こんにちは。E太郎(Evidence太郎)です。
今回のテーマは「プラグマティックトライアル と リアルワールドエビデンス(その3)」です。
前回の記事「プラグマティックトライアル と リアルワールドエビデンス(その1)」では、「治験よりも組み入れ基準・除外基準を緩くして、出来るだけ一般化可能性を高めた介入研究」とざっくり紹介しました。
そのコンセプトは、科学的再現性を可能な限り担保しながらも、実臨床との乖離を極力減らす、という点が肝です。
わざわざ「治験よりも」と書いているように、治験と比較することで、プラグマティックトライアルという概念の理解が進みます。
まず、プラグマティックトライアルでは、ランダム割り付けを行います。それって日常診療と異なるではないか、というご指摘はその通り。
プラグマティックトライアルは、「トライアル」であり、「介入あり(通常の診療に縛りを課す)」の研究デザインです。
そのため、「観察研究」と呼ばれるものはプラグマティックトライアルには該当しません。観察研究は、別名、非介入研究であり、通常の診療行為に介入しないものです。
プラグマティックトライアルは、治験の亜種として捉えておいた方が、いまのところ良さそうです。プラグマティックトライアルは、Real World Clinical Trial とでも呼べるでしょう。
では、その「治験の亜種」はいったい何のために使われるのか。
主な想定場面はだいたい下記のようなものが思いつきます。
既に規制当局で承認済の医薬品・医療機器・再生医療等製品の使用方法の拡大
治験の時には検証が十分に行われていないので原則使用禁止となっている集団に対して、少しずつ対象を広げる。
例えば、治験の時には「●●との併用」でしか検証されていなかったので、承認内容も「原則、●●と併用すること」のような縛りが付いている場合。もちろん、「●●との併用」がないと効果が発揮できないものもあるので、全てを外すことは出来ないものの、実際には「何で●●と併用しなきゃならないんだ…」と臨床の専門家の方々が感じるものもあります。そうした「科学的には意味がないのに、治験のデザインに由来する、ある意味、形骸的な縛り」が臨床で負担になっている場合、その縛りをプラグマティックトライアルによって外すことが出来るかもしれません。
それでは、また。