規制

国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策(令和2年12月8日)

第1章 現状認識と本経済対策の考え方

Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の状況と経済の現状

我が国経済は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の下、経済をいわば人為的に止めたことにより、本年4・5月には戦後最悪の厳しい状況に陥ったが、同宣言解除後は、感染拡大防止と両立する形で社会経済活動のレベルを段階的に引き上げてきた。7・8月には新規陽性者数の増加に加え、令和2年7月豪雨等の影響もあって足踏みがみられたものの、ロックダウン解除後の欧米経済等の持ち直しによる輸出の増加や、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」、令和2年度第1次・第2次補正予算の効果も相まって、個人消費が改善してきたこと等から、我が国経済は持ち直しの動きが続いている。

しかしながら、GDPギャップは、本年4-6月期に大幅に悪化した後、経済活動の再開に伴って高い成長率となった7-9月期においても依然として相当程度存在し、経済の水準はコロナ前を下回った状態にとどまるなど、経済の回復は未だ途上にある。この中で、個人消費の基盤である雇用・所得環境は、雇用者数や賃金に底堅さがみられるものの、コロナ前の水準を大きく下回り、弱い状態が続いており、特に非正規雇用労働者や女性の雇用・所得への影響が強く表れている。加えて、今冬のボーナスの大幅減少が見込まれるほか、雇用が遅行指数であることなどを踏まえると、足元から今後の感染症の動向如何によって、悪影響が遅れて発現してくる可能性に十分な留意が必要である。

感染動向については、本年 10 月以降、欧米諸国において感染が再拡大し、欧州主要国では社会経済活動の制限措置を再導入するなど、個人消費を中心に感染症の影響による経済の下押し圧力が急速に顕現化しており、日本経済にとっても輸出・生産の下振れリスクが懸念される状況にある。また、国内でも、11 月に入り、足元で新規陽性者数が増加傾向に転じ、過去最高水準を超える中、国民の間で感染症に対する不安、そして、何とか動き出した経済活動が停滞してしまうのではないかという懸念が広がっている。

さらに、ポストコロナを見据えると、例えば、対面型のサービスでは従前のようなビジネスモデルが通用しない中で、新たな時代への変化に対応した経済活動を行うきっかけがつかめない状況にある。こうした未だ攻めに転じられないマインドの弱さが、デジタル化に必要なソフトウェアを含め、成長の原動力である民間投資の減少に表れている。国際機関の見通しでも、主要先進国の中で、我が国はコロナ後の回復局面における成長率が低く、コロナ前に回帰する時期が遅れると見込まれており、民需主導の持続的な回復の実現に向け、長年の課題である成長力の強化が不可欠となっている。

政府としては、まずは、ITやAI等を用いたデータ分析結果を含め、年初来の経験から得られた知見等に基づくメリハリある感染対策により、引き続き強い緊張感を持って感染拡大防止に万全を期す。そして、感染拡大を抑えながら、引き続き雇用と事業を支え、経済をしっかり動かす。同時に、ポストコロナの新しい経済構造、成長モデルへの転換に向け、規制改革を強力に推進しつつ、ワイズスペンディングにより、成長力を高め、企業の現預金の活用を促しながら、主要国に比べて弱い民間投資をしっかり呼び込む必要がある。相当程度あるGDPギャップを踏まえ、デフレへの後戻りを何としても避けるためにも、ここで力強い経済対策を講じ、来年度中には、我が国経済をコロナ前の経済水準に回帰させ、民需主導の成長軌道に戻していかなければならない。

Ⅱ.経済対策の考え方

以上の現状認識の下、政府としては、国民の命と暮らしを守る、そのために雇用を維持し、経済を回復させ、新たな成長の突破口を切り開くべく、新たに本経済対策を策定するとともに、令和2年度第3次補正予算を編成する。

経済対策は、家計や企業の不安に対処するべく、万全の「守り」を固めるとともに、新たな時代への「攻め」に軸足を移すという、2つの大きな視点からなる。「守り」とは、まず何よりも、万全の医療提供体制を確保するとともに感染拡大防止に全力を挙げ、同時に、内外の感染状況による経済への影響、とりわけ雇用・事業・生活への影響をできる限り緩和することである。

一方で、「攻め」とは、今回のコロナ危機を契機に浮き彫りとなった課題である国・地方のデジタル化の著しい遅れや、東京一極集中、海外での生産拠点の集中度が高いサプライチェーンといった我が国の脆弱性に対処することである。そして、環境と経済の好循環を生み出すグリーン社会の実現、経済の基盤を支える中小・小規模事業者の事業再構築支援を通じた体質強化と業種・職種を越えた労働の円滑な移動、非連続的なイノベーションを生み出す環境の強化など、民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、所得の持続的な拡大と成長力強化につながる施策に資源を集中投下することである。

こうした視座の下、本経済対策は、以下の3つをその柱とする。第一は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策である。これまでの知見等に基づき、社会経済活動と両立できるよう万全の対策を講ずることとし、病床の 逼迫を回避するための医療提供体制の更なる強化、迅速かつ安定的なワクチン接種体制の整備等に取り組むほか、地方公共団体が酒類を提供する飲食店等に対して営業時間短縮要請等を行い、協力金の支払を行う場合への支援を追加することを含め、地域の実情に応じた取組への支援を講ずる。また、来夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた感染防止対策等に万全を期す。

第二は、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現であり、新たな時代の成長モデルの確立に向け、以下の観点から、ワイズスペンディングの下、予算、さらには規制改革や税制改正などあらゆる施策を総動員して、成長力を強化し、民間需要を大胆に呼び込む。

  1. 国・地方のデジタル化の一体的かつ抜本的な加速や、マイナンバーカードの普及促進の強化、先端的なデジタルインフラの開発・整備、高等学校を含む教育のデジタル化等の推進、2050 年カーボンニュートラルに向けた革新的技術の早期開発・社会実装の促進など「デジタル改革・グリーン社会の実現」
  2. 地域を支える中小企業等に対し、淘汰を目的とするものではないことは当然として、事業再構築や前向きな投資への支援を行うことや、世界に伍する大学ファンドをはじめとするイノベーションの加速、生産拠点の多元化などサプライチェーンの実効性ある強靱化など「経済構造の転換・イノベーション等による生産性の向上」
  3. 感染拡大防止を徹底した上での国内観光の活性化や地域独自の取組の後押しによる地方への人の流れの促進、地域を支える農林水産物・食品輸出の拡大に加え、雇用や生活を支えながら、成長分野への円滑な労働移動とそのために必要な人材投資を支援する取組や、家計の需要を喚起する取組など「地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現」

第三は、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保である。令和2年7月豪雨など災害からの復旧・復興等を加速するとともに、防災・減災、国土強靱化について、来年度から令和7年度までの5年間において、時々の自然災害等の状況に即した機動的・弾力的な対応を行うこととし、激甚化する風水害や切迫する巨大地震等への対策、予防保全に向けた老朽化対策、デジタル化等の推進に係る対策を柱とする「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(仮称)」を速やかに取りまとめる。特に加速化・深化させるべき施策のために追加的に必要となる事業規模は 15 兆円程度を目指すこととし、初年度については、令和2年度第3次補正予算において措置する。

現下の感染拡大の影響を踏まえ、必要に応じて本年度に措置した新型コロナウイルス感染症対策予備費を適時適切に執行しつつ、これらの3つの柱の下、いわゆる「15 か月予算」の考え方により、令和2年度第3次補正予算を、令和3年度当初予算と一体的に編成し、切れ目なく万全の財政政策を実行する。その際、既往の経済対策・補正予算による経済の下支え・押上げ効果の発現が主に今年度であることの影響を踏まえ、ワイズスペンディングの下、公的支出による経済の下支えを図りつつ、設備投資をはじめとする民間需要をしっかりと喚起するだけの十分な効果を発揮できる規模を確保し、可能な限り迅速な執行を通じて、民需の自律的な回復も相まって経済の好循環につなげる。

また、現下の低金利状況をいかし、財政投融資の手法を積極的に活用するとともに、規制・制度改革、税制改正といったあらゆる政策手段を総動員した総合的な対策を講じ、生産性の向上と賃金の継続的な上昇を通じた民需主導の成長軌道を確実に実現することを目指す。

日本銀行においては、企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を強化する措置がとられている。引き続き、政府は、日本銀行と強い緊張感を共有し、財政政策と金融政策の適切なポリシーミックスの下で緊密に連携する。日本銀行には、新型コロナウイルス感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行うことを期待する。

第2章 取り組む施策

第1章の考え方に基づき、本経済対策においては、国民の命と暮らしをしっかりと守り、ポストコロナの新たな時代における民需主導の持続的な成長軌道の実現を目指すものとする。具体的には、①新型コロナウイルス感染症の拡大防止策、②ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、③防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保、を3つの柱とし、ワイズスペンディングの下、民間投資を呼び込むなど民需主導の成長軌道につながる対策を中心に、以下の施策に重点的に取り組む。

あわせて、本経済対策に盛り込まれた施策を含め、新型コロナウイルス感染症に関する政府の取組や状況について、国民に分かりやすくかつ正確な形で伝わるよう、効果的な情報発信・広報を実施する。

Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策

1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対しては、国民が一丸となって、今一度、基本的な感染症対策を徹底することに加え、病床の確保をはじめ万全の医療提供体制を確保することが極めて重要である。

「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」を増額し、引き続き、都道府県が地域の実情に応じて、重点医療機関等の病床確保や軽症者の宿泊療養施設の確保支援、外国人対応の充実など医療提供体制等の強化を図る。現下の感染拡大の影響を踏まえた緊急的臨時的な対応として、診療・検査医療機関をはじめとした医療機関等への感染拡大防止等の取組支援を行うとともに、小児科等に対する支援や感染症からの回復患者の転院支援に係る診療報酬上の特例措置を認めることとする。また、逼迫した医療の状況に対応するため、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS5)を拡充するとともに、入院医療機関、帰国者・接触者外来等において感染症患者等を受け入れるために必要となる陰圧化や個室化等の施設整備を支援する。

介護、障害福祉、児童福祉の「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」についても増額し、感染対策に必要な物品購入支援等を引き続き十分に実施できるようにするとともに、高齢者施設、児童養護施設、障害者支援施設等の感染防止対策を更に進めるため、個室化改修等の支援を行う。

これらにより、感染症との闘いの最前線に立ち続け、献身的に尽力している医療や介護の現場の方々をしっかりと支援する。

  • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療、介護、障害福祉、児童福祉)(厚生労働省)
  • 診療・検査医療機関をはじめとした医療機関等への感染拡大防止等の支援(厚生労働省)
  • 小児科等に対する支援や新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援に係る診療報酬上の特例措置(厚生労働省)
  • G-MISの機能拡充等(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症患者入院医療機関等施設整備事業(厚生労働省)
  • 国立病院機構における医療提供体制の整備(厚生労働省)
  • 児童養護施設、高齢者施設、障害者支援施設等における個室化改修等の支援(厚生労働省)
  • 医療・福祉事業に対する福祉医療機構(WAM)による無利子・無担保等の危機対応融資(厚生労働省)
  • 感染症医療費負担金(厚生労働省)
  • 医療資格者等の労災給付の上乗せを行う医療機関等への補助(厚生労働省)
  • 健康保険組合に係る保険者機能強化支援事業の拡大(厚生労働省)

2.検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備

(1)PCR検査・抗原検査の体制整備

PCR検査等の保険適用自己負担分を公費負担するなど、感染症法に基づく行政検査を引き続き実施することに加え、抗原検査キットが安定的に供給されるよう、国が増産支援等を行うなど、必要な検査が確実に受けられる体制を確保する。また、地方衛生研究所、検査を実施する検査機関等におけるPCR検査機器等の設備整備に必要な支援を行う。同時に、民間検査機関を含め各所で行われているPCR検査等の精度を確保するための外部精度管理調査を実施する。

  • PCR検査・抗原検査の実施(厚生労働省)
  • 抗原検査キットの買上げ(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療)(厚生労働省)【再掲】
  • PCR検査等の外部精度管理調査事業(厚生労働省)
(2)ワクチン接種体制の整備、治療薬の開発等

ワクチンについては、安全性・有効性の確認を最優先に、来年前半までに全ての国民に提供できる数量の確保を図ることとしている。その際、遅滞なく希望する国民がワクチン接種を受けられるよう、地方公共団体等の体制整備に要する経費の補助やワクチン接種費用の国費負担などワクチンの接種体制の整備に万全を期す。

国内外で開発される治療薬についても、安全性を確保しつつ、国による買上げ等を通じて、有望な治療薬が国民に届くように取り組む。また、引き続き、産学官連携を通じて、革新的な医薬品・医療機器等の創出に向けた研究開発を推進する。

  • 新型コロナウイルスワクチン接種体制の整備等事業(厚生労働省)
  • ワクチン生産体制等緊急整備基金の拡充(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルスワクチンの安全性の確保等事業(厚生労働省)
  • ワクチン等生物製剤品質安全性確保事業(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症治療薬等の確保(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症治療薬の治験や薬事申請に必要な費用の支援事業(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症治療薬の緊急調査事業(厚生労働省)
  • 医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE9)(内閣府)

3.知見に基づく感染防止対策の徹底

足元の感染拡大に対しては、国の一定の関与の下に、地方公共団体が、酒類を提供する飲食店等に対して、営業時間短縮要請等を行い、協力金の支払等を行う場合において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に設けた「協力要請推進枠」により、地方公共団体による機動的な対応を支援する。同推進枠を追加することを含め、同交付金をしっかりと拡充し(1.5 兆円)、感染拡大防止等に向け、本経済対策に伴い必要となる支出や地方公共団体による地域の実情に応じた効果的・効率的できめ細やかな取組を支援する。

感染症の拡大防止のため、院内感染を含めた対応として、感染が収束するまでオンライン・電話による診療、オンライン・電話による服薬指導が希望する患者によって活用されるよう見直した現在の時限的措置を着実に実施するとともに、オンライン診断に関わる設備整備等を支援する。また、全国の医療機関や薬局における感染対策・オンライン対応の状況などニーズの高い情報の一元化を進める。

感染症対策の司令塔機能の強化に向け、国立感染症研究所の体制を強化するとともに、国立国際医療研究センターとの連携を強化する。臨床情報やゲノム情報等を一元的に管理する基盤を構築し、新たな検査手法や治療等の研究開発につなげる。さらに、AI等を活用した感染拡大の端緒の早期探知や感染拡大・抑制シミュレーション等の活用に向けた調査研究を行い、感染対策に役立てるほか、日常生活のあらゆる場面で、これまでの知見に基づく感染防止対策を進める。

来夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の感染防止対策等を関係者が一丸となって進める 10。また、今後増加が見込まれる入国者への対応のための民間検査機関の活用等による空港の水際対策の強化や、税関検査における非接触による円滑・迅速な通関を行う。

  • 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充(内閣府)
  • 全国の病院等を検索できる医療情報サイトの基盤構築(厚生労働省)
  • 全国薬局機能情報提供制度構築事業(厚生労働省)
  • 遠隔医療設備整備事業(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症等臨床情報・ゲノム等一元化基盤整備事業(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)等の機能強化等(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症の疫学調査(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症に対する診断・治療法及び疫学調査等の推進に関する研究開発(厚生労働省)
  • 接触確認アプリCOCOA等の普及啓発事業(内閣官房)
  • AIを活用した各種データ解析等による感染状況分析や感染対策への活用に向けた調査研究(内閣官房)
  • 保育所・幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等の感染症対策等支援(文部科学省、厚生労働省)
  • 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の延期に伴う感染症対策等事業(文部科学省、内閣官房)
  • 京都コングレス等における感染症対策の強化(法務省)
  • 新型コロナウイルス感染症対策に係る水際対策の強化(厚生労働省)
  • 水際における税関での感染症拡大防止対策(財務省)
  • 在留外国人の感染拡大防止のための支援策(法務省)
  • 感染症医療人材養成のための教育設備整備等の支援(文部科学省)
  • 海外在留邦人・日系人への支援(外務省)

4.感染症の収束に向けた国際協力

引き続き、新型コロナウイルス感染症の更なる拡大と、その延長線で懸念される我が国への流入を阻止するため、現地で活動する国際機関等とも連携し、感染症の収束に向けた取組や、途上国における医療体制や公衆衛生の向上等を支援する。途上国における感染症の早期の収束に向けて、ワクチン・薬への公平なアクセス確保を支援するため、これらの開発・製造・普及に向けた包括的な取組を推進する。この一環として、開発に成功した治療薬を迅速に大量生産し、安価で普及できるように特許権プールの設立及び治療薬の供給促進を行うなど、国際協力の一層の拡大を図る。

  • Gaviワクチンアライアンス拠出金(外務省、厚生労働省)
  • CEPI11拠出金(厚生労働省)
  • ユニットエイドを通じた新型コロナウイルス医薬品等の特許プールの設立及び治療薬の供給促進(Unitaid 拠出金)(外務省)
  • 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)拠出金(外務省)
  • 国際協力機構(JICA)を通じた新型コロナウイルス感染症の拡大防止(「新型コロナ危機対応緊急支援円借款」の拡充)(財務省)
  • 国際金融機関等 12を通じた新型コロナウイルス感染症の拡大防止(財務省)
  • 感染症対策に係る医薬品研究開発等支援事業(GHIT13拠出金)(外務省、厚生労働省)
  • 医療技術実用化総合促進事業(国際共同臨床研究実施推進プログラム)(厚生労働省)

Ⅱ.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現

1.デジタル改革・グリーン社会の実現

(1)デジタル改革

新型コロナウイルス感染症による危機を契機に、一部の給付金や助成金などの支援策において、オンラインによる簡素な申請や確認・支給手続に課題が見られたように、行政サービスにおけるデジタル化の遅れの問題が浮き彫りとなった。

国の府省庁の行政手続のデジタル化を抜本的に加速するとともに、クラウド活用を原則としたシステムの標準化・共通化など地方公共団体のデジタル基盤の改革を複数年にわたる取組として強力に支援する。デジタル・ガバメントのカギを握るマイナンバーカードの普及促進を 一気呵成に進めるともに、民間部門のデジタル化の一層の推進にも資するべく、デジタル化の重要なインフラである通信網の高度化に向けた技術開発を加速する。

