デジタルヘルス

情報通信分野における外資規制の在り方に関する取りまとめ(案)

序章 検討の経緯

情報通信分野においては、電波の有限希少性を理由とする自国民優先の考え方、放送の大きな社会的影響力、更に事業の公共性などに鑑み、電波法(昭和25年法律第131号)、放送法(昭和25年法律第132号)及び日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年法律第85号。以下「NTT法」という。)では、外国人等により占められる議決権の割合や外国人等による役員の就任等についての規制が設けられている。

こうした放送法等による外資規制が設けられている中で、2021年3月及び4月において、株式会社東北新社及び株式会社フジ・メディア・ホールディングスによる放送法の外資規制に抵触する事案が相次いで発覚した。

一方、情報通信分野における外資規制としては、電波法や放送法等のほか、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)では、国の安全等の要素を考慮し、通信業及び放送業がそれぞれ指定業種とされており、情報通信分野における上記個別法と相まって、各業に対する対内直接投資等の外国投資家による投資行為が規律されている。

近年では、クロスボーダー取引の拡大をはじめ、経済環境が急激に変化する中で、諸外国では、安全保障の観点から外資規制の強化の動きが見られるところ、我が国においても、国の安全等を損なう恐れのある対内直接投資等への対応強化の観点から、2019年に外為法が改正された。

外資規制は、我が国の安全保障にも関わる重要な規制であり、また、今般の基幹放送事業者及び認定放送持株会社(以下「放送事業者等」という。)による放送法の外資規制に抵触するような事案が再度生ずることがないよう、そもそも情報通信分野における外資規制はどうあるべきかを念頭に置きながら、審査体制の強化をはじめ、外資規制の実効性確保やその在り方を検討するため、2021年6月から、情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会を開催し、関係団体からのヒアリングで表明された要望等も踏まえ、次の5点を主要論点として整理の上、具体的な検討を進めてきた。

① 情報通信関連法令と外為法との外資規制の適用関係の在り方
② 出資規制及び外国人役員就任規制の在り方
③ 外資規制の実効性確保方策
④ 外資規制の担保措置の在り方
⑤ 審査体制の在り方

本取りまとめ(案)は、これら主要論点に対する諸課題について検討整理の上、今後の方向性を示したものである。

第1章 情報通信関連法令と外為法との外資規制の適用関係の在り方

(1)現状

① 情報通信関連法令の外資規制

電波法では電波の有限希少性を理由とする自国民優先の考え方、放送法ではこれに加え放送の言論・報道機関としての社会的影響力、NTT法では外国人等に支配されることにより被る我が国の安全保障上の問題や影響を踏まえ、それぞれの法目的から、議決権や役員等の割合に関する客観的な基準による外資規制が定められている。

これら情報通信関連法令における個別法の外資規制は、外国人等が一定割合の議決権を保有し、又は一定割合の役員を占めること若しくは特定の地位の役員に就くことを規制し、これらの外国人等が議決権の行使等を通じて、法人又は団体における重要事項の意思決定に影響力を及ぼすことがないよう、放送法及び電波法では認定又は免許(以下「認定等」という。)における絶対的欠格事由として、あらかじめ外国性が排除され、NTT法では日本電信電話株式会社(以下「NTT持株会社」という。)並びに東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT東西」という。)に対する外国人等の関与が制限されている。

② 外為法の外資規制

外為法では、個別の投資主体の属性やその行為等を勘案し、国の安全や、公の秩序の維持等を目的として、外国投資家による一定の業種に対する個々の対内直接投資等(上場会社の株式所有割合又は議決権割合が1%以上となる場合等)について、財務大臣及び事業所管大臣への事前届出制度や財務大臣及び事業所管大臣による審査制度が設けられ、当該投資等の変更や中止の勧告等を発することが可能とされている。

このように外為法の外資規制は、我が国の安全等の観点から、個々の対内直接投資等に対して事前審査と事後介入を可能とすることにより、我が国の重要な業種に対して、個々の外国投資家による影響力が行使される結果として、我が国の安全等が損なわれることがないよう、外国投資家による個別の投資活動を規制することを主眼としている。

③ 諸外国における外資規制の動向

諸外国の場合、英国等では、個別法における外資規制が撤廃されている一方、対内直接投資審査制度による国家安全保障を強化する動きがある。他方、米国・仏国・韓国等では、引き続き個別法による外資規制が基本的に維持されている。

また、豪州でも電気通信事業者であるテルストラ社(Telstra Corporation)の外国人等による単独株式保有が5%未満に規制されるなど、民営化後の電気通信事業者に対する規制も基本的に維持されている。

