ビジネス全般

次期診療報酬改定に向けた基本認識、視点、方向性等について(令和3年10月22日)

改定に当たっての基本認識について

改定に当たっての基本認識については、以下のように示すこととしてはどうか。

▶ 新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応

  • 我が国の医療制度は、これまで、医療のアクセスや質を確保しつつ、持続可能な医療提供体制を確保していくため、医療機能の分化・強化、連携や、地域包括ケアシステムの推進、かかりつけ機能の充実等の取組を進めてきた。今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、我が国の医療提供体制に多大な影響が生じ、地域医療の様々な課題が浮き彫りとなり、地域における医療機能の分化・強化、連携等の重要性が改めて認識された。
  • まずは、足下の新型コロナウイルス感染症対応に引き続き全力を注いでいくことが重要である。その上で、今般の経験を踏まえ、今後、新興感染症等が発生した際に、病院間等の医療機関間の役割分担や連携など、関係者が連携の上、平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替えるなど円滑かつ効果的に対応できるような体制を確保していく必要がある。加えて、今般の感染症対応により浮き彫りとなった課題にも対応するよう、引き続き、質の高い効率的・効果的な医療提供体制の構築に向けた取組を着実に進める必要がある。

▶ 健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現

  • 同時に、我が国は、国民皆保険や優れた保健・医療システムの成果により、世界最高水準の平均寿命を達成し、人生100年時代を迎えようとしている。人口構成の変化を見ると、2025年にはいわゆる団塊の世代が全て後期高齢者となり、2040年頃にはいわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となって高齢者人口がピークを迎えるとともに現役世代(生産年齢人口)が急激に減少していく。
  • このような中、社会の活力を維持・向上していくためには、健康寿命の延伸により高齢者をはじめとする意欲のある方々が役割を持ち活躍のできる社会を実現するとともに「全世代型社会保障」を構築していくことが急務の課題である。このような考え方の下、これまで数次の診療報酬改定を行ってきたところであり、このような視点は今回も引き継がれるべきものである。

▶ 患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

  • 地域の実情に応じて、可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、患者が安心して医療を受けることができる体制を構築し、患者にとって身近でわかりやすい医療を実現していくことが重要である。
  • また、疾病構造やニーズの変化・多様化、医療需要が増える中での働き手の減少、医療技術の進歩など、医療を取り巻く状況を踏まえると、医師等の働き方改革等について、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、医師等が高い専門性を発揮できる環境の整備を加速させるとともに、我が国の医療制度に関わる全ての関係者(住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等)が、医療のかかり方の観点も含め、それぞれの担う役割を実現することが必要である。
  • さらに、社会全体として、ICT技術の進歩やデジタル基盤の整備が進んでいく中で、医療分野におけるICTの利活用をより一層進め、医療機関間における医療情報の連携の推進等により、質の高い医療サービスを実現していく必要がある。
  • 加えて、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、医薬品の存在意義と創薬力の重要性が社会的に改めて注目されてきており、イノベーションの推進により創薬力を維持・強化するとともに、革新的医薬品を含めたあらゆる医薬品を国民に安定的に供給し続けることを通じて、医療と経済の発展を両立させ、安心・安全な暮らしを実現することが重要である。

▶ 社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和

  • 制度の安定性・持続可能性を確保しつつ国民皆保険を堅持するためには、こうした社会経済の新たな流れにも対応しながら、経済・財政との調和を図りつつ、より効率的・効果的な医療政策を実現するとともに、国民各層の制度に対する納得感を高めることが不可欠である。
  • そのためには、「経済財政運営と改革の基本方針2021」や「成長戦略実行計画(2021年)」等を踏まえつつ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響にも配慮しつつ、保険料などの国民負担、物価・賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国の財政に係る状況等を踏まえるとともに、無駄の排除、医療資源の効率的な配分、医療分野におけるイノベーションの評価等を通じた経済成長への貢献を図ることが必要である。

改定の基本的視点について

改定の基本的視点については、以下の4点としてはどうか。

その際、これまでの改定の流れを継承しながら、

  • 今般の新型コロナウイルス感染症を含めた新興感染症への対応や、感染拡大により明らかになった課題を踏まえた地域全体での医療機能の分化・強化、連携など、効率的・効果的で質の高い医療提供体制を構築すること
  • 医師等の働き方改革等を推進すること

が重要であることから、視点1及び視点2に重点を置くこととしてはどうか。

  • 視点1 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築【重点課題】
  • 視点2 安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進【重点課題】
  • 視点3 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
  • 視点4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

具体的方向性について

視点1 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築【重点課題】

  • 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大においては、局所的な病床・人材不足の発生、感染症対応も含めた医療機関間の役割分担・連携体制の構築等の地域医療の様々な課題が浮き彫りとなった。
  • こうした中、各々の病院がその機能に応じた役割を果たしており、かかりつけ医を中心とした外来医療や在宅医療を含め、地域医療全体を視野に入れ、適切な役割分担の下、必要な医療を面として提供することの重要性も再認識された。
  • 当面、まずは足下の新型コロナウイルス感染症対応に引き続き対応していくことが重要である。平時からの取組・感染拡大時の取組等について、あらかじめ地域の行政・医療関係者の間で議論・準備がなされていくことも必要。
  • 一方で、その間も、人口減少・高齢化は着実に進みつつあり、医療ニーズの質・量が徐々に変化するとともに、労働力人口の減少によるマンパワーの制約も一層厳しくなりつつあることや、各地域における医療機能の分化・連携の取組は必要不可欠であることなど、中長期的な状況や見通しは変わっていない。
  • 今般の感染症対応の経験やその影響も踏まえつつ、診療報酬改定においても、外来・入院・在宅を含めた地域全体での医療機能の分化・強化、連携を引き続き着実に進めることが必要である。

