現代社会を生きる多くの人々が、将来に対する漠然とした「お金の不安」を抱えています。終身雇用制度の揺らぎ、長引く経済の停滞、そして近年顕著になっている物価の上昇、いわゆるインフレの定着は、従来の給与所得だけに依存する生活モデルの脆弱性を浮き彫りにしました 1。老後の生活資金、子どもの教育費、あるいは日々の暮らし向きに至るまで、お金に関する悩みは尽きることがありません。このような時代背景の中、従来の教育機関や企業、政府が提供する情報だけでは、個々人が直面する経済的な課題を乗り越えるための実践的な知恵を得ることが困難であるという認識が広がりつつあります。この社会的な需要の空白を埋めるかのように、新たな学びの場が台頭してきました。
その最も顕著な例の一つが、YouTubeチャンネル「リベラルアーツ大学」、通称「リベ大」です。運営者である両学長が発信する金融教育コンテンツは、その分かりやすさと実践性から圧倒的な支持を集め、チャンネル登録者数は280万人を超える規模にまで成長しています 2。このリベ大を母体として生まれたのが、本記事で分析の対象とするオンラインコミュニティ「リベシティ」です。リベシティは、リベ大で得た知識を実際に行動に移し、同じ目標を持つ仲間と交流するための「実践の場」として位置づけられています 5。
しかし、その急成長は、一部で警戒心や疑念を生む原因ともなっています。一部の「熱狂的なファン」による両学長への「妄信」や「神格化」は、時に違和感や距離を感じることがあるかもしれません。
本記事の目的は、このオンラインコミュニティ「リベシティ」が持つ多面的な性格を、客観的かつ徹底的に分析することにあります。その運営哲学、コミュニティの構造、独自の文化、そして内部で機能する経済圏に至るまでを、ある意味で丸裸にしてみます。そして、「リベシティは本当に信頼できるのか」「その教えは誰にでも再現可能なのか」、そして「一部で指摘される宗教的な側面は、どのように理解すればよいのか」という問いに答えることに挑戦します。
Table of Contents
「リベラルアーツ大学」 — 創設者・両学長の哲学と「5つの力」
リベシティというコミュニティを理解するためには、まず「リベラルアーツ大学」と、その創設者である両学長の哲学を深く掘り下げる必要があります。リベシティの活動の全ては、この根源的な思想から派生しているからです。
両学長は、公式プロフィールによれば30代のIT企業の経営者であり、投資家であるとされています 6。その経歴は、高校在学中に起業し、ITビジネスと投資によって10代で大きな成功を収めたものの、その後数々の失敗も経験したという物語として語られています 8。そして、その過程で出会った優秀な経営者仲間や大富豪から、学校では教わることのない「本当の社会の仕組み」や「人生を豊かに生きる知恵」を学んだとされています 9。現在では、「自由な人を増やす」という理念を掲げ、YouTubeやリベシティを通じて情報発信を行っています 7。この匿名性を保ちつつも劇的な成功と再起を語るストーリーは、一部からはその信憑性を問う声も上がっており 12、両学長という存在に一種の神秘的な魅力を与える要因ともなっています。
彼が提唱する哲学の中心にあるのは、「経済的自由」の達成という明確な目標です。ここで言う経済的自由とは、単に多くのお金を稼ぐことではなく、「生活費を資産所得が上回る状態」と具体的に定義されています 13。つまり、自らが働いて得る労働所得に頼らずとも、株式の配当金や不動産の家賃収入といった資産が生み出す所得だけで生活費を賄えるようになれば、人はお金のために働く必要がなくなり、本当にやりたいことに時間を使う「選択の自由」を手に入れられる、という考え方です。この経済的自由というゴールに向かうための具体的な行動指針として体系化されたものが、「お金にまつわる5つの力」というフレームワークです。
このフレームワークは、リベ大およびリベシティの全コンテンツを貫く教義であり、以下の五つの要素から構成されています。第一の力は「貯める力」です。これは支出を管理し、削減する能力を指し、特に通信費、光熱費、保険、家、車、税金という「人生の6大固定費」の見直しが重要視されます 13。多くの人にとって最初に取り組むべき、最も効果の高いステップとして位置づけられています。第二の力は「稼ぐ力」です。これは収入を増やす能力であり、給与所得の向上だけでなく、副業を通じて事業所得を得ることの重要性が強調されます 13。第三の力は「増やす力」です。これは貯めたお金を投資に回し、資産そのものに働いてもらう能力を指します。初心者には、特定の経済指数に連動するインデックスファンドへの投資などが推奨され、着実に資産を育てる方法が解説されます 13。第四の力は「守る力」です。これは、詐欺や盗難、インフレ、予期せぬ災害などから、築き上げた資産を失わないように保護する能力です 1。最後の第五の力は「使う力」です。これは、人生の満足度を高めるような、価値のあるお金の使い方をする能力を指します 16。
