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新経済・財政再生計画改革工程表2021―概要―

  • 改革工程表は、政府の方針*の下で、新経済・財政再生計画に掲げられた主要分野ごとの重要課題や歳出横断的な課題への対応とKPI、それぞれの政策目標とのつながり等を明示することにより、目指す成果への道筋を示すもの。
  • 本年改定においては、(1)各施策の推進状況を点検・評価、(2)「経済財政運営と改革の基本方針2021」及びその後の政府方針、(3)「経済・財政一体改革エビデンス整備プラン」に基づく検討を踏まえ、各施策の改革工程を具体化。

*「危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期します。経済あっての財政であり、順番を間違えてはなりません。経済をしっかり立て直します。そして、財政健全化に向けて取り組みます。」(第207回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説(2021年12月6日))

新経済・財政再生計画改革工程表2021

<主要分野ごとの取組>

社会保障
  • 地域医療構想
  • 診療報酬改定
  • かかりつけ医機能
  • 後発医薬品
社会資本整備等
  • 老朽化対策
  • デジタル化・スマート化
  • PPP/PFI
  • スマートシティ
地方行財政等
  • 自治体DX計画
  • AI・RPA導入
  • 地方自治体の多様な広域連携
文教・科学技術
  • 大学改革・教育の情報化
  • 科学技術立国
  • スポーツ施策の推進

<歳出横断的な取組>

中長期的視点に立ち、民間活力を引き出すため、適切かつ効果的な「賢い」支出を推進

  • 多年度にわたる基金事業の効果的な実施
    • 財政の単年度主義の弊害を是正し、国家課題に計画的に取り組む。科学技術振興、経済安全保障、重要インフラ整備等の基金事業について、エビデンスに基づく政策立案(EBPM)の手法を取り入れた継続的な政策改善(PDCA)の枠組みを2021年度末までに構築
    • その枠組みに基づく評価を2022年度以降実施。

社会保障

2022年から団塊の世代が75歳以上となる中、メリハリのある診療報酬改定効率的な医療提供体制の整備などの改革を着実に進め、社会保障の質の向上と国民負担の軽減を目指す。こうした取組は、持続可能な全世代型社会保障の構築を通じて、将来の安心の確保と消費の拡大にもつながることで、成長と分配の好循環を実現するためにも重要。また、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸し、75歳以上とすることを目指し、生活習慣病や認知症の予防など、予防・健康づくりを推進する。

地域医療構想の実現

2021年の医療法等改正を踏まえ、第8次医療計画における記載事項追加(新興感染症等対応)等に向けて、「基本方針」や「医療計画作成指針」の見直しを実施。また、各都道府県において第8次医療計画の策定作業が2023年度までかけて進められることとなるため、その作業と併せて、2022年度及び2023年度において、地域医療構想に係る民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の策定や検証・見直し、検討状況の定期的な公表を求める。

2022年度診療報酬改定における対応

更なる包括払いの在り方、医師及び薬剤師の適切な連携により一定期間内に処方箋を反復利用できる方策、医師の働き方改革、かかりつけ医機能に係る対応等について、2022年度診療報酬改定において必要な見直しを検討。

かかりつけ医機能の明確化

かかりつけ医機能の明確化と、患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について、2022年度及び2023年度において検討する。

後発医薬品の使用促進

後発医薬品の使用割合目標について、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性確保を図りつつ、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上」とするKPIを新設(注1)。KPIの達成に向けて、後発医薬品調剤体制加算等について2022年度診療報酬改定における必要な見直しの検討や信頼性向上のための立入検査等を実施。

(注1)後発医薬品の使用割合(NDBデータ2020年3月時点):全国平均は77.9%。90%近い使用割合の県もある一方、32都道府県で80%未満。

社会資本整備等

人口減少が進む我が国において、社会資本整備や地方行財政におけるデジタル技術の徹底活用は、住民サービスの質・量の向上に必要不可欠。距離を問題としないデジタルの利便性を生かして広域連携を進めるとともに、民間資金やノウハウを十分に取り込み、インフラ老朽化対策、災害に強いまちづくり、グリーン化の実現等に効果的に取り組む必要。地方のデジタルインフラ投資の推進は、全ての方がデジタル化のメリットを享受できる社会の実現にもつながる。

予防保全型の老朽化対策、デジタル化・スマート化の推進

2022年度内に、個別施設毎の維持管理・更新の具体の対応方針を定めた個別施設計画の100%策定を進めるとともに、インフラの定期的な点検・診断、必要な修繕等の実施によるメンテナンスのPDCAサイクルを確立・実行し、予防保全型の老朽化対策へ早期転換。並行して、2022年度に個別施設計画の標準化に向けた取組を実施。また、インフラデータの有効活用のため、2022年度に連携型インフラデータプラットフォームとしてデータ連携を開始するとともに、各インフラ分野の維持管理データベースの構築に向けた検討等を進める。

PPP/PFIの推進

2022年春に新たな事業規模目標を設定するとともに推進方策を拡充、PPP/PFIが活用される地域と分野を大幅に拡大。また、「優先的検討規程」を2023年度までに人口10万人以上の団体で100%策定を目指すとともに(注2)、人口10万人未満の地方公共団体に対する策定等を支援する。

