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CEO射殺に7万件の「笑い」米国医療が暴いた社会の深い断絶

2024年12月4日の朝、ニューヨーク・マンハッタンがまだ静かな午前6時44分、一つの銃声が鳴り響きました。現場はニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウンの前。米国最大の医療保険会社UnitedHealthcareのCEO、ブライアン・トンプソン氏が、年に一度の投資家会議に向かう途中、背後から銃撃され、その命を落としました 1。彼は50歳でした 3

この事件は、単なる殺人事件として片付けられるものではありませんでした。それは、周到に計画された「標的型攻撃」であり、犯人が残したメッセージによって、社会的な叫びとしての意味を帯びることになります 2

捜査当局が現場で発見した薬莢には、いくつかの言葉が刻まれていました。報道によって「deny(否認)」「defend(防御)」「depose(解任)」、あるいは「delay(遅延)」といったバリエーションが伝えられていますが、その核心は同じです 1。これらは、保険業界が治療や薬剤の支払いを拒絶する際に使う常套句「Delay, Deny, Defend(遅らせ、拒み、対抗せよ)」を彷彿とさせる言葉でした 5

犯人が後に逮捕された際、彼が所持していた手書きの文書は、医療保険会社を「寄生虫」と呼び、企業の強欲と現代社会への懸念を表明するものでした 3。この銃撃は、単なる暴力ではなく、システムに対する怒りと絶望が凝縮された、一つの象徴的な行為だったのです。検察が後に「個人的な恨みや窃盗ではなく、暴力的にメッセージを発信することが目的だった」と指摘したように、この事件は、社会とヘルスケア産業との間に横たわる、深く、そして危険な断絶を白日の下に晒しました 8

この衝撃的な事件をきっかけに、製薬業界をはじめとするヘルスケア企業は、自社のCEOを守るために巨額の費用を投じ始めます。しかし、その鉄壁の警備の裏側で私たちが問うべきは、命を預かるはずの企業と、その恩恵を受けるべき社会との間に、なぜこれほどの溝が生まれてしまったのか、という根源的な問いなのかもしれません。

この記事では、この悲劇的な事件を起点に、その背景にある構造的な問題を考えてみます。

「CEOの安全」に投じられる巨額費用

ブライアン・トンプソン氏の殺害という衝撃は、ヘルスケア業界を恐怖で満たしました。これまで抽象的なリスクとして認識されていた「脅威」が、マンハッタンの路上で現実のものとなったのです。その直接的な反応は、各社が2025年初頭に提出した2024年の株主向け報告書(プロキシステートメント)の中に、具体的な数字として現れました。それは、CEO個人の安全を確保するために投じられる、巨額の警備費用という形で現れたのです。

この動きを象徴するのが、新型コロナウイルスのワクチン開発で一躍その名を知られるようになったModernaです。同社は、CEOであるステファン・バンセル氏の警備費用として、2024年に約96万ドル(日本円にして約1億4000万円以上)を計上しました 9。Modernaは、ワクチン開発が本格化した2020年から、会社の知名度向上に伴う「高まるリスク環境」に対応するため、バンセル氏の個人および自宅の警備サービスを提供していましたが、トンプソン氏の事件は、その必要性を決定的なものにしたのです 9

同様の動きは、業界の巨人であるPfizerにも見られました。同社は、CEOアルバート・ブーラ氏の警備費用として、2024年に66万1133ドルを支出したことを報告しています 10。報告書では「役員に対する脅威を含む、高まるセキュリティリスクのため」と明記されており、独立した第三者機関によるセキュリティ調査の勧告に基づき、ブーラ氏には社用機での移動が義務付けられ、通勤を含む私的利用においても専門の運転手付き車両が提供されるといった徹底した措置が取られています 10

この傾向は、特定の企業に留まりませんでした。Gilead Sciencesは、CEOダニエル・オデイ氏の警備費用を、前年の約16万7000ドルから28万5269ドルへと大幅に増額しました。同社もまた、「特定の脅威やインシデントへの対応」として、独立機関の調査結果に基づき、CEOの移動の大部分に警備員、社用機、専用車を必須としています 10。さらに、Johnson & JohnsonやEli Lillyといった大手製薬企業も、2024年から役員向けの警備体制を強化したことを報告書で明らかにしました。特にJohnson & Johnsonは、社内セキュリティ評価の結果、「高まる脅威」を理由に、役員に対して武装した運転手と警備車両の利用を義務付けたのです 13。Eli Lillyに至っては、これまで開示していなかった役員警備費用を初めて報告書に記載し、「現在の脅威の状況を考慮すると、これらの費用は適切かつ必要である」と説明しました 14

