ビジネス全般

2020未来開拓部会「11Projects」

Table of Contents

2020未来開拓部会の総括

  • 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催により、日本が世界の注目を集めるこの機を捉え、東日本大震災からの復興を力強く進めるとともに、地方創生を含めた日本経済の再興を図ることが必要。政府、産業界等が一体となって、我が国の目指す2020年以降の未来像を見据えながら、戦略的な取組を進めるために当部会を2015年に設置。
  • 世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大した影響を受けて、オリンピック・パラリンピック史上初めてとなる1年延期、そして無観客での開催という異例ずくめの大会となったが、関係機関が一体となって連携し、無事に成功裏に幕を閉じた。
  • 開催にあたって、経済産業省としては、サイバーセキュリティ対策、電力の安定供給、テレワークの推進や物流業界の協力による人流・物流両面の交通需要マネジメント等を通じて、安心・安全かつ円滑な大会開催に貢献した。また、政府としては東京大会理念の一つに「復興オリンピック・パラリンピック」を掲げており、東日本大震災の被災地への支援に対する感謝や復興を成し遂げつつある姿を発信したほか、大会期間中はメインプレスセンターに復興ブースを設け、世界に向けて情報発信を行った。
  • 当部会においては、2020年以降の未来像を検討するとともに、その実現に向けた具体的な取組について、モビリティやスマートコミュニティなど、「11プロジェクト」として、議論を重ね、推進してきており、最終年度にそれら施策の評価等を行うこととしていた。
  • オリンピック・パラリンピックという世界の注目を集めるナショナルイベントを契機として、日本の社会や経済、産業全体を大きく動かし、その過程で様々なレガシーを生み出してきている。この動きを止めることなく、むしろ加速させていくために、取組を進めてきた11プロジェクトのアクションと成果の評価等を行い、未来へのレガシーを取りまとめることとする。
  • そして、次の日本の未来社会を開拓していく一助となるように、この成果、モメンタムを2025年日本国際博覧会にも繋げていくこととしたい。

1.モビリティ

  • 次世代自動車の開発や普及を促進する。また、自動走行で実現する価値やアプリケーションの具体化を進める2021年に、世界最高の実装を行い、世界に発信する。

未来へのレガシー

  • オリンピックで提示した先進的なモビリティ社会の実現を基に、世界に向けて、燃料電池自動車や電気自動車等が普及する街づくりを発信。

<2015年~2021年のアクション>

EV・PHV・FCV等の普及促進(初期需要の創出)

  • 次世代自動車の導入支援による、初期需要の創出・量産効果による価格低減を促進。
  • 引き続き車両購入時の負担軽減・初期需要創出を図り、世界に先駆けて自立的な市場の確立を目指す。

充電インフラの整備

  • 47都道府県及び高速道路会社4社が充電インフラ整備のビジョンを策定し、インフラ整備を推進。
  • 充電器の最適配置を目指し、補助制度も通じて、全国各所に急速充電器と普通充電器の導入を促進。引き続き、共同住宅や高速道路等への設置の普及を目指す。

隊列走行の実現

※この他、関係省庁と制度・インフラ整備に関する検討も実施

  • 隊列走行の実現に向け、技術開発や事業モデル等の検討を行い、実証実験を実施。
  • 具体的には、2021年2月に、新東名(浜松SA~遠州森町PA)にて後続車の運転席を無人とした状態でのトラックの後続車無人隊列走行技術を実現。

高齢者・障がい者等の移動手段の確保

※この他、関係省庁と制度・インフラ整備に関する検討も実施

  • 高齢者・障がい者等の移動手段の確保のため、技術開発やビジネスモデル等の検討を行い、実証実験を実施。
  • 具体的には、福井県永平寺町にて、2020年12月よりレベル2遠隔型自動運転システム(1:3)を活用した無人自動運転移動サービスを開始。また、更に車両を高度化し、関連法令の改正を踏まえ、2021年3月にはレベル3による自動運転サービスの開始を実現。

2.スマートコミュニティ

  • 水素を含め、大都市において創・省・蓄エネルギー源を統合的に運用する社会インフラモデルを世界に提示する。

未来へのレガシー

  • CO2フリー水素サプライチェーンやEMSなど関連技術等を組み込んだ新たなエネルギーインフラを継続的に活用することで、未来の社会インフラモデルを提示し、今後の横展開につなげる。
  • ディマンドリスポンスやリソースアグリゲーション等の新たなサービスを信頼性を高めつつ定着させる。