(2)検討

近年、対日直接投資残高は、2000年代後半から横ばいで推移していたが、2014年以降増加傾向にあり、2020年12月末時点で39.7兆円となっており、昨今のクロスボーダー取引の拡大とともに、今後も対日直接投資は増大していくものと考えられる。

電波法や放送法等の個別法と外為法は、法目的こそ異なるものの、こうしたクロスボーダー取引と対日直接投資が増大する中で、我が国の安全保障への対応を考慮すれば、事業者や無線局の免許人(以下「事業者等」という。)を規律する個別法と個々の投資行為を規律する外為法の双方による外資規制は、引き続きその意義を有していると考えられる。

この点に関しては、構成員から、電波法や放送法等の個別法において認定等の取消しなどの担保措置が講じられていることを踏まえると、当該個別法と外為法の各法目的に照らして外資規制を適用することには合理的な理由があるといった意見や、個別法と外為法の外資規制は制度や論点が異なり、これまでの歴史的な経緯等に鑑み、両者の外資規制の枠組みを変える状況にはないとの意見が示された。

(3)今後の方向性

我が国では、関係する事業者等を対象とした放送法等の個別法と、外国投資家を対象とした外為法でそれぞれ外国性についての規制が構築されているところ、電波の有限希少性を理由とした自国民優先の考え方等は引き続き重要であるほか、昨今のクロスボーダー取引の増大や諸外国における外資規制を強化する動き等を考慮すれば、我が国の安全保障の観点からも、放送法、電波法及びNTT法といった個別法と外為法の両者が相まって外国性を規律する現行の仕組みを維持することは、基本的には妥当と考えられる。

第2章 出資規制及び外国人役員就任規制の在り方

1.出資規制及び外国人役員就任規制の枠組み

(1)現状

現行の出資規制や外国人役員就任規制に関し、電波法では、電波の有限希少性を理由とする自国民優先の考え方から、一部の無線局について、外国人、外国政府又はその代表者、外国法人等のほか、法人又は団体であって、外国人等が代表者であるもの、役員の3分の1以上を外国人等が占めるもの、又は議決権の3分の1以上を外国人等が占めるものには無線局の免許を与えないとされている。また、NTT法では、NTT持株会社については、外国人等の支配により被る国の安全上の問題や影響を未然に防ぐため、外国人等により直接又は間接に占められる議決権割合(以下「外資比率」という。)が3分の1以上となるときは、その氏名等を株主名簿に記載等してはならないとされ、NTT持株会社及びNTT東西については、外国人の役員就任が禁止されている。

他方、基幹放送(受信障害対策中継放送等を除く。)を行う無線局や基幹放送事業者等については、電波法及び放送法により、言論・報道機関としての社会的影響力を踏まえ、外国人等が特定役員(業務執行決定役員及び業務執行役員。取締役会を置く株式会社の場合、取締役が業務執行決定役員に、業務執行取締役が業務執行役員にそれぞれ該当する。)であるもの、又は議決権の5分の1以上を外国人等が占めるものに該当しないことが認定等を受けるための要件の一つとされ、それ以外の出資規制及び外国人役員就任規制よりも基準等が厳格化されている。

また、地上基幹放送は、災害情報等の国民生活に不可欠な情報を提供する役割を担い、放送用に優先的に確保された有限希少な電波を使用し、言論・報道機関としての社会的影響力が特に大きいほか、我が国を取り巻く対内直接投資等の環境変化等を踏まえ、放送法及び電波法の外資規制の趣旨を徹底するため、更に間接出資規制が設けられており、他方、衛星基幹放送は、上記を踏まえ、地上基幹放送ほどではない社会的影響力に鑑み、直接出資規制のみとなっている。

こうした現行の出資及び外国人役員就任に関する各規制について、本検討会第2回会合(2021年7月5日)における関係団体からのヒアリングでは、放送法、電波法及びNTT法における、現行の外資規制の基本的な枠組みの維持を支持する意見が表明された。

(2)検討

出資規制及び外国人役員就任規制は、上記(1)のとおり、電波の有限希少性に基づく自国民優先の考え方等の電波法や放送法等の各々の目的を達成するために一定の役割を果たしている。これらの規制については、無線局に関しては電波の有限希少性を理由とする自国民優先の考え方、放送に関してはこれに加え基幹放送の社会的影響力、中でも地上基幹放送については災害情報等の国民生活に不可欠な情報を提供する役割、NTTに関しては外国人等に支配されることにより被る我が国の安全保障上の問題や影響を踏まえ、個別法において各々水準が具体的に定められている。「議決権の3分の1」及び「議決権の5分の1」を閾値とする放送法、電波法及びNTT法の規制枠組みについては、会社法上の規定等から、外国人等の意思決定への影響を排除する上で意義を有していると考えられる。実際、これらの枠組みの下でこれまで大きな支障はなく運用されてきたところである。また、電波の有限希少性等に加え、第1章(3)で示したように、我が国の安全保障の観点も念頭においても、現行の規制枠組みを見直すほどの変化は生じていないと考えられる。

