公衆衛生学

公衆衛生学プログラムで学ぶ学問一覧

2021年7月11日

公衆衛生学の学位取得プログラムで学ぶ/学べる学問一覧です。

各大学/大学院で求められる必須科目や単位数は、それぞれの大学/大学院のウェブサイトでも確認することをお奨めします。

公衆衛生関連を学べる国内大学一覧(Master of Public Health、公衆衛生学)

疫学

疫学

個人ではなく集団を対象として病気(疾病)の発生原因や流行状態、予防などを研究する学問です。

当初は感染症を主な研究対象として始められましたが、現在は、感染症以外の疾患や傷病、環境が健康に及ぼす影響、災害疫学など、研究調査対象は多様化しています。

疫学は公衆衛生学の基礎を構成するものとして捉えることもできます。

研究デザイン

疫学における研究デザインは、特定の疾患や健康問題に関する情報を収集し、その問題を理解するために使用される研究手法のことです。疫学には、実験研究や観察研究など、さまざまな研究デザインがあります。以下で、代表的な研究デザインについて解説します。

前向きコホート研究

前向きコホート研究では、特定の人口集団を選択し、その人々を追跡調査することで、将来の疾患発生率やリスクファクターを調べることができます。この研究デザインは、疾患の発生率や予防策を探る上で非常に有用です。

後ろ向きコホート研究

後ろ向きコホート研究では、すでに発生した疾患をもつ人々を選択し、その人々のリスクファクターを調べることで、疾患の原因を特定することができます。この研究デザインは、疾患の原因を特定する上で非常に有用です。

症例対照研究

症例対照研究では、疾患をもつ人々と、同じ人口集団から選ばれた疾患をもたない人々を比較することで、リスクファクターや原因を調べることができます。この研究デザインは、比較的短期間で行うことができ、疾患のリスクファクターを調べる上で有用です。

クロスセクショナル研究

クロスセクショナル研究では、ある時点での人々の状態を調べることで、疾患のリスクファクターや原因を調べることができます。この研究デザインは、疾患の現在の状況を理解する上で有用です。

実験研究

実験研究は、ある特定の介入によって健康上の結果を評価するための研究デザインです。介入グループと対照グループにランダムに割り付け、介入群には特定の治療法や予防法を行い、対照群には何も行わないか、標準的な治療法を行うことで、両群の健康上の結果を比較することができます。

実験研究には、ランダム化比較試験と非ランダム化試験の2つの種類があります。ランダム化比較試験では、参加者を無作為に介入群と対照群に割り付けます。この方法によって、参加者の属性による偏りを排除することができ、介入の効果を正確に評価することができます。非ランダム化試験では、介入群と対照群をある基準に基づいて割り付けます。この方法では、参加者の属性による偏りが生じる可能性があるため、介入の効果を正確に評価することが困難になることがあります。

質的研究法

質的研究法は、疫学研究において定量的なデータを収集するのではなく、人々の行動や意見、経験、信念などの質的な情報を収集するために使用される方法です。質的研究は、定量的研究とは異なり、数値化されたデータを生成することはなく、代わりに説明的な文書、言葉、画像、ビデオなどの形式で情報を収集します。

質的研究法には、インタビュー、フォーカスグループ、観察、文書分析、参加型研究などがあります。これらの方法は、被験者の内面的な経験や感情、意見や信念、特定の行動パターンなどを把握するために用いられます。

インタビューは、対象者に直接質問をし、その回答を記録する方法です。フォーカスグループは、少人数の対象者にグループディスカッションを行い、グループ内での相互作用や議論を通じて情報を収集する方法です。観察は、被験者の行動や環境を直接観察し、その情報を記録する方法です。文書分析は、書籍、記事、メモ、ノート、記録、報告書、宣言などの文書から情報を収集する方法です。参加型研究は、研究者が被験者として参加し、被験者としての経験を通じて情報を収集する方法です。

質的研究法は、定量的なデータを取得するのが困難な場合や、深い理解が必要な場合に適しています。また、質的研究は、より多様な視点や、被験者の経験をよりよく理解するために使用されることがあります。例えば、疫学において、感染症の発生や予防についての文化的な信念や行動を理解するために、質的研究法が有用であることがあります。

