皆さんは、国や文化、言語が異なっても、同じ病気について正確に情報を交換できることが、どれほど重要か考えたことはありますでしょうか。例えば、日本で「百日咳」と呼ばれる感染症は、英語圏では「Whooping cough」として知られています 1。もし、それぞれの国が独自の言葉や基準で病気の記録を取り続けていたら、世界全体でどの病気がどれくらい流行しているのか、あるいは特定の治療法が国境を越えて有効なのかを比較することは、極めて困難になってしまうでしょう。
現代の医療は、個々の患者さんを治療するだけでなく、社会全体の健康を守り、向上させるという公衆衛生の大きな役割を担っています。ある地域で新たな感染症が発生したとき、その情報を迅速かつ正確に世界中の専門家と共有できなければ、効果的な対策を立てることはできません。また、新しい治療薬や治療法が開発された際には、その効果や安全性を国際的な規模で評価する必要があります。そのためには、世界中の医師や研究者、政策立案者が、同じ病気を同じものとして認識し、議論するための「共通の言葉」が不可欠となります。
この「共通の言葉」の役割を担っているのが、今回ご紹介する「国際疾病分類」、英語の名称であるInternational Statistical Classification of Diseases and Related Health Problemsの頭文字をとって「ICD」と呼ばれるものです 2。ICDは、世界保健機関(WHO)が作成する、いわば病気に関する世界標準の物差しです 3。この分類体系があるおかげで、私たちは言語の壁を越えて、健康に関するデータを体系的に記録し、分析し、比較することが可能になるのです 4。
ICDの真価は、それが単なる病名のリストではない点にあります。その本質は、世界の健康情報を支える巨大な「インフラストラクチャー」であると言えます。当初は人々の命を奪う原因、すなわち死因を国際的に比較するという目的から始まりましたが 3、時代とともにその役割は大きく広がりました。現在では、どのような病気が流行しているかを示す疾病統計、医療機関への診療報酬の支払い、限られた医療資源の適切な配分、提供される医療の質の評価、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような新たな脅威を監視するパンデミック対策まで、医療システムのあらゆる場面でICDが活用されています 6。このように、ICDは単なる記録のための道具から、医療システム全体を動かし、国の保健医療政策を導くための能動的な基盤へと進化を遂げたのです。
この記事では、皆さんが「ICDとは何か」「ICDはどのように用いられるのか」といった疑問を解消できるよう、教科書を読み進めるように、一歩ずつ丁寧に解説を進めていきます。まずはICDがどのような歴史を経て誕生したのかをたどり、次に現在日本をはじめ世界中で広く使われている第10回改訂版「ICD-10」の具体的な仕組みと役割を解き明かします。そして最後に、約30年ぶりに全面改訂され、未来の医療を見据えた新しい基準となる「ICD-11」の革新的な内容と、それが私たちの社会にどのような変化をもたらすのかを、深く掘り下げていきます。
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世界共通の健康指標の誕生 ― ICDの歴史をたどる
今日、私たちが当たり前のように利用している国際疾病分類(ICD)は、一朝一夕に完成したものではありません。その背景には、数世紀にわたる公衆衛生の発展と、国境を越えた協力の積み重ねという、壮大な歴史が存在します。ICDの進化の道のりをたどることは、この分類が持つ権威と信頼性の源泉を理解する上で欠かせません。
病気を体系的に分類しようとする試みの萌芽は、17世紀から18世紀のヨーロッパに見出すことができます。特に、フランスの医師であり植物学者でもあったフランソワ・ボワシエ・ド・ソヴァージュ・ド・ラクロワは、1763年に病気を10のクラスに分け、さらに2400の個別の疾患に分類する体系を構築しました 4。これは、当時、植物学で発展していた分類学の手法を医学に応用した画期的な試みでした。しかし、これらの初期の分類は、用語の不統一や信頼できる統計データの欠如といった問題から、広く実用されるには至りませんでした 3。
近代的な統計分類の確立に向けた大きな一歩は、19世紀後半に踏み出されます。1853年にブリュッセルで開かれた第1回国際統計会議では、国や言語の違いを超えて利用できる死因分類の作成が急務であると認識され、その開発がウィリアム・ファーとマーク・デスピーヌに託されました 4。この動きが結実したのが、1893年にフランスの統計学者ジャック・ベルティヨンが中心となって完成させた「国際死因分類(International List of Causes of Death)」です 3。このベルティヨン分類こそが、今日のICDの直接の祖先とされています。この分類は大きな注目を集め、1898年にはアメリカ公衆衛生協会がカナダ、メキシコ、アメリカ合衆国での採用を勧告し、同時に、医学の進歩に合わせて約10年ごとに改訂を行うべきであると提言しました 3。