また、議決権割合に着目して放送法、電波法及びNTT法において出資規制が設けられていることは、法人の経営に直接影響を及ぼす度合いを制限するものとして一定の合理性を有するものと考えられる。議決権割合ではなく、株式所有割合自体を制限することも考えられるが、外為法により外国投資家に対する規律が既にあるとともに、投資活動を必要以上に制限することなく外資による影響力を規律する観点からは、放送法、電波法及びNTT法における規律は、議決権によることが妥当であると考えられる。

この点に関しては、構成員から、個々の無線局等の目的や会社法上の規定等から現行の規制枠組みとしておおむね妥当であるとともに、電波法における電波の有限希少性、NTT法における外国人等の支配により被る国の安全上の問題や影響の未然防止、放送法における言論・報道機関としての社会的影響力に関して、規制の枠組みを変更するほどの変化が生じておらず、出資規制等の現行の枠組みの維持を支持する意見が多数示された。

(3)今後の方向性

放送法、電波法及びNTT法に設けられている外資規制である出資規制及び外国人役員就任規制の枠組みについては、それぞれの法目的に照らし一定の水準に制限することを規律してきたものであり、それ自体はこれまで有効に機能してきたと考えられ、また、昨今の安全保障の動向を鑑みても、本規律を見直す必要がある特段の事情も見受けられないことから、引き続き議決権割合による規律として、現行の規制枠組みを維持することが適当と考えられる。

他方で、実際に事業者等の外資比率が基準値以上となった場合等には、当該事業者等の認定等を取り消す現行制度のほかに、第4章で示すように、外国人等の支配による懸念が直ちにはないと認められる場合等においては、期間を定めて是正を促す制度を導入することが適当と考えられる。また、コミュニティ放送及び放送・通信事業以外の無線局に関する規制水準については、次の2.及び3.で示すように整理することが適当と考えられる。

2.コミュニティ放送に関する規制水準

(1)現状

コミュニティ放送については、電波の有限希少性及び社会的影響力はもとより、地域の話題や災害時などにおけるきめ細やかな情報等を提供し、地域の活性化等に寄与する地域密着型メディアとしての重要な役割を果たすものとして、他の地上基幹放送事業者と同じ水準の規制が設けられている。

この現行水準に対して、第2回会合における関係団体からのヒアリングでは、放送対象地域が一の市区町村であることが基本のコミュニティ放送は、(ア)出資者が限定され、免許時などから大きな変更が生じにくく、(イ)コミュニティ放送は地域のニーズに応じて開設されることからそのような地域の中には外国人居住者が多い地域もあるといった特性を有しているとの意見が表明された。また、少人数で申請書類等の作成をしている、個人出資者の相続や婚姻等による影響を大きく受けやすい、役員の人選に苦慮しているといった状況にある中で、他の地上基幹放送事業者と同じ出資規制や外国人役員就任規制までは必要がないとして、コミュニティ放送に関する規制等の水準の緩和を求める要望が表明された。

(2)検討

県域でのFM放送を行う地上基幹放送の仕組みが確保されている中で、一の市区町村を基本としてFM放送を行っているコミュニティ放送に適用される放送法及び電波法の外資規制については、必ずしも他の地上基幹放送と完全に一致している必要はなく、基幹放送事業者の中での制度的な整合性に留意しつつ、コミュニティ放送の特性や実態を踏まえて、出資規制や外国人役員就任規制を見直す必要があると考えられる。

この点に関しては、構成員から、出資規制について、コミュニティ放送の地域密着性と持続可能性の観点を踏まえると、間接規制を上乗せする現行の出資規制は厳しく、衛星基幹放送事業者と同等の規制水準とするのが相応しいとの意見が多数示された。

また、外国人役員就任規制については、出資規制と同様、衛星基幹放送事業者と同程度の規制水準とすることが相応しいとの意見とともに、役員が少ない小規模事業者については、役員の3分の1未満とすることも考えられるのではないかとの意見が示された。この点、コミュニティ放送事業者の実態を踏まえつつ、段階的に柔軟化していく方法も考えられるのではないかとの意見もあった。