臨床疫学

臨床医学における諸問題について、疫学的手法を用いて解決しようとする学問です。

公衆衛生学における臨床疫学は、人々の健康に影響を与える疾患の発生や進行に関する研究を行い、効果的な治療や予防戦略の開発に役立てるための疫学の一分野です。通常の疫学と比較すると、臨床疫学は、より臨床的な観点から疾患を評価し、治療の評価や予防戦略の策定により直接的な貢献をすることを目的としています。

臨床疫学は、主に次のような特徴を持っています。

  1. 患者を対象とした研究:臨床疫学では、疾患を発症している患者を対象として、疾患の症状や進行、治療方法や予防策などを調査します。
  2. 臨床データの使用:臨床疫学では、主に医療機関などから得られる臨床データを使用して、疾患の発生率や治療効果、予後の予測などを評価します。
  3. 介入研究の実施:臨床疫学では、新しい治療方法や予防戦略を評価するために、ランダム化比較試験などの介入研究を実施することが一般的です。
  4. 患者の安全性に配慮した研究:臨床疫学では、治療や予防方法の開発に伴い、患者の安全性に十分な配慮が必要です。特に、治験や臨床研究では、患者の権利やプライバシーの保護に関する法律や規制に厳密に従う必要があります。

臨床疫学の研究は、臨床医、疫学者、保健師、薬剤師など、さまざまな専門家が協力して実施します。疾患の発生や進行のメカニズムを理解し、効果的な治療や予防戦略を開発することで、人々の健康状態の改善につながることが期待されます。

感染症疫学

公衆衛生学における感染症疫学は、感染症の発生や拡大、予防や制御に関する研究を行う分野であり、通常の疫学とはいくつかの違いがあります。

  1. 疾患の特性:感染症は、感染源や感染経路、病原体の特性によって発生・拡大するため、病気の発生率、感染源の同定、感染経路の特定など、通常の疫学とは異なる研究が必要です。
  2. パンデミックの可能性:感染症は、世界的に発生するパンデミックの可能性があるため、国際的な協力体制や早期警戒システムの構築、感染症制御に関する国際的なガイドラインの策定が必要です。
  3. 予防・制御における重要性:感染症の予防・制御は、人々の健康にとって重要であり、特に免疫の弱い人々や高齢者、妊婦、免疫不全症候群(AIDS)患者などにとっては、命にかかわる場合があります。そのため、感染症疫学では、感染源や感染経路の特定、予防法の開発や効果的な制御策の策定が重要な研究課題となります。
  4. 疫学的調査手法:感染症疫学では、疾患の発生状況を正確に把握するため、エピデミック・インテリジェンス(EPI)法や疫学調査の実施が必要です。また、感染症の原因病原体の同定には、細菌やウイルスの分離・鑑定技術が必要です。

感染症疫学においては、感染源の特定、感染経路の特定、予防法や治療法の開発、感染制御策の策定など、多岐にわたる研究が必要です。そのため、感染症疫学の研究は、医療者、疫学者、保健師、研究者など、多くの専門家の連携が不可欠な学問分野といえるでしょう。

社会疫学

公衆衛生学における社会疫学は、社会的、文化的、経済的な要因が健康に及ぼす影響を研究する分野であり、通常の疫学とはいくつかの違いがあります。

  1. リスクファクターの考慮:社会疫学では、健康に影響を与えるリスクファクターを考慮することが重要です。たとえば、低所得層、教育水準の低い人々、地理的な場所や人種・民族など、社会的・文化的な要因が疾患の発生や健康格差に影響を与えることがあります。
  2. 社会的不平等の考慮:社会疫学では、社会的不平等が健康に及ぼす影響を研究することが重要です。社会的不平等は、収入、教育、雇用などの社会的要因によって引き起こされる不平等であり、健康格差を引き起こす原因の一つとされています。
  3. 研究デザインの違い:社会疫学の研究デザインは、通常の疫学とは異なる場合があります。たとえば、疾患発生率を調査するだけではなく、社会的・文化的な要因が健康に与える影響を研究するために、質的研究や縦断的研究を行うことがあります。
  4. 政策の立案:社会疫学は、社会的不平等やリスクファクターを踏まえた政策の立案にも役立ちます。たとえば、低所得層や教育水準の低い人々に対する保健教育プログラムや、都市計画による環境改善などが挙げられます。

