令和7年度に実施される医療に関する調査の概要をご紹介します。
急性期医療、集中治療、地域包括医療、回復期・慢性期医療といった様々な入院医療や、医療従事者の負担軽減、外来医療における評価の見直しが調査対象です。さらに、医療資源の少ない地域の実態についても調査が行われます。これらの調査を通じて、医療提供体制や診療報酬の評価に関する実態を把握し、今後の改善に役立てることを目的としています。
Table of Contents
令和7年度調査の焦点は何?
令和7年度調査は、令和6年度の医療制度改革における評価の見直しの影響を検証することに焦点が当てられています。具体的には、以下の項目に関する見直しの影響について、令和6年度及び令和7年度の2か年にわたり調査が実施されます。
令和6年度に見直しが行われ、令和7年度にその影響が調査される主な焦点は以下の通りです。
急性期医療及び救急医療等に対する評価の見直し
これには、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目及び判定基準等の見直し、急性期充実体制加算及び総合入院体制加算の見直し、救急患者連携搬送料の新設などが含まれます。令和7年度調査では、これらの見直しの影響について、医療機関の入院料の届出状況、職員体制、勤務状況、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の状況、患者の状態、医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、退院先の状況などが調査されます。
特定集中治療室管理料等の集中治療を行う入院料の見直し
これには、特定集中治療室用及びハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度の見直し、特定集中治療室管理料等の評価体系の見直し、特定集中治療室遠隔支援加算の新設などが含まれます。令和7年度調査では、これらの見直しの影響について、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の状況、患者の状態、医療提供内容、入退室状況、生理学的スコア、医師の配置状況などが調査されます。
地域包括医療病棟の新設の影響
地域包括医療病棟の新設に伴い、高齢者の急性疾患の受入状況、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理などのアウトカムなどが調査されます。また、地域包括医療病棟の新設に伴う10対1の急性期一般病棟の入院機能の明確化や再編についても検討が行われます。
地域包括ケア病棟入院料及び回復期リハビリテーション病棟入院料の実績要件等の見直し
地域包括ケア病棟入院料における実績要件及び施設基準等の見直し、初期加算の見直し、回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系及び要件等の見直し、回復期リハビリテーションを要する状態の見直しなどの影響について、在宅医療・救急医療等の提供状況、リハビリテーションの提供状況及びその実績、患者の状態、医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、退院先の状況などが調査されます。
療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直し
療養病棟入院基本料の医療区分に係る評価体系の見直し、中心静脈栄養の評価の見直し、障害者施設等入院基本料の透析患者等に係る入院料の見直し、緩和ケア病棟入院料における緊急入院に係る評価の見直しなどの影響について、入院料の届出状況、職員体制、勤務状況、入院患者の医療区分別患者割合の状況、患者の状態、医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、退院先、看取りの取組の状況などが調査されます。
医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等
地域医療体制確保加算、手術・処置の時間外加算1等の見直し、看護職員夜間配置加算、看護補助体制充実加算等に係る評価の見直し、医師事務作業補助体制加算、病棟薬剤業務実施加算の見直しなど、負担軽減に資する取組を要件とする加算の届出状況、職員体制、勤務状況、負担軽減に資する取組の実施状況などが調査されます。
外来医療に係る評価等
地域包括診療料・加算等の見直し、生活習慣病に係る医学管理料の見直し、情報通信機器を用いた診療の施設基準の見直し、外来腫瘍化学療法診療料の見直し、外来感染対策向上加算の見直しなどの影響について、介護保険サービスとの連携状況、生活習慣病や他の疾病管理に係る取組状況、情報通信機器を用いた診療に係る取組状況、かかりつけ医機能を有する医療機関の普及状況、紹介状なしの病院受診時の定額負担の徴収などが調査されます。
加えて、令和7年度調査では、医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態についても調査が行われます。これには、医療資源の少ない地域に配慮した評価の見直し(回復期リハビリテーション入院医療管理料の新設等)の影響や、医療機関の診療報酬項目の算定状況、職員体制、患者特性、地域の医療機関との連携状況、リハビリテーションの実施状況などが含まれます。
このように、令和7年度調査は、令和6年度の医療制度改革における幅広い項目の見直しの影響を検証し、今後の医療政策の検討に資することを目的としています。
医療資源の少ない地域調査の対象施設は?
医療資源が少ない地域調査の対象施設は、回復期リハビリテーション入院医療管理料を届け出ている医療機関を含む、医療資源の少ない地域に所在する保険医療機関(病院・診療所)です。
具体的には、令和7年度調査の項目(8)「医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態について」の調査対象として明記されています。調査方法としては、ヒアリングが予定されています。
医師働き方改革調査で何を確認するの?
医師の働き方改革調査では、主に以下の点が確認されます。
負担軽減に資する取組を要件とする加算の届出状況
これは、総合入院体制加算、医師事務作業補助体制加算、急性期看護補助体制加算、看護職員夜間配置加算、看護補助加算、看護補助体制充実加算、病棟薬剤業務実施加算、地域医療体制確保加算、処置・手術の休日加算1・時間外加算1・深夜加算1などが該当します。
- 職員体制(常勤配置等)
- 勤務状況(医師、看護職員の勤務時間等)
- 負担軽減に資する取組の実施状況
- 今後取り組む予定の事項
これらの項目は、病院勤務医・看護職員の負担軽減に資する取組を要件とする項目を届け出ている医療機関等が調査対象となります。具体的には、これらの医療機関に対して施設調査票や病棟調査票を用いて調査が行われます。病棟調査票では、タスクシフト・タスクシェアの取組なども確認されると考えられます。
この調査は、医師の働き方改革の更なる推進を図る観点から、医療機関全体の取組に対する評価の在り方、タスクシフト・タスクシェアの進捗、各医療従事者の負担の軽減、人材確保が困難な状況下での看護補助者の定着などについて、今回の改定による影響を調査・検証し、実効性のある取り組みに繋がる評価の在り方などを検討するために行われます。
地域包括ケア病棟で何を調査するの?
地域包括ケア病棟に関する調査では、主に以下の内容が確認されます。
- 高齢者の急性疾患の受入状況等
- リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の提供状況及びその実績等の状況
- 患者の状態、医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、入院経路、退院先の状況
- 職員の配置状況
- 地域包括医療病棟の届出前の届出入院料 等
- 地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の届出を行っている医療機関における在宅医療・救急医療等の提供状況
- 地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の届出を行っている医療機関における協力医療機関としての連携状況
- タスクシフト・タスクシェアの取組
これらの調査は、令和6年度に見直しが行われた地域包括ケア病棟入院料における実績要件及び施設基準等の見直しの影響を把握するために、令和6年度と令和7年度の2か年にわたり実施されます。調査対象は、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の届出を行っている医療機関です。これらの医療機関に対しては、施設調査票と病棟調査票が配布され、調査が行われます。