この現象は製薬企業だけに限りません。大手小売薬局チェーンのWalgreensもまた、「知名度の高い立場ゆえのエスカレートする脅威」を理由に、CEOの警備に14万ドル以上を費やしたことを公表しています。

これらの数字が物語るのは、単なる予防措置の強化ではありません。それは、企業が自らのリーダーを、社会からの潜在的な「攻撃対象」として認識し始めたことの証左です。かつて社会から尊敬と信頼を集める存在であったはずのヘルスケア企業のリーダーが、今や物理的な要塞に閉じこもらなければならない。この皮肉な現実は、企業と社会の間に引かれた見えない断絶線が、いかに深く、そして危険なレベルに達しているかを浮き彫りにしています。人々が医療費の支払いに苦しみ、必要な治療を拒否されるかもしれないという不安を抱える一方で、そのシステムの頂点に立つ人々を守るために数百万ドルが費やされる。この構造的な矛盾こそが、後述する社会の不信と怒りの根源にあるのです。

SNSに溢れた「共感」と「不信」

企業の役員室が物理的な脅威に震える一方で、デジタルの世界では、まったく異なる種類の感情の爆発が起こっていました。トンプソン氏殺害のニュースが駆け巡ると、X(旧Twitter)やRedditといったソーシャルメディアは、この事件に対する人々の生々しい反応で埋め尽くされました。それは、単純な追悼や犯人への非難といった一元的なものではなく、アメリカのヘルスケアシステムが人々の心に刻み込んだ深い傷跡を映し出す、複雑で矛盾に満ちた万華鏡のようでした。

最も衝撃的だったのは、被害者であるトンプソン氏に向けられた、冷笑とさえ言える反応の広がりです。UnitedHealth Groupが公式Facebookページに掲載した追悼メッセージには、8万件以上のリアクションのうち、実に7万5000件以上が「笑い」の絵文字で占められたと報じられています 15。これは単なる悪意のある荒らし行為ではありません。それは、企業が発する公式の「悲しみ」という言葉と、人々が日々体験する「苦しみ」との間の、埋めがたい乖離に対する、集団的な意思表示でした。あるユーザーはXにこう投稿しました。「路上で一人の男を撃てば殺人。病院で何千人もの治療の機会を奪って殺せば起業家だ」6。この痛烈な皮肉は、多くの人々の共感を呼びました。

もちろん、暴力行為そのものを肯定する声は少数派でした。しかし、それ以上に目立ったのは、「殺人は許されない。でも、犯人の怒りは理解できる」という、条件付きの共感でした 17。Redditのスレッドには、個人の体験談が次々と投稿されました。「保険に加入を拒否されて母を失ったから、気持ちがわかる」「慢性的な痛みが精神を蝕むことを、個人的に知っている。この事件が起きたことに全く驚きはない」といった声は、多くの支持を集めました 18。人々は、犯人であるルイジ・マンジョーネ個人の行動を支持しているのではなく、彼をその行動に駆り立てたとされる「システムへの絶望」という感情に、自らの経験を重ね合わせていたのです。

この現象が示しているのは、ブライアン・トンプソンという一人の人間が、事件発生の瞬間にその個人性を剥奪され、巨大で非情なシステムの「象徴(アーキタイプ)」へと変質させられてしまったという事実です。人々が怒りの矛先を向けていたのは、トンプソン氏本人というよりも、彼がCEOを務めるUnitedHealthcare、ひいては利益のために人の命を天秤にかけるように見えるアメリカの医療保険産業そのものでした 6。あるユーザーは、「CEOが死んでもシステムは変わらない」と冷静に分析し、この問題が個人の資質ではなく、構造に根差していることを指摘しました 19

