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新型コロナウイルス感染症の影響下での医薬品、医療機器及び再生医療等製品の治験実施に係るQ&Aについて

現在実施中の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の治験において、新型コロナウイルス感染症の影響により治験実施計画書の規定及び通常の手順と異なる対応を取らざるを得ない場合は、被験者の安全確保を最優先とした上で、経緯及び対応の記録を残し、その妥当性について説明できるようにしてください。また、実施医療機関において疑義が生じる場合の対応については、まずは治験依頼者と協議・相談してください。

これまでにいただいたお問い合わせに対する回答を、以下にご紹介しますので参考としてください。なお、内容については、今後のお問い合わせに応じて更新いたします。

2020年3月27日作成
2020年4月2日更新
2020年4月21日更新
2020年5月26日更新

治験薬等の被験者宅への配送

Q1 実施医療機関に来院できない等により、被験者が治験薬、治験機器又は治験製品(以下「治験薬等」という。)を直接受け取れない場合、実施医療機関から被験者宅に配送してよいか。(実施医療機関・治験依頼者)

A1 治験責任医師又は治験分担医師が治験薬等の投与又は使用継続は可と判断している前提で、実施医療機関と医薬品GCP省令第39条の2、医療機器GCP省令第59条又は再生医療等製品GCP省令第59条に基づく委受託契約を締結した配送業者、または、実施医療機関の治験協力者により、実施医療機関から被験者宅に治験薬等を配送することは可能である。その際、試験デザイン、治験薬等の性質、被験者の状態等を考慮の上、同意を得た被験者において実施医療機関の責任のもと実施すること。なお、運搬中の治験薬等の品質管理に加え、被験者への交付を確実に行うための手順を予め定めておくこと。また、経緯及び対応の記録を作成し保存すること。

Q1-2 実施中の治験において、治験薬等を被験者宅に速やかに配送する必要があるため、事前にすべての実施医療機関と配送業者の間で、上記A1に示される医薬品GCP省令第39条の2等の委受託契約を締結することが難しい場合、治験依頼者が選定・契約する配送業者により配送してもよいか。(実施医療機関・治験依頼者)

A1-2 実施医療機関と治験依頼者で協議し、至急の対応を要する場合においては可能である。ただし、治験薬等の品質管理や被験者の個人情報等の取扱いを含めた業務内容を適切に取り決め、被験者宅への治験薬等の配送業務に係る責任の所在は実施医療機関にあることを両者で合意している旨の記録を残した上で実施すること。その場合においても、事後的に実施医療機関と配送業者の間で、上記A1に示される医薬品GCP省令第39条の2等の委受託契約を締結すること。また、経緯及び対応の記録を作成し保存すること。

治験審査委員会が開催できない場合

Q2 新型コロナウイルス感染症の影響により治験審査委員会(以下「IRB」という。)が開催できない場合、どのように対応したらよいか。(実施医療機関・治験依頼者)

A2 医薬品GCP省令第31条第1項、医療機器GCP省令第50条第1項又は再生医療等製品GCP省令50条第1項の規定による治験の継続審査や被験者保護の観点から緊急に審議しなければならない案件を除き、開催可能となる直近の IRB で審議することで差し支えない。緊急に審議が必要な場合、必要な手順を定めた上で、会議(対面会合)の開催以外の方法(メールによる持ち回り等)も考慮できる。また、被験者の安全性に関わる事項(被験者への情報提供、安全性情報による同意説明文書の改訂等)については、IRBによる審議を待たずに治験責任医師の判断で実施し、事後的に IRB の審議を受けることで差し支えない。いずれの場合についても、経緯及び対応の記録を作成し保存すること。

オンサイトモニタリングが出来ない場合

Q3 実施医療機関への訪問が制限されているため、モニタリング計画の通りにオンサイトモニタリングができない場合、どのように対応したらよいか。(治験依頼者)

A3 オンサイトモニタリングができない場合のリスク評価を行った上で、中央モニタリングを含め、代替となるモニタリング手法を検討すること。その結果を踏まえてモニタリング計画等を見直し、変更した方法について文書化しておくこと。なお、オンサイトモニタリングができない理由及びその対応の記録を作成し保存すること。

