ビジネス全般

エイズ対策政策研究事業(令和4年度厚生労働科学研究)

1.研究事業の目的・目標

【背景】

日本における新規 HIV 感染者及びエイズ患者の年間報告数の合計は、近年 1,500 件前後の横ばいで推移しており、検査を受けないままエイズを発症して報告される割合は全体の約3割を占めている。また、2015 年の WHO のガイドラインでは、免疫状態にかかわらず、早期に治療を開始することで自らの予後を改善するのみならず、他者への感染をも防げることが明らかとなり診断後即治療を開始することが強く推奨された。これらの状況を鑑み、わが国では HIV感染症の早期発見・早期治療に向けたさらなる対策が求められている。

また、血液製剤により HIV に感染した者については、HIV 感染症に加え、血友病、C型肝炎ウイルス感染の合併が有り、極めて複雑な病態への対応が必要である。加えて抗 HIV 療法の進歩により、長期療養に伴う新たな課題も生じている。

わが国におけるエイズ対策は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」(平成 10 年法律第 114 号)に基づき策定される「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(エイズ予防指針)」(平成 30 年1月 18 日告示)に沿って展開されている。本研究事業では、エイズ予防指針に基づく対策を推進するため、社会医学、疫学等の観点から、HIV 感染予防や継続可能な治療体制の確立、早期発見に結びつく普及啓発など、エイズ対策を総合的に推進するための研究を実施する。

【事業目標】

エイズ予防指針に基づく対策を推進するため、これまでの事業や研究の現状を整理し、効果等について検証するとともに、継続すべき対策や新たに実施すべき対策を立案し、わが国におけるエイズ対策を統合的に推進することによって、新規 HIV 感染者数を減少させるとともに、検査を受けないままエイズを発症して報告される者の割合を減少させること、また、診断された HIV 感染者・エイズ患者に対して適切な医療を提供できる体制を整備することを目標とする。

【研究のスコープ】

  • 発生の予防及びまん延の防止に関する研究:より効果的な HIV 検査の受検勧奨の方法・検査体制の対策の立案
  • 医療の提供に関する研究:HIV・エイズ医療体制の均てん化や合併症対策の立案

【期待されるアウトプット】

HIV・エイズ及びその合併症等に関する包括的な医療体制の構築、最新の知見を検討し、診療ガイドラインの作成・改訂や、新規感染者数の減少に繋がる施策を検討する上で基盤となる科学的根拠を構築する。また、エイズ予防指針の見直しに向けた早期治療による医療経済的な効果の算出や長期療養・在宅療養支援体制構築のための基礎的なデータを提供する。

【期待されるアウトカム】

上記事業目標の達成により、エイズ予防指針の見直しに向けて、HIV 感染者の早期の捕捉率を向上させ、早期治療、長期療養・在宅療養支援体制を推進するとともに、種々の合併症等への対応を含めた、継続的な治療の提供が可能な体制を構築する。

2.これまでの研究成果の概要

  • HIV 治療ガイドライン改正(平成 28~30 年度)
  • HIV 感染者に関する透析ガイドライン改正(平成 28 年度)
  • HIV 感染者の妊娠・出産に関するガイドライン作成(平成 29 年度)
  • エイズ拠点病院案内作成・改正(平成 28~29 年度)
  • 歯科診療における HIV 感染症診療の手引き(平成 28 年度)
  • 保健所等における検査時の多言語対応ツール作成・改正(平成 28~30 年度)

3.令和4年度に継続課題として優先的に推進するもの

  • 「非加熱血液凝固因子製剤による HIV 感染血友病等患者の長期療養体制の構築に関する患者参加型研究」において、薬害被害者に対して適切な医療を提供できるよう、それぞれの地域の実情を踏まえた診療科間・施設間の連携体制を構築していく必要があること、また、薬害被害者はそれぞれ置かれている身体的・心理的・社会的環境が大きく異なり、個別の介入を検討する必要があることから、個別事例の課題抽出及び分析と、解決手法の検討をきめ細かく行い、好事例及び困難事例等について広く情報共有ができるように整理する必要がある。そのため、各地域における個別事例を幅広く収集し、分析を進める。
  •  「HIV 感染症の医療体制の整備に関する研究」において、血友病薬害被害者を対象とした救済医療体制およびその他の HIV 感染者・エイズ患者の診療体制等の正確な疫学・臨床情報の収集に努めるとともに、我が国の「ケアカスケード」の作成や被害者を含む HIV 感染者・エイズ患者の全数把握、予後改善に伴う「aging」に関する課題抽出により今後の医療・福祉の方策を検討する必要がある。

4.令和4年度に新規研究課題として優先的に推進するもの

発生の予防及びまん延の防止に関する課題

HIV 感染は早期診断が重要であるが、日本ではエイズを発症してから発見される者の割合が高い。このため、医療機関を含め、検査体制の実態把握を行うとともに、感染の可能性が高い集団や、受検への障害が多い集団に対する受検勧奨の方法等について検討する。

医療の提供に関する課題

一部の薬害エイズ被害者を含む HIV 感染者において、リポジストロフィーや HIV 関連認知症等が課題となっており、エイズ非関連の悪性腫瘍の合併も新たな課題となってきた。合併症の早期発見と早期治療が重要であり、これに対応するための研究として、合併症の早期発見及び早期治療等に関する研究を実施するとともに、合併症等に対する先進医療等の新たな治療法の安全性・有効性等を検証する。

5.令和4年度の研究課題(継続及び新規)に期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組

  • HIV 感染は早期診断が重要であるが、日本ではエイズを発症してから見つかる者の割合が高い。このため、医療機関を含め、検査体制の実態把握を行うとともに、感染の可能性が高い集団や、受検への障害が多い集団に対する受検勧奨の方法等について検討し今後の政策立案に活用する。
  • 一部の薬害エイズ被害者を含む HIV 感染者において、リポジストロフィーや HIV 関連認知症等が課題となっており、エイズ非関連の悪性腫瘍の合併も新たな課題となってきた。合併症の早期発見と早期治療が重要であり、これに対応するための研究として、合併症の早期発見及び早期治療等に関する研究を実施するとともに、合併症等に対する先進医療等の新たな治療法の安全性・有効性等を検証し、今後の政策立案に活用する。

参照

令和4年度厚生労働科学研究の概要

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