この「5つの力」というフレームワークは、巧みな教育設計に基づいています。複雑で難解に感じられがちな金融の世界を、誰にでも理解できる五つの明確なカテゴリーに分類し、ゲームのように段階的に攻略していくべき課題として提示しています。これにより、金融知識が全くない初心者であっても、自分が今どの段階にいて、次に何をすべきかが一目瞭然となります。このシンプルさと体系性が、多くの人々が抱く「何から手をつけていいか分からない」という心理的な障壁を取り払い、具体的な行動を促す強力な動機付けとなっているのです。書籍「お金の大学」では、この5つの力が意図的な順番で解説されており、まず「貯める力」で土台を固め、次に「稼ぐ力」で元手を増やし、そして「増やす力」で資産を成長させるという、着実で再現性の高い道筋が示されています 17。リベシティで語られるノウハウが「基本に忠実な手法」であると評されるのは、このような手堅いアプローチに基づいているからに他なりません。
学びと実践の共同体「リベシティ」の構造
リベラルアーツ大学という思想を実践に移すための具体的な「場」として設計されたのが、オンラインコミュニティ「リベシティ」です。その構造は、参加者が金融リテラシーを高め、行動を起こし、そして継続することを多角的に支援するように構築されています。
多くの参加者は、まず無料でアクセスできるYouTubeチャンネル「リベラルアーツ大学」の視聴から始まります 2。そこで両学長の哲学と「5つの力」の概念に触れ、興味を持った人々が次のステップとしてリベシティの門を叩きます。リベシティへの参加は、最初の30日間は無料の体験期間として提供されており、この期間が過ぎても自動的に課金されることはなく、何もしなければ自動的に退会となる仕組みになっています 19。この低リスクな導入プロセスは、参加への心理的なハードルを大きく引き下げています。無料期間を経てコミュニティの価値を認めた参加者は、自らの意思で有料の「応援会員」へと移行します。
応援会員になると、リベシティが提供する多岐にわたるデジタルコンテンツやサービスを全て利用できるようになります。その中心的な機能は「チャットコミュニティ」です 21。これはリベシティの心臓部とも言える場所で、不動産投資、株式投資、税金、あるいは特定の副業など、50以上もの専門的なテーマごとにチャットルームが設けられています 21。会員は自身の興味や関心に合わせてこれらのチャットに参加し、日々活発に情報交換を行ったり、経験豊富な会員や専門家に質問を投げかけたりすることができます。
さらに、リベシティは単なる情報交換の場にとどまりません。会員の具体的な行動を促すための仕組みが随所に用意されています。その代表例が「宿題リスト」です 19。これは、資産形成に必要なアクションを「5つの力」に沿って体系的にリスト化したもので、初心者が上から順番にこなしていくだけで、着実に家計改善や資産形成を進められるように設計されています 22。この宿題リストは、情報過多によって行動できなくなる「分析麻痺」の状態に陥ることを防ぎ、参加者に明確な行動の道筋を示す役割を果たします。
また、専門的な知識を要する課題に対しては、「専門家への相談」というサービスが提供されています 19。ファイナンシャル・プランナー(FP)による保険の見直し相談や、税理士法人による税務相談など、資格を持つプロフェッショナルの助言を直接受けることが可能です 19。これに加えて、両学長自身が解説する「高配当株マガジン」や会員限定のライブ配信といった「限定コンテンツ」も、会員の学びを深めるための重要な要素となっています 19。
リベシティの活動はオンラインだけに限定されません。東京、大阪、名古屋などには「リベシティオフィス」と呼ばれる物理的な拠点が設けられており、会員が実際に集まって交流したり、作業をしたりする場として機能しています 24。さらに、「リベフェス」のような大規模なオフラインイベントも開催され、オンラインでの繋がりを現実世界での交流へと発展させる機会を提供しています 25。
