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「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」改訂案の概要(9月24日―10月8日)

2021年9月25日

1.改訂の趣旨

医療用医薬品の流通については、大手卸売業者が実施していた入札談合が独占禁止法違反に問われ、起訴・有罪判決があったことから、今後、流通関係者が一体となって法令遵守の徹底と再発防止に取り組んでいく必要があるほか、医療用医薬品の取引環境に大きな変化が生じ、長年の商慣行の改善に向けた取組の必要性が増してきていることを踏まえ、医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン(以下「流通改善ガイドライン」という。)の改訂を行う。

あわせて、参考資料のモデル契約書についても、令和2年4月の民法改正や取引実態を踏まえた改訂を行う。

2.改訂の内容

【流通改善ガイドラインの改訂】

各項目において、以下の内容を追加する。

(1)メーカーと卸売業者との関係において留意する事項

  • 割戻し・アローアンスのうち仕切価に反映可能なものは仕切価へ反映した上で、整理・縮小を行うこと。
  • 仕切価・割戻し・アローアンスについては、メーカーと卸売業者との間で十分に協議の上、なるべく早期に設定を行うこと。

(2)卸売業者と保険医療機関・保険薬局との関係において留意する事項

① 早期妥結と単品単価交渉に基づく単品単価契約の推進
  • 原則として単品単価契約とすることとし、契約は、単品ごとの価格を明示した覚書を利用すること等により行うこと。
  • 価格交渉の段階から単品単価交渉を行うことを基本とし、少なくとも前年度より単品単価交渉の範囲を拡大すること。
② 医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉及び不当廉売の禁止
  • 卸売業者は、仕切価に安定供給に必要なコストを踏まえた適切な価格設定を行うとともに、その根拠と妥当性を説明するなどにより、価格交渉を進めること。
  • 医薬品をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、他の卸売業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合には、独占禁止法上の不当廉売に該当する可能性があること。
  • 期中で薬価改定があるなど医薬品の価値に変動があるような場合を除き、当年度内は妥結価格の変更を原則行わないこと。また、年間契約等のより長期の契約を基本とすること。

(3)流通当事者間で共通して留意する事項

① 返品の扱い
  • 在庫調整を目的とした返品は特に慎むこと。
② 回収の扱い
  • 供給不足が生じ、又は生じるおそれがある場合は、適宜、早急に必要な情報提供を行うこと。また、経費負担については、当事者間で十分協議すること。
③ 公正な競争の確保と法令の遵守
  • 全ての流通関係者は独占禁止法など関係法令等を遵守すること。このため、研修を定期的に受講する等、実効性の担保に努めること。
④ 流通の効率化と安全性・安定供給の確保
  • 卸売業者は、頻回配送・急配の回数やコスト負担等について、取引先に対し、コストの根拠等に基づき説明を行い理解を求めること。また、費用負担を求める場合には、当事者間で契約を締結すること。
  • 保険医療機関等は、常に適正な在庫量を維持し、卸売業者は必要な提案等を行うこと。
  • 過剰な在庫確保や不必要な急配を控えるとともに、供給不安が生じた際には、「医療用医薬品の供給不足が生じる場合の対応スキーム」など、安定供給の確保のための取組を行うこと。また、安定確保医薬品については、特に安定供給の確保に配慮すること。

(4)厚生労働省による関与

① 厚生労働省への相談
  • 交渉が行き詰まり、改善の見込みがない場合に加え、ガイドラインの趣旨に沿わない事例についても相談することができること。

(5)その他

  • その他、所要の文言の修正を行う。

【モデル契約書の改訂】

(1)民法改正(令和2年4月施行)を踏まえた見直し

  • 「瑕疵担保責任」から「契約不適合担保責任」への改正として、契約不適合の条件に係る条項を追加する。
  • 連帯保証人に関する改正として、連帯保証人への情報提供義務に係る条項を追加する。

(2)取引実態を踏まえた見直し

  • 代金の支払いに係る条項について、現在の一般的な決済手段等を踏まえた修正を行う。

(3)一般的な取引契約書を踏まえた見直し

  • 秘密保持、反社会的勢力の排除に係る条項を追加する。

(4)その他

  • その他、所要の文言の修正を行う。

3.改訂後の流通改善ガイドライン及びモデル契約書の適用日

令和4年1月1日(予定)

参照

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