社会疫学は、社会的・文化的な要因が健康に及ぼす影響を研究することによって、社会的不平等やリスクファクターを踏まえた政策の立案に貢献しています。そのため、公衆衛生学においては、通常の疫学とともに、社会疫学の研究も重要な位置を占めています。

統計学

生物統計学

統計学における、生物学に対する応用領域です。

公衆衛生学における生物統計学は、人々の健康状態や疾患の発生率などの情報を集め、分析するための統計的方法を用いた学問です。

生物統計学は、以下のような方法を用いてデータを分析します。

標本抽出
研究対象とする人々の一部を抽出し、そのグループのデータを分析します。このとき、標本が全体を代表しているかどうかが重要です。

記述統計
収集されたデータの平均値、中央値、分散、標準偏差などを算出することで、データの特徴を記述します。

推測統計
標本データから母集団全体についての情報を推測します。例えば、ある疾患の発生率を標本から推測することができます。

偏差の検定
データの偏りが起きた場合、それが偶然かどうかを検定します。例えば、ある地域の疾患発生率が他の地域よりも高い場合、それが偶然かどうかを検定することができます。

相関分析
2つの変数の間にどの程度の関係があるかを調べることができます。例えば、喫煙と肺がんの発生率には関係があるということが分かっています。

生物統計学は、公衆衛生学において、疾患の発生率や健康状態の変化を調べるための基本的な手法です。これらの分析結果は、政策決定や医療サービスの改善などに役立てられます。また、最近では、人工知能の技術を取り入れた統計分析方法も注目されています。

観察研究で用いる統計学

公衆衛生学における観察研究で用いる統計学は、疾患のリスクファクターや予防的な行動に関するデータを収集し、分析するための統計的手法です。以下に、観察研究で用いる代表的な統計的手法について説明します。

相関分析
相関分析は、2つの変数の間にどの程度の関係があるかを調べるための手法です。例えば、喫煙と肺がんの発生率には関係があるということが分かっています。このような関係を分析するために、相関係数を計算することができます。

ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、ある変数が起因する可能性が高いかどうかを調べるために用いられる手法です。例えば、喫煙が肺がんの発生に関係しているかどうかを調べる場合、喫煙と肺がんの発生という2つの変数を用いてロジスティック回帰分析を行います。

生存分析
生存分析は、あるイベントが発生するまでの時間を予測するための手法です。例えば、ある疾患の治療法が患者の生存期間にどのような影響を与えるかを調べる場合、生存分析を用いて患者の生存期間を解析します。

コホート研究
コホート研究は、ある集団を追跡して、特定のリスクファクターが疾患の発生率にどのような影響を与えるかを調べる手法です。例えば、喫煙をしている人としていない人で、肺がんの発生率にどのような差があるかを調べる場合に用いられます。

ケースコントロール研究
ケースコントロール研究は、ある疾患にかかった人(ケース)とかかっていない人(コントロール)のリスクファクターを比較するための手法です。例えば、ある疾患にかかった人とかかっていない人で、喫煙率にどのような差があるかを調べる場合に用いられます。

統計モデルと応用

公衆衛生学における統計モデルと応用は、複数の変数の相互作用や、疾患のリスクファクターの影響を評価するための手法です。以下に、代表的な統計モデルとその応用例について説明します。

線形回帰モデル
線形回帰モデルは、一つの目的変数と複数の説明変数との関係を分析するための手法です。例えば、体重や年齢、性別などの要因を考慮して、血圧値の変化を予測する場合に用いられます。

多変量解析
多変量解析は、複数の説明変数と一つ以上の目的変数の関係を解析するための手法です。例えば、喫煙習慣、アルコール摂取量、運動習慣などの要因を考慮して、特定の疾患のリスクファクターの影響を評価する場合に用いられます。