このように、リベシティの構造は、多様な学習ニーズに対応できるように巧みに設計されています。広範な知識を求める中級者以上には多種多様なチャットルームという「知の図書館」を提供し、一方で何から始めるべきか分からない初心者には「宿題リスト」という一本の明確な道筋を提供する。この二重構造によって、参加者は自身のレベルや状況に応じて最適なリソースを活用し、受動的な学習者から能動的な実践者へとスムーズに移行することができるわけです。これは、単なる情報提供プラットフォームではなく、人々の行動変容を促すことを目的とした、洗練された教育システムであると言えるでしょう。
コミュニティを支える独自の文化と制度
リベシティの持続的な成長と会員の高いエンゲージメントは、そのサービス内容だけでなく、コミュニティの根幹をなす独自の文化と制度によって支えられています。これらの文化は、会員間の関係性を定義し、行動を促し、コミュニティ全体の価値を高めるための重要な機能を果たしています。
「応援会費」という名の参加費 — 貢献と成長の循環
リベシティの制度の中で最も特徴的なのが、その会費システムである「応援会費」です 5。一般的なサブスクリプションサービスとは異なり、リベシティでは会員が自らの意思で月々の支払額を複数の階級(ペンギン、イルカ、パンダ、トラなど)から選択します 24。しかし、どの階級を選んでも、利用できるサービスやコンテンツに一切の差はありません 5。この会費は、サービスの対価として支払う「利用料」ではなく、「このコミュニティがもっと良い場所に育ってほしい」という応援の気持ちを込めた「寄付」や「支援」として位置づけられています 5。
この「応援会費」という仕組みは、会員とプラットフォームの関係性を根本的に変えるコミュニティデザインと言えるかもしれません。通常のサービスでは、利用者は「支払った金額に見合う価値を得られているか」という消費者としての視点でサービスを評価します。しかし、応援会費制度では、この問いが「自分はこのコミュニティの理念や活動を支持するか」という支援者、あるいは利害関係者(ステークホルダー)としての問いに置き換わります。これにより、短期的な利便性だけで判断されるのではなく、コミュニティのミッションに対する共感に基づいた、より長期的で強固なロイヤリティが育まれるんですね。
さらにこの制度は、コミュニティ内に「貢献と成長の循環」を生み出します。リベシティで学び、実践することで経済的に豊かになった会員は、感謝の気持ちやコミュニティへの貢献意欲から、より上の階級の会費を支払うようになります 28。こうして集められた応援会費は、サーバー代や人件費といった運営費だけでなく、新たな機能やサービスの開発資金としてコミュニティに再投資されます 5。その結果、コミュニティはさらに発展し、会員はより良い環境で資産形成を進めることができるようになります。つまり、会員の成功がコミュニティの発展を支え、発展したコミュニティがまた新たな会員の成功を後押しするという、好循環が生まれるのです。この仕組みは、リベシティが単なる営利目的の事業ではなく、会員と共に成長していく共同体であるという理念を体現しています。
「魚の釣り方を教える」文化 — 主体性を育む質問力と自己責任の原則
リベシティの文化を象徴するもう一つの重要な要素が、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」という理念です 30。これは、コミュニティ内でのコミュニケーション、特に質問の作法に色濃く反映されています。リベシティでは、安易に答えだけを求める「教えてください」という受け身の姿勢は歓迎されません。会員には、まず自分で調べる努力をすることが求められ、その上で、どうしても分からない点について具体的な質問をすることが推奨されます 30。
特に「丸投げ質問」と呼ばれる、自分で何も考えずに「私は何をすればいいですか」「どうすれば儲かりますか」といった漠然とした問いを投げかける行為は、厳しく戒められます 30。なぜなら、コミュニティの目的は、単に答えを教えることではなく、会員自身が問題を分析し、解決策を導き出すための「考え方」や「調べ方」を身につける手助けをすることにあるからです。この文化は、会員に主体性と自己責任の原則を強く促します。自分の人生や資産に対する最終的な責任は自分自身にあるという認識のもと、自ら学び、考え、行動することが求められるのです。