この提言に基づき、20世紀に入ると国際死因分類は定期的に改訂会議が開かれ、国際的な協力体制のもとで発展していくことになります 9。そして、第二次世界大戦後の国際秩序の再編の中で、歴史的な転換点が訪れます。1948年、新たに設立された世界保健機関(WHO)が、この分類の維持管理と改訂の責任を全面的に引き継ぐことになったのです 3。WHOは、第6回改訂(ICD-6)において、その対象を従来の死因統計だけでなく、病気の罹患、すなわち疾病統計にも拡大しました。これに伴い、名称も現在の「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)」、すなわちICDへと改められたのです 4。これにより、ICDは文字通り、世界の疾病と死亡に関する包括的な統計基準としての地位を確立しました。
その後、ICDはWHOのもとで約10年ごとの改訂を重ね、医学の進歩を反映しながら、その内容を充実させていきました 4。しかし、この歴史の過程で、一つの重要な潮流が生まれます。それは、「国際的な標準化」という目的と、「各国の個別的なニーズ」との間の緊張関係です。特にアメリカでは、ICDを単なる統計作成のためだけでなく、病院での診療記録の管理や、医療保険の診療報酬請求といった、より臨床的な目的で活用したいという要求が高まりました。その結果、アメリカ公衆衛生局はICDを基に、より詳細な情報を記録できるよう独自の改変を加えた「臨床修正版(Clinical Modification、略してCM)」を開発しました 3。この流れはICD-9において決定的となり、アメリカでは国際版のICD-9を基に、国内の入院・外来診療での診断コーディングに特化した「ICD-9-CM」が広く普及しました 4。
このような国ごとの臨床修正版の発展は、国内の医療管理の精緻化には貢献した一方で、国際的なデータの比較可能性を部分的に損なうというジレンマを生み出しました 8。同じICDという名前を冠していても、国によって分類の細かさやルールが異なってしまうためです。この「国際標準化」と「各国の個別ニーズ」という、いわば二つの力の間の絶え間ない対話と緊張こそが、ICDの歴史を貫く重要なテーマです。そして、この長年にわたる課題に対する一つの革新的な答えとして、次世代のICD-11が設計されることになるのです。この歴史的背景を心に留めておくことは、後の章で解説するICD-11の真の意義を理解するための重要な鍵となります。
現在の世界基準 ― ICD-10の構造と役割を理解する
1990年の世界保健総会で採択され、現在、日本の医療現場をはじめ世界中で広く利用されているのが、国際疾病分類の第10回改訂版、すなわち「ICD-10」です [User Query]。このICD-10は、私たちの健康や医療とどのように関わっているのでしょうか。ここでは、その具体的な構造と、日本社会における多様な役割について詳しく見ていくことにします。
まず、ICD-10の構造から理解していきましょう。ICD-10は、すべての疾病や傷害、死因などを、体系的に整理するために、全部で22の大きな章(Chapter)に分類しています 1。それぞれの章には、アルファベットのAからUまでが割り当てられており、例えば「第1章 感染症および寄生虫症」はコード範囲A00からB99まで、「第2章 新生物(がんなど)」はC00からD48まで、といったように明確に区分されています 1。
ICD-10のコードは、この章を示すアルファベット1文字と2桁の数字を組み合わせた「3桁分類」が基本となります。例えば、「循環器系の疾患」に分類される「脳梗塞」の3桁コードは「I63」です 14。さらに、病態をより詳しく表現するために、この3桁コードの後にピリオドを打ち、もう1桁数字を追加した「4桁分類」が設けられています。先ほどの脳梗塞の例で言えば、「I63.3」は「脳動脈の血栓症による脳梗塞」を、「I63.4」は「脳動脈の塞栓症による脳梗塞」を意味し、原因によってさらに細かく分類されるのです 14。このように、大分類である章から、中分類、小分類へと階層的に細分化されていく構造が、ICD-10の大きな特徴です 13。この階層構造によって、大まかな疾病グループでの集計から、個別の詳細な病態の分析まで、目的に応じて情報の粒度を柔軟に調整することが可能になっています。
では、このICD-10は、日本において具体的にどのように利用されているのでしょうか。その役割は多岐にわたりますが、主に三つの重要な機能が挙げられます。
第一に、国の公的統計の基盤としての役割です。厚生労働省が毎年公表している人口動態統計は、日本の人口の動向を示す最も重要な統計の一つですが、その中の死亡統計はICD-10に基づいて作成されています。医師が作成した死亡診断書に書かれた死因は、国の定めた統一ルールに従ってICD-10コードに変換され、それに基づいて日本人の死因順位などが集計・分析されるのです 17。