生存解析
生存解析は、ある期間内に生存する確率を評価するための手法です。例えば、ある疾患に罹患した患者の生存期間を予測するために用いられます。

時系列解析
時系列解析は、時間に関するデータを分析するための手法です。例えば、季節性インフルエンザの発生傾向を分析する場合に用いられます。

混合効果モデル
混合効果モデルは、ランダム効果と固定効果を同時に考慮することができるモデルです。例えば、複数の都市で行われる調査において、都市ごとの独自の要因を考慮しながら、特定の疾患のリスクファクターを評価する場合に用いられます。

これらの統計モデルと応用により、公衆衛生学の研究者は疾患のリスクファクターの影響や予防的な行動の効果をより正確に評価することができます。

臨床試験概論

臨床試験は、治療効果や副作用などの情報を収集し、医療の進歩につながる重要な役割を果たしています。

以下に、臨床試験について詳しく解説します。

目的
臨床試験の目的は、治療法や予防法の有効性や安全性を確認することです。また、治療法や予防法の効果や副作用を比較することで、最適な治療法や予防法を見つけることも目的の一つです。

計画
臨床試験の計画は、治療法や予防法の開発者や研究者、倫理委員会などが協力して行います。計画には、試験のデザインや被験者の選定方法、治療法や予防法の投与方法や用量、評価方法などが含まれます。

倫理的考慮
臨床試験は、被験者の安全性を最優先に考慮する必要があります。試験の前には、倫理的な観点から試験計画が倫理委員会に提出され、承認を得る必要があります。また、被験者には、試験の目的やリスク、利益などを十分に説明し、参加を自由意志に基づいて決定する権利があります。

実施とデータ収集
臨床試験は、計画に従って実施されます。被験者は、ランダム化された治療群や対照群に割り振られ、治療法や予防法の効果や副作用などの情報が収集されます。データは、治療法や予防法の開発者や研究者が分析し、統計的に解釈されます。

結果の解釈
臨床試験の結果は、治療法や予防法の有効性や安全性についての情報を見出すための重要な情報源です。ただし、結果の解釈には様々な専門的視点が求められます。

健康政策(ヘルスポリシー)

医療政策学

公衆衛生学における医療政策学は、医療システムの運営や政策の決定について研究する学問分野です。医療政策学は、公衆衛生政策や医療保険制度、医療資源配分の課題などに焦点を当てて研究を行います。

目的
医療政策学の主な目的は、公衆衛生や医療の質を向上させ、医療システムの効率性を高めることです。具体的には、医療サービスの提供方法や資源の配分方法、医療保険制度の運営方法などを研究し、改善点を見出し、政策提言を行います。

研究方法
医療政策学の研究には、質的・量的な方法があります。質的な研究方法では、医療政策に関する調査やインタビューを行い、医療システムや政策の問題点を明らかにします。量的な研究方法では、統計学的な手法を用いて、医療システムや政策の効果を評価します。

医療保険制度
医療保険制度は、医療費を誰がどのように負担するかという問題に関わります。医療政策学では、医療保険制度の改善点を探し、より効率的な医療システムを構築するための提言を行います。

医療資源配分
医療資源配分は、医療サービスや医療機器の供給量を調整することです。医療政策学では、医療資源配分における公正性や効率性に関する問題を明らかにし、資源配分の最適化を目指します。

医療システムの効率性
医療システムの効率性については、医療機関の運営や医師の業務効率などに関する問題があります。医療政策学では、医療システムの効率性を高めるための施策について議論します。

日本の医療制度・医療政策・医療行政

公衆衛生学における日本の医療制度・医療政策・医療行政については、以下のような特徴があります。

医療制度
日本の医療制度は、国民皆保険制度が採用されています。この制度では、すべての人が国民健康保険に加入し、医療費が国や自治体によって助成される仕組みになっています。また、高齢者は介護保険制度に加入することで、介護サービスを受けることができます。

医療政策
日本の医療政策は、公費負担の増加や医療の質の向上などを目的に、様々な施策が行われています。特に、医療保険制度の改革が進められており、医療費の抑制や医療の質の向上を図るために、診療報酬の改定や診療ガイドラインの策定などが行われています。また、地域医療の充実や高齢者医療などにも注力されています。

医療行政
日本の医療行政は、国、都道府県、市町村によって担われています。国は、医療政策の立案や医療制度の運営を行っており、都道府県や市町村は、地域医療の充実や医療機関の設置などを行っています。また、国民健康保険や介護保険の加入手続きや医療費助成の申請なども、市町村が担当しています。

