こんにちは。E太郎(Evidence太郎)です。
今回のテーマは「Google と プロジェクトベースライン と リアルワールドエビデンス」です。
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プロジェクトベースラインって何?
プロジェクトベースラインは、多くの方々が「ヘルスマップ(身の回りの健康地図、平均身長、平均体重、平熱、平均血圧、などなど)の構築に貢献し、臨床研究に参加する」ことを容易にし、また、協力しやすい環境を整える取り組みです。プロジェクトベースラインは、研究者、臨床医、技術者、デザイナー、支援者、ボランティアのような方々が関わっていらっしゃいます。
プロジェクトベースラインは、ライフサイエンスとヘルスケアに特化したAlphabetの子会社であるVerilyによるプロジェクトです。デューク大学医学部、スタンフォード大学医学部、Googleなどの組織とも提携されており、2017年に始まったプロジェクトです。まだ3年ほどなのですね。これからの成長にものすごい期待できます。
なお、現在、このプロジェクトベースラインに参加資格を有するのは、米国に住む18歳以上の方々に限られています。はやく日本在住の方々も参加できる日が来るといいですね。
参加することでどのような利益があるの?
プロジェクトベースラインに参加することで、それぞれの関心に合わせた臨床研究の参加機会についてお知らせを受け取ることが出来るようになります。実は、リクルートメントは臨床研究で最も重要かつハードルやコストのかかる部分なので、個々人の興味関心に合わせたお知らせメール等を配信出来るようになるのはとてつもないメリットになります。
また、個々人にカスタマイズされた通知を送りやすくなることから、健康情報の最新トピックについての配信もしやすくなることが期待できます。プライバシーに対するさらなるセキュリティ強化が求められることも予想されますが、同等あるいはそれ以上に、受けられる恩恵も大きいでしょう。
どのようなデータが収集されるの?
プロジェクトベースラインのメンバーとして、自己申告データ、モバイル機器又はその他のセンサーで記録されたデータ、電子カルテ情報など、あなたの健康に関連する情報をプロジェクトベースラインと共有することができる、とされています。強制的な共有ではなく、個々人の自由意志の元に共有できるというものとされています。また、追加の同意のもとに、他の医学的情報(生体試料や医療機器に記録されたデータなど)を提供することも可能とされています。
ここで重要になるのは、「自由意志に基づく提供」でしょう。いつでも同意撤回することが出来るというのは、センシティブな情報を公共(+将来の自分)のために提供するハードルを下げる上で欠かせません。問答無用に収集されることに抵抗を覚える方々は少なくないでしょうから、自由意志・選択機会の確保はますます重要視されるはずです。
誰がデータにアクセスできるの?
当然ながら、提供されたデータは、アクセスが制限された安全かつ暗号化されたデータベースに保存されることになっています。そして、ベースラインチームのメンバーは、個々人が共有してもOKと設定した連絡先情報(メールアドレス、電話番号等)にアクセスすることができる、とされています。当然ながら、プロジェクトベースラインに参加中の方々に対して、プロジェクトベースラインを進める方々がお知らせしなければならない情報(規約改定や、その他の重要なお知らせ、サービス更新等)が出てくることが予想されるので、プロジェクトメンバーの方々が参加者の方々に連絡を取るための手段は確保している必要があります(メールアドレスをプロジェクトメンバーにも共有したくない際には、そうした連絡を受け取れないことになるのでしょう)。
また、個々人の同意を得た上で、個々人の情報を他の研究者やパートナーと共有することもある、とされています。詳細はVerilyのプライバシーポリシーに書かれているようなので、適宜ご参照ください。
プロジェクトベースラインのデータはどのように使われるの?
収集されたデータは以下の目的のために使用される、とされています。
参加者個々人に対して、色々な機会(興味がありそうな研究の募集情報等)や更新情報をお知らせする
研究参加の適格性を吟味し、研究への登録や研究実施をサポートする
参加者個々人の健康に関するインサイトを提供する
健康及び疾患に関する研究を実施し、公表する(注:個人を特定できる情報はすべて公表前に削除される)
健康・疾患に関連する新しいツール、技術、製品、パートナーシップを構築する
プロジェクトベースラインの活動全体の改善に役立てる
とっても活用の幅が広そうなプロジェクトですね。早く日本在住の方々にも裾野が広がりますように。
それでは、また。