(文教・科学技術、社会資本整備、地方行財政)
Table of Contents
1.文教・科学技術
(1)科学技術立国の実現、大学改革
- 成長と分配の好循環の実現の観点から、科学技術立国の実現を通じて、何を達成していくのか、優れた研究・人材をどう伸ばすのかについて、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)はできるだけ早期に明確化するとともに、それに対する適切なKPIを設定し、その実行・評価を推進すべき。
- イノベーション基盤としての大学改革は極めて重要。来年度からの中期目標期間における国立大学運営費交付金の客観・共通指標による成果に基づく配分や、私立大学等経常費補助金の配分に当たっては、教育研究の多様性や成果、博士課程の充実、大学改革等、教育と研究の質の向上に重点を置き、客観的に取組が比較できる指標により、メリハリ付けを強化すべき。
- 大学ファンドについても、外部資金の拡大と合わせ、大学経営、研究の質を考慮し、できるだけ客観的に評価できる取組に基づいて徹底したメリハリをつけて配分すべき。その際、ガバナンス改革や大胆な若手研究者支援を制度化するとともに、研究の評価や支援人材の配置を含め研究支援を強化すべき。
- 大学人材の面でも、若者・女性の活躍を徹底して推進すべき。内部登用ではなく公募による大学人材への女性登用、競争環境を確保した上での研究費の若手研究者への重点的配分、理系女子の枠の拡大等を推進すべき。
- デジタル時代に求められる人材育成に向け、社会人のリスキリングと学び直しが急務。課題とされている、そのための時間の確保や費用面での支援、修了資格の評価の在り方、ニーズにあった高等教育のフレキシブルな提供等の改善に向け、産学官連携と大学改革を推進すべき。
- スタートアップと協働するオープンイノベーションに対しインセンティブ措置を講じるなど、産学連携等による研究開発、イノベーションのビジネス化を強力に支援すべき。
(2)初等中等教育
- 才能や個性を育む個別最適な学びや協働的な学び、学習環境の格差防止を実現するため、全国の小中学校で一人一台端末が有効にフル活用されるよう、教員のICTリテラシーの向上と業務負担の軽減、通信回線の遅れ・切断の回避、持ち帰りによる端末利用環境の改善、デジタル教科書・教材の端末と一体となった普及といったボトルネックを速やかに解消すべき。
- 小学校における少人数学級、高学年の教科担任制による教育効果を効率的に上げるため、現職教員の柔軟な分担・配置や外部人材の登用、地域との連携の進め方を現場に周知するとともに、統合型校務支援システムの導入・活用等による事務負担軽減を強力に支援すべき。
- これらの政策が教育効果の向上につながるよう、一人一台端末で取り扱うデータ等の標準化・蓄積を進めて、取組の成果を検証するなど、エビデンスを充実・活用すべき。
(3)スポーツ・文化芸術
- 東京オリンピック・パラリンピック後のスポーツが、民間活力やデジタル技術・データ活用等を通じて成長産業にもなり、地域活性化にもつながるよう「第3期スポーツ基本計画」で野心的な目標を設定し、KPIを掲げて具体策を強力に推進すべき。
- 文化芸術立国に向けて、地域の文化、芸術の付加価値創造の方策・KPIを、感染症を踏まえて見直し、「文化芸術推進基本計画」(2018~22年度)の年度内の中間評価において明らかにすべき。
2.社会資本整備
(1)社会資本整備の計画的・効果的推進
- 人手不足、建設資材の高騰などに直面する建設現場の生産性向上は喫緊の課題。2016年に「2025年度までに建設現場の生産性の2割向上」がコミットされたが、進捗は順調とは言えず、賃上げ原資となる付加価値の上昇も緩やか。目標の再検討を含め、進捗の遅れている中小建設業等におけるICTの活用、インフラDX等の全国展開等を徹底して推進すべき。
- 都市のコンパクト化、広域連携による集約・再編、災害リスクエリアの特定・利用回避、予防保全など、自治体の維持管理費縮減につながる取組が促進される支援を行うべき。また、今後明らかにされる10年程度の維持管理・更新等に係る経費を踏まえ、地域の類型に応じた老朽化対策や集約対策、必要な財源等を明らかにし、取組を加速すべき。
- 都市のコンパクト化や広域化・自治体間連携の取組が、デジタル化・グリーン化等の取組と合わせて前向きに進むよう、各自治体によるそれに相応しい立地適正化計画について、早期作成を支援すべき。予防保全型のメンテナンスについては、中核市が起点となって周辺自治体等と一体となって進める広域的な取組を、KPIを設定して支援するなど、更なる拡大を推進すべき。