(3)今後の方向性

コミュニティ放送に関する規制水準に関しては、言論・報道機関である基幹放送としての位置付けを前提として引き続き放送法及び電波法の外資規制の対象としつつも、上記(2)で示したコミュニティ放送の特性を考慮すると、社会的影響力が限定的と考えられることから、出資規制については、間接出資規制の対象外として直接出資規制のみとし、外国人役員就任規制については、コミュニティ放送事業者の実態を踏まえ、例えば、業務執行決定役員の総数に占める外国人の業務執行決定役員(ただし、業務執行役員でない者に限る。)の割合が3分の1以下であれば、外国人の業務執行決定役員(ただし、業務執行役員でない者に限る。)への就任を許容することが適当と考えられる。

3.放送・通信事業以外の無線局に関する規制水準

(1)現状

多くの先進国が無線局に係る外資規制を課していない中で、我が国の電波法においては、上記1.(1)で示したとおり、無線局の免許の付与に一定の外資規制が設けられている。その一方で、これまで必要に応じ随時、電波法の外資規制が撤廃され、現在では、電気通信業務用無線局をはじめ多くの無線局が外資規制の対象外とされており、外資規制の対象とされている無線局には、船舶や航空機に開設される無線局や人工衛星に関する無線局(電気通信業務用無線局や、外国籍の船舶や航空機に開設される無線局等を除く。)などがある。

この現状に対して、第3回会合(2021年8月3日)及び第4回会合(同年9月10日)における関係団体からのヒアリングでは、船舶や航空機に開設する無線局については、移動しながら使用するため周波数を占有しないこと等を踏まえれば、電波法の外資規制を課して外国性を排除する必要性はないとの意見が表明された。さらに、これら無線局以外で電波法の外資規制の対象として残る航空局等の移動しないものについても、運用停止により人命や航行の安全を損なう恐れがあるものについては、外資規制に不適合となったことで直ちにこの運用を停止するような事態は避けるべきとの意見が表明された。

また、地球観測衛星等の人工衛星に関する無線局については、宇宙産業がグローバルな市場であることから、外資規制が我が国のベンチャー企業等が外国から資金調達をする際の障害となるとの意見が表明された一方で、地球観測衛星の技術保護・情報保護等の観点から、適切な規制は必要との意見が表明された。

(2)検討

船舶や航空機に開設する無線局に関しては、移動しながら使用されるものであり、周波数を占有する性質を持つものではないこと、多くの先進国において、これら無線局に係る外資規制は課されていないこと、また、我が国においても外国籍の船舶や航空機に開設する無線局については外資規制の除外規定が設けられていること等を考慮すれば、自国民優先利用の観点から電波法の外資規制を維持する必要性はなくなってきており、外資規制の撤廃を視野に入れ規制水準を見直す必要があると考えられる。

また、電波法の外資規制の対象として残る無線局であっても、例えば人命や航行の安全に関わるものなど、無線局の免許の取消しが公共の利益に影響を及ぼす場合については、外資規制に不適合となったことで直ちにこの運用を停止するのではなく、期間を定めて是正を求める等の措置を講ずることが必要と考えられる。

この点に関しては、構成員から、船舶局と航空機局は、世界共通の周波数を使い移動しながら通信を行うものであり、周波数の占有性は低く、諸外国でも外資規制は課されていないことから、電波の有限希少性を理由とする自国民優先といった電波法の外資規制の趣旨から、規制対象とする意義はそれほど高くはないという意見が示された。

これに関連して、海岸局や航空局のような電波法の外資規制の対象として残る無線局についても、免許の取消しによって航行の安全のような国民の生命・財産の確保に支障が生ずることがないようにすることが重要であり、必要があると認めるときは期間を定めて是正を求める等の措置を検討することが必要との意見が構成員から示された。

他方、地球観測衛星等の人工衛星に関する無線局に関しては、構成員からは、外資規制は資金調達をする際の障害となるだけでなく、海外の優れた技術の導入をも妨げるのではないかという問題提起があった一方で、電波法の立法趣旨に照らして、外資規制を撤廃して差し支えないかについて、もう少し理由を明確に説明しつつ、規制の見直しについて継続して検討していく必要があるのではないかという意見や、近年、人工衛星の活用が重要視されており、人工衛星に関する無線局について外資規制を撤廃する場合、安全保障の観点を考慮することが必要であるなどの意見が示された。

