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科学的介護とは

2021年4月6日

科学的裏付けに基づく介護(科学的介護)とは

医療分野における「根拠(エビデンス)に基づく医療」(Evidence Based Medicine:EBM)

  • 「診ている患者の臨床上の疑問点に関して、医師が関連文献等を検索し、それらを批判的に吟味した上で患者への適用の妥当性を評価し、さらに患者の価値観や意向を考慮した上で臨床判断を下し、専門技能を活用して医療を行うこと」と定義できる実践的な手法。
  • 1990年代以降、医療分野においては、「エビデンスに基づく医療」が実施されている。

介護分野における取組み

  • 介護保険制度は、単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするというだけではなく、高齢者の尊厳を保持し、自立した日常生活を支援することを理念とした制度。
  • 介護分野においても科学的手法に基づく分析を進め、エビデンスを蓄積し活用していくことが必要であるが、現状では、科学的に効果が裏付けられた介護が、十分に実践されているとは言えない。
  • エビデンスに基づいた自立支援・重度化防止等を進めるためには、現場・アカデミア等が一体となって科学的裏付けに基づく介護を推進するための循環が創出できる仕組みを形成する必要がある。
  • 介護関連データベースによる情報の収集・分析、現場へのフィードバックを通じて、科学的裏付けに基づく介護の普及・実践をはかる。

科学的介護にかかる検討の取りまとめ経過

はじめに

  • 介護サービスの需要増大が見込まれ、制度の持続可能性を確保できるよう、介護職員の働き方改革と利用者に対するサービスの質の向上を両立できる、新たな「介護」のあり方についての検討が必要である。
  • 介護保険制度は、高齢者の尊厳を保持し、自立した日常生活を支援することを理念とした制度であるが、介護サービスのアウトカム等について、科学的な検証に裏付けられた客観的な情報が十分に得られているとはいえない状況である。
  • 介護分野でも、科学的手法に基づく分析を進め、エビデンスを蓄積し活用していくことが必要であり、分析成果のフィードバックによる介護サービスの質の向上も期待できる。

科学的裏付けに基づく介護(科学的介護)について

  • エビデンスに基づいた自立支援・重度化防止等を進めるためには、以下の取組を実践しつつ、現場・アカデミア等が一体となって科学的裏付けに基づく介護を推進するための循環が創出できる仕組みを形成する必要がある。
    1. エビデンスに基づいた介護の実践
    2. 科学的に妥当性のある指標等の現場からの収集・蓄積および分析
    3. 分析の成果を現場にフィードバックすることで、更なる科学的介護を推進
  • 介護分野では、医療における「治療効果」等の関係者間でコンセンサスの得られた評価指標が必ずしも存在するわけではなく、個々の利用者等の様々なニーズや価値判断が存在する。
  • 科学的介護を実践していくためには、科学的に妥当性のある指標を用いることが様々なデータの取得・解析に当たっての前提とならざるを得ないが、科学的に妥当性のある指標等が確立していない場合もある。
  • 科学的介護の推進にあたっては、介護保険制度が関係者の理解を前提とした共助の理念に基づく仕組みであることを踏まえつつ、様々な関係者の価値判断を尊重して検討を行っていくことが重要である。

CHASEにおける収集項目について

  • 収集項目については、以下のような基準に準じて選定。
    • 信頼性・妥当性があり科学的測定が可能なもの
    • データの収集に新たな負荷がかからないもの
    • 国際的に比較が可能なもの
  • 事業所等の負担等を考慮し、既に事業所等に集積されている情報等を踏まえてた整理を実施。
    1. 基本的な項目:できるだけ多くの事業所等で入力されるべき項目
    2. 目的に応じた項目:介護報酬上の加算の対象となる事業所等において入力されるべき項目
    3. その他の項目:各事業所で任意に入力できるようにするべき項目、フィージビリティを検討した上で収集対象とすべき項目等
  • 科学的介護の対象領域は、介護給付、予防給付、介護予防・日常生活支援総合事業等の介護保険制度がカバーする全領域であるが、どこまで評価・入力等を求めていくかは、フィージビリティを検証しつつ制度面を含めて検討する必要がある。
  • 科学的介護の仕組みについて、関係者の理解を得るためには、サービスの利用者やデータ入力を行う事業所等がデータの分析結果の恩恵を享受できるようフィードバックできる仕組みが必要である

将来的な方向性等について

  • 新たに指標の科学的な妥当性が確保されるなど、収集のフィージビリティが検証された項目については、適宜、CHASEの収集項目に追加していくことが必要。
  • アウトカムに関する情報等を分析・比較する場合、介入に係るデータの収集も必要であり、国際化も視野に入れICHI 等への対応を考慮し検討を進めていく。
  • CHASEにおける収集に実効性を持たせていくためには、今後の介護保険制度改正や介護報酬改定に係る議論等において、CHASEを用いた解析結果等も生かしつつ、関係者の理解を得ながら、収集のための仕組みを検討していく必要がある。
  • 介護の場は、高齢者等の生活の場でもあることから、より幸福感や人生の満足感等も含めた生活の視点を重視し、利用者の社会参加、食事の方法、排泄の方法、日中の過ごし方、本人の意思の尊重、本人の主体性を引き出すようなケアの提供方法等について、現場へのフィードバックも含めて検討を進めていく。
  • 医療分野の個人単位被保険者番号の活用に係る議論やNDBと介護DB、その他の公的DB・人口動態統計(死亡票)など公的統計との今後の連携も見据え、厚生労働省全体で検討を進めていくが必要である。
  • 今後、厚生労働省がCHASEを科学的介護に活かす仕組みを着実に整備し、アウトカム評価等による質の高い介護に対するインセンティブ措置を拡充していくことで、介護のパフォーマンスの向上が期待される。

VISIT・CHASEによる科学的介護の推進

  • 計画書の作成等を要件とするプロセス加算において実施するPDCAサイクルの中で、
    • これまでの取組み等の過程で計画書等を作成し、ケアを実施するとともに、
    • その計画書等の内容をデータ連携により大きな負荷なくデータを送信し、
    • 同時にフィードバックを受けることにより、利用者の状態やケアの実績の変化等を踏まえた計画書の改善等を行うことで、
      データに基づくさらなるPDCAサイクルを推進し、ケアの質の向上につなげる。

VISIT・CHASEにおけるデータ入力の省力化について

  • 今後はVISIT(通所・訪問リハビリテーション)・CHASE(全サービス)へのデータ入力・フィードバックについては機能を統合する。
  • 介護記録ソフトとのデータ連携により、統合したデータベースシステムへのデータ入力に係る現場の負担を軽減。
  • 統合したデータベースシステムへの入力により、厚生労働省にデータを提出し、加算の算定に必要な様式も作成が可能。

「科学的介護情報システム(LIFE)」とは

厚生労働省は、平成28年度から通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)、令和2年5月より高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム(CHASE)を運用しています。このVISITとCHASEが、令和3年4月1日からは一体的に運用されるようになりました。

名称も、科学的介護の理解と浸透を図るという観点から、「科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence; LIFE ライフ)」と変更されています。

同時に、令和3年度介護報酬改定で、科学的に効果が裏付けられた自立支援・重度化防止に資する質の高いサービス提供の推進をねらい、LIFEを用いた厚生労働省へのデータ提出とフィードバックの活用による、PDCA サイクル・ケアの質の向上を図る取組みを促すようになっています。

関連記事

科学的介護における重要指標―Barthel Index、Vitality Index、低栄養のリスクレベル、嚥下調整食の食形態

参照

科学的介護(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html

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