第二に、医療政策を立案するための基礎資料としての役割です。国は、国民の健康状態や医療の利用実態を把握するため、様々な調査を行っています。例えば、3年ごとに実施される「患者調査」や、毎年作成される「社会医療診療行為別統計」では、患者さんがどのような病気で医療機関を受診しているかをICD-10コードを用いて集計しています 18。これらのデータは、将来の医療需要を予測したり、特定の疾患に対する対策を強化したりと、国の医療政策を科学的根拠に基づいて決定するための貴重な情報源となります。
そして第三に、これが最も医療現場に直結する役割ですが、診療報酬制度との深い連携です。特に日本の入院医療においては、DPC/PDPS(診断群分類別包括評価制度)という医療費の支払い方式が広く導入されています。これは、患者さんの病名や行われた手術などに応じて、1日あたりの入院費が定額で決められる制度です。この「診断群分類」を決定する上で、中核的な情報となるのが、医師によって診断された主病名や副病名に付与されるICD-10コードなのです 20。つまり、ICD-10コードは、単なる統計上の分類にとどまらず、病院の収入を直接左右する経営上の重要情報としても機能しているのです。実際に、医療機関が保険者に医療費を請求するために作成するレセプト(診療報酬明細書)には、傷病名に対応するICD-10コードが記載されています 21。
このように、ICD-10はその厳格な階層構造を基盤として、日本の公衆衛生、医療政策、そして病院経営の根幹を支える重要な役割を果たしてきました。しかし、この構造そのものに、次の改訂を必然とする限界が内包されていました。ICD-10の仕組みは、一つのコードに一つの意味が予め割り当てられている「事前結合(pre-coordination)」方式です 24。例えば、「2型糖尿病」に「腎合併症」が加わった状態には、「E11.2」という専用のコードが事前に用意されています 26。これは一見、単純明快で分かりやすいのですが、医学が進歩し、より複雑な病態を表現しようとすると問題が生じます。例えば、「重度の」「左の腎臓に起きた」「特定の原因による」2型糖尿病性腎症、といった具合に詳細な情報を加えようとすると、その組み合わせの数だけ新たなコードを無限に作り続けなければならなくなります。実際に、米国の臨床修正版であるICD-10-CMでは、こうした臨床ニーズに応えるためにコード数が約14,000から約155,000へと爆発的に増加しました 4。この「コードの爆発」は、分類体系の維持管理を極めて困難にし、国ごとの改変が進むことで国際的なデータの互換性をさらに損なう結果を招きました。ICD-10が持つこの構造的な限界こそが、より柔軟で拡張性の高いシステム、すなわちICD-11への全面改訂を不可避なものとした内的な要因だったのです。
デジタル時代の医療を見据えて ― ICD-11への大改訂
ICD-10が1990年に採択されてから、世界は約30年という長い年月を経て、次なる国際基準「ICD-11」へと歩みを進めました。この改訂は、単に古くなった情報を更新するという次元のものではなく、21世紀の医療が直面する新たな課題と、急速に発展するデジタル技術に対応するための、根本的な「リブート(再起動)」とも言える壮大なプロジェクトでした。ここでは、ICD-11への大改訂を駆動した背景にある思想と、その目的を深く探っていきます。
ICD-10が制定された1990年代初頭と現代とでは、医療を取り巻く環境は劇的に変化しました。ゲノム科学の進展により疾患の原因が遺伝子レベルで解明され始め、個別化医療が現実のものとなりつつあります。また、社会の変化に伴い、これまで認識されていなかった新たな健康問題も登場しました。ICD-10は、その厳格な構造ゆえに、こうした日進月歩の医学的知見や新しい疾患概念を柔軟に取り込むことが困難になっていました 27。分類体系そのものが、医学の最前線から取り残されつつあったのです。
このような背景から、WHOはICDの全面的な改訂を決断しました。そのキックオフミーティングが日本の小田原で開かれ、開発開始が世界に発表されたのは2007年のことです 2。そこから10年以上にわたり、世界各国の臨床医、研究者、統計学者、情報科学の専門家たちが協力し、分野別のワーキンググループで活発な議論が重ねられました 30。日本からも多くの専門家がこの国際的な共同作業に貢献し、改訂プロセスにおいて重要な役割を果たしました 2。そして長い歳月を経て完成したICD-11は、2019年5月の世界保健総会(WHA)で正式に承認され、移行準備期間を経て2022年1月1日に国際基準として発効するに至ったのです 2。
このICD-11の設計思想の中核をなすのが、「完全な電子化」と「デジタル環境での活用」というコンセプトです 5。これは、主に紙媒体での利用を前提として設計され、後に電子化されたICD-10との決定的な違いです。ICD-11は、もはや単なる「書籍」ではなく、ウェブ上で機能する動的な「データベース」として構築されています。