問題点
日本の医療制度・医療政策・医療行政には、様々な問題点が指摘されています。まず、高齢化に伴い医療費の増加が予想されており、財政的な問題が懸念されています。また、医療機関の偏在や医師不足など、地域医療の格差が存在することも問題とされています。

世界各国の医療制度・医療政策・医療行政

世界各国の医療制度・医療政策・医療行政には、国によって特色があります。ただし、医療費の高さや医療格差など、課題も多く残されています。

公衆衛生学では、様々な国々の医療制度・医療政策・医療行政について学び、それぞれの長所と短所への理解を深めます。

医療経済学

医療経済学とは、医療サービスの提供、利用、支払い、評価など、医療に関する経済的な分析や研究を行う学問領域です。公衆衛生学においては、医療政策の立案や、医療資源の適切な配分などに役立てられます。

医療経済学においては、以下のようなテーマが取り上げられます。

医療の需要と供給
医療の需要と供給のバランスがとれているかどうかを分析することで、医療サービスの効率的な提供を目指します。例えば、地域医療の充実度や、医療機器や医療従事者の適正な配置などを調査し、需要と供給の偏りを解消するための施策を検討します。

医療費用と医療保険制度
医療費用の評価とその支払い方法に関する研究を行います。医療費用の削減策や、保険料の設定方法、保険制度の運営方法などを検討し、医療費用の負担を軽減するための政策を立案します。

医療品質とコスト
医療の品質とコストのバランスを評価し、コストパフォーマンスの高い医療サービスを提供することを目指します。例えば、手術や治療の成功率とそのコスト、医療機器の選定方法などを分析し、より効果的な医療サービスを提供するための施策を検討します。

医療における意思決定
医療における意思決定のプロセスに着目し、患者や医師の意思決定に影響を与える要因を分析します。例えば、医師の知識や技術、患者の情報提供や選択肢の提示などが、医療の質や費用にどのような影響を与えるかを研究し、意思決定の改善策を提案します。

医療経営学

医療経営学は、医療機関を経営するための方法や技術を研究する学問分野です。医療機関は、病院やクリニック、診療所などが含まれます。医療経営学は、これらの医療機関がより効率的かつ質の高い医療を提供するために必要な戦略、財務管理、人的資源管理、品質管理、マーケティング、リスク管理などのさまざまな分野を扱います。

医療経営学の研究対象は、経営学、医療経済学、法律、医療倫理学、医学など、多岐にわたります。医療機関が適切な経営手法を用いて効率的に運営されることで、患者のニーズを満たし、医療サービスの質を向上させることが期待されています。

具体的には、医療機関の経営戦略についての研究や、経済的な側面から医療システムを分析する医療経済学的アプローチ、医療機関の組織やスタッフの管理、医療サービスの品質管理やリスク管理、また、病院やクリニックのマーケティングに関する研究が行われています。

近年、医療分野においては、より効率的かつ質の高い医療を提供するために、経営手法やビジネスモデルの改革が進んでいます。そのため、医療経営学は、医療従事者だけでなく、医療機関の経営者や管理者、そしてこれから医療の分野で働く人々にとって、ますます重要な学問分野となっています。

医療管理学

医療管理学は、医療機関の管理や運営に関する学問分野であり、医療機関の組織、管理、リーダーシップ、人的資源管理、品質管理、情報管理、経営戦略などを研究します。具体的には、医療機関の運営に関わる経営学、医療システムの改革に関する政策学、品質管理に関する品質学、人的資源管理に関する人事労務学、情報管理に関する情報学などが含まれます。

医療管理学は、医療機関の運営改善やコスト削減などの課題に対する解決策を提供し、より効率的かつ効果的な医療サービスを提供することを目的としています。例えば、医療機関の組織改革やプロセス改善により、医療サービスの質の向上や医療ミスの防止が期待されます。また、医療機関の経営戦略やビジネスモデルの改革により、効率的な医療サービスの提供や経営の持続可能性を確保することができます。