① デジタル・ガバメントの確立

国・地方一体となった行政のデジタル化を実現させ、利用者目線に立った行政サービスを適切に提供するため、各府省庁間のシステムの統一的な運用を行うなど、行政手続の迅速化やオンライン化を集中的に進める。地方公共団体における情報システムについて、クラウド活用を原則とした標準化・共通化を今後5年で確実に実現していくための取組を全力で推進する。その際、複数年の取組として地方公共団体が予見可能性をもって計画的・安定的にデジタル改革を進めることが可能な形での財政的な支援を行う。

  • 自治体情報システムの標準化・共通化の推進(内閣官房、総務省)
  • 自治体のデジタル化の推進(情報セキュリティ対策支援)(総務省)
  • 行政デジタル化の更なる加速化のためのシステム整備等(総務省)
  • 申請システム等の機能の一元化(内閣官房)
  • ガバメントネットワーク整備プロジェクトの加速化・拡大(内閣官房)
  • ベース・レジストリの整備に向けた事業(内閣官房)
  • 納税、登記、旅券申請をはじめとする各行政手続のオンライン化等(内閣府、金融庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省、国立国会図書館、最高裁判所等)
② マイナンバーカードの普及促進・更なる利活用

各種手続のオンライン申請に利用できるマイナンバーカードは、行政のデジタル化のカギである。令和4年度中に、ほぼ全国民に行き渡らせることを目指している一方、現在の普及率は 20%台となっており、普及速度の大幅な加速が必要である。このため、マイナポイントの更なる活用や、健康保険証や運転免許証との一体化等も通じたマイナンバーカードの普及促進を集中的に行う。同時に、各行政手続とシステムとの連結を適切に行うなどその利活用を促進する。

  • マイナポイントによる消費活性化策の対象人数の拡充(総務省)
  • 運転免許証とマイナンバーカードの一体化に向けたシステム整備等(警察庁)
  • 医療機関・薬局におけるマイナンバーカードでの受付機能の普及(厚生労働省)
  • マイナンバーカードの普及に係る対応策強化(総務省)
  • マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等の実現に向けた実証等(総務省)
  • マイナンバー独自利用事務の情報連携の活用促進(内閣府)
  • マイナンバー制度の普及促進に向けた周知・広報(内閣府)
  • マイナポータルのデジタル基盤機能の充実(内閣府)
  • 健診結果等情報の利活用のためのマイナンバー情報連携に係るシステム改善事業等(厚生労働省)
③ 教育、医療・福祉等におけるICT化等の一層の推進

新型コロナウイルス感染症を契機に、感染拡大のような事態が生じても学びの継続を確保できる教育のICT化・オンライン化へのニーズが増している。このため、オンライン教育については、新型コロナウイルス感染症下で特例措置として実施しているところであるが、デジタル時代に合致した仕組みとして、その内容の一層の充実を行うことと合わせ、義務教育段階で本年度中に1人1台端末環境が整備される中、高等学校段階を含む各教育段階においてICT化・オンライン化を推進し、誰ひとり取り残されることのないよう、デジタル社会にふさわしい対面指導とオンライン・遠隔教育のハイブリッドによる新しい学び方を実現していく。また、オンライン診療・服薬指導については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から時限的措置を実施しているところであるが、デジタル時代に合致した制度として、安全性と信頼性をベースとし、エビデンスに基づき、恒久化を行うとともに、生活に密着する医療・福祉等の分野における利便性を高めるICT化等を引き続き推進する。

  • オンライン学習システム(CBT17システム)の全国展開(文部科学省)
  • EdTech・STEAM教育の推進(学びと社会の連携促進事業)(経済産業省)
  • 「スマート専門高校」の実現(文部科学省)
  • GIGAスクール構想の拡充(文部科学省)
  • デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン(文部科学省)
  • 幼稚園のICT環境整備(文部科学省)
  • 保育所や児童相談所等におけるICT化推進(厚生労働省)
  • オンライン教育の一層の充実(文部科学省)
  • オンライン診療・服薬指導の恒久化(厚生労働省)
  • レセプト情報・特定健診等情報データベースシステムの構築等(厚生労働省)
  • 訪問看護レセプト電算処理システム整備事業(厚生労働省)
  • 制度及び都道府県・市町村を跨いだ健診・医療・介護情報の利活用機能の追加(厚生労働省)
④ デジタル分野における新技術の開発や利活用の環境整備

データ主導型の「超スマート社会」の実現のためには、極めて大量の情報を、あらゆる場面において遅滞なく安全・確実に流通させることができる、5Gより高度な通信インフラが必要である。多数同時接続や超低遅延の機能が強化されたポスト5G及び先端半導体の開発・製造を強化するとともに、2030 年頃の導入が見込まれ、あらゆる産業・社会の基盤となる次世代無線通信技術 Beyond5Gの実現に向けた開発を、世界に先立って加速・成功させ、国際標準策定プロセスにおいて深く関与することを目指す。これらの革新的な新技術をはじめとしたデジタル分野の研究開発に対して積極的な支援を行うとともに、インフラ、交通、物流分野等におけるデジタル化等も進める。

  • ポスト5G情報通信システム基盤強化対策(経済産業省)
  • Beyond5G研究開発促進事業(総務省)
  • 国有財産を活用したデジタル改革の推進(5G通信網の整備)(財務省)
  • デジタル活用環境構築推進事業(総務省)
  • サイバーセキュリティ統合知的・人材育成基盤の構築(総務省)
  • AI戦略の推進のための研究開発拠点の整備(総務省)
  • 新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発(総務省)
  • 衛星量子暗号通信のための鍵処理用デバイス 18検証環境の構築(総務省)
  • スマートシティの推進によるまちづくりのデジタル化やスマートシティの海外展開の推進(国土交通省)
  • データ連携促進型スマートシティ推進事業(総務省)
  • スーパーシティ構想の推進(内閣府)
  • 次世代の研究教育基盤となる学術情報ネットワーク(SINET)の強化(文部科学省)
  • ICT国際競争力強化パッケージ支援事業(総務省)
  • 日本政策投資銀行を通じたデジタル・トランスフォーメーションの推進等<財政投融資を含む>(財務省)
  • インフラ、交通、海事 20・港湾分野等におけるデジタル・トランスフォーメーションの推進(国土交通省)
  • 企業の事業再構築等に向けた投資を促進する税制(経済産業省)
⑤ デジタル改革に向けた規制改革の推進

国民・社会の目線で、価値をつくり出す規制改革を積極的に推進する。新型コロナウイルス感染症で明らかとなった行政サービス等におけるデジタル化の遅れなど様々な課題に対処すべく、オンライン診療・服薬指導、オンライン教育に係るもののほか、社会全体のデジタル化に向けた以下の規制改革を推進する。

○書面・押印・対面の見直し(全府省庁)

全ての行政手続を対象として、書面・押印・対面の必要性を検証し、見直しを行う。民間事業者間の手続についても、法令で書面・押印・対面を求めている規制の必要性を検証し、領収書の電子化や、不動産賃貸・売買等の契約に係る各種必要書面の電子化などの見直しを行う。

法改正が必要なものについては、一括法を含めて必要な法律案を次期通常国会に提出する。

また、性質上、オンライン化が適当ではないものを除き、全ての行政手続について、5年以内にオンライン化を行う。手続件数が特に多い分野や事業者からの要望が多い分野について、オンライン利用率を大胆に引き上げる。加えて、国・地方公共団体の契約においてクラウド型の電子署名を活用できるよう見直しを行う。

○専任、常駐義務等の見直し(厚生労働省)

書面・押印・対面の見直しや、昨今のICT技術の伸展により、特定の者を選任する規定や、特定の場所への常駐を求める規定についても見直しが可能となる。特定建築物の建築物環境衛生管理技術者の兼務要件の合理化、産業医の常駐及び兼務要件の緩和、一般用医薬品販売規制の見直し等を行う。

○テレワークの普及・促進(厚生労働省)

テレワークの普及・促進のため、テレワークに関する労働関係法令の適用と留意点、人事労務管理上の注意点等を規定した「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成 30 年2月 22 日厚生労働省)の見直しを行う。

○規制のデジタル・トランスフォーメーション(文部科学省、総務省、厚生労働省)

規制のデジタル・トランスフォーメーションの一環として、放送番組のインターネット配信を行う際に一括で円滑な権利処理が行えるようにするための著作権制度の見直しや、医療機器プログラム等の最先端の医療機器の開発・導入を促進するための薬機法に基づく承認審査等の仕組みの見直し等を行う。

○自動配送ロボットの制度整備(内閣官房、警察庁、国土交通省、経済産業省)

公道走行実証の結果を踏まえて、遠隔で多数台の低速・小型の自動配送ロボットを用いたサービスが可能となるよう、来春を目途に制度の基本方針を決定し、来年度のできるだけ早期に、関連法案の提出を行う。

○バーチャル株主総会の実現(経済産業省、法務省)