この「質問力」を重視する文化は、コミュニティの質を維持するための強力な自己調整メカニズムとして機能しています。質の低い質問や受け身の姿勢の会員が敬遠されることで、コミュニティ内の議論はより本質的で生産的なものに保たれます。これにより、真剣に学びたいと考える会員にとっては、非常に価値の高い環境が維持されるのです。また、この文化は「リベシティは宗教的ではないか」という外部からの批判に対する有力な反証ともなり得ます。一般的に、カルト的な組織は構成員に盲目的な服従を求め、独立した思考を抑制する傾向があります。しかしリベシティの文化は、それとは正反対に、会員一人ひとりが自らの頭で考え、情報を吟味し、的確な問いを立てる能力を積極的に要求しているのです。これは、自立した個人を育てることを目指す、教育的な思想の表れと言えるでしょう。
「信頼口座」という無形の資産 — コミュニティ内経済
リベシティの文化と制度を語る上で欠かせないのが、「信頼口座」という独自の概念です 31。これは、各会員がコミュニティ内での日々の言動を通じて築き上げる、目に見えない評判や信用のことを指します。銀行口座がお金の出し入れで残高が変動するように、信頼口座の残高は、他者への貢献によって増加し、信頼を損なう行為によって減少します。例えば、他の会員の質問に丁寧に答えたり、有益な情報を共有したり、ポジティブな発言を心がけたりといった行動は、信頼口座に「信頼」を預け入れる行為と見なされます。
この「信頼口座」という概念は、単なる精神的な標語ではありません。リベシティの内部で機能する社会経済システムの基盤となる、具体的な価値を持つ「無形の資産」なのです。会員のプロフィールページには、その人の活動履歴が表示され、他の会員はその人がどのような人物で、どれだけコミュニティに貢献してきたかをある程度把握することができます 31。この可視化された信頼は、実利的な意味を持ちます。信頼口座の残高が高い会員は、自分が困ったときに他の会員から助けてもらいやすくなるだけでなく、後述するコミュニティ内の仕事のマッチングサービスにおいて、極めて有利な立場に立つことができるのです 31。
このシステムは、利他的な行動やコミュニティへの貢献を奨励するための、非常に巧みなインセンティブ設計です。会員がチャットで費やす時間は、単なる時間の消費ではなく、自らの評判という名の資本を蓄積するための「投資」となります。これにより、コミュニティ内には自然と助け合いの文化が醸成されます。そして、金銭的な裕福さや社会的な地位に関わらず、誠実な貢献を続ける会員が尊敬され、機会を得られるという、一種の実力主義(メリトクラシー)が実現されています。この信頼を基軸としたシステムこそが、リベシティという共同体を強固に結びつけ、その活力を生み出す源泉となっているのです。
リベシティの内部経済圏 —「稼ぐ力」を実践する
リベシティは、単に金融知識を学ぶだけの場所ではありません。学んだ知識、特に「稼ぐ力」を実践し、現実の収入に結びつけるための具体的な舞台として、独自の内部経済圏を構築しています。この経済圏は、会員が安全な環境で起業家精神を試し、最初の成功体験を積むための重要な役割を担っています。
この内部経済圏の中核をなすのが、「リベシティワークス」と「リベシティスキルマーケット」という二つのプラットフォームです。まず「リベシティワークス」は、リベシティ会員専用の仕事マッチングサイト、いわゆるクラウドソーシングサービスです 32。会員は、ウェブサイト制作、記事執筆、動画編集、デザイン作成といった様々な業務を、他の会員に対して発注したり、受注したりすることができます。このプラットフォームは、特に副業未経験者が「最初の1円を稼ぐ」体験をするための、安全な登竜門として位置づけられています 33。
一方、「リベシティスキルマーケット」は、会員が自身の持つスキルや得意なことをサービスとして出品し、他の会員がそれを購入できるプラットフォームです 23。例えば、写真撮影、キャリア相談、プログラミング指導など、多種多様なサービスが会員間で取引されています。これらのプラットフォームが持つ最大の特徴の一つは、取引に際して運営側が手数料を一切徴収しない点です 24。一般的なクラウドソーシングプラットフォームでは、成約額の20%程度の高額な手数料が引かれることが通例ですが、リベシティではそれがありません。これは、会員の「稼ぐ力」を最大化することを最優先する、コミュニティの理念の表れです。