具体的には、API(Application Programming Interface)と呼ばれる仕組みが用意されており、これを通じて様々なコンピュータシステムがICD-11のデータベースに直接アクセスし、情報をやり取りすることができます 6。これにより、医療機関で使われる電子カルテ(EHR)システムとICD-11をシームレスに統合し、医師が入力した診断情報から、AI(人工知能)が適切なICD-11コードの候補を提示するといった、未来的な応用が可能になります 6。臨床現場でのコーディング作業の負担を軽減し、同時にその正確性を高めることが期待されているのです。
さらに重要なのは、ICD-11が単なる「病名コードの分類」から、各疾患の定義、診断基準、関連する症状や所見といった詳細な情報までを内包する、包括的な「情報体系(ナレッジベースまたはオントロジー)」へと進化した点です 2。これは、コードという記号の裏側にある「疾患概念」そのものを、世界中で共有し、コンピュータが意味を理解できる形で構造化しようとする野心的な試みです。ICD-10が、いわば紙の辞書を電子化したものだとすれば、ICD-11は、言葉と言葉の関係性がネットワーク状に張り巡らされた、知的なウェブデータベースに例えることができるでしょう。
このICD-11への移行は、単なる分類システムの「アップデート」ではなく、医療情報のあり方を根本から変える「パラダイムシフト」を意味します。データはもはや、後から集計・分析するためだけに受動的に記録されるものではなくなります。ICD-11というプラットフォームの上では、データは臨床の現場でリアルタイムに活用され、臨床判断を支援し、AIによる診断補助を可能にし、個別化医療の研究を加速させる、能動的で知的な資源へと生まれ変わるのです 6。ICD-11は、静的な「記録」のためのツールから、動的な「知識活用」のためのプラットフォームへと、その役割を大きく飛躍させようとしているのです。
ICD-11の革新的な仕組みと内容
ICD-11が「デジタル時代の分類」と呼ばれる所以は、その革新的な仕組み、すなわちアーキテクチャにあります。ここでは、ICD-11の技術的な核心である新しいコーディングの仕組みと、それに伴って実現された内容面の大きな変更点について、具体的に解説していきます。
まず、ICD-11の根幹をなす仕組みから見ていきましょう。ICD-11の構造は、二つの主要な要素から成り立っています。一つは「ファウンデーションコンポーネント」と呼ばれる、すべての医学的概念を網羅した巨大なデータベースです。ここには、疾患、障害、傷害、症状、原因など、健康に関連するあらゆる情報が、その定義や相互の関係性とともに格納されています 31。もう一つは「リニアリゼーション」と呼ばれるもので、これはファウンデーションコンポーネントという巨大な知識の海から、特定の目的に合わせて必要な項目を抜き出して作成した「分類リスト」です 33。現在、私たちがICD-11として主に参照するのは、死亡統計と疾病統計のために作られた「MMS(Mortality and Morbidity Statistics)」リニアリゼーションです 31。
この構造を基盤として実現されたのが、ICD-11の最も重要な特徴である「ポストコーディネーション(後結合)」という考え方です 24。これは、予めすべての診断の組み合わせをコードとして用意しておくICD-10の「プレコーディネーション(事前結合)」方式とは全く異なるアプローチです。ポストコーディネーションでは、基本的な診断要素を示す複数のコードを、レゴブロックのように後から組み合わせて、一つの複雑な臨床像を表現します。
この組み合わせに使われるのが、「ステムコード」と「エクステンションコード」です。ステムコードは、中核となる診断、例えば「5A11 2型糖尿病」といった、それ自体で意味を持つコードです 36。一方、エクステンションコードは、単独では使えませんが、ステムコードに連結することで、重症度、部位(左右など)、原因物質、解剖学的詳細といった補足情報を付加する役割を持ちます。エクステンションコードは、必ずアルファベットのXから始まります 24。
そして、これらのコードを連結して診断の「文章」を作る仕組みが「クラスターコーディング」です 39。ステムコードとエクステンションコードはアンパサンド記号(
&)で、ステムコード同士はスラッシュ記号(/)で連結されます 8。このクラスターコーディングにより、臨床現場で遭遇する多様で複雑な病態を、極めて柔軟かつ詳細に、そして論理的に記録することが可能になったのです。これは、医師の思考プロセス、すなわち「この病気が原因で、この部位に、この程度の重さの、この症状が現れている」という臨床的な思考の流れを、そのままデータ構造として表現しようとする試みであり、データの質を飛躍的に向上させる可能性を秘めています 39。
次に、この革新的な仕組みによって実現された、内容面の主な変更点を見ていきましょう。