来年の株主総会に向けて、バーチャル株主総会を開催できるよう、次期通常国会に関連法案を提出する。

(2)グリーン社会の実現

2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする 2050 年カーボンニュートラルの実現に向けた挑戦は、我が国の「新しい成長戦略」であり、グリーン社会の実現のために、本経済対策でまずは政府が環境投資で一歩大きく踏み込む。そのカギとなるのは、革新的なイノベーションである。再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検を行い、大胆な緩和をするとともに、分野横断的な法的枠組みも含めた必要な制度整備を検討するなど、政策を総動員しながら、中小企業を含め、エネルギー・産業分野における新技術の実装化や研究開発を加速度的に推進していく。

また、「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」への3つの移行により、経済社会をリデザイン(再設計)し、グリーン社会を実現していくため、新しい需要を創出し、経済社会の変革を図る。また、国際機関等を通じたグリーン化に係る国際的協調を進める。

① カーボンニュートラルに向けた新技術の開発

2050 年までのカーボンニュートラル目標に向け、我が国の温室効果ガス排出の約 85%をエネルギー起源CO2が占めていることを踏まえ、エネルギー分野の変革や、製造業等の構造転換を図る。特に、①電化と電力のグリーン化(次世代蓄電池技術等)、②水素社会の実現(熱・電力分野等を脱炭素化するための水素大量供給・利用技術等)、③CO2固定・再利用(CO2を素材の原料や燃料等としていかすカーボンリサイクルなど)等の重点分野について、2兆円の基金を創設し、具体的な目標年限とターゲットへのコミットメントを示す企業の野心的な研究開発を、今後 10 年間、継続して支援することで、電力、製鉄・化学などのものづくり、自動車などの運輸部門等各分野において革新的技術の早期確立・社会実装を図っていく。上記を含め、カーボンリサイクルやCCUS23、再生可能エネルギーをはじめとしたグリーン分野における様々な新技術の実用化や研究開発の取組に対して積極的な支援を行っていく。

  • カーボンニュートラルに向けた革新的な技術開発に対する継続的な支援を行う基金事業(経済産業省)
  • カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発事業(経済産業省)
  • 海事・港湾分野のカーボンニュートラルの推進(国土交通省)
  • 温室効果ガス観測技術衛星等による排出量検証に向けた技術高度化事業(環境省)
② グリーン社会の実現のための国民のライフスタイルの転換等

財・サービスの消費という視点から見た場合、我が国の温室効果ガス排出量の約6割が家計消費に起因しており、グリーン社会の実現のためには国民のライフスタイルの転換が必要である。また、CO2排出量が実質ゼロである「脱炭素地域」の創造など経済社会の変革を行う。このため、グリーンで災害に強い電気自動車や燃料電池自動車等の普及による「移動の脱炭素化」や断熱リフォーム等の支援による「住宅等の脱炭素化」を推進し、脱炭素ライフスタイルへの転換を図る。

また、自立・分散型エネルギーの普及を通じて、ゼロカーボンシティにおける地域の再生可能エネルギーの主力化を実現する。あわせて、国際協力銀行(JBIC)や国際機関を通じ、世界のグリーン化に向けた国際的な貢献を行う。

  • 再エネ電力や災害時に給電できる充放電設備の導入と組み合わせた電気自動車や燃料電池自動車等の普及促進(経済産業省、環境省)
  • 企業の脱炭素化投資を促進する税制等(経済産業省)
  • 既存住宅における断熱リフォーム・ZEH化支援事業(環境省)
  • 脱炭素社会実現に向けた省エネルギー性能の高い木造住宅等の普及促進<財政投融資を含む>(国土交通省)
  • グリーン住宅ポイント制度(国土交通省)
  • 高機能換気設備等の導入支援を含む建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業(環境省)
  • グリーン社会の実現のためのオンサイトPPA28等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業(環境省)
  • 脱炭素社会構築のための資源循環高度化設備導入促進事業(環境省)
  • 産業・業務部門における高効率ヒートポンプ導入促進事業(経済産業省)
  • 先端低炭素設備導入促進補償制度推進事業(経済産業省)
  • 畜産バイオマス地産地消対策(農林水産省)
  • 森林整備や木材製品の消費拡大等によるグリーン社会の実現(農林水産省)
  • LNGバリューチェーンの脱炭素化等に向けたインド太平洋イニシアティブ形成事業(経済産業省)
  • JBICを通じた日本企業による脱炭素社会に向けた海外事業活動等の支援(「ポストコロナ成長ファシリティ(仮称)」)(財務省)
  • 洋上風力発電の地域一体的開発に向けた調査研究(経済産業省)
  • 国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)への拠出を通じた脱炭素社会達成支援(外務省)

2.経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上

(1)中小・小規模事業者の経営転換や企業の事業再構築等の支援

付加価値の5割以上、雇用の7割を生み出すなど地域の経済を支える基盤である中小・小規模事業者に対して、淘汰を目的とするものではないことは当然として、ポストコロナに向け、中小企業の事業継続、業態転換や新たな分野への展開等の経営転換を強力に後押しすること等を通じて、生産性の向上、賃金の継続的な上昇につなげる。引き続き、最低賃金の引上げに向けた環境整備に取り組む。

新たに事業再構築補助金を創設し、新型コロナウイルス感染症の影響の下で経済社会の変化に対応しようとする中堅・中小企業による、新規事業への進出等の新分野展開、事業転換、業態・業種転換等の取組や、事業再編及びこれらの取組を通じて規模の拡大を行う事業者に対して、その設備投資費用等を最大1億円補助する。

資金繰り支援について、民間金融機関を通じた実質無利子・無担保融資は来年3月まで実施し、日本政策金融公庫等による実質無利子・無担保融資は、感染状況や資金繰りの状況を踏まえ、当面来年前半まで継続するとともに、中小・小規模事業者等の経営改善や業態転換等に伴う資金繰りを支援する。特に、年末・年度末に向けて、金融機関において、機動的かつきめ細かい資金繰り支援を行うよう促す。より成長志向の強い事業者の前向きな投資として、引き続き、テレワーク等に対応したITツールの導入や、感染対策と経済活動の両立に資する感染防止策への投資等を重点的に支援する。また、感染症の影響により、休廃業企業数が増加する中、相談体制の拡充、事業承継・事業再生支援に係る体制の整備とともに、事業引継ぎ時の専門家活用やその後の新たな挑戦の支援など万全の構えで取り組む。

厳しい経営環境に置かれている地域公共交通事業者の活性化や事業の継続性を確保するため、高性能フィルタを有する空気清浄機の導入など新技術の活用や、観光業者との連携などを通じた収支の改善を図る取組等に集中的な支援を行う。

大企業と中小・小規模事業者のパートナーシップ構築を推進し、価格転嫁を進めることで、事業活動による果実を適正なバランスで分配し、中小・小規模事業者の収益を確保できるようにする。

事業再構築・再編に向けた投資に果敢に挑む企業に対しては、一定期間に限り、繰越欠損金の控除上限を引き上げる等の税制上の優遇措置を講ずることを検討する。あわせて、感染症による需要の変化に対応した事業展開を可能とする規制改革を進める。

さらに、ポストコロナも見据え、金融機関がデジタル化や地方創生など持続可能な経済社会の構築に資する業務を幅広く営むことを可能とするため、銀行の業務範囲規制等を見直す。また、日本銀行が検討中の地域金融強化のための特別当座預金制度に加え、人口減少地域等の金融機能を維持するため、合併・経営統合などの抜本的な経営基盤強化を行う地域金融機関に対する資金交付制度を創設する。

  • 事業再構築補助金の創設(経済産業省)
  • 民間金融機関を通じた実質無利子・無担保融資の延長と中小企業等の経営改善等の取組に係る新たな信用保証制度の措置(財務省、経済産業省、金融庁)
  • 日本政策金融公庫等を通じた実質無利子・無担保融資の継続と中小企業等の業態転換等に係る融資制度の拡充(財務省、経済産業省、厚生労働省、内閣府)
  • 中小企業生産性革命推進事業(特別枠)(経済産業省)
  • 中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援(経済産業省)
  • 事業承継・事業引継ぎ推進事業(経済産業省)
  • 中小企業再生支援協議会の体制強化(経済産業省)
  • ポストコロナを見据えた地域公共交通の活性化・継続(国土交通省)
    ・ 企業の事業再構築等に向けた投資を促進する税制 34(経済産業
    省)【再掲】
    ・ 経営資源集約化税制 35(経済産業省)
    ・ 物流生産性向上に資する共同輸配送や置き配に係る取組の推進
    (国土交通省)
    ・ 飲食店等の道路占用許可基準の緩和に係る特例措置について手続
    の簡素化と併せた新制度への円滑な移行(警察庁、国土交通省)
    ・ 銀行の業務範囲規制等の見直し、資金交付制度の創設(金融庁)
    ・ 最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業(厚生労働省)
(2)イノベーションの促進