この内部経済圏が効果的に機能している背景には、前章で述べた「信頼口座」の存在が不可欠です。仕事を発注する側は、応募者のスキルや実績だけでなく、その人のリベシティ内での過去の活動履歴や発言内容をプロフィールで確認し、「人柄」を判断材料に加えることができます 31。これにより、実績がまだない初心者であっても、コミュニティへの貢献度や誠実さといった「信頼」を武器に仕事を得るチャンスが生まれます。逆に応募する側も、発注者が同じコミュニティの価値観を共有する仲間であるため、理不尽な要求をされるリスクが低く、安心して取引に臨むことができます。
実際に、この内部経済圏を活用して多くの会員が成功体験を積んでいます。会社員として働きながらウェブデザインの副業で収入を得るようになったり、未経験からライターとして活動を始め、いずれは本業にするほどの収入を確立したりといった事例が数多く報告されています 15。これらの成功事例は、他の会員にとって強力なモチベーションとなり、「自分にもできるかもしれない」という希望を与え、行動を促す起爆剤となっています 36。
このように、リベシティの内部経済圏は、起業や副業への挑戦に伴う心理的・経済的なリスクを大幅に軽減する「保護された実験場(サンドボックス)」として機能しています。競争が激しく、時に冷徹な外部のフリーランス市場にいきなり飛び込むのではなく、まずは価値観を共有し、相互の信頼に基づいたコミュニティという安全な環境で経験を積む。この中間的なステップを提供することこそが、多くの会員を「従業員」から「事業主」へとスムーズに移行させるための、リベシティが持つ極めて重要な機能なのです。
リベシティの利点と課題
リベシティは多くの会員にとって有益な場である一方で、その独特な文化や構造は、いくつかの課題や批判も生み出しています。ここでは、コミュニティがもたらす光の部分と、それに伴う影の部分を客観的に評価し、その全体像を明らかにします。
会員が享受する具体的な便益
リベシティに参加することで得られる利点は、明確かつ具体的です。最大の便益は、実践的な金融リテラシーの向上です。会員は、日々のチャットでの情報交換や体系化された学習コンテンツを通じて、資産形成に必要な知識を効率的に学ぶことができます。その結果は、具体的な数字として表れることも少なくありません。本記事のきっかけとなった会員の体験談では、家計の見直しを実践したことで貯蓄率が20%向上したと述べられています。これは、リベシティで共有されるノウハウが、机上の空論ではなく、現実の生活に変化をもたらす再現性の高いものであることを示唆しています。
また、リベシティで推奨される手法は、奇をてらったものではなく、「基本に忠実な手法」が中心であるという点も、その信頼性を高める要因です。リスクの高い投機的な手法ではなく、長期的な視点に立ったインデックス投資や固定費の削減といった、堅実な資産形成の王道が教えられています。
さらに、コミュニティが持つ心理的な効果も無視できません。リベシティには「行動派」が多く、常に誰かが新しい挑戦を始め、その成果を報告しています。このような環境に身を置くことは、強力なモチベーションとなり、一人では挫折しがちな資産形成の道のりを継続する上での大きな支えとなります。加えて、Google検索だけでは得られない、特定の状況下でのニッチな疑問や悩みに対して、経験豊富な会員から具体的なアドバイスを得られる「集合知」としての価値も非常に高いと言えるでしょう。
「宗教的」「妄信」という批判
一方で、リベシティに対しては「宗教的である」「信者の集まりだ」といった批判的な見方も存在します。これは、コミュニティに参加した会員自身も感じることがある、根深い課題です。体験談を寄せた会員も、「両学長を崇拝している人も一部存在する」と述べ、その熱量の高さに戸惑いを覚える瞬間があることを認めています。
