、例えば将来的に管理職になるとか、一定の要件の方に限定するとか、そういったことも考える必要があると思いますが、少なくとも今の病院実習では不十分で、そこを充実するか、あるいは卒後研修ということをしていただくことが、患者の安心にもつながると思っております。以上です。
○西島座長 御意見、ありがとうございました。それでは武田構成員、お願いいたします。
○武田構成員 西島先生、ありがとうございます。コメントを1つとお願い2つを申し上げます。まず8ページですが、これは薬剤師の偏在の実態というところで、医療機関別に充足度とか充足感が出ておりますけれども、例えば回復期機能、慢性期機能病院では、「全く足りていない」や「足りていない」の比率が小さくて、「足りている」という比率が多くなっていますが、恐らくは薬剤師が少なくて、病棟業務が展開できないという前提の下で、現在の業務展開で充足していると回答されているのではないでしょうか。
さらに、病床数が200床以上や400床以上の施設で「非常に足らない」というのは、病棟業務をしっかり展開されようとしておられるので、より充実させるために薬剤師が少ないというように回答されているように思います。一概に、病床数とか機能別に充足率を調べても、その実際の業務の展開内容を加味して比較していただかないと、なかなか実態は把握できないのかなというのがコメントでございます。
そしてお願いですけれども、先ほど安部構成員のほうからもありましたが、行政と医療現場で、充足率、充足度合いについての認識が大きく違います。薬剤師確保に関して厚生労働省のほうで示していただいているのが地域医療介護総合確保基金を薬剤師確保についても利用できるということですが、実際にこれを進めるためには、行政の協力が必要で、行政側が薬剤師不足や偏在を認識していただくことが重要です。何らかの形で厚生労働省のほうから地方行政へご周知いただきたいというのが1点でございます。
もう1点は、先ほどの処遇のことなのですけれども、調査結果によれば20代、30代は病院薬剤師の給与が薬局薬剤師の給与より少ない。それが病院薬剤師不足に関与している可能性があるならば、例えば、年代別に給与がどう変化していくのかということと、生涯収入がどうなのかということを、職種別に調査をしていただいて、職種別の給与の変化についても、併せてデータを取っていただければと思います。
加えて、病院薬剤師についても病院種別にご検討いただければと思います。例えば国立大学病院や国立病院機構、自治体病院などに勤めている薬剤師の給与は、大体、俸給表に従っています。そうすると初任給は医療法人の病院に比べて低い状況になっていると思われます。このように病院薬剤師の中でも給与格差というか偏差が大きいので、病院種別でも解析をしていただけると有り難いという、お願いでございます。以上です。
○西島座長 ありがとうございます。それでは最後に野木構成員、手短にお願いしたいと思います。
○野木構成員 時間も押していますので、簡単に言いたいと思います。これは26ページを見ていただくと分かるのですけれども、結局、現状はもう全部出ているわけですよね。これに向けてどうするかということを、やはり厚労省には考えていただきたいと思います。基本的に言えば、学生さんが薬剤師の国家試験に落ちたら予備校の費用を出しますとか、奨学金を肩代わりしますとか、そういう薬局もあるわけであって、やはり皆さん当然そちらに流れるのは当たり前の話なので、現状において四病院団体はそうでも、高度急性期、急性期病院には本当に薬剤師さんがいないというところが大きな問題になっていますので、やはり厚労省としても、こういう所に、例えば偏在の場所に行くとか、高度急性期に行くとかいうところは奨学金を免除するとか、半分にするとか、何かそういう条件を付けていく。それから高度急性期に行くと、何らかの資格を与えていくというようなことをやらないと、これはもう解決しないと思います。そこまで本当にやる気があるのかどうかというところは、正直見ていきたいと思っています。以上です。
○西島座長 ありがとうございました。
○宮川構成員 文科省にお願いしたいということがあります。問題なのは医学部では6年でできています。なぜ薬学部でできないのか、これはちゃんと考えていただきたい。卒前教育はできるはずなのです。医学部でも全部やっています。もう卒業するときには、ある程度は実践的なことができているということなので、文科省はできないはずはないのだということでやらないと、こういう問題は根本から解決しないということが第1点です。
私はとんでもない話を言うかもしれませんが、管理薬剤師の要件とは何でしょうかということを考えたいと思います。実務経験の中に、いわゆる病院の薬剤部を経験したというところが、1項目でも1年でも入れば、これは、病院薬剤師はある程度充足しながら地域医療を守ることが出来ます。例えば地域連携薬局や専門医療連携薬局などの経験を要件の中に導入する。地域の中で機能が進むので、そういう要件が管理薬剤師の要件の中に入るかどうかということも、これはすぐでなくていいのですが、今後考えていただくことが非常に重要なことになるかもしれません。コメントさせていただきました。以上です。
○西島座長 ありがとうございました。まだいろいろあるかと思いますけれども、ただいま事務局からの説明で御意見をいただきまして、構成員の方からいろいろな意見が出たのですけれども、引き続き対応を進めていくよう、事務局のほうにはお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、既に時間が過ぎてしまっておりますけれども、3つ目の議題に移りたいと思います。3番目は、「6年制過程における薬学部教育の質保証に向けた方策に関するとりまとめ」についてです。これにつきまして、事務局のほうから資料に基づいて御説明をお願いします。時間がありませんので、簡単になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