欧州諸国では、感染再拡大に苛まれる中でも、デジタルやグリーンの分野をはじめ、ポストコロナにおける成長を牽引するイノベーションを加速する「攻め」の経済対策に軸足を移している。我が国においても、こうした動きに遅れることなく、デジタルやグリーンはもとより、宇宙、海洋、AI、量子技術、ゲノム、バイオ、マテリアル等の分野を含め、生産性向上や国民生活の質的向上につながる非連続的なイノベーションを生み出す研究基盤を抜本的に強化する。特に、10 兆円規模の大学ファンドを創設し、その運用益を活用することにより、世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学の共用施設やデータ連携基盤の整備、博士課程学生などの若手人材育成等を推進することで、我が国のイノベーション・エコシステムを構築する。

本ファンドへの参画に当たっては、自律した経営、責任あるガバナンス、外部資金の獲得増等の大学改革へのコミットやファンドへの資金拠出を求めるとともに、関連する既存事業の見直しを図る。本ファンドの原資は、当面、財政融資資金を含む国の資金を活用しつつ、参画大学や民間の資金を順次拡大し、将来的には参画大学が自らの資金で基金の運用を行うことを目指す。財政融資資金については、ファンドの自立を促すための時限的な活用とし、市場への影響を勘案しながら順次償還を行う。安全かつ効率的に運用し、償還確実性を確保するための仕組みを設ける。

国立大学等における最先端研究基盤等を整備するとともに、博士後期課程学生の処遇向上とキャリアパスの確保を一体的に行う大学を支援するほか、若手研究者等が研究に専念できる環境を確保し最長 10年にわたり支援を行う制度(創発的研究支援)の対象人数を拡充する。

また、国際競争力を高めるため、省庁横断で取り組むべき重点分野における製品・サービス等の標準の活用を推進する戦略を策定し、各省庁の施策の誘導を図る。

  • 世界レベルの研究基盤を構築するための大学ファンドの創設<財政投融資を含む>(内閣府、文部科学省)
  • 国際宇宙探査「アルテミス計画」に貢献する研究開発(文部科学省)
  • 省庁横断的な宇宙開発利用の推進のための研究開発事業(内閣府)
  • スーパーコンピュータ「富岳」の整備(文部科学省)
  • 研究環境のデジタル・トランスフォーメーション(文部科学省)
  • 量子生命科学研究拠点施設・設備の整備(文部科学省)
  • 官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進(文部科学省)
  • AI戦略の推進のための研究開発拠点の整備(総務省)【再掲】
  • スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(農林水産省)
  • 官民共同 10 万人全ゲノム解析の実現(文部科学省)
  • 全ゲノム解析等によるゲノム医療推進のための体制整備(厚生労働省)
  • 創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(文部科学省)
  • 重点産業技術に係るオープンイノベーション拠点整備(経済産業省)
  • 起業家教育拡大・スタートアップ創出等を通じたイノベーション・エコシステムの維持・強化(文部科学省)
  • 国立大学等の最先端研究基盤及び基盤的設備の整備(文部科学省)
  • 科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設準備事業(文部科学省)
  • 創発的研究支援事業の対象人数拡充(文部科学省)
  • 標準の活用の推進に係る戦略策定等(内閣府)
  • カーボンニュートラルに向けた革新的な技術開発に対する継続的な支援を行う基金事業(経済産業省)【再掲】
(3)サプライチェーンの強靱化と国際競争力の向上
① サプライチェーン強靱化の実効性向上

今回の感染症の影響により、我が国のサプライチェーンについて、海外における生産拠点の集中度が高い製品等の供給途絶など、その脆弱性が顕在化したことを踏まえ、国内外でサプライチェーンの強靱化支援を継続する。その際、補助金の要件を見直すなど、より焦点を絞った支援を行う。具体的には、サプライチェーンの途絶によるリスクの大きい重要な製品・部素材や国民の健康な生活にとって重要な物資について、国内増産等に寄与する設備投資や、海外生産拠点の多元化に資する設備投資に対して支援を実施する。

加えて、サプライチェーン強靱化や生産性向上に資する観点から、空港や港湾へのアクセス道路の整備や、国際コンテナ戦略港湾の機能強化等を進める。

  • サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(経済産業省)
  • 医薬品安定供給支援事業(厚生労働省)
  • 海外サプライチェーン多元化支援事業(経済産業省)
  • JBICを通じた日本企業によるサプライチェーン強靱化等の支援(「ポストコロナ成長ファシリティ(仮称)」)(財務省)【再掲】
  • 国際食料・資材市場安定対策事業(農林水産省)
  • サプライチェーンの強靱化や物流の生産性向上に資する道路ネットワークや港湾の整備等の推進等 41(国土交通省)
② 対日直接投資の促進など海外活力の取込み

対日直接投資は、海外の優れた技術やノウハウの取込みを通じ、我が国経済の生産性の向上に寄与し、雇用・所得の継続的な拡大にもつながる。経済安全保障に留意しながら、その更なる促進に向け、本年度内に策定する具体的なKPIとスケジュールを含む中長期戦略に先立ち、以下の取組について早急に実行に移す。

具体的には、我が国の技術力・研究開発力をいかした魅力あるイノベーション・エコシステムを加速するため、デジタル・グリーン等重要分野における内外企業のマッチングや協業等を目指すオープン・イノベーション・プラットフォーム(J-Bridge 構想)を年度内に構築し、運用を開始するほか、スタートアップの創出を促進する拠点都市に対して、重点分野を設けた上で、国内スタートアップの海外展開や、海外投資家・企業からの投資の呼び込みに係る事業構想策定、専門家とのマッチング、プロモーション活動の支援等を行う。また、後述する国際金融センター実現に向けた取組も踏まえ、法人設立手続等のオンライン化や英語対応、外国人の感染対策を含む医療・保健分野や教育・雇用分野など生活面での安心の確保等を通じたビジネス環境・生活環境整備を加速するとともに、観光資源をはじめ地域資源を活用した投資受入れのための環境整備を進める。

このほか、アジアを中心とする海外の成長市場における需要の取込みや、経済連携協定等を通じた国内産業の競争力強化を図るため、越境EC市場を通じた海外展開、海外展開に取り組む企業の販路開拓や新規事業の創出等を支援する。

  • 中堅・中小企業の海外展開等に対する支援(日本貿易振興機構を通じた J-Bridge 構想、「新輸出大国コンソーシアム」を中核とする支援体制の強化)(経済産業省)
  • 対日投資促進アクセラレーション・プログラム(スタートアップ・エコシステム拠点の形成に向けた支援)(内閣府)
  • アジアDX等新規事業創造支援事業(経済産業省)
  • 法務行政におけるデジタル化・IT化の推進(法務省)【再掲】
  • 税務手続等のデジタル改革の推進(財務省)【再掲】
  • 在留外国人の感染拡大防止のための支援策(法務省)【再掲】
  • 新型コロナウイルス感染症患者相談・受入れ施設に対する電話通訳サービス事業(厚生労働省)
  • 外国人に対する就職支援の多言語対応等の推進(厚生労働省)
  • コンテンツの海外展開や基盤強化への支援(経済産業省)
③ 世界に開かれた国際金融センターの実現

金融事業拠点として、我が国には良好な治安・生活環境、1900 兆円の個人金融資産等の強みがある一方、市場の魅力の発揮、言語・社会の多様性等の課題が残されている。国を挙げた戦略的な取組が奏功したインバウンドの教訓もいかし、観光に続きビジネスを行う場としても魅力的な国家を目指し、資産運用業を中心に金融分野で突破口を開く。海外と比肩しうる魅力ある金融資本市場への改革と海外事業者や高度外国人材を呼び込む環境構築を戦略的に進め、世界に開かれた国際金融センター(Finance Place Japan)を実現する。

具体的には、海外で資産運用業等を行ってきた事業者や人材が、同様のビジネスを国内で行いやすくするため、規制・税制面でのボトルネックを除去するほか、金融資本市場の魅力向上やコーポレートガバナンス改革等に取り組む。国・地方公共団体・民間一体で、資産運用業等を始める外国人の法人設立・事業開始・生活立上げへのシームレスな支援、事前相談から登録・監督等までの新規海外運用会社等への英語対応、在留資格の緩和や優遇措置の拡充を図るほか、外国語対応可能な士業や教育・住居・医療等の生活面に係る情報発信を強化するなど安心して日本でのビジネスを検討できる環境を整備する。

  • 主として海外の資金を運用する海外事業者を簡素な参入手続で受入可能とする特例の創設(金融庁)
  • 社外取締役の質・量の向上、女性・外国人・中途採用者の登用を通じた多様性の確保等を促すコーポレートガバナンス・コードの改訂と企業による適時適切な開示の推進(金融庁)
  • 金融資本市場の魅力向上(金融庁)
  • 官民一体の「金融創業支援ネットワーク」の構築(金融庁)
  • 新規の海外運用会社等の登録・監督等の英語による実施(金融庁)
  • 在留資格付与の特例 46、高度外国人材に対するボーナスポイント新設・家事使用人の雇用要件緩和・配偶者就労に係る利便性向上の特例(法務省)
  • AI多言語翻訳技術の活用や金融関連法令等の英訳の充実による金融行政の英語化(金融庁、総務省、法務省)
  • 信用保証制度や日本政策金融公庫等の融資対象の資産運用業者等への拡大(経済産業省、財務省、内閣府)
  • 外国語対応可能な士業や医療・住居・インターナショナルスクール等生活面に関する情報発信強化・課題調査等(金融庁、法務省、総務省、財務省、厚生労働省、国土交通省、外務省、文部科学省)
  • 海外金融事業者向け支援を行う地方公共団体のニーズに応じた交付金の活用(内閣府)