このような「宗教的」という印象が生まれる背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、両学長という、カリスマ性を持ちながらも顔や実名を明かさない匿名のリーダーの存在です。彼の言葉はコミュニティ内で絶大な影響力を持ち、時に絶対的なものとして受け止められる傾向があります。第二に、「5つの力」や「信頼口座」といった、コミュニティ内で共有される独自の語彙や概念の存在です。これらは内部の結束を高める一方で、外部からは排他的な専門用語のように見えることがあります。第三に、人生を変えるほどの大きな経済的成功を体験した一部の会員が、その感謝の念から熱烈な支持者となり、伝道師のようにその教えを広めようとすることです。これらの要素が組み合わさることで、コミュニティ全体が特定の思想に染まった集団であるかのような印象を与えてしまうのです。
しかし、この印象をコミュニティの内部ロジックや規則と照らし合わせると、異なる側面が見えてきます。リベシティの利用規約では、情報商材の販売やネットワークビジネス(MLM)、その他の不適切な勧誘行為が明確に禁止されており、会員の資産を守るための厳格なルールが敷かれています 37。これは、金銭的な搾取を目的とする組織とは一線を画す点です。さらに決定的なのは、前述した「魚の釣り方を教える」という文化です。会員に自己責任と主体的な思考を強く求めるこの文化は、指導者の言葉を無批判に受け入れることを要求する、カルト的な組織の性質とは本質的に相容れません。したがって、「宗教的」という批判は、コミュニティの構造そのものよりも、その熱心な会員が醸し出す「雰囲気」に起因する部分が大きいと分析できます。
参加者が直面しうる課題と留意点
これらの点を踏まえると、リベシティへの参加を検討する、あるいは参加を継続する上で、いくつかの課題や留意点が浮かび上がります。第一の課題は、「温度感の違い」への対処です。両学長を信奉する熱心な会員と、より冷静で客観的な視点を保ちたい会員との間には、明らかに熱量の差が存在します。この違いにどう対応するかは、参加者にとって重要なテーマです。体験談の主のように、過度な発言は静観し、適度な距離を保つという戦略が有効な場合もあるでしょう。
第二に、「初心者への心理的障壁」です。コミュニティには既に豊富な知識と経験を持つベテラン会員が多数在籍しており、初心者はそのレベルの高さに気後れし、質問や発言を躊躇してしまう可能性があります。この心理的なハードルをいかに乗り越えるかが、コミュニティにうまく溶け込むための鍵となります。
第三に、「受け身姿勢の排除」という文化の理解です。リベシティは、手取り足取り答えを教えてくれる場所ではありません。自ら学び、行動する意欲のない人にとっては、居心地の悪い場所と感じられる可能性が高いです。
最後に、「会費という継続的なコスト」も無視できません。最も安価なプランでも月額の費用が発生するため、これは継続的な経済的負担となります。
結論として、リベシティの持つ強力なコミュニティ性や明確な理念といった「光」の部分は、同時に「宗教的」と見なされかねない「影」の部分と表裏一体であると言えます。その強固なアイデンティティと高いエンゲージメントを促す設計こそが、一部の参加者にとっては心地よい結束感となり、他の参加者にとっては息苦しさや違和感の原因となるのです。この二面性を理解することが、リベシティというコミュニティを客観的に評価する上で不可欠です。
リベシティは誰のための場所か — 参加の価値と適切な距離感
本記事を通じて、オンラインコミュニティ「リベシティ」の多面的な構造と文化を分析してきました。その結果から導き出される結論は、リベシティが一般的に懸念されるような詐欺的な組織や、個人の思考を奪うカルト的な団体ではないということです。むしろ、それは金融リテラシーの向上と経済的自立という明確な目標に向かって、会員の主体的行動を促すために緻密に設計された、極めてユニークなデジタル共同体であると評価できます。
リベシティで提供される情報の核心は、両学長が提唱する「お金にまつわる5つの力」というフレームワークに集約されます。その内容は、固定費の削減、副業による収入増、インデックス投資による資産運用といった、金融の専門家から見ても堅実で「基本に忠実な手法」に基づいています 13。一攫千金を狙うような危険な道ではなく、着実に資産を築くための王道が示されており、その教え自体の信頼性は高いと言えます。
しかし、このコミュニティが全ての人にとって最適な場所であるとは限りません。リベシティがその真価を発揮するのは、参加者が「行動派」であり、コミュニティが掲げる自己責任の文化を受け入れる準備ができている場合です。受け身の姿勢で答えだけを求める人や、熱量の高いコミュニティの雰囲気に馴染めない人にとっては、その価値を十分に享受することは難しいでしょう。