第一に、章立ての大幅な見直しです。最新の医学的知見を反映し、「第4章 免疫系の疾患」、「第7章 睡眠・覚醒障害」、「第17章 性の健康に関連する状態」といった新しい章が独立して設けられました 2。また、脳卒中などの脳血管疾患が、従来の「循環器系の疾患」から、病態生理学的な理解に基づき「神経系の疾患」の章へと移動するなど、分類体系全体がより論理的に再編されています 2。
第二に、現代社会を反映した新たな疾患概念の追加です。その代表例が「ゲーム障害/ゲーム症」です。これは、ゲームをしたいという衝動を自分でコントロールできず、日常生活に支障をきたす状態を指し、ICD-11で初めて正式な疾患として分類されました [User Query]。
第三に、ICD史上初めて「伝統医学の章」が新設されたことです 2。第26章として追加されたこの章には、まず日本、中国、韓国などで実践されている伝統医学(漢方など)の病態や診断が収載されました。これにより、これまで近代医学の枠組みでは捉えきれなかった伝統医学の利用実態を、国際的な統計として把握し、その有効性や安全性を科学的に研究するための道が開かれたのです 2。
第四に、グローバルな公衆衛生上の課題への対応強化です。世界的な脅威となっている「薬剤耐性(AMR)」について、原因となる耐性菌の種類や耐性のメカニズムを詳細に記録するためのコード体系が大幅に拡充されました 6。また、医療行為に伴って発生する有害事象などを記録する「患者安全」に関する分類も強化され、医療の質の向上に資するデータを収集しやすくなりました 45。
これらの変更は、ICD-11が単にICD-10を更新したものではなく、現代医療の複雑性と多様性に応え、未来の健康データ活用を見据えた、全く新しい分類体系であることを明確に示しています。
分類の変更が社会に与える影響 ―「性別不合」を例に
国際疾病分類(ICD)の改訂は、医学界や統計の世界における専門的な変更にとどまるものではありません。その分類の一つ一つが、社会の価値観や個人の人権、そして国の法制度にまで、深く、そして直接的な影響を及ぼす力を持っています。そのことを最も象徴的に示しているのが、ICD-11における「性別不合」の扱いの変更です。この事例を詳しく考察することで、ICDという分類体系が持つ社会的な側面を明らかにしていきましょう。
まず、ICD-10からICD-11への具体的な変更点を確認します。ICD-10では、生まれた時に割り当てられた性別と自認する性別(ジェンダー・アイデンティティ)が一致しない状態は、「性同一性障害」という名称で、「第5章 精神および行動の障害」の中に分類されていました [User Query]。これは、この状態が精神医学的な治療の対象となる「病気」や「障害」であると位置づけられていたことを意味します。
これに対し、ICD-11では根本的な見直しが行われました。まず、名称が「性同一性障害」から「性別不合(Gender Incongruence)」へと変更されました。そして、より重要な変更として、その分類される場所が「精神および行動の障害」の章から外され、新たに設けられた「第17章 性の健康に関連する状態」の中に移されたのです 2。
この変更が持つ最大の意義は、「脱病理化(depathologization)」、すなわち、これまで「病気」とされてきた状態を、病気の範疇から外すという点にあります 50。WHOが、自身のジェンダーと割り当てられた性別との間に不一致を感じること自体は、もはや精神の病ではないと国際的な基準として公式に認めたのです。このことは、トランスジェンダーの人々に対して長年向けられてきた社会的な偏見やスティグマ(社会的な烙印や汚名)を軽減する上で、極めて大きな一歩となります 49。トランスジェンダーであることは、治療すべき「異常」ではなく、人間の多様性の一つのあり方であるという認識を、世界の保健医療の最高権威が示したからです。これは、当事者の自己肯定感を支え、その尊厳と人権を尊重する社会を築くための、力強い後押しとなるでしょう。
一方で、このような変更に対して、「病気でなくなることで、必要な医療が受けられなくなるのではないか」という懸念の声が聞かれることもあります。しかし、WHOはこの点について明確な見解を示しています。すなわち、性別不合は精神疾患ではないものの、当事者がホルモン療法や性別適合手術といった医療的ケアを必要とし、それを望む場合には、医療へのアクセスは引き続き保障されるべきである、という立場です 47。むしろ、これまでのように精神科の診断が必須でなくなることで、必要な医療へのアクセスがより円滑になる可能性も指摘されています。
そして、この国際基準の変更は、日本の法制度にも重要な問いを投げかけています。日本には、戸籍上の性別変更の要件を定めた「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(通称:性同一性障害特例法)」が存在します 52。この法律は、その名称からも明らかなように、ICD-10が定義した「性同一性障害」という「精神障害」の概念を、その成立の前提としています。