3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現

(1)地方への人の流れの促進など活力ある地方創り

いわゆる東京圏、一都三県の消費額は全国の3割に過ぎず、地方の所得を向上させ、地方の消費を活性化することは、経済を民需主導の成長軌道に戻すために不可欠である。このため、観光や文化芸術・スポーツ等への支援、地域の独自の取組への後押し等を通じて、人の移動を支えるインフラの着実な整備を図りつつ、地方への人の流れを促進し、活力ある地方を創っていく。

① 国内観光を中心とした旅行需要の回復

観光関連産業は、全国で約 900 万人が従事するなど地域経済を支える基盤である。感染症による危機を乗り越え、地方への人の流れを促し、地域経済を守るため、国内における旅行消費額の約8割を占める国内観光を中心に、感染拡大防止策との両立を一層徹底した上で、失われた旅行需要の回復を目指す。Go To キャンペーン(トラベル、イート、イベント、商店街)は、新型コロナウイルス感染症対策予備費を使って、Go To トラベル事業の当面の予算不足を早急に補い、感染状況を踏まえ柔軟に対応しつつ、感染拡大防止策を講じながら引き続き適切に推進する。このうち Go To トラベル事業は、例えば中小事業者や被災地など観光需要の回復が遅れている事業者・地域へ配慮するとともに、平日への旅行需要の分散化策を講じつつ、制度を段階的に見直しながら延長し、来年6月末までとすることを基本の想定としつつ、感染状況を踏まえ、柔軟に対応する。また、Go To イート事業も、来年6月末を期限とした食事券についてプレミアムを引き下げて追加発行する。観光拠点を再生し、魅力と収益力を一層高めるため、宿泊施設や飲食店、土産物店等の改修等や専門家派遣を通じた経営力の底上げ等を短期集中で支援するほか、地域の異業種間の連携による観光資源の磨き上げの支援や、デジタル技術も活用しつつ、国立公園・温泉地等での滞在型ツアーやワーケーションの受入環境整備を進める。また、航空会社が支払う国管理空港の着陸料等を減額する。

今後の国際的な人の往来の更なる再開を見据え、拠点空港等の機能強化や空港における感染リスク最小化のための施設整備を支援するとともに、公共交通機関や宿泊施設における感染拡大防止策を含む受入環境整備や国内外の感染状況等を見極めつつインバウンドの段階的回復に向けた取組を進める。

  • Go To キャンペーン(トラベル、イート、イベント、商店街)(内閣官房、国土交通省、農林水産省、経済産業省)
  • 既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業(国土交通省)
  • 地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進(国土交通省)
  • 国立公園・温泉地等での滞在型ツアー・ワーケーション推進(環境省)
  • ワーケーション導入時の労災や税務処理等のQ&Aの提示等(国土交通省)
  • 航空ネットワーク維持のための着陸料等の軽減(国土交通省)
  • 空港受入環境高度化支援(国土交通省)
  • 空港機能強化の推進<財政投融資>(国土交通省)
  • 民族共生象徴空間(ウポポイ)の誘客等の取組の推進(国土交通省)
  • 訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(国土交通省)
  • 特定有人国境離島地域への観光客の来訪促進等(内閣府)
② 新たな人の流れの促進など地域の独自の取組への支援

感染症を契機に、地方の魅力が見直される中、観光にとどまらず、地方への移住・定住を強力に推進するなど、都会から地方への人の流れをつくり出す。地方公共団体向けの新たな交付金や財政投融資の活用により、サテライトオフィスの整備等を支援するとともに、企業と地方公共団体のニーズのマッチングも通じて、地方におけるテレワークを促進する。大企業から地域の中堅・中小企業への人の流れを創出し、地域企業の経営人材確保を支援するため、REVICで管理する人材リストを通じた、地域金融機関等による人材マッチングを推進する。条件不利地域における地域振興を促進する。また、感染症により様々な課題が顕在化している中で、地方公共団体による地域の実情に応じた女性活躍や少子化対策等に係る独自の取組について、KPIを設定しつつ積極的に支援する。

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をしっかりと拡充し、感染拡大防止のほか、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現に関して、本経済対策に伴い必要となる支出や地方公共団体による地域の実情に応じた効果的・効率的できめ細やかな取組を支援する。

  • 地方創生テレワーク交付金、地方創生テレワーク推進事業(内閣府)
  • 国有財産を活用したサテライトオフィス整備支援(財務省)
  • 新たな働き方・住まい方を支えるテレワーク拠点等の整備に対する支援(国土交通省)
  • テレワークの普及・促進のための「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成 30 年2月 22 日厚生労働省)の見直し(厚生労働省)【再掲】
  • 地域企業経営人材マッチング促進事業(金融庁)
  • 先導的人材マッチング事業(内閣府)
  • 地方創生拠点整備交付金(内閣府)
  • 放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業(総務省)
  • 条件不利地域の振興策(国土交通省)
  • 沖縄振興特定事業推進費による地元独自の取組支援(内閣府)
  • グリーン住宅ポイント制度(国土交通省)【再掲】
  • 地域女性活躍推進交付金(内閣府)
  • 地域の実情・課題に応じた少子化対策の推進(結婚新生活支援等)(内閣府)
  • 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充(内閣府)【再掲】
③ 文化芸術・スポーツ活動の支援

感染症の影響が長引く中、文化芸術・スポーツ活動を引き続き支援し、地方への人の流れを促すなど地域の活気を取り戻す。

感染症の影響により活動の自粛を余儀なくされた文化芸術・スポーツ関係団体、文化施設等に対し、文化施設の感染対策やオンライン・コンテンツの充実やライブ配信など「新たな日常」に対応した活動も支援し、収益機会の発掘とその醸成、収益力と幅広い関係者の活動の持続可能性に資する取組を行う。

  • コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業(文部科学省)
  • 文化施設の感染予防拡大・活動支援環境整備事業(文部科学省)
  • 国立文化施設の機能強化(文部科学省)
  • 日本博イノベーション型プロジェクト(文部科学省)
  • 子供の文化芸術の鑑賞・体験等総合パッケージ(文部科学省)
  • 地域無形文化遺産継承のための新しい生活様式支援事業(文部科学省)
  • 地域ゆかりの文化資産を活用した展覧会支援(文部科学省)
  • コンテンツグローバル需要創出促進事業(経済産業省)
  • ポストコロナに向けた全国規模のスポーツイベント等の開催支援(文部科学省)
  • 子供の運動遊び定着のための官民連携推進事業(文部科学省)
④ 地域における民需主導の成長を支えるインフラの整備

ワイズスペンディングの下、民間需要の誘発や、歩行者・自転車通行空間などのゆとりある公共的空間の確保による多様な交流・活動の創出、地域の基幹産業の競争力の底上げ、生産性の向上など効果の大きいインフラ・プロジェクトについて、財政投融資の手法も活用しつつ、重点的・集中的に推進する。

  • 経済成長の基盤となる都市インフラの整備(国土交通省)
  • 都市公園等による地域活性化(国土交通省)
  • 都市再生、民間都市開発投資の促進<財政投融資>(国土交通省)
  • 産業の活性化、雇用の創出等に資する港湾整備(国土交通省)
(2)成長分野への円滑な労働移動等の雇用対策パッケージ

感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指し、引き続き、雇用調整助成金の特例措置等による雇用の維持・確保に取り組むとともに、一人一人が能力を最大限に引き出しながら働きがいを持って活躍できるよう、業種転換等による雇用確保も視野に、出向や早期再就職による新たな分野への円滑な労働移動の支援や、働きながら学べる環境の整備、リカレント教育の強化、求職者向け支援の拡充等を雇用対策パッケージとして総合的に取り組む。

雇用調整助成金の特例措置等は、現行措置を来年2月末まで延長のうえ、3月以降、段階的に縮減し、5~6月にリーマンショック時並みの特例とすることを基本の想定としつつ、感染状況や雇用情勢を踏まえ柔軟に対応する。具体的には、1月末及び3月末時点で、それぞれ、感染状況や雇用情勢を見極め、休業者数・失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化している場合、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業について特例を設けることとする。

その上で、出向元企業への雇用調整助成金による支援、労働移動支援助成金による受入企業への支援を引き続き実施することに加え、出向元及び出向先双方の企業に新たな助成制度を創設するとともに、産業雇用安定センターによるマッチング体制を強化する。また、キャリアコンサルティングや事業転換等のためのコンサルティングの積極的な活用も通じて、業種・職種を越えた転換を伴う再就職等を促進する都道府県の取組を支援する。