(注2)人口10万人以上の団体における優先的検討規程の策定割合(2021年3月末時点):51%

スマートシティの推進

2022年度中にスマートシティリファレンスアーキテクチャの改訂等を通じ、データ連携やオープンデータ利活用を促進。さらに、2025年度までに100地域でのスマートシティの実現に向けて、地域におけるKPI設定を促すため「KPI設定指針」の作成等を実施。(注3)

(注3)スマートシティ推進を通じ、住民満足度の向上、産業の活性化、グリーン化の実現など社会的価値・経済的価値、環境的価値等を高める多様で持続可能な都市の形成を促進。

地方行財政改革等

人口減少が進む我が国において、社会資本整備や地方行財政におけるデジタル技術の徹底活用は、住民サービスの質・量の向上に必要不可欠。距離を問題としないデジタルの利便性を生かして広域連携を進めるとともに、民間資金やノウハウを十分に取り込み、インフラ老朽化対策、災害に強いまちづくり、グリーン化の実現等に効果的に取り組む必要。地方のデジタルインフラ投資の推進は、全ての方がデジタル化のメリットを享受できる社会の実現にもつながる。(再掲)

自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)計画に基づく取組の推進

自治体DX推進計画に基づき、各自治体が着実にDXを推進。デジタル人材確保のため、市町村によるCIO補佐官等の外部人材の任用等の取組について、令和3年度から創設した財政措置を活用して、積極的に支援。また、市区町村の外部人材の募集情報を収集し、随時情報を発信。AI・RPAの利用については、自治体における業務の見直しに合わせ、外部人材による支援等により自治体の実装を支援。AI・RPA導入地域数について、2022年度までに600団体となることを目指す(注4)。

(注4)AI・RPA導入地域数(2021年6月時点):535団体(全地方公共団体数(2021年12月時点):1788団体)

地方自治体の多様な広域連携の推進等

連携中枢都市圏等による市町村間の広域連携の取組を推進。各圏域における連携の効果をより適切に検証するためのKPIの設定状況や取組状況を把握するとともに、設定するKPIの質の向上を促すため、優良事例等の各圏域へのフィードバックを行う。また、広域連携の取組内容の深化等の観点から、複数の市町村による計画の共同策定を可能とするよう必要な措置を講じる。共同策定が可能な法定計画について、2022年度までに200計画を明確化することを目指す(注5)。

(注5)明確化されている共同策定可能な計画数(2021年11月時点):116計画(暫定値)(共同策定可能な計画数(2021年11月時点):222計画(暫定値))

文教・科学技術

我が国の成長力強化のためには、デジタル・グリーン投資等を通じた、イノベーションを生みやすい環境づくりが不可欠。その基盤となる大学改革を進め、産学官が協力して、デジタル人材など時代が求める人材の育成や、大学ファンドを活用した若手研究者への投資を進める。さらに、先端科学技術分野など官が率先して呼び水となる投資を行い、民間の研究開発投資を促進する。また、学習環境の格差が生じることを防ぎ、次代を担う人材育成の取組の質を向上させ、OECD生徒の学習到達度調査等における水準の維持・向上を目指す。

大学改革の推進と教育の情報化の加速

国立大学の次期中期目標期間(2022年度から6年間)を見据え、寄付金収入の増加(年平均5%)や監事の常勤化(2026年度までに100%)などの財務やガバナンスのKPIを設定。さらに、女性STEAM人材の育成やリスキリングの観点から、理工系学部における女子学生の割合向上(前年度以上)やリカレント教育の推進(プログラムの増加)のKPIや取組を追加(注6)。GIGAスクール構想のエビデンス整備に向け、教師のICT活用指導力の向上に引き続き取り組むとともに、児童生徒の能力に関するKPIを2021年度中に実施する情報活用能力調査を踏まえ検討。全国学力・学習状況調査のCBT化(コンピュータの活用による調査実施)等により教育分野でのデジタル化を推進。

(注6)国立大学の寄附金収入(2020年度):990億円、監事を常勤化した国立大学法人の割合(2020年度):52%、大学の理工系の学生に占める女性割合(2020年度):理学部27.8%、工学部15.7%

第6期科学技術・イノベーション計画の推進による科学技術立国の実現

世界に伍する研究大学の実現に向け、10兆円規模の大学ファンドによる支援の工程管理を盛り込み、2021年度中の議論のまとめを踏まえて指標等を検討。併せて、日本の研究力底上げのため、地域の中核大学等を総合的に振興する取組を推進。イノベーションを生み出す源泉であるスタートアップ創出・成長の支援等を取組に加えるともに、企業価値または時価総額10億ドル以上のベンチャー企業創出数(2025年度までに50社(注7))をKPIとして追加。

(注7)企業価値または時価総額10億ドル以上のベンチャー企業創出数(2019年度):16社

健康増進や経済・地域活性化も見据えた総合的なスポーツ施策の推進

第3期スポーツ基本計画(2022年度から5年間)の策定を見据え、政策目標、KPI及び取組を全面的に見直し。誰もがスポーツを楽しめる環境整備、健康増進や経済・地域活性化等への貢献を推進。

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