医療管理学は、医療分野においてますます重要な分野となっています。医療機関の運営改善により、より良い医療サービスを提供し、患者の健康維持や医療の質の向上に貢献することが期待されます。また、医療従事者や医療機関の管理者、そしてこれから医療分野で働く人々にとって、医療管理学の研究や知識の習得が重要となっています。

医療の質の評価

医療の質の評価は、医療機関や医療サービスが患者に提供する医療の質を測定し、評価することです。医療の質は、医療の安全性、有効性、効率性、患者中心性、効力、及び医療倫理的配慮など、多様な側面から評価されます。

医療の質を評価することで、患者が受ける医療の質の改善に役立つ情報を提供することができます。また、医療機関や医療従事者が自身の医療サービスの質を確認し、改善に取り組むための手がかりを提供することもできます。

医療の質の評価には、様々な手法があります。例えば、医療機関の内部品質管理においては、医療の質を測定するための指標や基準を設定し、それに基づいて定期的に監査や評価を行います。また、医療機関の外部品質管理として、公的な質保証制度や認証制度が設けられています。これらの制度は、医療の質の向上を目指し、医療機関に対して一定の水準の医療サービスを提供することを求めます。

医療の質の評価は、公衆衛生学の重要な課題の一つです。医療機関や医療サービスの質の向上に取り組むことは、患者の健康維持や医療の効果の向上につながります。医療の質を評価するためには、医療の質の評価方法や基準についての研究や開発が必要となります。

環境産業保健学

環境産業保健学は、環境と健康の関係性や、職場や産業活動における健康管理に焦点を当てた公衆衛生学の一分野です。環境産業保健学は、産業活動によって引き起こされる健康被害を予防することを目的としています。

環境産業保健学の研究対象には、以下のようなものがあります。

職場における健康管理
職場においては、労働者の健康管理が重要です。例えば、職場において発生する有害物質に対して、労働者を保護するための個人防護具の利用や、労働者の健康状態を監視する健康診断の実施などが挙げられます。

環境汚染と健康
環境汚染は、公衆衛生の大きな問題の一つです。環境産業保健学では、環境汚染によって引き起こされる健康被害を予防することを目的としています。例えば、大気汚染による呼吸器疾患や、水質汚染による感染症などが挙げられます。

化学物質のリスク評価
産業活動において使用される化学物質には、健康に悪影響を及ぼすものがあります。環境産業保健学では、化学物質のリスク評価に関する研究を行い、安全な使用方法を提供することが求められます。

産業活動と健康の関係性
産業活動には、労働災害やストレスなど、様々な健康被害が存在します。環境産業保健学では、産業活動と健康の関係性について研究を行い、予防策を提供することが求められます。

環境保健学

産業保健学

ヘルスコミュニケーション

ヘルスコミュニケーション学

ヘルスコミュニケーション学は、公衆衛生学の分野の一つで、健康に関する情報を効果的に伝えるためのコミュニケーション手法や戦略を研究する学問です。

具体的には、医療従事者や保健師、研究者、行政関係者などが、一般の人々に対して健康に関する情報を伝えるためのメディアや手法、コミュニケーションスキルを研究します。また、健康に関する情報を一般の人々が受け取る側の視点から、情報の受け取り方や理解度、認知度、行動変容についても研究します。

ヘルスコミュニケーション学の研究分野には、以下のようなものがあります。

健康情報の伝え方の研究

  • メディアを利用した健康情報の伝え方
  • コミュニケーションスキルの研究
  • コミュニティを活用した健康情報の伝え方

健康情報の受け取り方や理解度の研究

  • 情報収集の方法の研究
  • 情報の受け取り方や理解度に影響を与える要因の研究
  • 低識字率者や異文化間での情報伝達の研究

健康行動変容についての研究

  • 健康情報の認知度や行動変容に与える要因の研究
  • 健康行動変容のための戦略や手法の研究
  • 健康行動変容に成功した場合の継続性についての研究

ヘルスコミュニケーション学の研究成果は、医療従事者や保健師、研究者、行政関係者などが健康に関する情報を一般の人々に効果的に伝ええ、健康行動変容を促すことに役立ちます。

臨床心理学

医療人類学

行動科学

健康情報学

ゲノム医学

医科遺伝学

遺伝カウンセリング

倫理

医療倫理学

共通科目

医学基礎

臨床医学入門

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