<2015年~2021年のアクション>

需要家側エネルギーリソースの統合制御・ディマンドリスポンスの推進

  • 2015年3月に「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン」を策定(以後、2016年9月、2017年11月、2019年4月、2020年6月
    に順次改定)。また、2017年4月に「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するサイバーセキュリティガイドライン」を策定(以後、2017年11月、2019年12月に順次改定)。
  • 官民共同の会議体である「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会」を2016年1月に立ち上げ。2021年10月迄に計16回の会合を開催し、分散型エネルギーリソースを活用したディマンドリスポンス等のビジネスの推進に向けた各種課題等について議論を実施。制度に関する課題については、関連する審議会等とも連携し、必要な見直し等を実施。
  • 分散型エネルギーリソースを束ねるアグリゲーションビジネスを手掛ける事業者(アグリゲーター)を、電気事業法上に位置づけることについて定めた「エネルギー供給強靭化法」が2020年6月に成立。
  • 2016年度~2020年度に、「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業」を、2021年度からは「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業」を実施。この中で、分散型エネルギーリソースを束ねて電力の供給力や調整力と提供する実証等を実施。
  • ディマンドリスポンス(DR)について、一般送配電事業者による厳気象対応のための調整力公募(電源Ⅰ’)が2017年度から開始され、2021年度は全国で約175万kWのDRが落札(国内ピーク需要の約1.5億kWの1%強)。
  • また、より高速な調整力である需給調整市場(三次調整力②)が2021年度から開設され、DRによる参加も始まっている。

水素社会のモデル構築

  • 2017年世界初の「水素基本戦略」を策定。
  • 2019年水素・燃料電池戦略ロードマップ、水素・燃料電池技術開発戦略を策定。
  • 2018年から水素閣僚会議を毎年主催。2021年は23カ国が参加し、閣僚は過去最多の18人が参加。日本が中心となってモメンタムを生み出していく中で、各国では水素国家戦略が策定され、世界で水素に対する取組も活発化。
  • 国際的な大規模水素サプライチェーンを構築するために、液化水素およびメチルシクロヘキサンによる大規模水素輸送の技術開発・実証を実施中。
  • 2020年、再エネを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」を福島県浪江町に整備・稼働開始。福島新エネ社会構想とも連携した取組を実施。
  • 水素の製造、輸送・貯蔵、利用まで一気通貫したサプライチェーンを構築していくために、水素社会モデル構築実証を実施中。
  • FCVの導入促進や水素ステーション整備促進を行い、FCV約6400台、水素ステーション約170か所を整備した。また、水素ステーションの規制緩和等を45件行い、整備・運用の容易化や低コスト化を図った。さらなる導入促進や規制見直し等を実施中。
  • 家庭用定置用燃料電池の導入促進を行い、約40万台以上が普及した。
  • さらなる水素社会実現のために、高効率・高耐久・低コストなどに資する水素・燃料電池技術の基盤技術開発を実施中。

3.ストレスフリー

  • ショッピング、免税手続き、各種ネット予約等のワンストップ化や、多言語・多通貨対応、ユーザーフレンドリーな決済等の国内滞在環境を整備する。

未来へのレガシー

  • ●おもてなしプラットフォーム(※1)及び「トータルウォレット(※2)」の構築。

※1 訪日外国人の属性情報等をサービス事業者間でID連携及び情報連携することを可能にするプラットフォーム

※2 決済の利便性向上、社会的に有効な情報分析・活用、高いセキュリティを実現する決済・個人認証プラットフォーム

<2015年~2021年のアクション>

情報連携のためのルール整備/情報連携を活用した新たなユースケースの創出/個人情報やプライバシーの保護/キャッシュレス環境の向上

  • 訪日外国人の同意の下、属性(性別・年代・国籍等)や行動履歴(宿泊・買い物・移動等)に関するデータを事業者間で共有・活用し、先進的かつ多様なサービス・決済環境を提供する実証を実施。
  • 地方創生推進交付金を活用し、インバウンド誘客・受入れ環境整備に向けた取組を実施(多言語アプリや情報発信のためのサイネージ等の整備)。
  • 「Touch&Pay」サービスとして、生体指紋認証(個人識別)を活用し、ホテルフロント受付簡略化サービス、荷物配送、Wi-Fi接続や買い物(決済)などの多様なサービスをひとつのID(指など)で簡便に提供することで、手ぶら観光を実現するとともに、観光予報プラットフォームを通じて多言語で地域観光情報を提供。
  • 専用の決済端末(リーダー)を不要とし、かつAlipay等のQRコード決済(支払い)サービスも利用可能なスマホ完結型決済プラットフォームを構築することで、域内消費の増大を図り、得られるデータを地域の観光政策に活用。
  • キャッシュレス・消費者還元事業等を実施し、日本のキャッシュレス決済比率は、2015年の18.2%から2020年には29.7%まで上昇。

