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地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(令和2年法律第52号)の概要

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地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(令和2年法律第52号)の概要

改正の趣旨

地域共生社会の実現を図るため、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な福祉サービス提供体制を整備する観点から、市町村の包括的な支援体制の構築の支援、地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進、医療・介護のデータ基盤の整備の推進、介護人材確保及び業務効率化の取組の強化、社会福祉連携推進法人制度の創設等の所要の措置を講ずる。

※地域共生社会:子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる社会(ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定))

改正の概要

1.地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援 【社会福祉法、介護保険法】

市町村において、既存の相談支援等の取組を活かしつつ、地域住民の抱える課題の解決のための包括的な支援体制の整備を行う、新たな事業及びその財政支援等の規定を創設するとともに、関係法律の規定の整備を行う。

2.地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進 【介護保険法、老人福祉法】

① 認知症施策の地域社会における総合的な推進に向けた国及び地方公共団体の努力義務を規定する。

② 市町村の地域支援事業における関連データの活用の努力義務を規定する。

③ 介護保険事業(支援)計画の作成にあたり、当該市町村の人口構造の変化の見通しの勘案、高齢者向け住まい(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅)の設置状況の記載事項への追加、有料老人ホームの設置状況に係る都道府県・市町村間の情報連携の強化を行う。

3.医療・介護のデータ基盤の整備の推進 【介護保険法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律】

① 介護保険レセプト等情報・要介護認定情報に加え、厚生労働大臣は、高齢者の状態や提供される介護サービスの内容の情報、地域支援事業の情報の提供を求めることができると規定する。

② 医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)や介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)等の医療・介護情報の連結精度向上のため、社会保険診療報酬支払基金等が被保険者番号の履歴を活用し、正確な連結に必要な情報を安全性を担保しつつ提供することができることとする。

③ 社会保険診療報酬支払基金の医療機関等情報化補助業務に、当分の間、医療機関等が行うオンライン資格確認の実施に必要な物品の調達・提供の業務を追加する。

4.介護人材確保及び業務効率化の取組の強化 【介護保険法、老人福祉法、社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律】

① 介護保険事業(支援)計画の記載事項として、介護人材確保及び業務効率化の取組を追加する。

② 有料老人ホームの設置等に係る届出事項の簡素化を図るための見直しを行う。

③ 介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けに係る現行5年間の経過措置を、さらに5年間延長する。

5.社会福祉連携推進法人制度の創設 【社会福祉法】

社会福祉事業に取り組む社会福祉法人やNPO法人等を社員として、相互の業務連携を推進する社会福祉連携推進法人制度を創設する。

施行期日

令和3年4月1日(ただし、3②及び5は公布の日から2年を超えない範囲の政令で定める日、3③及び4③は公布日)

1.地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援

  • 地域住民が抱える課題が複雑化・複合化(※)する中で、以下のような課題がある。
    (※)一つの世帯において複数の課題が存在している状態(8050世帯や、介護と育児のダブルケアなど)、世帯全体が地域から孤立している状態(ごみ屋敷など)

    • 従来の属性別の支援体制では、対応が困難。
    • 属性を超えた相談窓口の設置等の包括的な支援体制の構築を行う動きがあるが、各制度毎の国庫補助金の制度間流用にならないようにするための経費按分に係る事務負担が大きい。
  • このため、市町村が包括的な支援体制を円滑に構築できるような仕組みを創設することが必要。

社会福祉法に基づく新たな事業の創設

  • 市町村において、既存の相談支援等の取組を活かしつつ、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、Ⅰ相談支援、Ⅱ参加支援、Ⅲ地域づくりに向けた支援を実施する事業を創設する。
    • 事業実施の際には、Ⅰ~Ⅲの支援は全て必須 - 新たな事業は実施を希望する市町村の手あげに基づく任意事業
  • 新たな事業を実施する市町村に対して、関連事業に係る補助等について一体的な執行を行うことができるよう、交付金を交付する。

2.地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進

  • 2025年を見据えた地域包括ケアシステムの構築に加え、更に2040年を見据えると、介護サービス需要の更なる増加・多様化や、保険者ごとの介護ニーズの差の拡大への対応が求められる。
  • このため、介護サービス提供体制の整備等について、地域の特性に応じた更なる取組を推進することが必要。

認知症施策の総合的な推進

  • 認知症施策について、「認知症施策推進大綱」(令和元年6月18日認知症施策推進関係閣僚会議とりまとめ)等を踏まえ、以下の規定を整備する。(→2025年までに本人・家族のニーズと認知症サポーターを中心とした支援を繋ぐ仕組み(チームオレンジなど)を整備した市町村数100%を目指す。)
    • 国・地方公共団体の努力義務として、地域における認知症の人への支援体制の整備や予防の調査研究の推進等の認知症施策の総合的な推進及び認知症の人と地域住民の地域社会における共生を追加。
    • 介護保険事業計画の記載事項として、他分野との連携など、認知症施策の総合的な推進に関する事項を追加。
      (※)上記の見直しの他、「認知症」の規定について、最新の医学の診断基準に則し、また、今後の変化に柔軟に対応できる規定に見直す。

地域支援事業におけるデータ活用

  • 市町村の努力義務として、地域支援事業を実施するにあたっては、PDCAサイクルに沿って、効果的・効率的に取組が進むよう、介護関連データを活用し、適切かつ有効に行うものとする。

