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田辺三菱製薬がベインキャピタルに売却される!たったの5100億円?三菱ケミカル

三菱ケミカルグループは7日、子会社の田辺三菱製薬を、約5100億円で米投資ファンドのベインキャピタルに売却すると発表しました。売却は2025年7~9月期に完了する見込みで、約950億円の譲渡益を計上します。一定期間は人員削減は想定していないということです。

これは、本業の化学事業に経営資源を集中するため、新薬の開発などで多額の研究開発投資が求められる医薬品事業を切り離すものです。

三菱ケミカルグループは2020年に約5000億円を投じて田辺三菱製薬を完全子会社化し、当初は医薬品を含むヘルスケア・ライフサイエンス分野を「最重要戦略市場」と位置付けていました。しかし、昨年11月に策定された長期ビジョンでは、この分野を注力領域から外し、最適なパートナーを探す方針に転換していました。

三菱ケミカルグループの筑本学社長は東京都内で記者会見し「業界や事業構造の変化によって、化学と医薬との親和性が希薄になってきた」と説明しました。近年、業界では化学合成によって製造される医薬品から、細胞を用いる医薬品への転換が進んだということです。

三菱ケミカルグループは2月7日、子会社の田辺三菱製薬を米投資ファンドのベインキャピタルに約5100億円で売却することを発表しました。売却は今年の7月から9月期に完了する予定です。

今回の売却理由について、三菱ケミカルグループは「業界や事業構造の変化により、化学と医薬の親和性やシナジー効果が薄れており、田辺三菱製薬の成長には大規模な投資が不可欠」としています。また、「新しいパートナーから多角的な支援を受けることで、田辺三菱製薬の企業価値を最大化することが最善の選択」であると説明しています。

一方、ベインキャピタルは「田辺三菱製薬が培ってきた医療革新の伝統をさらに発展させながら、事業開発、ライセンス活動、創薬活動の生産性向上、商業化、戦略的買収などを通じて新たな成長機会を開拓していく」としています。

この売却により、三菱ケミカルグループは本業の化学事業に経営資源を集中させ、競争力を強化する方針です。一方、田辺三菱製薬はベインキャピタルの支援を受けながら、医薬品事業の成長を目指すことになります。

田辺三菱製薬について

  •  本社所在地:大阪府大阪市中央区道修町
  • 創業:1678年(田辺屋五兵衛商店として)
  • 設立:1943年(田辺製薬株式会社)
  • 主要な事業:医薬品の研究、開発、製造、販売など

田辺三菱製薬の沿革

田辺三菱製薬の創業は1678年にさかのぼり、初代田邊屋五兵衞が大阪・土佐堀で「田邊屋振出薬」の製造販売の店舗を開いたことに始まります。

その後、1943年に田辺製薬株式会社として設立されました。

2007年に三菱ウェルファーマと合併し、田辺三菱製薬となりました。

田辺三菱製薬の特徴

田辺三菱製薬は、中枢神経系、自己免疫疾患、感染症などの領域に強みを持っています。また、新薬開発に注力しており、国内外で多くの臨床試験を実施しています。近年では、再生医療や遺伝子治療などの分野にも積極的に参入しています。(田辺三菱製薬は、三菱ケミカルホールディングスの傘下企業です。)

田辺三菱製薬の経営理念は「人々の健康と生活の質の向上に貢献する」です。

  •  田辺三菱製薬: https://www.mt-pharma.co.jp/

ベインキャピタルについて

ベインキャピタルは、世界最大級の投資会社の一つで、特にプライベート・エクイティ投資で知られています。

  • 本社所在地:アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン
  • 設立:1984年
  • 運用資産総額:約1600億ドル(2023年時点)
  • 主要な事業:プライベート・エクイティ投資、ベンチャー投資、不動産投資、クレジット投資など

ベインキャピタルの特徴

プライベート・エクイティ投資のリーディングカンパニーであるベインキャピタルは、企業買収(LBO)や成長投資を通じて、投資先企業の企業価値向上を目指すプライベート・エクイティ投資において、世界的に高い実績を持っています。

  • 幅広い投資分野: プライベート・エクイティ投資に加え、ベンチャー投資、不動産投資、クレジット投資など、幅広い分野で投資活動を行っています。
  • グローバルな展開: 世界中に拠点を持ち、グローバルな投資活動を展開しています。
  • 経営に関与: 投資先企業の経営に積極的に関与し、企業価値向上をサポートします。

ベインキャピタルの日本における活動

ベインキャピタルは、2006年に日本オフィスを開設し、日本市場においても積極的に投資活動を行っています。これまで、大江戸温泉物語やマツモトキヨシなど、日本を代表する企業への投資実績があります。

余談ですが、ベインキャピタルの共同創業者の一人、ミット・ロムニーは、2012年のアメリカ合衆国大統領選挙に共和党から立候補したことでも知られています。

  • ベインキャピタル: https://www.baincapital.co.jp/

 

 

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