観光サービスの活用

  • 訪日外国人の集客、滞在、周遊を促すべく、①域外での魅力発信のためのVR観光情報発信、②顔認証技術を活用したスマイルサイネージサービス、③旅館保有のEVカーの遊休時間を活用したカーシェアサービス等を地域で展開し、収集したデータを観光政策に活用。
  • ①現地体験型観光のマッチングサービス「TABICA」、②観光案内アプリ、③レンタルサイクルサービス、④自販機商品のインセンティブとして利用可能なWi-Fiネットワークサービス、⑤電子スタンプを利用した簡単スマホ決済システム、⑥タブレットでFaQのやりとりを行い、ロボット駅員が回答するおもてなしカウンターサービス、⑦帰国後もおみやげや観光物産購入が可能なECサイトの多言語対応化など、複数のサービスを統合した、旅前~旅後までをケアするおもてなしサービスを展開。

4.ロボット

  • 世界一のロボット利活用社会として、コミュニケーションロボット(翻訳、道案内)、清掃ロボット、警備ロボット、搬送ロボット等の多様なロボットがサービスを提供する姿を世界に発信する。

未来へのレガシー

  • 生活空間おけるロボット活用に係るルールを整備し、当該ルールに基づいてロボットが社会実装される姿を発信。

<2015年~2021年のアクション>

ロボット活用に係る安全性確保に関するルール

  • ロボット活用に係る民間事業者等で構成されているロボット革命イニシアティブ協議会にロボットイノベーションWGを2015年9月に設置。同WGに設置したSWGにおいて、ロボット活用に係るルールを整理・検討。
  • ステークホルダー毎の責務を整理した「生活支援ロボット及びロボットシステムの安全性確保に関するガイドライン」(第一版)を2016年6月にとりまとめ・公表。その結果、2019年7月1日には産業標準化法(新JIS法)でのサービス分野規格の第一号としてJIS Y 1001「サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項」が発行される。

ロボット社会実装に向けた実証

  • 「ロボット導入実証事業」を活用し、これまでロボットが活用されてこなかった領域におけるロボット導入の実証や検証を実施。2016年から2018年にかけて採択事例を紹介したハンドブックを計3冊作成し、公表。

ロボットフレンドリーな環境の実現

  • ロボットの社会実装を加速し、ひいては、課題先進国である我が国のロボットによる社会変革を推進することを目的に、2019年5月から、内閣府、厚生労働省、文部科学省と合同で「ロボットによる社会変革推進会議」を開催し、分野横断的な施策の検討を進め、同年7月に「ロボットによる社会変革推進計画」として取りまとめた。同計画では、今後の施策の方向性の一つとして、「ロボットフレンドリーな環境(=“ロボフレ”)の実現」が必要である旨整理。
  • 上記の計画に基づき、ロボットフレンドリーな環境を実現するべく、2019年11月にユーザーとメーカー・サービスプロバイダー等が参画する「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を設立。人手不足への対応かつ非接触の実現が急務な「施設管理」「小売」「食品」「物流倉庫」にフォーカスし、ロボットフレンドリーな環境実現に関する研究開発(2020年度から「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」において研究開発補助を実施)や、その成果を活用した規格化、標準化を推進。
  • 例えば、施設管理分野においては、オフィスビル、商業施設、駅、ホテル、病院等といった施設で、ロボットがあらゆるフロアへ自律的に移動し、搬送・清掃・警備といった業務を実施できるように、ロボットとエレベーターの連携に関する研究開発を進め、ロボットとエレベーター間の通信連携に関する規格を策定し2021年6月に公表。今後、同規格の精度を高め、国際標準化を目指す。
  • 「ロボフレの実現は、生産性向上や非接触化を実現し、ロボットのユーザーである人の生活を豊かなものにする」といった点をわかりやすく国内外に発信するべく、ロボフレな未来を紹介する動画を作成し2021年6月に公表。