【考えられる具体的方向性の例】

  • 当面、継続的な対応が見込まれる新型コロナウイルス感染症への対応
  • 医療計画の見直しも念頭に新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組
  • 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
    • 患者の状態に応じて適切に医療資源が投入され、地域で必要な入院医療が効果的・効率的に提供されるよう、医療機能や患者の状態や地域における役割分担に応じた評価を行い、医療機能の分化・強化、連携を推進。
  • 外来医療の機能分化等
    • 外来機能報告の導入や医療資源を重点的に活用する外来の明確化を踏まえ、紹介状なしの患者に係る受診時定額負担制度の見直しを含め、外来機能の明確化・連携を推進。
  • かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価
  • 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
  • 地域包括ケアシステムの推進のための取組

視点2 安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進【重点課題】

  • 地域医療構想の実現に向けた取組、実効性のある医師偏在対策、医師等の働き方改革等を推進し、総合的な医療提供体制改革を実施していくことが求められている。
  • 医師等の働き方改革等に関しては、2024年(令和6年)4月から、医師について時間外労働の上限規制が適用される予定であり、先般の医療法改正も踏まえ、各医療機関は自らの状況を適切に分析し、労働時間短縮に計画的に取り組むことが必要となる。
  • 地域医療介護総合確保基金においては、勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業に対して財政支援を実施している。診療報酬においてはこれまで、タスク・シェアリング/タスク・シフティングやチーム医療の推進等、医療従事者の高い専門性の発揮と医療機関における勤務環境改善に資する取組を評価してきた。また、令和2年度診療報酬改定では、新たに地域医療の確保を図る観点から、早急に対応が必要な救急医療体制等の評価も行ったところ。
  • 時間外労働の上限規制の適用が開始される2024年4月に向けての準備期間も考慮すると、実質的に最後の改定機会であることも踏まえ、引き続き、今後、総合的な医療提供体制改革の進展の状況、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点等を踏まえながら、実効性ある取組について検討する必要がある。

【考えられる具体的方向性の例】

  • 医療従事者が高い専門性を発揮できる勤務環境の改善に向けての取組の評価
    • 医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取組を推進
    • タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療を推進
    • 届出・報告の簡素化、人員配置の合理化を推進
  • 地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保
  • 業務の効率化に資するICTの利活用の推進
    • ICTを活用した医療連携の取組を推進

視点3 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

  • 患者の安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえ、第三者による評価やアウトカム評価など客観的な評価を進めながら、デジタル化への対応、イノベーションの推進、不妊治療の保険適用などをはじめとした新たなニーズ等に対応できる医療の実現に資する取組の評価を進める。
  • また、患者自身が納得して医療を受けられるよう、患者にとって身近で分かりやすい医療を実現していくことが重要である。

【考えられる具体的方向性の例】

  • 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価や革新的医薬品を含めた医薬品の安定供給の確保等
    • 患者が安心して医療を受けられ、それぞれの実情に応じて住み慣れた地域で継続して生活できるよう、医療機関間の連携の強化に資する取組、治療と仕事の両立に資する取組等を推進。
    • 患者の安心・安全を確保するための医薬品の安定供給の確保を推進。
    • 医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションを含む先進的な医療技術の適切な評価。
  • 医療におけるICTの利活用・デジタル化への対応
    • 初診を含めたオンライン診療について、安全性と信頼性の確保を前提に適切に評価。
    • オンライン服薬指導について、医薬品医療機器等法に基づくルールの見直しを踏まえ、適切に評価。
  • アウトカムにも着目した評価の推進
    • 質の高いリハビリテーションの評価など、アウトカムにも着目した評価を推進。
  • 重点的な対応が求められる分野について、国民の安心・安全を確保する観点からの適切な評価
    • 子どもを持ちたいという方々が安心して有効で安全な不妊治療を受けられるよう適切な医療の評価
    • 質の高いがん医療の評価
    • 認知症の者に対する適切な医療の評価
    • 地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価
    • 難病患者に対する適切な医療の評価
    • 小児医療、周産期医療、救急医療の充実
  • 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進
  • 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価

視点4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

  • ○ 高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発等により医療費が増大していくことが見込まれる中、国民皆保険を維持するため、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取組が必要である。
  • ○ 医療関係者が共同して、医療サービスの維持・向上を図るとともに、効率化・適正化を図ることが求められる。

【考えられる具体的方向性の例】

  • 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進
    • 安定供給の確保に留意しつつ、新目標を実現するための取組を推進。
    • バイオ後続品の使用促進の方策等について検討。
  • 費用対効果評価制度の活用
    • 革新性が高く市場規模が大きい、又は著しく単価が高い医薬品・医療機器について、費用対効果評価制度を活用し、適正な価格設定を行う。
  • 市場実勢価格を踏まえた適正な評価等
    • 医薬品、医療機器、検査等について、市場実勢価格を踏まえた適正な評価を行うとともに、効率的かつ有効・安全な利用体制を確保。
    • エビデンスや相対的な臨床的有用性を踏まえた医療技術等の適正な評価を行う。
  • 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価(再掲)
  • 外来医療の機能分化等(再掲)
  • 重症化予防の取組の推進
    • 生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な重症化予防の取組を推進。
  • 医薬品の適正使用の推進
    • 重複投薬、ポリファーマシー、残薬や、適正使用のための長期処方の在り方への対応等、医師及び薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全で有効な使用を推進。
    • 医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方を推進。

参照

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