デジタルヘルス

電子処方箋の仕組みの構築について(令和3年7月29日)

現在の紙の処方箋運用の概要と、電子処方箋の導入による変化

紙の処方箋運用の概要

処方箋発行
  • 医療機関
  • 医師
  • 診察の後、医師は、患者等に対して処方箋を交付する。
処方箋持参
  • 患者
  • 患者等は紙で処方箋を持参する。
処方箋受付・服薬指導
  • 薬局
  • 薬剤師
  • 患者
  • 薬局において、薬剤師は、医師等の処方箋により、調剤する。
  • 薬剤師は、処方箋中に疑わしい点があるときは、処方箋を交付した医師等に疑義照会を行う。
  • 薬剤師は、調剤の際、患者等に対し、服薬指導を行う。
調剤記録・保管
  • 薬局
  • 調剤済みとなった処方箋を3年間保存。
  • 調剤結果等を医師等に情報提供することが努力義務化。

電子処方箋導入による変化

処方箋発行
  • 医療機関
  • 医師
  • 電子的に処方箋を交付する。
  • 医師は、過去の処方・調剤情報を参照したうえで、処方を実施。
処方箋持参
  • 患者
  • 持参の必要が無くなる。
  • マイナポータル等で自己の処方・調剤情報を閲覧
処方箋受付・服薬指導
  • 薬局
  • 薬剤師
  • 患者
  • 電子処方箋に基づき調剤。
  • 薬剤師は、過去の処方・調剤情報を参照したうえで、疑義照会、服薬指導を実施。
調剤記録・保管
  • 薬局
  • 処方箋は電子的に保存可能。
  • 調剤結果等の医師等への情報提供が電子的に可能。

電子処方箋システムを導入することによるメリットについて(考えられる案)

第6回健康・医療・介護情報利活用検討会
(令和2年12月9日)資料1(抜粋)

(出典)電子処方箋の運用ガイドライン(第2版)等により作成

紙の処方箋が無くなることによるメリット

  • 紙の処方箋の偽造や再利用の防止
  • 紙の処方箋の印刷に係るコストの削減
  • 調剤された薬剤を受け取る際に、紙の処方箋の持参が不要になる。
  • 遠隔診療の際、処方箋の原本を電子的に受け取ることが可能となる。
  • 紙の処方箋の保管スペース等を削減できる。

処方内容を電子化することによるメリット

  • 薬局から医療機関への処方内容の照会を反映した調剤結果等の伝達や、先発品から後発品に調剤を変更した際の伝達がより容易になり、医療機関でも患者情報のシステムへの反映が容易になる。
  • 調剤に関する入力等の労務が軽減され、誤入力等が防止される。
  • 処方情報の事前送付をより簡便に行うことができるようになり、待ち時間の短縮が期待される。

電子化した処方情報を共有することによるメリット

  • 医療機関と薬局の情報共有が進み、患者にとってより適切な薬学的管理が可能になる。
  • 複数の医療機関・薬局間での情報の共有が進むことで、実効性のある重複投薬防止等が可能となる。
  • 直近の処方情報とともに、オンライン資格確認等システムから入手できる薬剤情報や健診情報等をもとに、より質の高い医療の提供に資することができる。
  • 患者自らが直近の処方情報や過去の薬剤情報をトータルで一元的に確認することができ、服薬情報の履歴を管理できるとともに、必要に応じて医療機関、薬局等から各種のサービスを受けることができる。

電子処方箋のスケジュールについて

  • 電子処方箋については、骨太2020において、2022年夏を目処に運用を開始することとされていたため、令和2年度第3次補正予算を確保し、運営主体である支払基金においてシステム開発業者の調達手続が進められてきた。
  • 7月2日が入札期日であったが、入札がなく、再調達が必要。
  • 再調達を行う場合のスケジュールは、当初予定から5ヶ月程度の遅れ。(2022年9月頭の運用開始予定から、2023年1月の運用開始予定に変更。

成長戦略フォローアップ( 令和3年6月18日閣議決定)

  • オンライン資格確認等システムを基盤とした電子処方箋の仕組みについて、実施時における検証も含め、安全かつ正確な運用に向けた環境整備を行い、2022年度から運用開始する。

経済財政運営と改革の基本方針2021( 令和3年6 月18日閣議決定)

  • 医療・特定健診等の情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みや民間PHRサービスの利活用も含めた自身で閲覧・活用できる仕組みについて、2022 年度までに、集中的な取組みを進めることや、医療・介護事業所における情報共有とそのための電子カルテ情報や介護情報の標準化の推進、医療情報の保護と利活用に関する法制度の在り方の検討、画像・検査情報、介護情報を含めた自身の保健医療情報を閲覧できる仕組みの整備、科学的介護・栄養の取組みの推進、今般の感染症の自宅療養者に確実に医療が全員に提供されるよう医療情報を保健所と医療機関等の間で共有する仕組みの構築(必要な法改正を含め検討)、審査支払機関改革の着実な推進など、データヘルス改革に関する工程表に則り、改革を着実に推進する。

電子処方箋の運用開始に当たって必要な法改正事項

医師法、歯科医師法、薬剤師法における処方箋関連規定との調整

  • 医師法、歯科医師法において、医師及び歯科医師が患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者やその看護に当たっている者に対して処方箋を交付しなければならないと規定されている。今般、新たに検討している電子処方箋の仕組みは、電子処方箋を医師等から支払基金等を介して薬局に伝達するものであるため、医師法等において、医師等が電子処方箋を支払基金等に提供すれば、患者等に交付したものとみなすなどの規定を整備する。

電子処方箋管理業務に係る支払基金等の業務規定の整備

  • 電子処方箋管理業務(処方箋発行医療機関と調剤する薬局間の処方箋の電磁的なやり取りの媒介、処方・調剤情報の医療機関・薬局への共有)について、法律において支払基金等の業務として新たに位置付けるとともに、当該管理業務に係る費用負担や厚生労働省の監督規定(業務方法書の事前認可や事業年度毎の予算等の認可、財務諸表の承認、必要に応じた業務状況等の報告徴収等)を整備する。

個人情報保護法の規定との関係の整理

  • 電子処方箋に含まれる個人情報の第三者提供や要配慮個人情報の取得について、法令上の整理を行う。※個人情報保護委員会と整理中

参照

-デジタルヘルス

© 2024 RWE