このオンライン上の反応は、いわば、アメリカのヘルスケアシステムに対する巨大な非公式の世論調査となりました。それは、多くの国民がこのシステムによって強いられている、経済的な負担だけでなく、精神的な苦痛、無力感、そして人間としての尊厳を傷つけられているという感情の大きさを、これ以上ないほど明確に示しました。企業がCEOの物理的な安全を守るために壁を高くする一方で、人々の心の中では、信頼の壁が静かに、しかし決定的に崩れ落ちていたのです。この感情的な断絶こそが、この事件が暴いた最も深刻な問題の一つと言えるでしょう。

企業の論理 vs 社会の論理:暴かれた構造

なぜ、ヘルスケアという本来人道的であるべき領域で、これほどまでに社会との間に深い溝が生まれてしまったのでしょうか。その答えは、業界を支配する「企業の論理」と、人々が医療に寄せる「社会の論理」との間の、根本的な衝突にあります。トンプソン氏の殺害事件とその後の社会の反応は、これまで専門家や批評家によって指摘されてきた、この構造的な問題を一般社会の目の前に突きつけました。

研究開発:利益はどこへ消えるのか

製薬業界が高額な薬価を正当化する際に、必ずと言っていいほど持ち出す論理があります。それは、「革新的な新薬を生み出すための莫大な研究開発(R&D)費用を回収する必要がある」という主張です。この論理は、一見すると説得力があります。新しい治療法は人類にとっての福音であり、そのための投資は不可欠だからです。しかし、2024年2月にバーニー・サンダース上院議員が委員長を務める米国上院の保健・教育・労働・年金(HELP)委員会が公表した報告書は、この「R&D神話」に鋭いメスを入れました 21

この報告書は、大手製薬企業であるJohnson & Johnson、Merck、Bristol Myers Squibbの3社を対象に、その財務状況を詳細に分析しました。その結果は衝撃的でした。例えば、2022年、Johnson & Johnsonは研究開発に146億ドルを費やしましたが、同じ年に株主への配当と自社株買いには178億ドル近くを投じていたのです。つまり、新しい治療法を見つけるための投資よりも、株主を豊かにするためのお金の方が32億ドルも多かったことになります 21。Bristol Myers Squibbも同様で、R&D費用95億ドルに対し、株主還元は127億ドルに上りました。ここでも、株主への利益が研究開発費を32億ドル上回っています 21

この傾向は業界全体に及んでいます。別の調査では、メディケアの価格交渉対象となった10種類の薬剤を製造する8社が、2023年に研究開発に費やした959億ドルに対し、自社株買い、配当、マーケティング、管理費には合計で1620億ドルも支出していたことが明らかになっています 22。企業は「高薬価がなければイノベーションが阻害される」と主張しますが、その実態は、イノベーションへの投資以上に、株主や役員の懐を潤すことを優先しているように見えます。この事実は、企業の論理(株主価値の最大化)が、社会の論理(新しい治療法へのアクセス)と必ずしも一致しない、むしろ相反する場合があることを示しています。

特許の砦「パテント・シケット」:競争を阻む法的戦略

企業の論理が社会の論理と衝突するもう一つの主戦場が、特許制度の運用です。特許は本来、発明を保護し、イノベーションを促進するための仕組みです。しかし、製薬業界では、「パテント・シケット(Patent Thicket)」、すなわち「特許の茂み」と呼ばれる戦略が、競争を阻害し、薬価を高止まりさせるための道具として利用されているという批判が強まっています 23

パテント・シケットとは、一つの医薬品に対して、その有効成分だけでなく、製造方法、投与量、剤形、さらには配送デバイスといった周辺的な特徴に関する多数の特許を、時間差で次々と申請し、文字通り特許の「茂み」を作り出す戦略です 23。これにより、安価なジェネリック医薬品やバイオシミラー(バイオ医薬品の後続品)を開発しようとする競合他社は、この複雑な特許の茂みをかき分けて進むことを強いられ、訴訟リスクと莫大な費用に直面します。結果として、後発品の市場参入が何年も遅れ、その間、先発品メーカーは独占的な地位を維持し、高価格を維持し続けることができるのです 26

この戦略の「お手本」とさえ言われるのが、AbbVie社の関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」です 25。ヒュミラの主成分に関する基本特許は2016年に切れましたが、AbbVieは250件以上もの関連特許を申請し、米国でのバイオシミラーの参入を2023年まで遅らせることに成功しました 23。この遅延によって、同社は莫大な追加収益を得ましたが、そのコストは米国の患者と医療制度が負担することになりました 29

