デジタルヘルス

オープンデータ基本指針 (案)令和3年6月15日改正

平成29年5月30日
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定
令和元年6月7日改正
令和3年6月15日改正

我が国においては、平成23年3月11日の東日本大震災以降、政府、地方公共団体や事業者等が保有するデータの公開・活用に対する意識が高まった。

政府においては、 公共データは国民共有の財産であるとの認識を示した「電子行政オープンデータ戦略」(平成24年7月4日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)等に基づき、オープンデータの取組を推進してきた。

「新たなオープンデータの展開に向けて」(平成 27 年6月 30 日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定) 及び 「オープンデータ 2.0 」(平成28年5月20日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)では、 データの公開を中心とした取組から、データの活用を前提とした「課題解決型のオープンデータの推進」に発想を転換するという方向が示された。

平成28年12月14日に公布・施行された「官民データ活用推進基本法」(以下「官民データ法」と言う。)は、官民データ活用の推進により国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与することを目的としており、国、地方公共団体、事業者が保有する官民データの容易な利用等について規定されている。

本文書は、これまでの取組を踏まえ、オープンデータ・バイ・デザインの考えに基づき、今後、国、地方公共団体、事業者が公共データの公開及び活用に取り組む上での基本指針をまとめたものである。

1.オープンデータの意義

公共データ の二次利用可能な形での公開とその活用を促進する意義・目的は、次のとおりである。

(1)国民参加・官民協働の推進 を通じた諸課題の解決、経済活性化

広範な主体による公共データの活用が進展することで、創意工夫を活かした多様なサービスの迅速かつ効率的な提供、官民の協働による公共サービスの提供 や改善が実現し、ニーズや価値観の多様化、技術革新等の環境変化への適切な対応とともに、厳しい財政状況、急速な少子高齢化の進展等の我が国が直面する諸課題の解決に貢献することができる。

また、ベンチャー企業等による多様な新サービスやビジネスの創出、企業活動の効率化等が促され、我が国全体の経済活性化にもつながる。

(2 行政の高度化・効率化

国や地方公共団体においてデータ活用により得られた情報を根拠として政策や施策の企画及び立案が行われることで(EBPM, Evidence Based Policy Making)、効果的かつ効率的な行政の推進につながる。

(3 透明性・信頼の向上

政策立案等に用いられた 公共データが公開されることで、国民は政策等に関して十分な分析、判断を行うことが可能になり、行政の透明性、行政に対する国民の信頼が高ま る 。

2.オープンデータの定義

国、地方公共団体及び 事業者が保有する官民データのうち 、 国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。

① 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルール が 適用されたもの
② 機械判読に適した もの
③ 無償で 利用できるもの

3.オープンデータに関する 基本的 ルール

(1)行政保有データのオープンデータ公開の原則

公共データは国民共有の財産であるとの認識に立ち、政策(法令、予算を含むの企画・ 立案 の根拠となったデータを含め、 各府省庁が保有するデータはすべてオープンデータとして公開することを原則とする。

なお、① 個人情報が含まれるもの 、 ② 国や公共の安全 、 秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるもの、 ③ 法人や個人の権利利益を害するおそれがあるもの 等 、公開することが適当ではない情報に対して公開の要望があった場合は 、 オープンデータとして公開できない理由を公開することを原則とする 。

(2)公開データの二次利用 に関する ルール

各府省庁のウェブサイト上で公開されるデータについては、 原則、政府標準利用規約を適用し、具体的かつ合理的な根拠により二次利用が認められないものを除き、 公開データの二次利用を積極的に促進する 。

(3)公開環境

各府省庁は 、 ウェブ サイトで 容易に検索・利用できる形でデータを 公開する 。特に 「各府省庁にしか提供できないデータ」、「様々な分野での基礎資料となり得る信頼性の高いデータ」、または「リアルタイム性を有するデータ」等の有用なデータ については社会的ニーズが高いと想定されるため、積極的な公開を図る。加えて、利用者の利便性やシステムの負荷及び効率性の観点から、一括ダウンロードを可能とする仕組みの導入や、APIを通じた提供を推進する 。

更に、政府のオープンデータ全体の 横断的検索を可能と し、データ の 活用を促進 するため 、データの 概要 及び 形式等のメタ情報を クリエイティブ・コモンズで定められている 「 CC0 1.0 全世界 」として取り扱った上で 政府のデータカタログサイト 「 DATA.GO.JP 」 に 登録 し、公開する 。

(4)公開データの形式等

公開するデータについては、 機械判読に適した構造及びデータ形式で掲載することを原則とする。 共通語彙基盤 等 や オープンデータの達成度の評価指標として用いられている「5つ星」の指標を参考に、 より活用がしやすい用語や形式での公開に努める。

なお、国民への情報公開の観点から、人が読むという従来からの利用形態に適したデータ形式での公開も継続する が、この場合であってもテキスト検索や抽出ができることが必要である 。

特に構造化
しやすい データはより活用がしやすい データ 形式である 「3つ星(CSVや XML 等の フォーマット )」 以上での公開を原則とする。また、構造化 が困難な データ を含む 全ての公開データ は 可視化や API 利用が容易になるよう、 データ カタログサイト の利用 等、メタ 情報 公開に向けた環境の整備に努める。

内閣官房 IT 総合戦略室は、 関係府省庁と連携し、データ構造やデータ形式の標準化を引き続き推進する。 また、法人情報を含むデータについては、法人番号を 付 記する。