(3)今後の方向性

電波法においては、電波の有限希少性を理由とした自国民優先の考え方を踏まえて外国性を制限しているものであることを踏まえると、船舶や航空機に開設する無線局は、移動しながら使用されるため、周波数を占有する性質ではないこと、多くの先進国において無線局に係る外資規制が課されていない現況を考慮すれば、電波法の外資規制を撤廃することが適当と考えられる。他方、地球観測衛星等の人工衛星に関する無線局については、周波数の占有性の観点、産業政策の観点や、技術保護・情報保護など安全保障上の観点等も含めて丁寧に考慮して、その電波法の外資規制について慎重に検討することが適当と考えられる。

また、電波法の外資規制の対象として残る無線局であっても、例えば国民の生命・財産の確保に関わるものなど、無線局の免許の取消しが公共の利益に影響を及ぼす場合については、外資規制に違反したことで直ちに当該無線局の免許を取り消すのではなく、第4章2.で示すように、期間を定めて是正を求める措置を検討することが適当と考えられる。

第3章 外資規制の実効性確保方策

1.外資規制の適合状況の把握等

(1)現状

今回発生した放送法の外資規制に抵触するような事案が再度生ずることがないように外資規制の実効性を確保するためには、まずは、行政庁において、事業者等における外資比率等の実態を確実に把握して審査する必要がある。

しかしながら、放送法第175条において、総務大臣が、政令(放送法施行令(昭和25年政令第163号))の定めるところにより、認定基幹放送事業者及び認定放送持株会社に対しその業務に関し資料の提出を求めることができるとされているものの、その提出資料について、外資規制に関する事項は、定められていなかった。また、総務省令(放送法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第10号)及び無線局免許手続規則(昭和25年電波監理委員会規則第15号))においても、放送事業者等の認定等の申請に当たって、放送法第93条及び第159条に基づき提出する申請書・添付書類の様式が定められているものの、それが外資比率の算出過程が確認できる様式となっていないなど、外資比率が規制の範囲内であることが把握・検証可能な様式とされていなかった。

また、放送・通信事業以外の無線局については、外資規制に関する事項が免許申請書の記載事項とされておらず、欠格事由の該当の有無が記載されるのみであった上に、免許後に、外資規制に関する事項に変更があった場合にそれを行政庁が知り得るための手続きが存在しておらず、行政庁において外資規制の適合状況を把握するための情報が十分でない現状にある。

この現状に対して、第2回会合における関係団体からのヒアリングでも、外資規制の状況が的確かつ定期的に把握できる仕組みの必要性を訴える意見が表明された。その一方で、放送事業者等の実務を考慮し、資料提出の頻度の低減を含め、過度な事務負担とならない仕組みを求める要望も表明された。

(2)放送法施行令等の見直し

今般の放送事業者等による放送法の外資規制に抵触する事案を受け、放送に係る外資規制の実効性を確保する仕組みを構築する必要があることから、第2回会合において、総務省からは、まず速やかに対応可能なものから取り組む観点から、認定基幹放送事業者(ソフト事業者)及び認定放送持株会社に対して総務省が資料の提出を求めることができる事項や、外資規制の適合状況の把握・検証を可能とする様式について、見直しを行う方針が提示された。これに関して、構成員からも、政省令改正に向けた早期検討が必要との意見が示された。続く第3回会合において、総務省から提示された政省令改正の具体的な内容について検討を行い、これを了承した。これを受け、必要な政省令の改正が行われる予定である。

(3)検討

上記(1)で示したように、行政庁において放送法及び電波法の外資規制の適合状況を把握するための情報が十分でない現状を踏まえると、上記(2)で示した政省令改正及び必要な制度整備によって、放送事業者等及び無線局について、外資規制に係る事項に変更があった場合に行政庁が外資規制への適合状況を随時把握可能とする仕組みを取り入れることが必要と考えられる。その上で、社会的影響力が相対的に低い一部の事業者等を除き、放送法及び電波法の外資規制に適合するために講じた措置等の規制の遵守状況等を定期的に行政庁が確認できる仕組みを取り入れることが必要と考えられる。

この点に関し、構成員からは、事業者等においても、まずは総務大臣に対して的確に報告できる体制を整えた上で、行政庁及び事業者等の双方がモニタリングする仕組みにより実効性を確保することが重要との意見が示された。

他方で、放送法及び電波法の外資規制の遵守状況の確認を強化するために、行政庁と事業者等の双方に煩雑さを招くなど事務負担が増大するのでは、かえって審査の実効性を確保することが難しくなるものと考えられる。この点に関し、構成員からは、審査の効率を上げつつ審査担当者にとって必要な情報が簡便に見えるような仕組みを整える必要があるとの意見や、事業者等にとってもワンストップ的に審査を簡便にして欲しいといったニーズに耳を傾けるべきではないかといった意見など、審査事務の効率化に関する意見が示された。