したがって、リベシティとの関わり方において最も重要なのは、参加者自身が主体性と批判的な視点を持ち続けることです。体験談を寄せた会員が示した姿勢は、その理想的なモデルと言えます。彼は、リベシティが提供する有益な情報を積極的に活用し、自らの行動によって貯蓄率の向上や副業の開始といった具体的な成果を上げました。その一方で、一部の会員に見られる両学長への「妄信」や神格化に対しては、それに流されることなく冷静に観察し、「適度な距離感」を保っています。
この姿勢こそが、リベシティという強力なツールを最大限に活用するための鍵です。コミュニティはあくまで、学びと実践を支援するための環境であり、最終的に自らの資産と人生に責任を負うのは、他の誰でもない自分自身です。奇しくも、この「自立」と「自己責任」という原則は、リベシティ自身が最も重視する価値観でもあります。
結論として、リベシティは、経済的な自由を目指す人々にとって、非常に強力な指針となり得る場所です。しかし、得られた知識やノウハウを実社会に生かせるかどうかは、会員一人ひとりの行動に委ねられています。情報を鵜呑みにせず、自ら一次情報を確かめる習慣をつけ、冷静な視点を保ちながらそのリソースを活用する。そのような付き合い方ができる個人にとって、リベシティは人生を豊かで自由な方向へと導く投資となるでしょう。
引用文献
- 【『改訂版 お金の大学』両@リベ大学長インタビュー】「お金の勉強ほど、おもろいもんはないで!」学びと行動で、今より一歩自由な人生を | ほんのひきだし, https://hon-hikidashi.jp/book-person/61586/
- 両学長 リベラルアーツ大学 - YouTube, https://www.youtube.com/c/ryogakucho/playlists
- 両学長 リベラルアーツ大学 - YouTube, https://www.youtube.com/channel/UC67Wr_9pA4I0glIxDt_Cpyw
- 両学長 リベラルアーツ大学 - YouTube, https://www.youtube.com/channel/UC67Wr_9pA4I0glIxDt_Cpyw/videos?view=0
- リベシティの運営理念 | リベシティ公式サイト, https://site.libecity.com/philosophy
- 両学長 リベラルアーツ大学 | Chance! - チャンス!, https://c-hance.com/bizlog_item/detail.php?id=790
- 両学長 リベラルアーツ大学 - YouTube, https://www.youtube.com/@ryogakucho/about
- 両@リベ大学長|プロフィール - HMV&BOOKS online, https://www.hmv.co.jp/artist_%E4%B8%A1%40%E3%83%AA%E3%83%99%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%95%B7_000000000837205/biography/
- メンバー自己紹介「両 @学長」 - リベラルアーツ大学, https://liberaluni.com/member/member-ryo
- 本当の自由を手に入れるお金の大学 (改訂版) - 紀伊國屋書店, https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784023323780
- 運営メンバー | リベラルアーツ大学, https://liberaluni.com/member
- リベラルアーツ大学編 「お金が教養とされてしまうこんな世の中じゃ?」(1) - 集英社新書プラス, https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/column/fujitani_youtube/23948
- 本当の自由を手に入れる お金の大学 | 本の要約サービス flier(フライヤー), https://www.flierinc.com/summary/2537
- リベラルアーツ大学, https://liberaluni.com/
- リベ大独自アンケートで判明!月5万円達成した副業プチ成功者の特徴5選を解説, https://liberaluni.com/success-side-business