来院延期や取り止めによる逸脱

Q4 被験者の来院の延期や取り止め等により、治験実施計画書からの逸脱が発生した場合、どのように対応したらよいか。(実施医療機関・治験依頼者)

A4 被験者の安全確保を優先することにより、平常時に実施される治験より治験実施計画書からの逸脱が多く発生することが想定される。その場合も、通常の手順と同様、治験責任医師又は治験分担医師は、逸脱の理由及び対応について記録を作成し保存すること。(医薬品GCPガイダンス第46条又は医療機器GCPガイダンス第66条参照)

被験者の家族等による治験薬等の受け取り

Q5 実施医療機関に来院できない等により、被験者が治験薬等を直接受け取れない場合、被験者の家族等が代わりに来院し、治験薬等を受け取ってもよいか。(実施医療機関)

A5 治験責任医師又は治験分担医師が治験薬等の投与又は使用継続は可と判断している前提で、感染のリスクや被験者の状態等を考慮の上、被験者本人の合意のもと被験者に代わり家族等が来院し、治験薬等を受け取ることは可能である。その際、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者本人が治験薬等を適切な時期に確実に受け取ることが保証される代理者であることを代理者の署名やその他の可能な手段で確認すること。また、誰にいつ治験薬等を交付したか、被験者への服薬のフォローアップ方法等を含め、経緯及び対応の記録を作成し保存すること。

代理の医療機関における検査等

Q6 実施医療機関Aに来院できない等により、被験者が近隣の医療機関あるいは当該治験に参加する別の実施医療機関Bにおいて、治験実施計画書で規定する検査(血液学的検査、生化学的検査等の一般的な検査)を実施すること、またその検査結果の提供を受けた実施医療機関Aの治験担当医師がそのデータをもとに安全性や有効性を確認し、治験薬等の投与又は使用継続の可否を判断することは可能か。また、可能な場合、契約等の手続きは必要か。(実施医療機関・治験依頼者)

A6 原則として、治験は単独で実施可能な医療機関において実施し、完結することが適切であるが、実施医療機関Aにおいて治験実施計画書で規定する検査の一部が実施できない等の場合には、実施医療機関Aは別の医療機関との間で医薬品GCP省令第39条の2、医療機器GCP省令第59条又は再生医療等製品GCP省令第59条に基づく委受託契約を締結することにより、治験における一般的な検査を委託して実施することは可能である。当該検査結果を踏まえて治験薬等の投与又は使用継続の可否を判断する際には、試験デザイン、感染のリスク、被験者の状態等を考慮の上、同意を得た被験者において実施医療機関の責任のもと慎重に行うこと。ただし、これを超えて、実施医療機関Aの治験責任医師・治験分担医師が実施すべき安全性・有効性の評価等について、別の医療機関に医薬品GCP省令第39条の2等に基づく委託はできないことに留意すること。その場合は、Q&A7を参照のこと。

Q6-2 実施医療機関Aで実施中の治験に参加している被験者において至急の対応を要するため、別の医療機関との間で、上記A6に示される医薬品GCP省令第39条の2等の委受託契約を事前に締結することが難しい場合、事後に契約することでもよいか。(実施医療機関)

A6-2 実施医療機関A、別の医療機関及び治験依頼者で協議し、至急の対応を要する場合においては可能である。ただし、事後的に契約を行うことについて、実施医療機関A及び別の医療機関の間で事前に合意している旨の記録を残した上で実施し、可及的速やかに上記A6に示される医薬品GCP省令第39条の2等の委受託契約を締結すること。また、その経緯及び対応の記録を作成し保存すること。

代理の医療機関における治験薬等の投与や治験実施計画書に規定する評価

Q7 実施医療機関Aに来院できない等により、被験者が当該治験に参加する別の実施医療機関Bにおいて、被験者に対して治験薬等の投与や治験実施計画書で規定する評価を行うことは可能か。(実施医療機関・治験依頼者)