- 再エネ拡大に必要なエネルギー供給網や電源への投資を、規制改革等の取組とあわせて、実現可能性も踏まえつつ、積極的に引き上げていくべき。
- 官民連携によるインフラ整備について、対象分野が限定的、自治体の取組に偏りが存在、推進の中核となる地銀の巻込みが不十分、といった課題がある。
- 令和4年度以降のPPP/PFIの中期の計画を早急に策定し、野心的な目標、重点分野別の取組方針とKPI等を具体的に掲げ、地銀等を巻き込みながら、大胆に推進すべき。
- PPP/PFI業務にデジタル技術を活用し、民間参入を促進すべき。課題を洗い出し、インフラDX化、行政府の業務のデジタル化と合わせて課題解決すべき。
- 上下水道、文化・スポーツ施設、公民館や公園は、民間の新たな知恵を呼び込みPPP/PFIが積極的に活用され普及するようにすべき。また、民間で巨額な重複投資(基地局)が行われている分野にもPPP/PFI導入の可能性を検討すべき。ESG投資の重要性が指摘される中では、樹木採取権制度の有効活用も促し、林業を成長産業化すべき。
(2)社会資本整備のデジタル化・スマート化
- 連携型インフラデータプラットフォームは、地方自治体・民間を含めたデータ連携の拡大、オープン化するデータの拡充、利便性の向上の取組を強化した上で2022年度に本格稼働させ、インフラ維持管理の最適化による生産性向上を実現すべき。
- 個別施設計画の様式やデータ、見える化の取組、整備・維持管理の在り方のバラツキを計画的に解消すべき。長寿命化対策の効果が明らかになるよう、施設整備費や維持管理・更新費の見込みについて、横断的な把握・比較を強化すべき。
- スマートシティの2025年度100地域構築目標の達成に向け、個人情報の取扱いの解釈周知、人材育成等によりデータ連携基盤の実装を支援するとともに、都市の課題解決や住民満足度の向上、財政効果等の導入メリットの見える化を強化すべき。
(3)国土強靭化
- 防災・減災、国土強靱化の取組を効果的に推進するため、単年度主義の弊害是正の視点を踏まえ、「5か年加速化対策」に基づき、中長期の目標に向けた包括的な進捗評価とその結果の反映を毎年度行い、PDCAを徹底すべき。
3.地方行財政改革
(1)コロナ対応の検証と国と地方の連携改善
- 令和4年度予算において、地方一般財源の総額については、2021年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保すべき。また、感染収束後、早期に地方財政の歳出構造を平時に戻すこととされており、来年度から段階的に着手すべき。
- コロナ対応として行われた国から地方への財政移転の規模や内容が適切なものであったかについて、事業の実施計画や地方公共団体の決算等も踏まえて、見える化としっかりとした検証をすべき。特に、地方創生臨時交付金等、地方自治体の自由度が高い予算措置について事業の使途の比較検証を行うこととしているが、その他、令和2年度補正における地方創生に係る経費についても、包括的に検証すべき。
- 国と地方自治体、自治体間の関係等については、「今回の感染症対応で直面した課題等を踏まえ、地方制度調査会等において検討を進め改善に向けて取り組む」、「国と地方の新たな役割分担について、行政全般の広域化についての具体的推進、地方自治体間の役割分担の明確化の観点から、法整備を視野に入れつつ検討を進める」こととされており、早急に着手すべき。特に、感染症への機動的な対処が可能となるような国と地方自治体、都道府県と指定都市などの役割分担や連携等については、自然災害時における対応等も参考に、早急に検討すべき。
(2)地方公務のデジタル化と新しい公務の在り方
- 少子化などによる人的リソースの確保、様々な暮らしの課題に対応する必要性など、地方公務員を取り巻く業務環境は厳しくなっていく一方であり、デジタル時代にあって、業務の効率化、簡素化を進めることが必要である。このため、地方分権改革有識者会議において、国・県・市町村間の紙ベースの行政手続きの重複を一括検証すべき。
- デジタル化に向け、必要な制度改革、予算措置等を講じ、今後3年間で徹底改革すべき。
(3)関係人口の拡大とデータによる捕捉
- デジタル化を活用し関係人口を拡大することが地域活性化のカギ。兼業・副業の取組を推進している企業と地方自治体との連携を通じた、人材や経営リソースのマッチング等も強化すべき。また、ビッグデータ等を活用し、二地域居住等の新しい暮らし方を含め、自治体を巡る関係人口を捕捉し、政策に生かしていくべき。
参照
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