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社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令の一部を改正する政令案(概要)

社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令の一部を改正する政令案(概要)

厚生労働省年金局国際年金課

1.政令案の趣旨

  • 現在、我が国では、国際間の人的移動に伴い、外国に派遣される者及び外国から日本に派遣される者について、保険料の二重負担の課題及び年金受給資格の確保の課題の解消を図るため、適用法令の調整及び年金受給資格期間の通算を行うことを目的とした社会保障協定の締結を進めている。
  • 各国との社会保障協定の実施に必要な、厚生年金保険法(昭和 29 年法律第 115 号)や健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)をはじめとする公的年金各法及び公的医療保険各法の特例等については、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律(平成 19 年法律第 104 号。以下「法」という。)において一般的・包括的に定められている。
  • また、法の規定のうち、厚生労働省が所管する法律(健康保険法、船員保険法(昭和 14 年法律第 73 号)、国民健康保険法(昭和 33 年法律第 192 号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和 57 年法律第 80 号)、国民年金法(昭和 34 年法律第 141 号)及び厚生年金保険法)に関する規定を実施するために必要な具体的な事項については、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令(平成 19 年政令第347 号。以下「協定実施特例政令」という。)において定められている。
  • 今般、社会保障に関する日本国とフィンランド共和国との間の協定(以下「フィンランド協定」という。)の発効に向けて、フィンランド協定を国内的に実施するため、日本及びフィンランド共和国の双方において就労する者等に係る厚生年金保険法等の特例に関し必要な事項を定める必要があることから、協定実施特例政令の一部の改正を行う。

2.政令案の概要

(1)総則関係

定義規定に、フィンランド協定、フィンランド実施機関及びフィンランド特定保険期間を追加する(協定実施特例政令第2条)。

(2)国民年金関係

  • ① 法第 10 条第2項において、老齢基礎年金の振替加算等の支給要件等の特例として、厚生年金保険の被保険者等期間のみでは 240 月の要件を満たせない場合には、当該被保険者等期間に相手国期間を通算することとされているところ、フィンランド協定に係る相手国期間を考慮する場合には、昭和 17 年6月以後の相手国期間を通算することを規定する(協定実施特例政令第 22 条)。
  • ② 法第 11 条第2項において、相手国期間中に初診日のある傷病による障害を有する者は、当該初診日において国民年金の被保険者であったものとみなし、障害基礎年金を支給することとしているところ、フィンランド協定に係る相手国期間中に初診日のある傷病に相当するものは、フィンランド特定保険期間(フィンランド協定第 15 条1の規定に基づきフィンランド実施機関が証明した保険期間をいう。以下同じ。)中に初診日のある傷病であることを規定する(協定実施特例政令第 26 条)。
    併せて、協定実施特例政令第 103 条第2項及び第 114 条についても、同趣旨の改正を行う。
    (※)第 103 条第2項については、フィンランド協定に係る相手国期間中に発した傷病に相当するものは、フィンランド特定保険期間中に発した傷病であることを規定する。
  • ③ 法第 12 条第2項において、相手国期間中に死亡した者は、当該死亡した日において国民年金の被保険者であったものとみなし、遺族基礎年金を支給することとしているところ、フィンランド協定に係る相手国期間中に死亡した者は、フィンランド特定保険期間中に死亡した者であることを規定する(協定実施特例政令第28 条)。
  • ④ 法第 13 条第1項第3号において、法の規定を適用することにより支給する老齢基礎年金の振替加算等のうち障害給付の受給権者の配偶者に支給するものの額については、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和 60 年法律第 34 号。以下「昭和 60 年国民年金等改正法」という。)附則第 14 条第1項に規定する額に按分率を乗じて得た額とすることとされているところ、フィンランド協定に係る当該按分率については、
    A/(A+B)
    A:障害給付の受給権者が有する障害認定日の属する月までの厚生年金保険制度の被保険者等期間
    B:昭和 17 年6月から障害認定日の属する月までの相手国期間
    とすることを規定する(協定実施特例政令第 34 条、第 35 条)。
    併せて、協定実施特例政令第 38 条、第 40 条、第 105 条及び第 108 条についても、同趣旨の改正を行う。

