ブロックチェーンといえば、ビットコインに代表される暗号資産(旧:仮想通貨)を連想する方も少なくないでしょう。
本記事では、ブロックチェーンの仕組みというよりは、「ヘルスケア分野で、ブロックチェーンがどのように活用される可能性があるか(特にリアルワールドエビデンス系の話で)という点に焦点を当てて記載します。
物流管理→アウトカムベースの保険償還
まず最初に医療分野でブロックチェーンが導入されると考えられる分野の一つが「物流管理」です。
ブロックチェーン技術の得意分野が「追跡性」と「改ざん防止」という点にあることから、「誰から誰にモノ・情報が渡ったか」を確実に記録することが重要な物流管理分野への応用が進むのは納得感があります。
そして、それは「偽造医薬品」の流通阻止に最も効果のある一手になるでしょう。
高額薬剤の偽造医薬品の流通については、数年前にもニュースになったように、狙われやすいところかと考えられます。
とはいえ、いきなり全ての医薬品に対する流通管理にブロックチェーン技術が使われるかというと、さすがにそうではなく、まずは高額な薬剤に対して集中して使われ始めるのではないかと考えています。
物流管理とリアルワールドエビデンスに何の関連が…?と思う方が多いかもしれませんが、勘のいい方だと既に頭の中で点と点が繋がっていらっしゃるかと思います。
高額薬剤のトラッキングが緻密に行われるようになると、個別の患者さんのその後についても事細かに分かることになります(製造から、最終的に誰に対して消費されたか、までの一連の流れが分かる)。
となると、その後の患者さんの転帰について、医療者側で記録が繋がっていれば(それも今はまだ課題がありますが)、予後が分かるため、例えば「投与されてから6ヶ月後に効果があったら保険償還します」といったことが可能になるわけです。
ブロックチェーンと電子カルテ・情報銀行
2点目は、電子カルテ周りへの応用です。ものすごく簡単に書くと「医療機関側でコントロールされていた各患者さんの情報を、個々の患者さんに(も)コントロールしてもらう」というものになります。
2私たち患者視点では、電子カルテ内に記載されている自分の医療情報を自分で管理している実感はあまりないですよね。
もちろん、全ての医療情報が個々人にそのままそっくり渡されることが適切ではない場面もあるかもしれませんが、語弊を恐れず大雑把に言うと「自分の医療情報は、自分で管理する」というパラダイムシフトが今後起きる可能性があります。
そして、「自分の(医療)情報は、自分で管理する」というコンセプトを実際にどうやって社会実装するのか、については、既に同様のものが存在して動いていることに気付きます。「銀行」です。
銀行には、「お金」という非常にシンプルなものを預けているわけですが、その「お金」を「情報」に置き換えて出てきたのが「情報銀行」となるわけです。
既に総務省主導で様残な議論が行われています。
その他
ブロックチェーンの具体的な仕組みについては、下記のリンク先等もどうぞ。