社会実装を加速するオープンイノベーション

  • 上記の「ロボットによる社会変革推進計画」では、今後の施策の方向性の一つとして、「社会実装を加速するオープンイノベーション」が必要である旨整理。当該方向性に基づき、2021年9月(愛知県国際展示場)、10月(福島ロボットテストフィールド)にロボット技術を国内外から集結させ、社会課題の解決を目指した競技会や展示会を行うWorld Robot Summit(ロボットの国際大会)を開催。競技会や展示会を通じて、国内外に向けてロボットの技術を発信。

5.サイバーセキュリティ

  • 政府機関、電力等重要インフラのセキュリティ対策強化、ガイドラインなどによる全機関のサイバーセキュリティ対策の実施。

未来へのレガシー

  • 我が国のセキュリティ対策強化。
  • 我が国のサイバーセキュリティ産業の育成。

<2015年~2021年のアクション>

重要インフラ企業におけるサイバー攻撃対策強化

  • 標的型サイバー攻撃等に関して情報共有を行う「サイバー情報共有イニシアティブ(JCSIP)」の取組を推進し、重要インフラ事業者を中心に13の業界、262の参加組織による情報共有体制と、2つの業種に対する情報連携体制をそれぞれ確立した。
  • 重要インフラ事業者のサイバーセキュリティを強化する観点から、「制御システムのセキュリティリスク分析ガイド」及び「ガイド別冊:制御システムに対するリスク分析の実施例」を策定した。
  • 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保に関する研究開発を行った。

サイバーレスキュー隊による支援や国際連携によるサイバー攻撃対処の実施/経営者のリーダーシップによるサイバーセキュリティの推進

  • サイバーレスキュー隊において、大規模サイバー攻撃時に、民間事業者や業界団体等における早期復旧、再発防止等の初動対処を支援するとともに、国境を越えた深刻なサイバー攻撃に対し、海外のセキュリティインシデント対応機関と連携強化を図った。
  • 「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を改定し、セキュリティ投資が経営者としての責務であることを示しつつ、具体的な対策の参考となる事例集として「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer2.0 実践のためのプラクティス集」を策定するとともに、自社のサイバーセキュリティ対策状況を定量的に把握するための「サイバーセキュリティ経営可視化ツール」を策定した。

サイバーセキュリティ産業の育成

  • セキュリティ製品の有効性検証・実環境における試行検証を実施するとともに、ニーズとシーズをマッチングする場として、「コラボレーション・プラットフォーム」を19回にわたり開催した。
  • 産業サイバーセキュリティセンターにおいて情報系・制御系に精通した重要インフラ・産業基盤の中核人材を育成するプログラムを実施し、これまでに200名以上が修了した。
  • 製品・サービスの認定スキームの構築等による企業の投資促進のため、IPAにおいて「情報セキュリティサービス基準」を策定し、基準に適合するサービスのリストを公開した。
  • ISO/IEC JTC1/SC41において、IoTセキュリティガイドラインをベースとした規格が策定された。
  • 政府全体のサイバーセキュリティ戦略(2021年9月28日閣議決定)において、「Cybersecurity for all~誰も取り残さないサイバーセキュリティ~」の方向性の下、関係省庁が一体となってリテラシーの向上・定着に向けた取組を一層推進することとした。

6.ビンテージ・ソサエティ

  • ビンテージ・ソサエティ実現に向けて、あらゆる人のQOLの向上・社会参加が進むとともに、それを支える新産業・市場を創出する社会的システムを構築する。
  • ユニバーサルデザインを踏まえた製品・サービス・システムを、今後高齢化が進展する諸外国向けに海外展開する。

未来へのレガシー

  • 高齢者・障がい者等が生き生きと暮らし、豊富な人生経験・知識と潤沢な知恵・感性・文化を若者世代に共有・継承できる社会モデルの創出、「人生100年時代」の実現。

<2015年~2021年のアクション>

ビンテージ・ソサエティの情報発信

  • 高齢者が、多世代に緩やかに交わりながら、「社会の負担」になるのではなく、むしろ「社会の力」となっている社会である「ビンテージ・ソサエティ」の実現に向けた取組に係る研究会を2015年から2016年にかけて5回実施し、IoTの活用、超高齢化社会を支える技術・製品サービス、高齢者・障がい者の社会参画のあり方について議論を行った。
  • 研究会における議論を踏まえて、2016年3月に報告書として「活力あふれる「ビンテージ・ソサエティ」の実現に向けて」を公表した。