この問題はヒュミラに限りません。前述の上院HELP委員会の報告書は、Merck社のがん治療薬「キイトルーダ」には168件、Johnson & Johnson社の免疫抑制剤「ステラーラ」には57件の特許が申請されており、その多くがFDA(米国食品医薬品局)の承認後に申請されたものであることを指摘しています 25。これは、真のイノベーションではなく、独占期間を延命させるための「エバーグリーニング(evergreening)」と呼ばれる行為であり、制度の悪用であると批判されています 23

これらの事実は、ヘルスケア産業における「企業の論理」が、株主価値を最大化するという目的のためには、法的な枠組みを駆使して競争を制限し、価格を高く維持することが合理的であると判断していることを示しています。しかし、これは「社会の論理」、すなわち、人々が手頃な価格で必要な医療にアクセスできるべきだという期待とは、真っ向から対立します。この構造的な矛盾こそが、社会に広がる不信と怒りの核心であり、一人のCEOに向けられた暴力という悲劇的な形で、その存在を露呈させたのです。

社会に伝わらない「ヘルスケアの意義」

製薬企業や医療保険会社が、人々の命を救い、健康を支えるという計り知れないほど重要な社会的役割を担っていることは、紛れもない事実です。画期的な新薬の開発は多くの難病に光を当て、医療保険システムは個人では到底負担できない高額な医療へのアクセスを可能にします。しかし、その「意義」や、それを支えるための経済的な「論理」は、残念ながら社会全体に正しく伝わっているとは言えません。むしろ、ブライアン・トンプソン氏の事件が示したように、多くの人々にとって、ヘルスケア産業は「金儲けの象徴」と映り、その反感がCEO個人への憎悪や、システム全体への根深い不信感を生み出す土壌となっています。もちろん、いかなる理由があろうとも、CEOも一人の人間であり、不当な暴力の対象となるべきではありません。

このコミュニケーションの断絶は、なぜ起きるのでしょうか。一つには、業界が語る言葉と、人々が体験する現実との間に、大きな隔たりがあるからです。企業は「イノベーションのための投資」というマクロな論理を語りますが、患者が直面するのは、「保険適応外」「高額な自己負担」「承認の遅延」といったミクロな現実です。このミスマッチが、企業の主張を空虚な言い訳のように響かせてしまうのです。

そして、この問題は決して米国だけのものではありません。私たち日本の社会もまた、同様の課題に直面していると言えるでしょう。例えば、日本の薬価制度は、国民皆保険制度を支える重要な柱ですが、その決定プロセスは国民にとって非常に不透明です 30。新薬の革新性をどう評価するのか、外国の価格をどう参照するのか、費用対効果の議論はどうなっているのか。こうした複雑な議論は専門家や業界関係者の間で交わされるばかりで、なぜその薬がその価格なのか、国民が納得できる形での説明は十分とは言えません 32。高額薬剤をめぐる薬価引き下げの議論や、新型コロナウイルスワクチンに対する一部の根強い不信感も、医療への信頼を揺るがす要因となり得ます。

日本の世論調査を見ると、医療制度全体への満足度は比較的高く、7割近くが満足しているという結果もあります 34。しかし、その内実を見ると、4人に1人が費用負担を理由に受診を控えた経験があり、医療制度の「分かりやすさ」については不満が満足を上回るなど、不安の種は確実に存在します 34。医療情報がどのように扱われているか、自分の支払う保険料や税金がどのように使われているのか、その全体像が見えないことも、漠然とした不満につながっているのかもしれません 37

ここで、今は亡き経済学者、宇沢弘文氏が提唱した「社会的共通資本」という考え方が、この問題を捉え直すための重要な視座を与えてくれます 38。宇沢氏は、大気や水といった自然環境、道路や電力といった社会的インフラ、そして教育や医療といった制度資本を「社会的共通資本」と呼びました。これらは、すべての人が人間らしく豊かな生活を送るために不可欠な社会的装置であり、単なる市場の論理だけで運営されるべきではない、と彼は主張しました 38

特に医療は、その中でも最も重要な制度資本の一つです。宇沢氏によれば、医療は利益追求を第一の目的とするのではなく、医師や看護師といった専門家が、その職業的な倫理と知見に基づいて、患者にとって最善のサービスを提供することを使命とすべきものなのです 38。この観点から米国の現状を見れば、それはまさに、社会的共通資本であるべき医療が、過度に市場原理に晒された結果、その本来の使命を見失ってしまった姿と言えるでしょう。企業の論理が、社会の論理を圧倒してしまったのです。