デジタル時代に対応したIT人材やIT利活用人材の教育訓練を強化するとともに、事業者に対して、他業種転換に必要な雇用者の訓練費用の支援や、教育訓練休暇制度の使いやすさの向上を図る。介護分野における雇用を確保する観点から、職業訓練、職場体験等と訓練修了後の就職支援金の貸付(返済免除条件付き)を組み合わせた就職支援を出口一体で実施する。

感染症の影響が非正規雇用労働者や女性など弱い立場にある人に大きく生じていることを踏まえ、こうした影響による離職者等で、就労経験のない職業に就くことを希望する方の早期再就職支援を図るため、一定期間試行雇用する事業主に対する賃金助成制度を創設するとともに、紹介予定派遣を通じた正社員化を促進する。また、女性のライフステージに対応した多様で柔軟な働き方の実現などにより女性の活躍を引き続き推進するとともに、子育て中の女性等のニーズに合った積極的な求人開拓等をハローワークにおいて実施する。さらに、新卒者等を巡る就職環境が厳しい中、第二の就職氷河期世代を作ることのないよう、新卒者及び3年以内既卒者に対する就職支援のため、採用意欲のある中小企業とのマッチング促進等に加え、新卒応援ハローワーク等における相談支援体制を強化する。

  • 雇用調整助成金の特例措置等の延長・見直し(厚生労働省)
  • 出向元・出向先事業主への一体的な助成制度の創設(産業雇用安定助成金(仮称))(厚生労働省)
  • 産業雇用安定センターの体制の拡充(厚生労働省)
  • 業種・職種を越えた転換を伴う再就職等を促進する都道府県の取組の支援(厚生労働省)
  • ニーズの変化に応じた教育訓練給付対象講座の見直し(厚生労働省)
  • 人材開発支援助成金による他業種転換支援、長期教育訓練休暇付与コースの要件緩和、IT人材育成支援の充実(厚生労働省)
  • 雇用と福祉の連携による離職者への介護分野への就職支援(厚生労働省)
  • 感染症の影響による離職者を試行雇用する事業主への助成(トライアル雇用助成金)(厚生労働省)
  • 紹介予定派遣を通じた正社員化に取り組む派遣先事業主への助成対象の拡充(キャリアアップ助成金)(厚生労働省)
  • 子育て中の女性等に対する仕事と家庭の両立ができる求人の確保(厚生労働省)
  • 新卒応援ハローワーク等における新卒者及び3年以内既卒者に対する就職支援の強化(厚生労働省)
  • 就職氷河期世代支援対策専門窓口の設置及びチーム支援の実施(厚生労働省)
  • 外国人に対する就職支援の多言語対応等の推進(厚生労働省)【再掲】
(3)更なる輸出拡大を軸とした農林水産業の活性化

TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定に続き、日英包括的経済連携協定及び地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の署名がなされ、我が国の海外市場は更に拡大する。このチャンスを最大限にいかし、2030 年5兆円目標の実現に向け、農林水産物・食品の輸出を更に拡大していくべく、「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づく更なる生産基盤と輸出力の強化に取り組むとともに、感染症の影響を受けている農林漁業者等への支援に万全を期す。

① 輸出の更なる拡大に向けた生産基盤・輸出力の強化

収益力強化に計画的に取り組む産地に対する総合的な支援を行うとともに、畜産クラスターを推進するなど生産基盤の強化に取り組む。輸出に取り組む産地や事業者の裾野を広げるため、GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)において、品目等の課題に応じた取組等を支援するとともに、重点品目及びそのターゲット国・地域を対象にした官民一体となった海外での販売力の強化に向けた支援、政府一体となって輸出の障害を克服するための輸出環境の整備など、輸出力強化に取り組む。また、主食用米の需要減少に対し、新たな需要の開拓を図るため、高収益作物等への作付転換や加工製造設備整備を支援する。

  • 産地生産基盤パワーアップ事業(農林水産省)
  • 畜産クラスター事業及び畜産クラスターを後押しする草地整備の推進(農林水産省)
  • 農地の更なる大区画化・汎用化の推進(農林水産省)
  • 水田の畑地化、畑地・樹園地の高機能化等の推進(農林水産省)
  • 新市場開拓に向けた水田リノベーション事業(農林水産省)
  • グローバル産地づくり緊急対策事業(農林水産省)
  • 海外需要創出等支援緊急対策(農林水産省)
  • 食品産業の輸出向けHACCP50等対応施設整備(農林水産省)
  • 農畜産物の輸出施設整備・畜産物輸出コンソーシアムの推進(農林水産省)
  • 合板・製材・集成材国際競争力強化・輸出促進対策(農林水産省)
  • 水産業競争力強化緊急事業、水産物輸出拡大緊急対策事業(農林水産省)
  • 海外フードバリューチェーン再構築緊急対策事業(農林水産省)
  • 日本産酒類の輸出拡大実行戦略等推進事業(財務省)
② 感染症の影響を踏まえた経営継続支援等

感染症の影響を受けている農林漁業者等に対し、経営継続のための必要な支援を行うとともに、人手不足への対策のほか、農林水産物の販路の多様化等の支援を引き続き行う。

  • 経営継続補助金(農林水産省)
  • 高収益作物次期作支援交付金(農林水産省)
  • 林業経営体能力向上支援対策(農林水産省)
  • 漁業収入安定対策事業、特定水産物供給平準化事業(農林水産省)
  • 農業及び水産業労働力確保緊急支援事業(農林水産省)
  • 国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業(農林水産省)
(4)家計の暮らしと民需の下支え
① 家計の生活下支え、経済的負担の軽減、需要喚起等

感染症の影響により生活に困窮する世帯に対して、緊急小口資金・総合支援資金の特例措置の申請期限を来年3月末まで延長するとともに、住居確保給付金の支給期間を令和2年度中に新規で申請した方に限り最長 12 か月まで延長可能とする。生活困窮者自立支援の機能強化に加え、自殺相談体制の強化等を行う都道府県等の取組を包括的に支援する交付金を創設する。相談体制の構築・強化を通じ、ひとり親家庭への支援を強化するとともに、低所得のひとり親世帯に対し、予備費を活用し、年内を目途にひとり親世帯臨時特別給付金(基本給付)の再支給を行う。困窮する学生生徒の修学支援を拡充するとともに、奨学金返還支援の周知を充実する。また、生活と雇用を支える観点から、中小企業の資金繰り等を支援する。

個人消費については、持ち直しの動きが続いているものの、サービス消費を中心にその水準は依然として低く、住宅投資は、感染症の影響もあり低迷が続いている。雇用の維持・確保や生産性向上の取組、各般の消費喚起策と合わせ、雇用増や賃上げなど所得拡大を促す税制措置を講ずることを検討する。また、低迷する住宅投資に対しては、効果的な需要喚起につなげるべく、税制 52やポイント制度など、テレワーク対応や地方への移住、脱炭素化といったポストコロナの課題に対応する視点も踏まえた即効性のある支援策を講ずる。

家計負担の約4%を占める携帯電話料金の低廉化に向け、事業者間の乗換えの円滑化をはじめとするモバイル市場の公正な競争環境の整備のための取組を強力に進める。

長年の課題である少子化対策に真正面から取り組み、大きく前に進めていく。待機児童解消に向けた動きを着実に進めるため、保育の受け皿整備を引き続き進めるとともに、不妊に悩む方に対する治療費用の助成について、令和4年度からの医療保険適用を見据えつつ、所得制限を撤廃した上で、助成額の上限について2回目以降も1回 30 万円で6回まで、2人目以降の子供も同様とし、対象拡大を前提に大幅な拡充を行い、経済的負担の軽減を図る。また、不育症患者や小児・AYA世代のがん患者等に対する経済的支援を推進する。さらに、産後ケア事業などを通じ、妊娠期から子育て期に至るまでの切れ目ない支援を推進する。

  • 緊急小口資金等の特例措置の延長(厚生労働省)
  • 住居確保給付金の支給期間の延長(厚生労働省)
  • 国民健康保険料等の減免を行った市町村等に対する財政支援(厚生労働省)
  • 新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金(仮称)の創設(厚生労働省)
  • セーフティネット住宅の家賃低廉化に係る支援(国土交通省)
  • 支援対象児童等見守り強化事業(厚生労働省)
  • ひとり親家庭等相談体制強化事業(厚生労働省)
  • ひとり親世帯臨時特別給付金(厚生労働省)
  • 高校生等への修学支援(文部科学省)
  • 土地に係る固定資産税の負担調整措置等の3年間延長と経済状況に応じた措置(国土交通省)
  • 雇用増や賃上げなど所得拡大を促す税制(経済産業省)
  • 住宅ローン減税等の税制措置(国土交通省)
  • グリーン住宅ポイント制度(国土交通省)【再掲】
  • 既存住宅における断熱リフォーム・ZEH化支援事業(環境省)【再掲】
  • 住宅市場安定化対策事業(すまい給付金)(国土交通省)
  • 保育所の受け皿整備(厚生労働省)
  • 不妊に悩む方への特定治療支援事業(厚生労働省)
  • 民間金融機関及び日本政策金融公庫等を通じた資金繰り支援(財務省、経済産業省、金融庁、厚生労働省、内閣府)【再掲】
  • 「自然災害債務整理ガイドラインの特則」(令和2年 10 月策定)を活用した債務整理支援(金融庁)
② 就職氷河期世代への支援