介護サービス提供体制の整備

<介護保険事業(支援)計画の作成>

  • 今後の介護サービス基盤の整備にあたっては、高齢者人口や介護サービスのニーズを中長期的に見据えながら、計画的に進める必要があることから、以下の規定を整備する。
    • 介護保険事業計画の作成に当たり、当該市町村の人口構造の変化の見通しを勘案すること。
    • 介護保険事業(支援)計画の記載事項として、有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅の設置状況を追加。

<有料老人ホームに係る都道府県と市町村との間の情報連携の強化>

  • 適切な介護基盤整備を進めるため、有料老人ホーム(※)の情報の把握のための都道府県・市町村間の情報連携強化の規定を整備する。

(※)届出の手続きや指導監督権限は都道府県にある。

3.医療・介護のデータ基盤の整備の推進

  • 地域の医療・介護の状況を正確に把握し、医療・介護分野の調査分析、研究を促進することは、地域に応じた質の高いサービス提供体制の構築に資する。
  • 令和元年5月成立の健康保険法等の一部改正法によって、医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)と介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)等の連結・解析が法定化されており、医療・介護分野データの有益な解析等が期待される。

介護分野のデータ活用の環境整備

  • 介護分野におけるデータ活用を更に進めるため、現行収集している要介護認定情報・介護レセプト等情報に加え、厚生労働大臣は、通所・訪問リハビリテーションの情報(VISIT情報)や高齢者の状態やケアの内容等に関する情報(CHASE情報)、地域支援事業の利用者に関する情報(基本チェックリスト情報等)の提供を求めることができると規定する。

医療・介護分野のデータの名寄せ・連結精度の向上等

  • 現行のNDB等の医療・介護データの名寄せ・連結精度の向上に向けて、社会保険診療報酬支払基金等が、医療保険のオンライン資格確認のために管理する被保険者番号の履歴を活用し、正確な連結に必要な情報を安全性を担保しつつ提供することができることとする。
  • 併せて、正確な連結の基盤となるオンライン資格確認を普及させる観点から、社会保険診療報酬支払基金の業務に、当分の間、医療機関等の申込みに応じ、オンライン資格確認に必要な物品(オンライン資格確認システムに対応した顔認証付きカードリーダー)を調達・提供する業務を追加する。

(※)令和3年3月からオンライン資格確認を導入する予定。 (→オンライン資格確認システムについて、令和5年3月末までに概ね全ての医療機関等での導入を目指す。)

4.介護人材確保及び業務効率化の取組の強化

  • 現在の介護分野における人材不足は深刻であり、また、2025年以降、担い手となる現役世代の減少が顕著となる中で、地域の高齢者介護を支える人的基盤の確保を図るため、介護人材の確保や介護業務の効率化に係る取組を強化する。
    ※介護関係職種の有効求人倍率(平成30年度)は3.95倍。(全職種:1.46倍)

(→介護人材の需要に見合った人材確保が図られる環境を整備する。)

介護保険事業(支援)計画に基づく取組・事業者の負担軽減

  • 地域の実情に応じて、都道府県と市町村の連携した取組が更に進むよう、介護保険事業(支援)計画の記載事項として、介護人材の確保・資質の向上や、その業務の効率化・質の向上に関する事項を追加する。(→市町村・都道府県の介護保険事業(支援)計画における対応率100%を目指す。)
    (※)現行法では都道府県の介護保険事業支援計画の記載事項に「介護人材の確保・資質の向上」に関する事項があるのみ。
  • 有料老人ホームの設置等に係る届出事項の簡素化を図るための規定を整備する。
    (※)他の介護サービスの申請手続きは省令事項。

介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けに係る経過措置延長

  • 介護福祉士養成施設の卒業者は、従前、国家試験を受験せずに介護福祉士資格を取得してきたが、平成28年の法改正により、平成29年4月から経過措置付きで、国家試験が義務付けられている。
  • この経過措置は、現行5年間(令和3年度卒業者まで)であるが、介護分野における目下の深刻な人材不足状況などを考慮し、さらに5年間(令和8年度卒業者まで)延長する。

5.社会福祉連携推進法人制度の創設

  • 人口動態の変化や福祉ニーズの複雑化・複合化の中で、社会福祉法人は、社会福祉法人の経営基盤の強化を図るとともに、こうした福祉ニーズに対応することが求められている。
  • このため、社会福祉法人間の連携方策として、「社会福祉協議会や法人間の緩やかな連携」、「合併、事業譲渡」、「社会福祉法人の新設」に加え、新たな選択肢の一つとして、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人である「社会福祉連携推進法人」を創設する。
    (※) 合併認可件数は、年間10~20件程度。

(→ 社会福祉法人等が、法人の自主的な判断のもと、円滑に連携 ・協働しやすい環境整備を図る。)

社会福祉連携推進法人(一般社団法人を認定)

【社員の範囲】

  • 社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者
  • 社会福祉法人の経営基盤を強化するために必要な者

【社会福祉連携推進業務】

  • 地域共生社会の実現に資する業務の実施に向けた種別を超えた連携支援
  • 災害対応に係る連携体制の整備
  • 社会福祉事業の経営に関する支援
  • 社員である社会福祉法人への資金の貸付
  • 福祉人材不足への対応(福祉人材の確保や人材育成)
  • 設備、物資の共同購入

※ 人材確保の業務の一環として、連携法人の社員(社会福祉事業を経営する者)が行う労働者の募集の委託について、一定の要件のもと、労働者の委託募集の特例を認める。
※ 社会福祉連携推進法人は、上記以外の業務について、社会福祉連携推進業務への支障を及ぼす恐れがない範囲で実施可能。社会福祉事業を行うことは不可。

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