リビングラボ等、地域・企業の取組研究

  • 平成29年度補正予算として措置した学びと社会の連携促進事業において、地域の社会課題等を題材にしたリビング・ラボを構築し、中高生から企業人・研究者・公務員など世代・分野横断的なイノベーション創出・能力開発プログラムの開発・実証を行った。
  • 平成30年度に行った調査事業において、自治体が直面する社会課題の特定とソーシャルビジネスを阻害するものを抽出して整理し、整理したテーマをもとに自治体・民間事業者とのワークショップを開催した。
  • その中で、リビングラボなどオープンイノベーションの取組には、運営の障壁となる複数の「死の谷」が存在することを確認した。
  • 令和元年度は、既存のリビングラボがこれまでどのような障壁(死の谷)を乗り越えてきたか、また、その際どのような資源を活用してきたかを調査するとともに、新たにリビングラボを始める地域に対して立ち上げの支援を行った。
  • また、経済産業省を現場とした「省内リビングラボ」を実施し、サービス政策課が運営主体となることで、既存のリビングラボが乗り越えてきたであろう障壁を追体験し、リビングラボの構築に必要な資源やノウハウを当事者となって探った。
  • 以上により、リビングラボを運営するうえでの障壁とその乗り越え方をステップごとに記載し、リビングラボを始めるきっかけにしてもらうため、「リビングラボ導入ガイドブック」を作成した。

7.イノベーション

  • 様々な活動やイベントを効果的な方法により国内外に魅力発信し、地方経済や文化の投資促進につなげる。
  • 本取組により、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催地のみならず、全国各地で地方創生につなげるとともに、次代の国の基盤を構築する。

未来へのレガシー

  • 従前の既定にとらわれず、進取の発想・方法で、課題解決ができる次代の人材の育成。
  • 地域の魅力化を通じ、地方経済・社会の持続可能化と大会精神(平和・共生)の提示。

<2015年~2021年のアクション>

突出したIT人材の発掘・育成

  • 今までに見たこともない「未踏的」なアイディア・技術を持つ突出したIT人材を発掘。2000年の事業開始以降、延べ1,900名超を発掘・育成し、約300名が起業・事業化。
  • 既存の「未踏IT人材発掘・育成事業」に加え、未踏的IT人材のアイデアを活かした起業・事業化を支援し、その実現を通じて人材の育成を行う「未踏アドバンスト事業」を2017年度から実施。さらに、将来的に有望と見込まれる分野をターゲットとして設定し、その新たな技術領域を主導していく先端IT人材の育成を行う「未踏ターゲット事業」を2018年度から実施。若年層だけでなく、幅広いバックグランドを持つ突出したIT人材の発掘・育成につながり、多様なプロジェクトの組成に寄与している。
  • 未踏事業の更なる深化、発展を目指すとともに、未踏修了生がもたらすイノベーションの可能性について、幅広い分野の方々に知っていただくことを目的に「未踏会議」を継続的に開催。

地方創生に資する取組の応援

  • 先進的IoTのモデル事業を創出するため、2015年10月に「IoT推進ラボ」を設立。これまでの未踏事業のノウハウを活かし、個別プロジェクトへの資金支援やメンタリングをラボにおいて開始。
  • 地域企業にIoT導入プロジェクトの創出を促すため、2016年6月に「地方版IoT推進ラボ」を設立。2021年4月までに105地域を選定。
  • 選定された地方版IoT推進ラボに対し、ロゴマークの使用権付与、メルマガ等によるIoT推進ラボ会員への広報、地域のプロジェクト・企業等の実現・発展に資するメンターの派遣の他、大型イベントや担当者会議の場での各地域における取組紹介による他地域への情報展開を実施した。

スマートワーク

  • 2017年7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付け、官民挙げて初めて、テレワーク国民運動を実施。
  • 2018年は「テレワーク・デイズ」として期間を拡大し、2018年7月23日から7月27日にかけて実施。
  • 2019年はさらに期間を拡大し、2019年7月22日から9月6日の約1か月半を「テレワーク・デイズ2019」として実施。
  • 2020年は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会本番に合わせて「テレワーク・デイズ2020」として行われる予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により同年中の開催が中止となったことに伴い期間を限定しない取組へと変更し、継続したテレワーク推進の呼びかけ、情報提供等を実施。
  • 2021年は、柔軟な働き方を実現するテレワークの全国的な推進と、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の交通混雑緩和、および新型コロナウイルス感染拡大の防止に寄与するよう「テレワーク・デイズ2021」を実施。
  • 「テレワーク・デイズ2021」は2021年7月19日から9月5日にかけて実施。業界団体への周知協力依頼に加え、日本全国の企業団体等宛に参加依頼状の送付、鉄道事業者各駅へのポスター掲示、またSNSやバナー広告等のweb媒体での周知も実施。

