エビデンス全般

筋萎縮性側索硬化症(ALS)について

2020年7月23日

こんにちは。E太郎(Evidence太郎)です。今回のテーマは「筋萎縮性側索硬化症(ALS) と リアルワールドエビデンス」です。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。

https://www.nanbyou.or.jp/entry/52

筋萎縮性側索硬化症という疾患をフルネームで言えたり漢字で書ける人は多くはないと思いますが、ALSという略語ならなんとなく耳にしたことがある、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

いわゆる「難病」の1つで、平成25年の段階では筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された方は日本に9200名ほどだそうです。年間あたりの発症は人口10万人あたり1名〜2.5名程度と、稀な疾患(希少疾患)でもあります。

ALSに罹患している方で著名な方の1人には、理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士がいらっしゃいます。エディ・レッドメインさんが主演を務められた映画「博士と彼女のセオリー (The Theory of Everything) 」をご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ALSにおけるリアルワールドエビデンスの重要性

主に下記の理由から、ALSではリアルワールドエビデンスも治験とは異なる角度から重要と考えられます。

  1. 治療の長期的な有効性と安全性の情報蓄積と検証が必要
  2. 治験のスタンダードなデザインであるRCTの実施が困難(倫理的。あるいは、治療の性質上。)

長期的な有効性と安全性

ALSだけではなく他の疾患にも当てはまることですが、個人差が大きく、1年間、様子をみたのみでは分からず、5年経って分かるような場合には、治験では観察期間が足りません。

製品の特許や再審査期間を超えてデータを蓄積する必要がある場合には、日常診療で得られる日々の情報を横断的かつ縦断的に繋げることが求められます。

RCTの実施が困難

倫理面からRCTの実施が困難となるのは、例えば疾患次第ではランダム割り付け、すなわち既存治療と新治療のどちらに割り当てられるかをランダムにすることが倫理的に許容し難い場合があります。期待の新治療が出てきて、その効果も既存治療を上回ることが確実視されているときなどが該当するでしょう。

治療の性質上、RCTの実施が難しいというのは、ランダム化ではなくて盲検化が難しい場合が該当します。RCTは、比較対照群をおいてランダム割り付けを行うだけでなく、誰が既存治療と新治療のどちらを受けているのかがほぼ誰も知らない状態で実施されることがゴールデンスタンダードとされています。緊急時には盲検を一時的に限られた人達に対して解除するような場合もあり得ますが、通常は途中で盲検が解除されることはありません。

ところが、例えば医療機器など、今までの機器と、新しい機器で見た目や機能が異なる場合などは盲検化することがその性質上困難です。iPhone8とiPhone Xの比較を行いたくても、正面の丸いボタンがない方がiPhone Xとわかってしまうことと似ています。そうすると、iPhone Xに割り当てられた人は、なんだか色んな動作が早くて画面も綺麗に感じやすく、iPhone 8に割り当てられた人はそこまで動作の速さや画面の綺麗さを感じにくくなってしまうかもしれません。いわゆるプラセボ効果が強まりかねないわけです。

ということで、ALSでは今、リアルワールドデータやリアルワールドエビデンスに対する注目度が高まりつつあり、実際に色々なプロジェクトが進んでいるようです。

それでは、また。

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