- 本当の自由を手に入れる お金の大学 - 書籍 - 朝日新聞出版, https://publications.asahi.com/product/21997.html
- リベ大書籍『お金の大学』 | リベシティ公式サイト, https://site.libecity.com/money-college
- 書籍『改訂版 お金の大学』 | リベシティ公式サイト, https://site.libecity.com/new-money-college
- リベシティ公式サイト | お金の不安を解消して、自由で豊かな生活を ..., https://site.libecity.com/
- よくある質問 | リベシティ公式サイト, https://site.libecity.com/faq
- リベシティ - Google Play のアプリ, https://play.google.com/store/apps/details?id=com.libecity.app&hl=ja
- 【2025年3月】リベシティの紹介 - YouTube, https://www.youtube.com/watch?v=IeWpGT5lABg&pp=0gcJCfwAo7VqN5tD
- 「リベシティ」をApp Storeで - Apple, https://apps.apple.com/jp/app/%E3%83%AA%E3%83%99%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3/id1621025950
- 副業初心者の強い味方?リベラルアーツ大学についてAIに聞いてみたら… - note, https://note.com/yonsan43/n/n3f7303ecbc25
- リベシティ無料体験・使い方 - お金の勉強フェス2025, https://libefes.com/booth/1-2/
- お金の勉強フェス2025 – みんなのお金の悩みを解決し、1年後の資産アップへ向けた学びの祭典, https://libefes.com/
- 1年間リベシティにいた感想|駆け出しシナリオライター/ルネッサ - note, https://note.com/renaissa/n/n8325a08ac993
- リベシティ応援会員制度Q&A, https://site.libecity.com/support_member_system
- 【日記】オンラインサロンについて②(リベシティ)|SAYA - note, https://note.com/raimu_tokio/n/ncb075ffe5081
- こんな質問をしてたら要注意!人生で得するスキル「質問力 ..., https://liberaluni.com/question-method
- リベシティは個人に信頼が貯まる仕組み, https://site.libecity.com/trust-balance
- リベシティワークス | リベシティ公式サイト, https://site.libecity.com/content/works
- 【目指せ月5万円】副業で稼ぐためのおすすめ便利ツール12選を紹介! - リベラルアーツ大学, https://liberaluni.com/12-side-business-tool
- リベシティスキルマーケットMeets | リベシティ公式サイト, https://site.libecity.com/content/meets
- 【朝活】で成功!稼ぐWebデザイナーになった方法 | リベシティ公式サイト, https://site.libecity.com/casepost-20250406
- [Rebroadcast] [Must-see even for those opposed to side jobs] 5 benefits of earning 50,000 yen a m... - YouTube, https://www.youtube.com/watch?v=WS_RWsqYuPg
- リベラルアーツシティ利用ガイドライン | リベシティ公式サイト, https://site.libecity.com/city-guidelines
- リベシティ利用規約 | リベラルアーツシティ, https://libecity.com/rule