8.インベストメント

  • 我が国に対する国際的な注目度が高まる2020年に向けて、成長戦略に盛り込まれた施策推進を通じたビジネス環境等改善・向上の成果を積極的に発信する。

未来へのレガシー

  • 対日直接投資の拡大。

<2015年~2021年のアクション>

NET ZERO Leaders Summit(Japan Business Conference 2021)の開催

  • 日本の投資環境の魅力やネットゼロ実現に向けた取組を発信するオンラインイベントを2021年7月28日から開催。
  • メインプログラムでは、総理大臣、経済産業大臣、経団連会長によるメッセージの発信に加え、3つのパネルディスカッションセッションにおいて、多様な地域・事業分野の第一線で活躍するグローバルリーダーを世界各国から招き、議論を実施。地域・産業の違いを踏まえた先進的な取組や今後の展望、国際的な連携の必要性等について認識を共有。
  • バーチャル会場では、優れた技術やサービスを有する54の日本企業や自治体がPRブースを出展し、日本のビジネス環境等に係る魅力を発信。
  • 参加登録者数約3,900人(国内約2,400人海外約1,500人)

Regional Business Conferenceの開催

  • オリンピック・パラリンピック東京大会など日本が国際的な注目を集める中、地域への対日直接投資を促進する機会を捉え、2018年度から17地域にて「地域への対日直接投資カンファレンス(Regional Business Conference)」を開催。
  • 地方自治体が、外国企業の招へい・サイトビジット、首長によるトップセールス、地域企業とのマッチングなどを実施し、地域の魅力的なビジネス環境を世界に向けて発信。

グローバルベンチャーサミットの開催

  • グローバルに活躍するスタートアップ企業の創出・育成を実現するため、民間・政府系イベントとの連携、開催を実施。
  • 2020年10月、2021年2月、Innovation Gardenの開催を支援。
  • 3つの世界最先端の海外カンファレンス(ARS、BORDER、C2)と連携。スタートアップブースの設置、ピッチイベント、オープンイノベーションを目的としたマッチングイベント等をオンラインで実施。
  • 2021年9月、Japan Business Conference内にて、日本のスタートアップの投資環境の魅力や社会課題解決に向けた取組を世界に向けて発信するイベントGlobal Startup Connectionを開催。
  • 海外の起業家、投資家、日本のスタートアップ、大企業等を集め、基調講演、パネルディスカッション、ピッチ等を日本語および英語で配信。アーカイブ動画も公開し、対日投資を促した。
  • Innovation Garden、Global Startup Connection合わせて、視聴数は約2,200回、マッチング件数は170件となっている。

9.ひとづくり

  • 日本の各地域のキラーコンテンツ(技、おもてなし、伝統文化、国際交流等々)を基軸に地域の多様な主体や世代間の交流等よる様々な活動を通じて、特に、自発的に課題を解決する若者を中心とした実践的ひとづくりを行う。

未来へのレガシー

  • 従前の既定にとらわれず、進取の発想・方法で、課題解決ができる次代の人材の育成。

<2015年~2021年のアクション>

課題解決型ひとづくり運動の応援

  • 「第4次産業革命」や、「人生100 年時代」、「グローバル化」が進む中、世界は「課題解決・変革型人材(チェンジメーカー)」の輩出に向けた能力開発競争の時代を迎え、各国で就学前・初中等・高等・リカレント教育の各段階における革新的な能力開発技法(EdTech※)を活用した「学びの革命」が進んでいる。こうした中、生涯学習の理念のもと、就学前からリカレント教育に至るまで、教育全体のあり方を再構築することを目指し、EdTech等を活用した革新的な能力開発技法の創出に向けた議論や実証事業を行った。

「未来の教室」とEdTech研究会

  • 2018年より実施した「未来の教室」とEdTech研究会では、AIや動画、オンライン会話等のデジタル技術を活用した教育技法であるEdTechを活用し、人の創造性や課題解決力を育み、個別最適化された新しい教育をいかに作り上げるかについて議論を行った。2018年6月に取りまとめた第1次提言では、一人一人の学習者の能力・特性や興味・関心に応じて個別最適化される学習者中心の教育環境への転換や、誰もが創造的な課題発見・解決力を育むことができる教育環境の実現について提言した。2019 年6月には、「学びのSTEAM 化※」、「学びの自立化・個別最適化」、「新しい学習基盤の整備」の3つの柱で構成される「未来の教室ビジョン」(第2次提言)をとりまとめた。2020年度には、本研究会の下にSTEAM検討ワーキンググループを設置し、「未来の教室」ビジョンの柱の一つ「学びのSTEAM 化」という考え方の更なる整理、STEAM ライブラリー構想の精緻化を進め、2020 年8月には中間報告をとりまとめた。
  • 2021年度には、産業構造審議会教育イノベーション小委員会を設置し、次世代投資として、「10代の学び」の環境の再構築に向け議論を行っている。