○文部科学省医学教育課 それでは、資料3-1、3-2について御説明いたします。本年1月の本検討会においても一部は御説明させていただきましたが、昨年6月の検討会のまとめも踏まえ、現在、文科省の「薬学系人材養成の在り方に関する検討会」において検討を進めているところです。モデル・コアカリキュラムについては、「薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会」を設置しており、本年の秋頃までに改訂を進める予定で検討を行っております。また、薬学部教育の質の確保については、「薬学部教育の質保証専門小委員会」を設置しており、現在、検討を進めております。本専門小委員会については、本年1月の本検討会の際にも、書面調査の結果に基づいて選定した13の大学、薬学部に関するヒアリングの状況や課題についてまとめたものを、中間とりまとめとして報告をさせていただいたところです。また、この中間とりまとめに基づき、その後、学生や卒業生、新設大学、医学・歯学教育、薬剤師確保の状況などに関するヒアリングも実施し、ヒアリングを含めてこれまで9回にわたって検討を行ってきたところです。この結果を先日、6月30日に公開にて開催しました本専門小委員会において、「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ(素案)」ということで、資料3-2を用いて報告をさせていただいたところです。本日は、その資料を基に概要をまとめた資料3-1により説明させていただきたいと思います。
「1.はじめに」があり、その次の「2.薬学部教育の現状と課題」から説明させていただきたいと思います。まず、平成18年度に制度化された6年制薬学教育ですが、その後も含めて薬学部数が増加した状況でして、平成30年度から令和3年度にかけて、公立大学、私立大学の新設が行われている状況です。平成20年度には入学定員が最大となって、その後、若干定員自体は減少をしている状況です。また、私立大学薬学部の志願倍率などについて減少傾向が最近では続いており、入学定員の充足率が80%以下の大学も3割に達している。また、標準修業年限内(6年)での国家試験合格率は、大学間のばらつきが大きいといった状況になっているところです。
今回、素案としてまとめております、「3.今後の薬学部教育の改善・充実の方向性」ということで、(1)~(4)まで主なものを抜粋してこちらに記載をしております。1つ目として、入学者選抜の在り方ということで、薬学を学ぶために必要な一定の知識を確認する試験や面接等の組合せにより、入学志願者の将来の医療人としての資質・能力、意欲や適性などをきちんと評価する必要があるという点。
また、前回の検討会でも話題になりましたが、入学定員に関する取組については、現在、6年制課程の薬学にかかる学部・学科の新設及び収容定員増については、学校教育法やその下にあります大学設置基準などの法令に適合していれば原則として認可されるという状況ですが、その原則を改め、抑制方針をとることとし、速やかに制度化を進める必要があると。また、その場合、薬剤師の偏在も一方で議論になっておりますので、各都道府県の医療計画などにおいて、薬剤師不足など、将来的に当該地域における人材養成の必要性が示され、かつ、他の都道府県との比較において薬剤師の確保を図るべきであると判断できる場合には、上記の例外として取り扱うことが適切ではないかといった御意見がありました。
また、(3)教学マネジメントということで、教育面の課題についていくつか指摘がありました。ア)から簡単に申し上げますと、在宅医療を含む地域医療、薬剤師の偏在に関する教育プログラムの策定とか、こういったことを通して薬剤師の果たす役割に関する教員、学生の意識をもっと醸成していく必要があるのではないか。それから、進路指導等に関して、その内容においては少し議論になっておりますが、地方自治体等による奨学金制度や卒後のキャリア形成支援の取組などの一層の充実を図るとともに、大学においてもその取組を学生に対して十分周知していく必要があるのではないか。FD/SD、教学IRといった教学面の調査・分析などについて、もっと充実させていったほうがいいのではないのか。それから情報の公表、第三者評価への対応といった内容が含まれております。
最後に、「4.おわりに」で、薬学教育の質の改善・充実のためということで、関係者がより一層連携しながら、取りまとめの対応策を着実に実行していくことが必要だろうということで、この素案を示して議論を現在続けているところです。
今後のスケジュールとしましては、7月下旬に、前回6月30日の意見を踏まえた議論を再度行い、8月中旬に親会に当たります、薬学系人材養成の在り方に関する検討会に報告して、取りまとめという方向に向かって進めていきたいと思っております。手短ではありますが、以上です。
○西島座長 ありがとうございました。時間がなくなって申し訳なかったのですが、ただいま御報告いただいたことについて、御意見、御質問がありましたらお願いします。安部構成員、お願いします。
○安部構成員 文科省では、踏み込んだ取りまとめをしていただき、ありがとうございます。それは感謝したいと思っています。そこで確認ですが、参考に今後のスケジュールがあるわけですが、具体的にこの取りまとめが行われた後、多分、2番目の入学定員に関する取組などについては、例えば医学部・歯学部については、政策的な決定も行われ、閣議決定や大臣確認などを行っているわけですが、そういったことについては、お考えはどうなのかという質問が1点です。