(3)厚生年金保険関係

  • ① 法第 25 条第1項において、厚生年金保険の適用事業所で使用され、かつ、政令で定める社会保障協定に係る相手国で就労している者(社会保障協定により相手国法令の規定の適用を受ける者に限る。)について、厚生年金保険に特例的に任意加入できることとされているところ、対象となる社会保障協定として、フィンランド協定を追加する(協定実施特例政令第 50 条)。
  • ② 法第 28 条第2項において、相手国期間中に初診日のある傷病による障害を有する者は、当該初診日において厚生年金保険の被保険者であったものとみなし、障害厚生年金を支給することとしているところ、フィンランド協定に係る相手国期間中に初診日のある傷病に相当するものは、フィンランド特定保険期間中に初診日のある傷病であることを規定する(協定実施特例政令第 59 条)。
    併せて、協定実施特例政令第 63 条及び第 117 条第2項についても、同趣旨の改正を行う。
    (※)第 117 条第2項については、フィンランド協定に係る相手国期間中に発した傷病に相当するものは、フィンランド特定保険期間中に発した傷病であることを規定する。
  • ③ 法第 30 条第2項において、相手国期間中に死亡した者は、当該死亡した日において厚生年金保険の被保険者であったものとみなし、遺族厚生年金を支給することとしているところ、フィンランド協定に係る相手国期間中に死亡した者は、フィンランド特定保険期間中に死亡した者であることを規定する(協定実施特例政令第 65 条)。
  • ④ 法第 29 条第1項において規定する障害手当金の支給要件を満たさない場合に考慮する相手国期間について、フィンランド協定に係る相手国期間を追加する(協定実施特例政令第 61 条)。
  • ⑤ 法第 32 条第2項第2号において、法の規定を適用することにより支給する障害厚生年金等の額については、厚生年金保険法第 50 条等に規定する額に按分率を乗じて得た額とすることとされているところ、フィンランド協定に係る当該按分率については、
    C/(C+D)
    C:障害給付の受給権者が有する障害認定日の属する月までの厚生年金保険制度の被保険者等期間
    D:昭和 17 年6月から障害認定日の属する月までの相手国期間
    とすることを規定する(協定実施特例政令第 72 条並びに第 73 条第1項、第3項及び第4項)。
    併せて、第 77 条第1項及び第3項、第 84 条第3項、第 119 条第1項及び第3項、第 123 条第1項及び第3項、第 127 条第3項についても、同趣旨の改正を行う。

(4)雑則関係

  • ① 法第 58 条第1項において、国民年金法及び厚生年金保険法の規定による審査請求又は再審査請求について、政令で定める相手国法令の規定により同種の請求を受理することとされている相手国実施機関等を経由して行うことができることとされているところ、対象となる相手国法令として、フィンランド共和国の法令を追加する(協定実施特例政令第 90 条)。
  • ② 法第 60 条第2項において、日本国実施機関等は、政令で定める社会保障協定に係る相手国法令の規定の実施のために必要と認められる場合であって、保有情報の本人若しくはその遺族の利益になるとき、又は本人若しくはその遺族の同意が得られるときに限り、公的年金各法等の被保険者等に関する情報を相手国に提供することができることとされているところ、対象となる社会保障協定として、フィンランド協定を追加する(協定実施特例政令第 91 条)。
  • ③ 法第 61 条において、市町村長は、政令で定める社会保障協定に係る相手国年金の受給権者に対して、条例の定めるところにより無料で戸籍事項の証明を行うことができることとされているところ、対象となる社会保障協定として、フィンランド協定を追加する(協定実施特例政令第 93 条)。
  • ④ 国民年金法施行令の規定により市町村長が行うこととされている事務のうち、政令で定める社会保障協定の規定により政令で定める相手国実施機関等を経由して提出された申請に係るものに関しては、厚生労働大臣が行うこととされているところ、対象となる社会保障協定及び相手国実施機関等として、フィンランド協定に係るものを追加する(協定実施特例政令第 96 条)。

3.根拠条項

  • 法第 10 条第2項の規定により読み替えられた昭和 60 年国民年金等改正法附則第14 条第1項第1号
  • 法第 11 条第2項、第 12 条第2項、第 13 条第2項第3号ロ、第 15 条第2項第2号(同条第3項(法第 19 条第2項において準用する場合を含む。)及び法第 19 条第2項において準用する場合を含む。)、第 16 条第2項第2号(同条第3項(法第 20条第3項、第 33 条第5項及び第 40 条第8項第4号において準用する場合を含む。)並びに法第 20 条第3項、第 33 条第5項並びに第 40 条第8項第4号及び第5号において準用する場合を含む。)、第 25 条第1項、第 28 条第2項、第 29 条、第 30 条第2項、第 32 条第2項第2号及び第5項第2号(これらの規定を同条第7項並びに法第 38 条第2項及び第 39 条第2項において準用する場合を含む。)、第 33 条第2項第2号(法第 40 条第8項第1号において準用する場合を含む。)及び第4項第2号(法第 40 条第8項第2号において準用する場合を含む。)、第 58 条第1項、第 60 条第2項、第 61 条、第 66 条、附則第7条
  • 協定実施特例政令第 103 条第1項の規定により読み替えられた法第 11 条第2項、協定実施特例政令第 117 条第1項の規定により読み替えられた法第 28 条第2項

4.施行期日等

  • 公布日:令和3年 10 月下旬(予定)
  • 施行期日:フィンランド協定の効力発生の日

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