ICD-11によって、「性別不合」が精神障害ではないと国際的に再定義された今、この特例法の名称そのものの妥当性や、法律が定める性別変更の要件(特に、生殖能力をなくす手術を事実上課している点など)について、再検討を迫る強力な医学的・国際的な根拠が生まれたと言えます 50。ICDという国際分類の改訂が、一国の法律のあり方にまで影響を及ぼし、人権をめぐる議論を活性化させる。このダイナミズムは、ICDが単なる科学的な文書ではなく、社会規範を形成し、時には変革を促す力を持つ「規範的文書」としての側面を強く持っていることを、私たちに教えてくれます。一つのコードの変更が、世界中の人々の生き方や権利に、これほどまでに深く関わっているのです。
理論から実践へ ― ICDコードを使ってみましょう
これまで、ICD-10の構造と、ICD-11で導入された革新的な仕組みについて理論的に解説してきました。しかし、その真の違いを実感するためには、具体的な事例に沿って実際にコードを使ってみることが一番の近道です。ここでは、いくつかの代表的な疾患を例にとり、ICD-10とICD-11でコーディングがどのように変わるのかを比較しながら、ICD-11のクラスターコーディングが持つ威力と柔軟性を体感していただくことにします。
最初の事例として、非常に一般的な疾患である糖尿病とその合併症を取り上げます。ここに、「2型糖尿病を長年患っており、その合併症として慢性腎臓病を発症している」という患者さんがいるとします。ICD-10でこの状態を記録する場合、私たちは予め用意されたコードの中から最も近いものを探します。このケースでは、「E11.2 2型糖尿病、腎合併症を伴うもの」という、糖尿病と腎合併症が一つにまとめられた事前結合(プレコーディネーション)のコードが選択されることになります 26。このコードは便利ですが、例えば腎臓病がどのくらい進行しているのか、そのステージといった詳細な情報を、このコード一つで表現することはできません。
一方、ICD-11では全く異なるアプローチをとります。まず、中核となる診断である「2型糖尿病」に、ステムコード「5A11」を割り当てます。次にもう一つの診断である「慢性腎臓病」に、ステムコード「GB61.Z」(Zは詳細不明を意味します)を割り当てます。そして、この二つのステムコードをスラッシュ記号(/)で連結し、「5A11/GB61.Z」というコードのクラスター(かたまり)を作成します 41。このクラスターは、「2型糖尿病によって引き起こされた慢性腎臓病」という因果関係を明確に表現しています。さらに、もし臨床情報から腎臓病が「ステージ4」であることが分かっていれば、「GB61.Z」の代わりに、より詳細な「GB61.4」というステムコードを用いることができます。その結果、クラスターは「5A11/GB61.4」となり、病態をより正確に記録することが可能になるのです 40。
次に、悪性新生物、すなわち「がん」の事例を見てみましょう。「左の乳房の外側上部に悪性新生物ができた」という診断があったとします。ICD-10では、部位によって細かく分類されたコードが用意されており、この場合は「C50.4 上外側区域の乳房の悪性新生物」といったコードが使われます。しかし、このコードに「左側」という情報を加える標準的な方法はありません。
これに対してICD-11では、まず「乳房の悪性新生物」という基本診断にステムコード「2C6Z」を割り当てます。そして、このステムコードに、部位を特定するためのエクステンションコードを連結していきます。具体的には、「左」を示す「XK8G」と、「乳房の外側上部」を示す「XA2Q54」という二つのエクステンションコードを、アンパサンド記号(&)を使って連結し、「2C6Z&XK8G&XA2Q54」というクラスターを構築します 24。この方法の優れた点は、必要に応じてさらに情報を追加できることです。例えば、がんの進行度(ステージ)や組織型に関するエクステンションコードをこのクラスターに加えることで、一つのコードクラスターの中に、極めて詳細で多角的な情報を盛り込むことができるのです 38。
三つ目の事例は、怪我、すなわち損傷とその原因です。「歩道を散歩中にでこぼこした地面で転倒し、左腕の橈骨を骨折した」という状況を考えます。ICD-10では、損傷そのものを表すコード、例えば「S52.- 橈骨及び尺骨の骨折」と、損傷の原因(外因)を表すコード、例えば「W01.- 同一平面上での転倒」を、それぞれ別個に記録する必要がありました。両者の関連性をデータ上で明確に示すことは困難でした。
ICD-11では、これらの情報を一つの論理的なクラスターとして表現できます。まず、損傷の診断である「橈骨骨幹部骨折」にステムコード「NC32.2」を、外因である「不慮の転倒」にステムコード「PA60」を割り当てます。そして、損傷のコードには「左」を示すエクステンションコード「XK8G」を、外因のコードには「でこぼこな地面」を示す「XE1DA」、「歩道で」を示す「XE53A」、「レジャー活動中」を示す「XE617」といったエクステンションコードをそれぞれ追加します。最終的に、これらを連結して「NC32.2&XK8G / PA60&XE1DA&XE53A&XE617」のような非常に情報量の多いクラスターを作成することができます 36。これにより、どのような状況でどのような怪我をしたのかが、一目瞭然となります。