もう1点、今回の抑制方針について、例外規定が設けられていますが、これについては、厚生労働省としっかり連携をして、「医療計画等」とか、様々な所に「等」が付いているのですが、決して、そういったところが乱用されて、幅広く例外規定が適用されることがないように、ここはしっかりと対応していただきたいと。これは要望です。
○西島座長 文科省お願いします。
○文部科学省医学教育課 お答えいたします。まず1点目の御質問ですが、抑制方針を採ることになりました場合には、その後、関係する告示というものがありますので、告示の改正の手続を進めることが想定されます。これは担当の審議会の議論を経たり、パブリックコメントなどの所要の手続を行っていく方向になるかと考えております。
また、例外規定の運用については、前回、6月30日の小委員会においても様々な議論かありましたので、ここも小委員会の議論、更には本日の議論もありましたので、その点も踏まえて、また検討をしていきたいと考えております。以上です。
○西島座長 それでは武田構成員、お願いします。
○武田構成員 こちらも非常によくまとまっているという印象を受けます。ありがとうございました。2点あります。取りまとめの素案を見させていただいているのですが、2ページに、入学定員充足率が80%以下となる私立大学は3割近くに達しているということで、それに対して、4ページの(2)の4つ目の○の後半ですが、「また、定員未充足の大学に対しては…」とあって、「メリハリある財政支援等により、適正化を進めていく必要がある」と記載されています。確かにそういう視点で定員の適正化を図るのも必要なのかもしれないのですが、例えば大学によっては資質の高い学生さんを選抜して入学させようとしたときに、その学生が結局のところ他校へ入学することによって定員割れを引き起こす大学もあると思います。それを無理して、定員を埋めるために、資質の低い学生さんまで追加募集して入れてしまうというようなこともありますので、一概に定員未充足の大学に対してと決めてしまうのはどうかというのが1点です。むしろ、入学者の実質競争倍率が低い大学が問題なのではないでしょうか。もう少し考えないといけないのではないかと思ったところです。
もう1点は、6ページ、イ)の学修成果・教育成果の把握の所ですが、これは3つ目の○で、カリキュラム・ポリシー等々が書いてあって、一番下に「必要に応じてカリキュラムの改善・充実を図る」とあるのですが、もちろん、このカリキュラム・ポリシーの中には、知識・技能・態度、全てを含むことでしょうから、実務実習のことも当然含まれているとは思うのですが、先ほど来、宮川先生もおっしゃっていますように、卒前の実務実習をカリキュラムの中でもう少ししっかりと取り組む必要があるのではないかと思うので、もし可能であれば、より実務実習の充実であるとか、あるいは期間の延長のことについても検討するとか、そういった実習に対する文言をしっかり入れていただくと有り難いと感じたところです。以上です。
○西島座長 そのほかよろしいでしょうか。宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 手短に。文科省の方にお願いですが、とにかく大学にいる在校生の数、つまり定員に比べて停留している学生が非常に多いことに懸念しております。大学を出られないとか、留年するとか、国家試験を受けられない、定員のどうのこうのというよりは、そちらのほうがよほど大事なので、それが学校の質を的確に表しているのではないかと思いますので、是非、そのところはしっかりと把握していただいて、それを年次に必ず出していただく形で、大学の評価というものをしていただきたいと願っています。ただ、それが進んでいくことになれば一番世の中にとってわかりやすいことになりますそれをもとにして、適切に指摘して指導していくことが非常に重要なのではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○西島座長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。多分、まだいろいろ意見があると思いますが、この検討会で議論されたことを基に、文科省でこのようなことで更に議論を深めていただいていると私は思っており、これからもこの検討会と文科省のほうの検討会とでは、連携をしながら議論を進めていければいいと思っています。
それでは、時間がなくなり申し訳ありませんが、以上で本日の3つの討論、議論を終わりたいと思います。最後に、事務局から何かありますか。よろしくお願いします。
○医薬・生活衛生局総務課薬事企画官 先生方におかれましては、長時間御議論いただきまして、誠にありがとうございました。1点だけ、ワーキングの取りまとめについてですが、今日、先生方に頂いた御意見を踏まえて、厚労省のほうでも検討を進めていくことになると思いますが、今後の進め方については、ちょっと引き取らせていただいて、改めて御相談させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○西島座長 そのほか、よろしいですか。それでは、本日の検討会は以上で終了します。構成員の先生方、どうもありがとうございました。
参照
厚生労働省ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 医薬・生活衛生局が実施する検討会等 > 薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会