(5 未公開データの限定 公開

2.に示したとおり、各府省庁が保有するデータはすべてオープンデータとして公開されることが原則であるが、何らかの理由により即座にオープンデータとして公開することが困難な 情報も存在する。 現在公開していないデータをオープンデータとして公開することで 、市民生活の安全の維持に支障を及ぼすおそれ等がある場合には、公開に先立って効果とリスクの比較検討をすることが求められる。 こうしたデータについて、段階的にオープンデータ化を進めていく観点からは、データの利用目的、範囲、提供先などを限定して公開し、その活用を図っていくこと(以下「限定公開」という。)が有効である。なお、限定公開を行う府省庁は、その理由と考え方(限定公開の下、関係 者間でデータがどのように活用されるかを示す計画等)をあわせて公開 すること とする 。

この検討は、当該データの利用目的等を特定するなど必要な条件を付し、信頼しうる関係者内において、インカメラ等のクローズドな環境で行われることが適当である。限定公開は、将来的なオープンデータ化を見据えて行われることが望ましいが、 検討の結 果、オープンデータ化に問題があるとされた場合には、その理由を公開 することを原則とする。

(6)有償データの公開に係る原則

2.に示した定義のとおり、 データ提供システムの維持管理に要するコストを限定された利用者からの料金徴収でまかなう場合は、オープンデータとは言えないが、その取扱いに準じ、二次利用可能なルールを適用することが望まし い(具体的かつ合理的な根拠により二次利用が認められないものを除く)。また、当該料金については、提供に係る経費の算出根拠と一定の検討のタイミン グを明示した上で、以下のような観点で、見直しを図ることとする 。

① 安価かつ安全な最新技術を活用することによる、提供に係る経費の低減化の検討
② 利用者を増加させ、個別の利用者の負担額を低減する取組の検討
③ 利用者負担での提供とすることが社会的経済的に適当かどうかの再検討

(7)公開 済み データの更新

データの迅速な公開やその鮮度の維持が重要なデータについては、可能な限り
迅速に公開するとともに適時適切な更新を行う 。 また、 データ更新の周期等を明
示し、利用者が予め更新の時期を把握できるようにしていく 。

4.オープンデータの公開・活用を促す仕組み

(1)オープンデータ・バイ・デザインの推進

各府省庁は、オープンデータ・バイ・デザインの考えに基づき、行政保有データを利用者が活用しやすい形で公開するために行政手続き及び情報システムの企画・設計段階から必要な措置を講じる。 内閣官房 IT 総合戦略室は政府 CIO の下、 各府省庁の取組について必要な助言を行う。

(2)利用者ニーズの反映

オープンデータの推進に当たっては、利用者ニーズを的確に反映しながら進めることが重要である。このため、各府省庁は保有するデータとその公開状況を整理したリストを公開することで、潜在的なものを含めて利用者ニーズを把握の上、ニーズに即した形 でのデータの公開に取り組む。

5推進体制

(1)相談窓口の設置

オープンデータに係る利用者のニーズ(要望)・意見を 積極的に収集・ 把握し、政府一体となった取組に反映するため、内閣官房 IT 総合戦略室 にオープンデータに関する総合的な 相談 窓口を設置する。また、各府省庁においても、 相談窓口を設置し、 利用者からのオープンデータに関する 個別の 問い合わせ等 に 積極的に対応 する 。

(2)推進体制

内閣官房 IT 総合戦略室 は政府 CIO の下、各府省 庁 と連携し 政府全体のオープンデータに関する企画立案・総合調整を行う とともに 、 各府省庁による オープンデータ 化 の 公開状況 を含め 各施策のレビュー、フォローアップを実施するなど、政府一体となったオープンデータの取組を推進する 。 また、内閣官房 IT 総合戦略室 は関係府省庁 と協力し、地方公共団体 における 取組 を促進する 。

各府省情報化統括責任者(府省 CIO )は、府省 庁 内におけるオープンデータの取組を推進するとともに、独立行政法人 、公益 事業者 等 に よる オープンデータの取組を 促進する 。また、各府省情報化専任審議官等(府省副 CIO )は府省 CIO を補佐し、オープンデータ施策に関する府省 庁 内の指揮監督にあたるものとする。

6.地方公共団体、独立行政法人、事業者 におけるオープンデータの取組

(1)地方公共団体

官民データ法 第 11 条第 1 項では、地方公共団体は 、 国と同様 に 、 保有する データを国民が容易に利用できるよう必要な措置を講ずる ものとされている。地方公共団体は、官民データ法 の趣旨及び 本基本 指針を踏まえて オープンデータ を 推進することが 求められる 。

推進に 際 して は、 国や 地方公共団体が公開するデータを横断的に活用することができるよう、 標準 的な形式 及びルールに基づ いた 公開に努めることが望ましい。また、複数団体が共同でオープンデータポータルサイトを立ち上げ る といった取組も有効である。

政府は、オープンデータに関する専門家 等の派遣 、 地方公共団体において特に公開が望まれる 分野や データ項目の提示 、 先進的な取組事例集 や手引き等 の提供 、人材育成ツールの提供 など を通じ 、 地方公共団体におけるオープンデータの 取組を 積極的に支援する 。

(2)事業者

官民データ法第 11 条第2項では、事業者 (独立行政法人を含む は、公益の増進に資するデータを国民が容易に利用できるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとされている。

独立行政法人 や大学等 においては、国費に よって運営されていること又は 実施している事業や研究があることに鑑み、本基本 指針 に準拠してオープンデータの取組を推進することが望ましい。

また、 電力 ・ ガス、通信 ・放送、交通 等 の 公益事業 分野の 事業者 については、その公益性に鑑み 、 本基本指針及び 利用者ニーズを踏まえて オープンデータを推進することが望ましい。

7.本基本指針の見直し

本基本指針は、 各種施策の成果や国民・ 事業者 等の意見要望等を踏まえつつ 、技術動向、国際環境等の状況変化に応じ柔軟 に 見直しを行うものとする。

(以上)

参照

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