なお、報告の仕方について、デジタルの活用を検討してはどうかとの意見が示されたところであり、デジタルデータでのやりとりが可能となる仕組みを考慮することも必要と考えられる。

(4)今後の方向性

上記(2)で示した資料の求めや放送法及び電波法の外資規制の適合状況の把握・検証を可能とする政省令改正は、速やかに対応可能なものから制度整備を進めるものである。

これに加え、第5章で整理する審査体制の強化を見据え、放送事業者等及び無線局について、放送法及び電波法の外資規制に係る事項に変更があった場合には、行政庁が外資規制への適合状況を随時把握可能とするための届出を求める制度を導入することが適当と考えられる。加えて、社会的影響力が相対的に低い一部の事業者等を除き、当該放送事業者等が外資規制に適合するために講じた措置等の規制の遵守状況等に関する事項について定期的に報告を求める制度を導入することが適当と考えられる。

これらの制度の導入に当たっては、効率的な行政運営の観点と事業者等における自律的な取組及び事務負担軽減の観点の双方から、デジタルデータの活用等を進める必要がある。その中では、事業者等から外国性の有無を証明する書類等に関する指針の必要性、事務作業の負担等を考慮した提出書類の簡略化及び報告頻度の低減の必要性といった意見があったことを踏まえて、事業者負担や事業者の類型を考慮した運用を図っていくことが適当と考えられる。

2.出資規制に係る議決権割合の捕捉・計算方法

(1)現状

放送法及び電波法では、地上基幹放送事業者及び認定放送持株会社は、衛星基幹放送事業者等と比べ、その社会的影響力が特に大きいことを考慮し、直接出資規制に加え間接出資規制が設けられ、その議決権割合の具体的な計算方法は総務省令に規定されている。NTT法においても、NTTが我が国の国民生活・社会経済活動を支える重要な事業者としての公共性に鑑み、外国人等の支配により被る国の安全上の問題や影響の未然防止を図っていくため、直接出資規制に加え間接出資規制が設けられている。

この現状に対して、第2回会合及び第3回会合における関係団体からのヒアリングでは、間接外資比率の計算に関して、間接出資の株主を正確に把握・捕捉することは事実上困難であり、正確に把握できなかった場合には放送法、電波法及びNTT法の外資規制に不適合となる可能性も考えられ、計算に係る事務負担が大きいとの指摘がなされ、その見直しを検討すべきとの要望が表明された。また、情報の正確性を担保するため、例えば、事業者の株主に対して、当該株主が外国人等により直接に占められる議決権の割合について、報告義務を課すことが考えられるとの意見が表明された。

(2)検討

間接出資規制における議決権割合の具体的な計算方法に関して、上記(1)で示した関係団体からのヒアリングの中で、放送については、特にその計算に係る負担が大きいとの指摘がなされたところであり、その計算方法について規制が設けられている趣旨も踏まえつつ、より合理的な計算方法に向けた見直しが必要と考えられる。

この点に関し、構成員からは、放送事業者等の実情を踏まえつつ規制それ自体の合理性を考えるべきではないかとの意見が示された。

また、上場会社では、社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号。以下「社振法」という。)により、振替機関が提供している情報が利用されており、間接出資の外国人株主を把握する仕組みも設けられている。間接外資比率の計算に当たっては、こうした仕組みから得られる情報を基本として、会社が独自に収集した情報と組み合わせて、適切に算定を行うことが想定される。

(3)今後の方向性

外資比率の正確な把握は、放送法、電波法及びNTT法の外資規制の適合状況を確実に維持するための根幹をなすものではあるが、上記(2)で示した構成員の意見のように、事業者等において捕捉が難しいデータもあり得るところ、正確な外資比率の算定が困難なケースも考えられる。このため外資比率が算定し難いことについて、例えば、間接外資比率の計算の対象から地上基幹放送事業者又は認定放送持株会社に対して直接占める議決権の割合が0.1%未満である場合を除くとするなど、より合理的な計算方法に向けた見直しの検討を行い、事業者等の負担の軽減と必要な外資規制の有効性の双方に考慮した仕組みを導入することが適当と考えられる。

なお、上場会社においては、引き続き、振替機関から得られる情報を基本として、事業者等において適切に算定を行うことが適当と考えられる。

第4章 外資規制の担保措置の在り方

1.事業者等による補完措置

(1)現状

放送法では、外資規制の適合状況を維持するための補完措置として、放送事業者等が当該5分の1以上となる外国株式(特定外国株式)の株主名簿への記載等を拒否することができる制度(以下「名義書換拒否制度」という。)が設けられている。この制度に基づき、規制対象事業者では、社振法により振替機関から放送事業者等に対して総株主通知がなされたときに、そこに記載された株式のうち外国人等が保有する株式について、これを株主名簿に記載・記録した場合であって、外資比率が5分の1以上となるようなときに、株主名簿への記載・記録の拒否が行われている。NTT法においても、NTT持株会社は、その外資比率が3分の1以上となる場合には名義書換拒否を実施することとされている。