最後の事例として、現代の公衆衛生における重要課題である感染症と薬剤耐性を見てみましょう。ICD-10には、薬剤耐性菌による感染症を体系的に表現する仕組みが十分に備わっていませんでした。しかしICD-11では、この点が大幅に改善されています。例えば、「ESBL産生大腸菌による尿路感染症」という診断の場合、「GC08.0(大腸菌による尿路感染症、部位不明)」という感染症のステムコードと、「MG50.27(ESBL産生大腸菌)」という原因菌の耐性情報を示すステムコードをスラッシュ記号で連結し、「GC08.0/MG50.27」というクラスターを作成します 53。これにより、どの感染症がどの耐性菌によって引き起こされたのかを正確に追跡することが可能となり、薬剤耐性(AMR)の監視(サーベイランス)の精度が格段に向上するのです。
これらの事例から明らかなように、ICD-11への移行は、医療情報を記録する専門家、特に診療情報管理士の役割に大きな変革を迫るものです。ICD-10の時代には、診療記録を読んで最も適合するコードをリストから「探し出す」作業が中心でした。しかしICD-11では、診断間の因果関係や付随する様々な状況を臨床記録から正確に読み解き、それらを論理的に「組み立てて」情報構造を構築する能力が求められます。これはもはや、単なる「コード選択者」ではなく、臨床情報をデータとして設計する「情報設計者」への進化を意味します。この役割変革は、診療情報管理士の専門性を一層高め、病院経営や医療の質の向上において、より戦略的な貢献を可能にする機会を生み出す一方で、この新しいスキルに適応するための高度な教育と研修が不可欠となることも示唆しています 54。
日本におけるICD-11導入への道筋
世界保健機関(WHO)が2019年にICD-11を承認し、2022年1月からの発効を宣言したことで、世界は新たな疾病分類の時代へと舵を切りました。しかし、この国際的な決定が、即座にすべての加盟国で一斉に適用されるわけではありません。ICD-11の導入は、各国の医療制度や情報インフラの状況に合わせて進められる、壮大かつ複雑な国家規模のプロジェクトなのです。ここでは、日本がICD-11を導入するにあたっての現在の道筋と課題を、諸外国の動向と比較しながら見ていくことにします。
まず、国際的なタイムラインについて確認しておくと、WHOはICD-11への移行を各国に推奨していますが、そのペースは各国の裁量に委ねられています。特に、長年ICD-10を基盤とした複雑な情報システムを運用してきた国々にとっては、移行に数年単位の時間を要することが想定されており、WHOもその点を理解しています。したがって、移行が遅れることに対する罰則のようなものはありません 32。
このような状況の中、日本でもICD-11の導入に向けた準備が着々と進められています。そのプロセスは、いくつかの重要な課題を乗り越える必要があります。第一の、そして最大の課題は、ICD-11の膨大な内容の日本語への翻訳作業です。ICD-11は、単なる病名リストではなく、各疾患の詳細な定義や診断基準までを含んだ包括的な情報体系です。厚生労働省や関連する医学会が中心となり、これらの膨大なテキストを、医学的に正確かつ日本の臨床現場の実態に即した日本語へと翻訳する、極めて専門的で地道な作業が進められています。これは、新しい疾患概念の日本語名称を決定するなど、多くの議論を必要とする時間のかかるプロセスです 2。
第二の課題は、既存の社会システムとの整合性です。前述の通り、日本の死亡統計や疾病統計、さらには診療報酬制度であるDPCなどは、すべてICD-10を基盤として構築されています。ICD-11へ移行するためには、これらの統計や制度を新しい分類体系に対応させる必要があり、その影響を詳細に検証し、関連する情報システムを大規模に改修しなければなりません 27。
第三の課題は、人材の育成です。ICD-11の新しいコーディングの仕組み、特にクラスターコーディングを使いこなすためには、診療情報管理士をはじめとする医療従事者やコーディング担当者に対する大規模な教育・研修が不可欠です。円滑な移行を実現するためには、この人的インフラの整備が重要な鍵を握っています 54。
日本のこうした状況を、他の主要国の動向と比較してみることで、課題の性質がより明確になります。
例えばアメリカ合衆国では、疾病予防管理センター(CDC)傘下の国立保健統計センター(NCHS)が中心となって移行の検討を進めています 34。米国における最大の論点は、ICD-11をそのまま導入するか、あるいはICD-10の時代と同様に、米国の複雑な医療保険制度や診療報酬請求のニーズに合わせて独自の「臨床修正版(ICD-11-CM)」を新たに開発するか、という点です 29。後者を選択すれば、米国のニーズに最適化された分類が手に入りますが、その開発には莫大な時間とコストがかかります。前者を選択すれば、迅速な導入と国際的な整合性の確保が可能になりますが、既存の精緻な請求システムとの互換性に課題が残る可能性があります。このジレンマは、民間保険が主導する米国の医療制度の特性を色濃く反映しています 8。