就職氷河期世代の方々については、相談、就職から職場定着までを一貫して支援する伴走型支援の柱となるハローワークの専門窓口を更に拡充するなどして、就職支援体制に万全を期す。

就業・定着支援、企業合同説明会・マッチングセミナー開催など、関係者と連携した先進的・積極的な地域での取組等を地域就職氷河期世代支援加速化交付金等で強力に後押しする。

国家公務員中途採用者選考試験(就職氷河期世代)及び既存の経験者採用等を活用し、令和4年度までの間、国家公務員の中途採用を集中的に実施する。地方公務員の中途採用については、各地方公共団体の実情に即し、中途採用試験の拡充等の取組を推進する。

また、社会参加に向けた支援を必要とする方に対するひきこもり当事者・経験者による相談支援の推進等に取り組む。

上記の施策を含め、就職氷河期世代の方々の一人一人の事情に応じたきめ細かな支援策の強化を年内を目途に検討し、「就職氷河期世代支援に関する行動計画」の改定を行う。

  • 地域における就職氷河期世代の先進的・積極的な取組への支援(内閣府)
  • 新規就農者確保加速化対策(農林水産省)
  • 就職氷河期世代支援対策専門窓口の設置及びチーム支援の実施(厚生労働省)【再掲】
  • 国家公務員の中途採用促進(内閣官房)

Ⅲ.防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保

1.防災・減災、国土強靱化の推進

気候変動の影響により激甚化・頻発化する風水害や、南海トラフ巨大地震など切迫化する大規模地震災害は、まさに「いつ起こるともわからない」危機であり、国民の命と財産を守り、持続的な成長基盤の構築にも資する防災・減災、国土強靱化の推進は引き続き喫緊の課題である。また、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラは老朽化が進行しており、災害等を機にこれらのインフラが毀損すれば、我が国の行政や社会経済システムが機能不全に陥る懸念がある。来年度から令和7年度までの5年間において、時々の自然災害等の状況に即した機動的・弾力的な対応を行うこととし、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(仮称)」を取りまとめる。本対策は、激甚化する風水害や巨大地震等への対策、予防保全に向けた老朽化対策の加速、デジタル化等の推進に係る対策を柱とする。特に加速化・深化させるべき施策のために追加的に必要となる事業規模は 15 兆円程度を目指すこととし、初年度については、令和2年度第3次補正予算において措置する。

府省庁や自治体、官民の垣根を越えて、防災・減災、国土強靱化に一体的に取り組み、災害に屈しない国土づくりを進めることとし、府省庁・官民連携による「流域治水」の推進など自然災害に対し、人命・財産の被害を防止・最小化するための対策や、交通ネットワーク・ライフラインを維持し、経済・国民生活を支えるための対策を講ずるとともに、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向け、インフラの老朽化対策を加速する。同時に、国土強靱化を円滑・効率的に進めるための i-Construction などデジタル化の推進や降雨予測精度向上、防災のデジタル・トランスフォーメーション等に強力に取り組む。

なお、本経済対策における公共事業等に伴う地方公共団体の追加負担の軽減を図り、地域における公共投資が円滑に実施されるよう、補正予算債等を活用する。公共事業の発注に当たっては、円滑な施工を図るとともに、建設業の働き方改革を推進するため、適正な積算の実施や工期の設定、施工時期の平準化等に努める。

  • 気候変動を見据えた府省庁・官民連携による「流域治水」の推進(河川、下水、砂防、海岸、森林・治山、農業水利施設等の整備、水田の貯留機能向上、ダムの事前放流の実施、国有地も活用した遊水地・貯留施設の整備等)(財務省、農林水産省、国土交通省)
  • 南海トラフ巨大地震や首都直下地震等を見据えた住宅・建築物、学校、漁港の耐震化、津波対策(文部科学省、農林水産省、国土交通省)
  • 病院、公共施設・学校施設・矯正施設等を含む防災拠点・避難施設や社会福祉施設等の耐災害性強化(法務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)
  • 装備資機材整備等による警察の災害対応力の確保(警察庁)
  • 消防防災力強化に必要な資機材整備やデジタル化の推進(総務省)
  • 自衛隊の災害への対処能力やインフラ基盤の強化(防衛省)
  • 災害時情報伝達手段の多重化・高度化(内閣府、総務省、国土交通省)
  • 被災後速やかな通行を可能とする高規格道路のミッシングリンク解消、4車線化、直轄国道等の防災対策<財政投融資を含む>(国土交通省)
  • 無電柱化を含む道路インフラの局所対策(国土交通省)
  • 陸海空ネットワークの耐災害性の強化(鉄道、港湾・航路、空港等)(国土交通省)
  • 上下水道、石油製品、情報通信等ライフラインの耐災害性の強化(総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)
  • 災害対応拠点ともなる廃棄物処理施設の整備・更新(環境省)
  • 発災前に国有財産を地方公共団体に無償で提供(財務省)
  • 河川・ダム、道路、鉄道、空港、港湾、ため池、農業水利施設、学校等の重要インフラに係る老朽化対策(文部科学省、農林水産省、国土交通省)
  • 3次元モデルやカメラ画像等を活用したインフラの整備、管理などデジタル化の推進(国土交通省)
  • 安定した地殻変動監視のための電子基準点等の強化(国土交通省)
  • 線状降水帯、台風等による大雨等の予測精度向上等の防災気象情報の高度化対策(国土交通省)
  • 準天頂衛星システムの防災機能の強化及び開発加速等(内閣府)
  • 被災者支援システムなど災害対応のデジタル化の推進(内閣府)
  • 感染症も踏まえた地域の避難方法や避難所の感染症対策等の検討(内閣府)

2.自然災害からの復旧・復興の加速

令和2年7月豪雨等の自然災害による被災者の生活・生業の再建や復旧・復興に向けて、引き続き全力で取り組む。公営住宅の再建・補修、保育所等の利用者負担減免、医療・介護保険の一部負担金等の減免、債務整理支援 57等により被災者の生活再建を後押しするとともに、感染症による影響もある中で、厳しい状況に置かれている中小・小規模事業者等に対する施設復旧のための補助金等による生業の再建に向けた支援を行う。また、被災したインフラや学校等の公共施設等について、速やかに本格的な復旧を図る。

  • 公営住宅の災害復旧(国土交通省)
  • 保育所、児童入所施設等の利用者負担減免支援(内閣府、厚生労働省)
  • 医療・介護保険の一部負担金等の減免に対する財政支援(厚生労働省)
  • なりわい再建支援事業(経済産業省)
  • 河川、道路、鉄道等のインフラの災害復旧(国土交通省)
  • 農林水産業施設の災害復旧(農林水産省)
  • 学校施設等や文化財の災害復旧(文部科学省)

3.国民の安全・安心の確保

防災・減災、国土強靱化、災害からの復旧・復興の取組に加えて、安全保障を含む様々な分野においても、国民の安全・安心を確保するための取組を着実に進める。自衛隊の安定的な運用態勢の確保や、戦略的海上保安体制の構築、危機管理強化のための情報収集衛星の開発に努める。鉄道を含む公共交通機関のバリアフリー化を進めるとともに、高齢運転者の交通安全対策に資するサポカーの購入等を引き続き支援する。また、新型コロナウイルス感染症の下で増加している越境ECのトラブルや不当表示に対する消費者保護を強化する。

「生命の安全教育」を推進するとともに、事態が長期化する中で深刻化している配偶者暴力や性犯罪・性暴力被害者等への相談・支援体制の強化等を進める。また、夏以降の女性の自殺の急増に係る要因を分析するとともに対応を検討する。

加えて、特定B型肝炎ウイルス感染の被害者や相続人への給付金等の支給を確実に行う。

  • 自衛隊の安定的な運用態勢の確保(防衛省)
  • 戦略的海上保安体制の構築等(国土交通省)
  • 外国漁船の違法操業等により影響を受ける漁業者への支援(農林水産省)
  • 危機管理強化のための情報収集衛星の開発等(内閣官房)
  • 地域公共交通や鉄道駅のバリアフリー化促進(国土交通省)
  • 地方消費者行政強化交付金(消費者庁)
  • 越境消費者トラブルの相談体制等の強化(消費者庁)
  • 配偶者暴力被害者等への相談・支援の強化(内閣府)
  • 性犯罪・性暴力被害者等への相談・支援体制の強化(内閣府)
  • 重要病害虫等早期防除対策事業(農林水産省)
  • 自動車事故による被害者救済対策の充実(国土交通省)
  • 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給業務費交付金(厚生労働省)
  • 救急車が出動先から帰署する活動の高速道路無料措置に係る運用の明確化(国土交通省、総務省)
  • 災害時における貨物自動車運転者の融通に係る規制の明確化(国土交通省)

Ⅳ.新型コロナウイルス感染症対策予備費の適時適切な執行

現下の感染拡大の影響を踏まえ、感染拡大により予期せぬ不足を生じた必要な経費には、引き続き、「新型コロナウイルス感染症対策予備費」の適時適切な執行により、迅速・機動的に対応する。

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