日時:令和 3 年 1 月 7 日(木)
17 時 15 分~17 時 30 分
場所:官邸2階 大ホール
Table of Contents
新型コロナウイルス感染症への対応について
直近の感染状況の評価等
<感染状況について>
- 全国の新規感染者数は、東京を中心とした首都圏(1都3県)で年末にかけてさらに増加したことに伴い、増加傾向が続き、過去最多の水準となっている。
- 実効再生産数:全国的には1を上回る水準が続いている (12月19日時点)。東京等首都圏、愛知などで1週間平均で1を超える水準となっている(12月21日時点)。
- 年末年始も含め、首都圏、中部圏、関西圏では多数の新規感染者が発生しており、入院者数、重症者数、死亡者数の増加傾向が続いている。対応を続けている保健所や医療機関の職員はすでに相当に疲弊している。入院調整に困難をきたす事例や通常の医療を行う病床の転用が求められる事例など通常医療への影響も見られており、各地で迅速な発生時対応や新型コロナの診療と通常の医療との両立が困難な状況の拡大が懸念される。また、入院調整が難しい中で、高齢者施設等でのクラスターの発生に伴い、施設内で入院の待機を余儀なくされるケースも生じている。
- 英国、南アフリカで増加がみられる新規変異株は、世界各地で検出されている。国内では、海外渡航歴のある症例又はその接触者からのみ検出されている。従来株と比較して感染性が高い可能性を鑑みると、国内で持続的に感染した場合には、現状より急速に拡大するリスクがある。
【感染拡大地域の動向】
- 北海道 新規感染者数は減少傾向が続いていたが、足下ではその傾向が鈍化。新規感染の多くは病院・施設内の感染。旭川市の医療機関および福祉施設内の感染状況は引き続き注意が必要。
- 首都圏 東京都で新規感染者数の増加が継続し、直近の一週間では10万人あたり45人を超えている。医療提供体制も非常に厳しい状況が継続。救急の応需率にも影響が出始めている。また、病床確保のため、通常の医療を行う病床の転用が求められているが、医療機関の努力による対応が厳しい状況が生じてきている。保健所での入院等の調整も厳しさが増している。感染者の抑制のための実効的な取組が求められる状況にあり、感染経路は不明者が多いが飲食の場を中心とした感染の拡大が推定される。首都圏全体でも、埼玉、神奈川、千葉でも新規感染者数の増加が継続しており、医療提供体制が厳しい状況。
- 関西圏 大阪では新規感染者数が漸減しているが、依然高い水準。医療提供体制が厳しい状況も継続。院内・施設内感染と市中での感染が継続。兵庫でも感染が継続。医療提供体制が厳しい状況。京都、滋賀、奈良でも新規感染者数の増加傾向が継続。
- 中部圏 名古屋市とその周辺で感染が継続。名古屋市は新規感染者数が高止まり、減少傾向が見られない。施設での感染に伴い65歳以上の高齢者が増加。医療提供体制及び公衆衛生体制の厳しさが増している。岐阜県でもクラスターの発生に伴い新規感染者数が増加。
- その他、栃木、群馬、広島、福岡、長崎、熊本、宮崎、沖縄などでも、新たな感染拡大や再拡大、多数の新規感染者数の発生の継続の動きが見られる。
<感染状況の分析>
- 時短要請が行われている自治体のうち、北海道、大阪では減少がみられているが、東京では、感染拡大が続いており、年末まで人流の大きな低下がみられていない。東京では、飲食などの社会活動が活発な20−50才台の世代の感染が多く、少なくとも昨年末までの感染拡大では、飲食をする場面が主な感染拡大の要因となり、これが、職場や家庭、院内・施設内の感染に繋がっているものと考えられる。
- こうした東京での感染拡大は、周辺自治体にも波及し、埼玉、千葉、神奈川とともに首都圏では、年末も新規感染者の増加が継続し、過去最高水準となった。直近1週間の新規感染者数は、東京都だけで全国の1/4を占め、1都3県で1/2を占めている。こうした、大都市圏の感染拡大は、最近の地方における感染の発生にも影響していると考えられ、大都市における感染を抑制しなければ、地方での感染を抑えることも困難になる。
<必要な対策>
- 東京をはじめとする首都圏では、年末も新規感染者数の増加が継続。東京都のモニタリング会議でも、医療提供体制は逼迫し危機的状況に直面していると評価されている。1月5日の分科会の提言に基づき、早急に感染を減少させるための効果的な対策の実施が求められる。
- 感染拡大が続き、医療提供体制、公衆衛生体制は非常に厳しい状況となっており、速やかに新規感染者数を減少させることが必要。併せて、現下の医療提供体制が非常に厳しく、こうした状況が続くことも想定される中で、昨年末にとりまとめられた「医療提供体制パッケージ」も活用し、必要な体制を確保するための支援が必要。