A7 原則として、治験は単独で実施可能な医療機関において実施し、完結することが適切であるが、実施医療機関A及びBの間の業務分担・責任の範囲等をあらかじめ業務手順書等において定めた上、実施することは可能である。その際、当該体制での実施の理由・背景の詳細について、治験実施計画書等の資料に記載・記録しておくこと。なお、実施医療機関Aで実施中の治験の被験者に対して実施医療機関Bで投与・評価を行う場合や、実施医療機関Aから実施医療機関Bに被験者を一時的であっても転院させる場合には、以下の点に留意すること。

  • 実施医療機関Aの治験責任医師は、被験者に対して、実施医療機関Bで治験に継続して参加することの意思の確認をする際に診療情報等の提供、被験者に係る記録の引継ぎも含めて説明すること。
  • 実施医療機関Bの治験責任医師は、被験者に対して、実施医療機関Bで治験を継続・実施することについて文書により説明を行い、文書により同意を得るとともに、当該被験者が実施医療機関Bにおける治験の参加継続に必要な診療情報等の提供等を実施医療機関Aから受けること。
  • 症例報告書の作成の範囲と各治験責任医師が点検・確認し記名押印又は署名する責任の範囲を明確化すること。
  • いずれの実施医療機関においても、経緯及び対応の記録を作成し保管すること。

Q7-2 別の実施医療機関ではなく、近隣の病院や診療所において、被験者に対して治験薬等の投与又は使用や治験実施計画書で規定する評価を行うことは可能か。また、可能な場合、契約等の手続きは必要か。(実施医療機関・治験依頼者)

A7-2 近隣の病院や診療所については、治験依頼者とGCP省令第13条に基づく治験の契約を締結し、当該治験に参加する実施医療機関として行う必要がある。

被験者宅の訪問および治験薬等の投与

Q8 被験者が実施医療機関に来院できない等により、実施医療機関の看護師が被験者宅を訪問し、被験者に対して治験薬等の投与をすることは可能か。(実施医療機関・治験依頼者)

A8 原則として、治験薬等の投与は、緊急時等に被験者に対して必要な措置を講ずることができる実施医療機関において実施することが適切であるが、当該治験薬等のリスク等を勘案し、治験責任医師の監督・指示のもと、実施医療機関に所属する看護師が治験協力者として被験者宅を訪問し治験薬等の投与を行うことは可能である。なお、被験者の安全性の確認方法や緊急時の連絡・対応方法等について定めた上で実施すること。

オンライン診療による治験

Q9 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成 30 年3月(令和元年7月一部改訂)厚生労働省)において、「治験や臨床試験等を経ていない安全性の確立されていない医療を提供するべきでない」とあるが、指針の当該記載によると、オンライン診療で治験を行ってはならないのか。(実施医療機関・治験依頼者)

A9 治験において適切に行われるオンライン診療については、実施して差し支えない。厚生労働省医政局医事課に確認したところ、指針の当該記載は、あくまで一般的なオンライン診療における医療の安全性等の観点から、オンライン診療においては対面診療に比べて得られる患者の心身の状態に関する情報が限定されること等に鑑みてのものであり、治験は指針の対象として想定されていないとのことである。

Q9-2 被験者が実施医療機関に来院できない等により、治験担当医師が電話や情報通信機器を用いて被験者に対する治験薬等の投与又は使用継続の可否を判断することは適切か。(実施医療機関・治験依頼者)

A9-2 実施中の治験において、試験デザイン、感染のリスク、被験者の状態等を考慮の上、被験者保護の観点から、電話や情報通信機器を用いた診療により治験薬等の投与又は使用継続の可否の判断を行うことが必要と治験責任医師が判断する場合においては、治験実施計画書等に規定した上で実施して差し支えない。その際、オンライン診療では対面に比べて得られる情報が限定されることに留意し、慎重に判断すること。また、被験者保護の観点から適切な措置であることが担保されるよう治験責任医師の判断を尊重し、治験依頼者及び実施医療機関において協議の上、行うこと。

参照

https://www.pmda.go.jp/files/000235164.pdf

 

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