「未来の教室」プロジェクト

  • 2018年度は、第1次提言で示した考え方をもとに、就学前・初中等段階における「未来の教室」創出を目指す事業など、全国各地の教育現場で50の実証事業を実施。また、2019年度には、この「未来の教室」ビジョンで示した考え方や、前年度の「未来の教室」実証事業にて得られた結果・知見をもとに、様々な学校種において「未来の教室」のコンセプトを具現化し、「創る」と「知る」のサイクルを有機的に回す授業を実施するモデル校実証事業等、35の実証事業を行った。
  • 2020年度には「学びのSTEAM化」の実現に向け、自治体単位での変革に向けた取組や学校単位でより質の高いSTEAM カリキュラム開発を行う実証事業など、22の実証事業を行った。また、子供たちが伸びやかに「未来社会の創り手」に育つきっかけを提供すべく、SDGsの社会課題等を入口とした探究的・教科横断的な学びのための動画・資料コンテンツ群を「STEAM ライブラリー」として2021 年3月に無料で公開した。さらに、EdTech 導入補助金を新設し、学校等教育現場にEdTech ソフトウェア・サービスを導入する事業を行う事業者に必要経費の一部を補助し、学校及び学校等設置者と教育産業の協力による教育イノベーションの全国的な普及の後押しを行った。
  • 2021年度は引き続き実証事業を実施。また、2020年度に開発したSTEAMライブラリーの拡充を行うとともに、EdTech導入補助金により全国へのEdTech導入の推進も実施中。

※EdTech(エドテック)とは・・・「Education(教育)」と「Technology(科学技術)」を掛け合わせた造語。教育現場にデジタルテクノロジーを導入することで、教育領域に変革をもたらすサービス・取組の総称。

※STEAM(スティーム)とは…Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(ものづくり)、Arts(人文社会・芸術)及びMathematics(数学)の5つの領域を含む学際的な探究学習を目指す教育コンセプトの総称。

10.スポーツ

  • 従来のスポーツと最新のデジタルコンテンツ技術の組み合わせにより、新時代のスポーツ・文化の在り方を可視化することで、スポーツと文化の楽しみ方にイノベーションを起こす。

未来へのレガシー

  • 新時代のスポーツ・文化の在り方を可視化することで、スポーツ産業及びコンテンツ産業を活性化する。

<2015年~2021年のアクション>

先進的なコンテンツ技術の発掘・情報発信

  • コンテンツの先進技術を紹介するイベントである「DCEXPO (デジタルコンテンツエキスポ・一般財団法人デジタルコンテンツ協会主催)」へ審査委員として協力することで訴求力を向上させ、業界内の情報発信力を高めた。
  • ビジネスマッチング促進の委託事業において、一般財団法人デジタルコンテンツ協会を介して「Tech Biz」を実施し、先進的なコンテンツ技術を保有している事業者のマッチングを促している。事業者の情報発信力を向上させるための指導を含むマネジメントを併せて行うことで、マッチングの成果をあげ、先進的な日本コンテンツの日本国内及び海外への展開を促進している。
  • 先進技術等を用いて顧客体験を拡張し、収益力強化を行っている事業への補助金としてJLOD3補助金を打ち出し、新たなコンテンツのモデルケースの発掘をしている。

新たなコンテンツビジネスモデルの在り方の検討

  • 平成27年度経済産業省補正予算による「地域発コンテンツ海外流通基盤整備事業」の著作権の権利関係情報集約化事業として、様々なコンテンツジャンルのデータベースを一括検索できるシステム「JapanContent Catalog(略称:JACC)」(特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)所有・運営)を整備した。2021年4月時点で収載コンテンツ総数は約100,000件(日本語・英語対応)あり、一部は中国語(簡体字)にも対応しており、その収載コンテンツ総数は約6,000件ある。これにより日本コンテンツの著作権の利用を円滑にし、著作物を活用した国内外のバイヤーとのマッチングを促進している。