- これまで大きな感染が見られなかった地域でも感染の発生が見られており、医療機関、福祉施設における感染も頻発している。特に急速な感染拡大により、医療提供体制の急速な逼迫が起こりうるため、宿泊療養施設を含め医療提供体制の準備・確保等を進めることが非常に重要。さらに、感染拡大が見られる場合には、飲食店の時短要請等の対策も検討する必要がある。
- 感染拡大の抑制には、市民の皆様の協力が不可欠である。新年を迎え社会活動の活発化や新年会等も考えられるが、新年会の開催や参加を控え、買い物も混雑を避けていただくなど、人々が感染機会の増加につながる行動を変えていくことが求められる。また、そのためのメッセージを国・自治体等が一体感を持って発信することが必要。
- さらに、国内の厳しい感染状況の中で、英国等で見られる変異株の流入による感染拡大を防ぐことが必要である。引き続き、変異株の監視を行うとともに、感染者が見つかった場合の積極的疫学調査の実施が求められる。また、変異株であっても、個人の基本的な感染予防策は、従来と同様に、3密の回避、マスクの着用、手洗いなどが推奨される。
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言(令和3年1月7 日 )
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成 24 年法律第 31 号)第 32 条第1項の規定に基づき、下記のとおり、新型コロナウイルス感染症(同法附則第1条の2第1項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)に関する緊急事態が発生した旨を宣言した。
1.緊急事態措置を実施すべき期間
令和3年1月8日から2月7日までとする。ただし、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認められるときは、新型インフルエンザ等対策特別措置法第 32 条第5項の規定に基づき、速やかに緊急事態を解除す
ることとする。
2.緊急事態措置を実施すべき区域
埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の区域とする。
3.緊急事態の概要
新型コロナウイルス感染症については、
- 肺炎の発生頻度が季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められること、かつ、
- 感染経路が特定できない症例が多数に上り、かつ、急速な増加が確認されており、医療提供体制もひっ迫してきていることから、
国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、かつ、全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したと認められる。
基本的対処方針の主な変更内容について( 概 要 )
1.緊急事態宣言の発出(3頁)
区域:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県
期間:令和3年1月8日から令和3年2月7日まで
2.緊急事態措置の具体的内容
① 外出の自粛(14 頁)
- 不要不急の外出・移動自粛の要請、特に、20 時以降の外出自粛を徹底
② 催物(イベント等)の開催制限(14 頁、別途資料参照)
- 別途通知する目安を踏まえた規模要件等(人数上限・収容率、飲食を伴わないこと等)を設定し、要件に沿った開催の要請
③ 施設の使用制限等(15 頁)
- 飲食店に対する営業時間の短縮(20 時までとする。ただし、酒類の提供は 11 時から 19 時までとする。)の要請
- 関係機関とも連携し、営業時間短縮を徹底するための対策強化
- 飲食店以外の他の特措法施行令第 11 条に規定する施設(学校、保育所をはじめ別途通知する施設を除く。)についても、同様の働きかけを行う
- 地方創生臨時交付金に設けた「協力要請推進枠」による、飲食店に対して営業時間短縮要請等と協力金の支払いを行う都道府県に対する支援
④ 職場・出勤(16 頁)
- 「出勤者数の 7 割削減」を目指すことも含め接触機会の低減に向け、在宅勤務(テレワーク)等を強力に推進
- 事業の継続に必要な場合を除き、20 時以降の勤務を抑制
⑤ 学校等(17 頁)
- 学校設置者及び大学等に対して一律に臨時休業を求めるのではなく、感染防止対策の徹底を要請
- 大学等については、感染防止と面接授業・遠隔授業の効果的実施等による学修機会の確保の両立に向けて適切に対応
- 部活動、課外活動、学生寮における感染防止策、懇親会や飲み会などについては、学生等への注意喚起の徹底(緊急事態宣言区域においては、部活動における感染リスクの高い活動の制限)を要請
3.緊急事態宣言発出・解除の考え方