医療が「社会的共通資本」であるならば、その価値や仕組みを、社会全体で共有し、理解するための不断の努力が不可欠です。薬価はどう決まるのか。研究開発には何が必要なのか。命とビジネスのバランスをどう取るべきか。これらの問いに対して、業界はもっと誠実に、そして分かりやすく答えていく責任があります。そしてそれは、業界だけの責任ではありません。私たち市民一人ひとりもまた、この複雑な問題から目を背けず、学び、対話に参加していく責任があるのではないでしょうか。

おわりに

ニューヨークの早朝に響いた銃声は、一人の人間の命を奪うと同時に、私たちが長年見て見ぬふりをしてきた不都合な真実を暴きました。企業の論理が社会の論理を凌駕し、利益の追求が人々の命の重みを覆い隠してしまうことがあるという現実。その結果として生まれた社会の深い絶望と怒りが、一人のCEOに向けられた暴力という、最も悲劇的な形で噴出してしまったのです。そして、その暴力に対して、業界がさらに高い壁を築くことで応えようとする姿は、この断絶がいかに深刻であるかを物語っています。

私がこの記事を書き記したのは、決して暴力を正当化するためではありません。むしろ、その逆です。この悲劇的な連鎖を断ち切るためには、その根源にある病巣を正確に診断し、理解することが不可欠だと信じるからです。単に犯人を断罪し、事件を非難するだけでは、何も解決しません。それは、症状を一時的に抑えるだけで、病そのものには手を付けていないのと同じことです。なぜ多くの人々が、犯行に「共感」を示したのか。なぜ企業は、社会から「寄生虫」とまで呼ばれるようになってしまったのか。その「なぜ」を、複雑なデータを丹念に読み解き、人々の生の声を拾い上げ、隠された構造を明らかにすることで、粘り強く問い続けること。それこそが、私たちに課せられた責任だと考えています。

ヘルスケアは、宇沢弘文氏の言う「社会的共通資本」です。それは、私たちの誰もが、人間らしく生きていくために欠かせない、社会の共有財産です。その価値と仕組みを、一部の専門家や官僚、企業経営者だけが独占するのではなく、社会全体で共有し、議論し、支えていく。そのための対話の土壌を作ること。それこそが、怒りや不信の連鎖を断ち切り、建設的な未来へと向かう唯一の道だと信じています。

この記事を読んでくださった、あなたにもぜひ一緒に考えてほしいのです。あなたが医療の現場で感じた疑問や、体験した喜び、あるいは理不尽さ。そうした一つひとつの声が、この巨大で複雑なシステムを、より人間的なものへと変えていくための「説明する力」になるはずです。あなたの経験や考えを、ぜひコメントで教えてください。その小さな対話の積み重ねこそが、私たちがより良い社会を築くための、最も確かな希望なのですから。