スポーツ産業ビジョン策定

  •  2016年2月にスポーツ庁とともに「スポーツ未来開拓会議」を立ち上げ、同年6月に中間報告公表。スタジアム・アリーナ改革や新たなビジネスの創出等の方向性を示すとともに、スポーツ市場規模を2025年までに15兆円との目標を設定。
  • 2016年から、スタジアム・アリーナ改革に向けたガイドブック作成や先進事例形成に向けた支援などの取組をすすめ、2020年には、モデル施設を11拠点選定。
  • 2020年に地域×スポーツクラブ産業研究会を立ち上げ、2021年6月には部活動の地域移行の受け皿となるサービス業としての地域スポーツクラブの可能性について提言をとりまとめ。2021年から全国9カ所でフィージビリティスタディ事業を開始。
  • 2021年11月に経済産業省にスポーツ産業室を設置し、DXを核にしたスポーツ産業の成長産業化に向けた施策を省内横断的に展開する体制を構築。

11.文化・観光

  • 様々な活動やイベントを効果的な方法により国内外に魅力発信し、地方経済や文化の投資促進につなげる。
  • 本取組により、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催地のみならず、全国各地で外国人訪日客増加、消費額の増加等を誘引し、地方創生につなげるとともに、次代の国の基盤を構築する。

未来へのレガシー

●地域の魅力化を通じ、地方経済・社会の持続可能化と大会精神(平和・共生)の提示。

<2015年~2021年のアクション>

地方創生に関する取組(地域資源の発掘・魅力発信)

  • 地域の中小企業等がチームとなり、プロデューサーと組んで、日本らしい商材やサービス「Japan Treasures」をまとめて地域ブランディングし海外へ発信。
  • 外国人専門家との連携し「日本らしい」魅力ある商材・サービスを扱う中小企業等を支援するTOTTEOKI Projectを実施。
  • 関係省庁等と連携し、文化に関連する認証マークの認証を実施。累計8件を認証。
  • 若手クリエーターのアイディアをもとに、都市、デジタル、観光サービス、ブロードキャスティングの観点から、具体的なプロジェクトを検討した。
  • 日本版SXSW(Nomaps)により、クリエイティブな発想や技術で未来を作る人たちの交流の場を創出。
  • オリンピック・パラリンピック地域活性化首長連合と連携し、東京都港区新虎通りのフードスタンドを中心とした旅するマーケットで日本各地の魅力紹介を支援。また、羽田空港国際線ターミナルでも特産品販売や体験イベント等の実施を支援。
  • 日本文化の魅力を世界に向けてプレゼンテーションする「東京新虎まつり」を開催し、延べ3万人が来場。新虎通りでの「東北六魂祭パレード」等を実施した。
  • オリンピック・パラリンピック等経済界協議会の企業合同物産展「JAPAN市」を支援。企業が、会場やボランティアを提供し、復興五輪・伝統文化など、幅広いテーマをもとに、その魅力を発信。全国各地で延べ15万人以上が来場。
  • 様々な日本の魅力ある生活文化を活かし、文化と経済の好循環を促進する。

観光地の高度化を推進

  • 世界中の観光客を惹きつける国際観光都市を目指すため、山岳、海浜、温泉、歴史的集落の類型ごとに観光ビジョンとマスタープランを8件策定。策定のノウハウの横展開を実施。
  • デジタル技術を活用し、地域の生産性や持続性を高めた地域を形成するための事例集「スマートリゾートハンドブック」を策定。全国向けシンポジウムの開催の他、各経済産業局(9か所)を通じた横展開を実施。
  • スマートな旅行・観光の実現のため、「トラベルテック」に関する調査を実施。タビマエの情報収集、予約以降のタビナカ、帰国後のタビアト(越境EC)の各エリアの特徴を踏まえた最適サービスを導き出し、全国9か所に横展開。
  • 世界的に通用するおもてなしに関する見える化制度を策定。全国の観光・サービス事業者に普及し、全国で約14.8万社が取得。
  • 入国、交通移動、宿泊、観戦、観光等、訪日観光客の訪日時における一連の動線とストーリーに沿った最先端の技術等を一堂に集め、観光促進に寄与する企業合同技術展示会を6回開催。
  • 訪日外国人の行動分析とオープンプラットフォームの活用を促進。「観光予報プラットフォーム」では約40億泊の宿泊に達するほどデータが充実。

参照

経済産業省ホーム > 審議会・研究会 > 産業構造審議会 > 2020未来開拓部会 > 産業構造審議会 2020未来開拓部会 最終報告書

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