緊急事態宣言の発出及び解除の判断にあたっては、以下を基本として判断。その際、「ステージ判断の指標」は、目安であり、機械的に判断するのではなく、総合的に判断すべきことに留意
(緊急事態宣言発出の考え方)
国内での感染拡大及び医療提供体制・公衆衛生体制のひっ迫の状況(特に、分科会提言におけるステージⅣ相当の対策が必要な地域の状況等)を踏まえて、全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるか否かについて、政府対策本部長が基本的対処方針等諮問委員会の意見を十分踏まえた上で総合的に判断
(緊急事態宣言解除の考え方)
国内での感染及び医療提供体制・公衆衛生体制のひっ迫の状況(特に、緊急事態措置を実施すべき区域が、分科会提言におけるステージⅢ相当の対策が必要な地域になっているか等)を踏まえて、政府対策本部長が基本的対処方針等諮問委員会の意見を十分踏まえた上で総合的に判断
なお、緊急事態宣言の解除後の対策の緩和については段階的に行い、必要な対策はステージⅡ相当以下に下がるまで継続。
4.その他の主な変更事項
- 変異株の関係(7頁等)
- ワクチン・予防接種の関係(8頁等)
- 「感染リスクが高まる「5つの場面」」の関係(10 頁等)
- クラスター対策の強化(歓楽街、外国人支援等)(21 頁等)
- 医療機関、高齢者施設等への積極的な検査(27 頁等)
- 偏見・差別等への対応関係(30 頁等)
緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者
以下、事業者等については、「三つの密」を避けるための取組を講じていただきつつ、事業の継続を求める。
1.医療体制の維持
- 新型コロナウイルス感染症の治療はもちろん、その他の重要疾患への対応もあるため、全ての医療関係者の事業継続を要請する。
- 医療関係者には、病院・薬局等のほか、医薬品・医療機器の輸入・製造・販売、献血を実施する採血業、入院者への食事提供等、患者の治療に必要な全ての物資・サービスに関わる製造業、サービス業を含む。
2.支援が必要な方々の保護の継続
- 高齢者、障害者等特に支援が必要な方々の居住や支援に関する全ての関係者(生活支援関係事業者)の事業継続を要請する。
- 生活支援関係事業者には、介護老人福祉施設、障害者支援施設等の運営関係者のほか、施設入所者への食事提供など、高齢者、障害者等が生活する上で必要な物資・サービスに関わる全ての製造業、サービス業を含む。
3.国民の安定的な生活の確保
- 自宅等で過ごす国民が、必要最低限の生活を送るために不可欠なサービスを提供する関係事業者の事業継続を要請する。
- インフラ運営関係(電力、ガス、石油・石油化学・LPガス、上下水道、通信・データセンター等)
- 飲食料品供給関係(農業・林業・漁業、飲食料品の輸入・製造・加工・流通・ネット通販等)
- 生活必需物資供給関係(家庭用品の輸入・製造・加工・流通・ネット通販等)
- 宅配・テイクアウト、生活必需物資の小売関係(百貨店・スーパー、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンター等)
- 家庭用品のメンテナンス関係(配管工・電気技師等)
- 生活必需サービス(ホテル・宿泊、銭湯、理美容、ランドリー、獣医等)
- ごみ処理関係(廃棄物収集・運搬、処分等)
- 冠婚葬祭業関係(火葬の実施や遺体の死後処置に係る事業者等)
- メディア(テレビ、ラジオ、新聞、ネット関係者等)
- 個人向けサービス(ネット配信、遠隔教育、ネット環境維持に係る設備・サービス、自家用車等の整備等)
4.社会の安定の維持
- 社会の安定の維持の観点から、緊急事態宣言の期間中にも、企業の活動を維持するために不可欠なサービスを提供する関係事業者の最低限の事業継続
を要請する。
- 金融サービス(銀行、信金・信組、証券、保険、クレジットカードその他決済サービス等)
- 物流・運送サービス(鉄道、バス・タクシー・トラック、海運・港湾管理、航空・空港管理、郵便等)
- 国防に必要な製造業・サービス業の維持(航空機、潜水艦等)
- 企業活動・治安の維持に必要なサービス(ビルメンテナンス、セキュリティ関係等)
- 安全安心に必要な社会基盤(河川や道路等の公物管理、公共工事、廃棄物処理、個別法に基づく危険物管理等)
- 行政サービス等(警察、消防、その他行政サービス)
- 育児サービス(託児所等)
5.その他
- 医療、製造業のうち、設備の特性上、生産停止が困難なもの(高炉や半導体工場等)、医療・支援が必要な人の保護・社会基盤の維持等に不可欠なもの(サプライチェーン上の重要物を含む。)を製造しているものについては、感染防止に配慮しつつ、継続する。また、医療、国民生活・国民経済維持の業務を支援する事業者等にも、事業継続を要請する。