また、放送法では、間接出資規制に関し、放送事業者等のコントロールできない事情により外資規制の不適合状態となることを回避するため、名義書換拒否により対応できる場合を除き、間接出資比率が増加したことにより欠格事由に該当するときは、外国法人等の保有する欠格事由に該当する部分の株式については議決権を有しないこととなる制度(以下「議決権制限制度」という。)が設けられている。

第2回会合及び第3回会合における関係団体からのヒアリングにおいても、名義書換拒否制度や議決権制限制度の意義を支持する意見が表明された。他方、第3章2.(1)で示したように、間接出資の株主を正確に把握することは事実上困難であるとする意見や、外国人等による間接保有割合に関し、放送事業者等の議決権を保有する法人・団体に対して、当該法人・団体の議決権を保有する法人・団体(間接出資者)に関する情報提供を個別に依頼することになることを挙げて、その情報の正確性は、当該法人・団体の対応に委ねられ、担保が困難とする意見も表明された。

(2)検討

名義書換拒否制度及び議決権制限制度について、外国人等による株式取得により放送事業者等が欠格事由に該当し認定等が取り消されることで視聴者への安定的な放送サービスの提供に支障が生ずることがないようにする制度として、引き続き重要な仕組みであると指摘し、これを支持する意見が構成員からも多数示された。

ただし、上記(1)で示したように、関係団体からのヒアリングで指摘された間接保有割合の情報の正確性に関しては、補完措置を適切に機能させるためにも、情報の把握や算定の正確性の向上に資する取組が必要と考えられ、構成員からも、これを支持する意見が多数示された。

(3)今後の方向性

名義書換拒否及び議決権制限の各制度は、放送法及びNTT法の外資規制の適合状況を規制の範囲内に維持し又は抑制する補完措置として、引き続き合理性を有することから、これを維持することが適当と考えられる。また、これらの補完措置をより確実に機能させるため、事業者等において、例えば相互保有株式など会社法により議決権が制限される株式も十分に把握し、外資比率の算定を遺漏なく行える取組を講じていくことが適当と考えられる。

2.行政による是正措置

(1)現状

電波法及び放送法では、直接出資規制及び外国人役員就任規制に不適合となった事業者等について、総務大臣は、その認定等を取り消さなければならないとする、いわゆる必要的取消しについての規定が設けられている。また、放送事業者等や地上系基幹放送局提供事業者(ハード事業者)が間接出資規制に不適合となった場合には、該当することとなった状況その他の事情を勘案して必要があると認めるときは、認定等の有効期間の残存期間内に限り、期間を定めて認定等を取り消さないことができる旨が規定されている。

こうした現状に対して、第2回会合における関係団体からのヒアリングでは、外資規制の趣旨は妥当なものと考えているとしつつも、地上基幹放送等の免許等の取消しは事業の廃止につながり、視聴者・社会に多大な影響を及ぼす恐れがあり、放送を継続しながら不適合状態を是正可能な制度が適切ではないかという意見や、外資規制への抵触による認定等の取消しは、故意による不適合の事案を除いて、避けるべきであり、定期的なチェック体制の確立で修正可能なルールを構築すべき、あるいは、仮にハード事業者の外資規制の不適合があった場合でも視聴者保護の観点からソフト事業者が放送を継続できる仕組みを構築すべきといった意見、不適合となった場合の暫定措置として是正期間のようなものがあればよいとする意見が表明された。

(2)検討

今般の放送事業者等による放送法の外資規制に抵触する事案を踏まえると、まずは、外資規制の適合状況及び遵守状況の確認を一層実効のあるものにする観点から、第3章1.(3)で示した届出や報告の制度により、事業者等において外資規制の遵守が徹底されることが必要である。

この点に関しては、構成員から、是正を求める措置を導入する際には、事業者がしっかりと対応するというインセンティブが下がらないような制度設計とすべきとの意見も示された。

ただし、外資規制に不適合となる要因については、必ずしも事業者等に帰責事由がある場合ばかりとは限らず、また事業者等の責に帰さない場合にも、他の要素を考慮せず、一律に認定等を取り消すこととすれば、かえって視聴者等の不利益となる場合が考えられる。