参考情報

  1. Killing of Brian Thompson - Wikipedia,  https://en.wikipedia.org/wiki/Killing_of_Brian_Thompson
  2. UnitedHealthcare CEO Brian Thompson killed: Who are the victim and suspect? - Al Jazeera,  https://www.aljazeera.com/news/2024/12/5/unitedhealthcare-ceo-brian-thompson-killed-who-are-the-victim-and-suspect
  3. Police Arrest Man in Connection with the Killing of UnitedHealthcare CEO Brian Thompson,  https://time.com/7200059/unitedhealthcare-ceo-brian-thompson-fatal-shooting/
  4. Social media reactions to shooting of Brian Thompson, the UnitedHealthcare CEO shot in New York - AS USA,  https://en.as.com/latest_news/social-media-reactions-to-shooting-of-brian-thompson-the-unitedhealthcare-ceo-shot-in-manhattan-n/
  5. Luigi Mangione - Wikipedia,  https://en.wikipedia.org/wiki/Luigi_Mangione
  6. Industry condolences, social media vitriol follow UnitedHealthcare CEO's killing,  https://www.healthcaredive.com/news/unitedhealthcare-ceo-brian-thompson-shooting-reactions/734707/
  7. Luigi Mangione's manifesto for killing Brian Thompson: 'These parasites had it coming',  https://timesofindia.indiatimes.com/world/us/luigi-mangiones-manifesto-for-killing-brian-thompson-these-parasites-had-it-coming/articleshow/116150182.cms
  8. New York prosecutors in Luigi Mangione case release copies of notes they say show his motive, planning - CBS News,  https://www.cbsnews.com/newyork/news/luigi-mangione-handwritten-notes/
  9. Moderna CEO Stéphane Bancel collects highest annual pay of $19.8M - Fierce Pharma,  https://www.fiercepharma.com/pharma/moderna-ceo-stephane-bancel-collects-pay-bump-198m-despite-declining-revenue-and-missed
  10. Large drugmakers spent millions protecting their CEOs last year amid 'heightened risk environment' - Fierce Pharma,  https://www.fiercepharma.com/pharma/drugmakers-report-increased-costs-protect-their-chief-executives
  11. mrna-20250310 - SEC.gov,  https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1682852/000130817925000082/mrna-20250310.htm
  12. Proxy Statement 2025,  https://s28.q4cdn.com/781576035/files/doc_financials/2025/sr/interactive_proxy/PDF/pfizer-proxy2025_0076.pdf
  13. Johnson & Johnson CEO Joaquin Duato takes a 14% pay cut to $24.3M - Fierce Pharma,  https://www.fiercepharma.com/pharma/johnson-johnson-ceo-duato-takes-14-pay-cut-243m
  14. The week in GRC: J&J and Lilly increased spending on executive security in 2024 and Republican bill targets EU ESG rules | Governance Intelligence,  https://www.governance-intelligence.com/regulatory-compliance/week-grc-jj-and-lilly-increased-spending-executive-security-2024-and
  15. Social Media's Assassination of Brian Thompson - 4sight Health,  https://www.4sighthealth.com/social-medias-assassination-of-brian-thompson/
  16. Social media users mock UnitedHealthcare CEO's murder - Fox Business,  https://www.foxbusiness.com/business-leaders/social-media-users-mock-unitedhealthcare-ceos-murder
  17. Opinion: Brian Thompson's Shooting and Why People Are So Angry | Cancer Nursing Today,  https://www.cancernursingtoday.com/post/opinion-brian-thompsons-shooting-and-why-people-are-so-angry
  18. What do ISFJs think of the shooting of Brian Thompson? - Reddit,  https://www.reddit.com/r/isfj/comments/1i1ic6q/what_do_isfjs_think_of_the_shooting_of_brian/
  19. Was Luigi Mangione's murder of Brian Thompson justified? : r/Discussion - Reddit,  https://www.reddit.com/r/Discussion/comments/1htna82/was_luigi_mangiones_murder_of_brian_thompson/
  20. Was Brian Thompson a murderer? : r/samharris - Reddit,  https://www.reddit.com/r/samharris/comments/1habowx/was_brian_thompson_a_murderer/
  21. Big Pharma's Business Model Report - Senate Committee on Health ...,  https://www.help.senate.gov/imo/media/doc/big_pharmas_business_model_report.pdf
  22. The Pharmaceutical Firms With Drugs On Medicare's Price Negotiation List Spent Only $95 Billion On Research And Development While - Accountable US,  https://accountable.us/wp-content/uploads/2024/05/Pharmaceutical-Co.-Spending-vs.-RD.pdf
  23. The Dark Reality of Drug Patent Thickets: Innovation or Exploitation ...,  https://www.drugpatentwatch.com/blog/the-dark-reality-of-drug-patent-thickets-innovation-or-exploitation/
  24. The Debate Over Patent Thickets and Innovation Slowdown - PatentPC,  https://patentpc.com/blog/the-debate-over-patent-thickets-and-innovation-slowdown
  25. Patent Thickets in Federal Government's Crosshairs as Election ...,  https://www.biospace.com/policy/patent-thickets-in-federal-governments-crosshairs-as-election-2024-looms
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  39. 誰ひとり取り残さない社会を作るために。経済学者・宇沢弘文が伝えたい、社会的共通資本で考える「ゆたかな社会」【勉強会レポート・前編】 - note,  https://note.com/cq_media/n/n45fa34354ee3
  40. 令和の時代における”社会的共通資本”からポストコロナの医療・官僚機構を考える【PMI ThinkTank】 - note,  https://note.com/pmi/n/n919a0490c7e2

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