一方、ドイツでは、連邦保健省の監督のもと、連邦医薬品医療機器庁(BfArM)がドイツ語版の提供と導入準備を主導しています 60。ドイツでは、ICDコードに強く依存するDRG(診断群分類)を用いた入院費の償還制度が広く普及しているため、ICD-11への移行がこの精緻な既存システムに与える影響の分析が、極めて重要な課題として議論されています 61。同時に、政府はICD-11の導入を、国のデジタルヘルス戦略を推進するための絶好の機会と捉え、積極的に取り組んでいます。
また、お隣の韓国では、ICD-10の国内修正版であるKCD(韓国標準疾病死因分類)からICD-11への移行を目指し、実際の医療機関でICD-11を使ってみるパイロット研究などを通じて、コーディングの精度や移行に伴う課題の検証を行っています 64。これらの研究からは、ICD-11のクラスターコーディングの習得の難しさや、がんのステージ分類など特定の領域での表現力の限界といった、実践的な課題が報告されています 65。
このように、ICD-11という一つのグローバルスタンダードを導入するプロセスは、その国の医療制度が持つ固有の構造、歴史、そして価値観を映し出す鏡となります。日本が直面する、DPC制度との適合や詳細な公的統計の継続性といった課題も、まさに日本の医療の特性そのものです。ICD-11への移行の成功は、単なる技術的な問題を解決するだけでなく、こうした各国の制度的・文化的な文脈をいかに乗り越え、国際協調と国内事情のバランスをとっていくかにかかっているのです。
ICD-11が拓く健康データの未来
これまで、国際疾病分類(ICD)の長い歴史から、現在使われているICD-10の仕組み、そして未来の基準となるICD-11の革新的な内容と、その導入に向けた国内外の動きを詳しく見てきました。最後に、これまでの議論を総括し、ICD-11が本格的に導入された先に、どのような健康データの未来が拓けていくのかを展望して、この報告書を締めくくりたいと思います。
ICD-11がもたらす最も根源的な変化は、「データの質の飛躍的な向上」です。クラスターコーディングによって、疾患の因果関係や重症度、部位といった臨床的な文脈を詳細かつ構造的に記録できるようになることで、私たちが手にする健康データは、これまでとは比較にならないほどリッチで正確なものになります。この質の高いデータは、より精度の高い疫学研究を可能にし、科学的根拠に基づく効果的な公衆衛生政策の立案を支え、そして最終的には、個々の患者さん一人ひとりにとって最適な医療の提供へと繋がっていくでしょう 6。
特に、ICD-11が持つデジタル親和性と構造化されたデータ形式は、AI(人工知能)やビッグデータ解析といった現代の先端技術と、極めて高い親和性を持っています 6。膨大な数のICD-11コードクラスターをAIが解析することで、これまで人間では見つけ出すことができなかったような、新たな疾患パターンの発見や、病気の進行を予測するモデルの開発、さらには新しい治療薬の開発(創薬)研究の加速など、医療のブレークスルーを生み出すことが期待されます。データが単なる記録から、新たな知識を生み出す源泉へと変わるのです。
また、より身近な医療の現場においても、その恩恵は計り知れません。例えば、患者安全や医療の質の向上という観点では、医療行為に関連して起きた有害な事象(医療関連有害事象)を、その原因や経緯を含めて詳細に記録できるため、根本的な原因を分析し、効果的な再発防止策を講じることが格段に容易になります 45。医療の透明性を高め、誰もが安心して医療を受けられる社会の実現に貢献するのです。
そして、グローバルな視点に立てば、ICD-11は人類が地球規模の健康危機に立ち向かうための強力な武器となります。世界中の国々が同じ基準で、質の高い健康データを共有できるようになることで、新たなパンデミックの兆候を早期に探知したり、国境を越えて感染症の拡大状況を正確に比較したりすることが可能になります。これにより、世界はより迅速かつ協調的に、効果的な対策を講じることができるようになるでしょう 6。
ICD-10からICD-11への移行は、単なる分類基準の変更ではなく、医療情報の世界における一つの革命です。それは、私たちの健康に関する情報を、より深く、より正確に、そしてより知的に活用するための、未来への扉を開くものです。この壮大で希望に満ちた変革を成功に導くためには、医療の最前線に立つ医師や看護師、それを支える診療情報管理士、新たな知見を求める研究者、そして社会全体の仕組みを考える政策立案者といった専門家だけでなく、私たち市民一人ひとりが、ICDという「健康の共通言語」に関心を持ち、その重要性を理解し、その進化を社会全体で支えていくことが不可欠です。この記事が、その一助となることを心から願っています。
参考情報
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