このため、外資規制への不適合の態様、過失の度合いや解消に要する期間など、不適合となった状況や、放送を停止した場合の視聴者の不利益、放送を継続した場合の外国人等の支配による不利益の有無を勘案した上で、その度合い等によっては、認定等の取消しの手続きに入る前に、まず、事業者等に不適合状態の解消を促すような措置を導入することが必要と考えられる。

この点に関しては、構成員から、不適合状態が発生又は判明した場合、認定等の取消しを行う前に一定の期間を設け、その期間に不適合状態を是正するよう促し、それでもなお不適合状態が是正されない場合には認定等を取り消すような仕組みを設ける必要があるといった意見をはじめ、期間を定めて是正を求める措置の導入を支持する意見が多数示された。

このほか、外資比率については事業者等自身でコントロールできない可能性や株主から誤った報告を受けることによる誤謬が生じる可能性があるほか、取消しによる視聴者等への計り知れない影響が生じ得るといった意見、更には必要的取消しと期間を定めて是正を求める措置という両極端な制度は他の分野では例がなく、中間的な制度を考えていくべきではないかという意見、期間を定めて是正を求める措置を考えるに当たって事業者等の側の注意義務の水準を高めることを前提に、不注意の程度や不適合となる行為の回数などを考慮するなど、不適合の対応を慎重に見て措置を執る必要があるとの意見、期間を定めて是正を求める措置の導入には透明性を高める措置も併せて講ずる必要があるとの意見が示された。

(3)今後の方向性

期間を定めて是正を求める措置の導入に当たっては、事業者等の外資規制を遵守するインセンティブが下がらないようにすることが必要である。その観点から、まずは、第3章1.で示したとおり、放送法及び電波法の外資規制への適合状況を随時把握可能とするための届出を求めることとし、事業者の実効性確保の取組を強化することが適当と考えられる。

その際、事業者等において、外資比率が基準値以上となることがないよう、例えば、事業者等の外資比率が当該基準値に近づいた場合、外資比率の変動に関する届出をより厳格化することが適当と考えられる。これら強化及び厳格化をした結果として、事業者等において、放送法及び電波法の外資規制に係る事項に変更があった場合には行政庁に速やかに届出をすることができるようにするなど、外資規制の遵守の徹底が図られるものと考えられる。

これらの届出については、外資規制への不適合が見逃されることがないよう、正確な届出が担保されるような制度整備を行うことが適当と考えられる。

その上で、事業者等の外資比率が基準値以上となっていることを行政庁が把握し、外資規制への不適合が認められる場合には、原則として、所要の手続きを経て認定等を取り消すこととする。また、外資規制への不適合の状態が既に外形上解消された場合でも、経緯や状況に鑑みて、解消が一時的なものにすぎないと判断される場合には、所要の手続きを経て認定等を取り消すこととする。

ただし、例外的に、不適合となった状況や視聴者の不利益等の一定の事情を勘案して、外国人等の支配による懸念が直ちにないと認められる場合等においては、期間を定めて是正を求める措置を講ずることとして、それが行われない場合には認定等の取消しを行うこととすることが適当と考えられる。

上記のように、外資規制への不適合の状態があった場合には、それが既に解消されている場合を含め、必要な再発防止を事業者等に対して求める措置を講ずることが適当と考えられる。

また、期間を定めて是正等を求める措置は、認定等の取消しに関わるものであることに鑑み、例えば、放送法及び電波法の外資規制に不適合となった事業者等に対して、期間を定めて是正等を求めるか否かを判断する段階から意見陳述の機会を付与する等、事業者等における予見可能性を高めるとともに、行政庁による国民への説明責任を果たす観点からも、透明性を適切に確保するためのプロセスを設けることが適当と考えられる。

第5章 審査体制の在り方

(1)現状

放送事業者等に係る放送法及び電波法の外資規制の総務省における審査については、認定放送持株会社、地上基幹放送事業者、衛星基幹放送事業者、コミュニティ放送事業者の別に、担当部署ごとに行われる体制となっているのが現状である。また、外為法の外資規制の審査についても基本的には同様の体制となっている。

こうした審査体制の現状に対して、第2回会合における関係団体からのヒアリングでは、審査体制は行政庁と事業者等とのコミュニケーションがしっかりと図られる体制であれば問題ないとする意見や、外資規制を遵守するためには行政と民放事業者との綿密なコミュニケーションが必要との意見が表明された。

(2)検討

2021年6月3日に、電波監理審議会から総務省における外資規制の審査体制の強化等に関して勧告が発出され、同月4日には、情報通信行政検証委員会が公表した「情報通信行政検証委員会検証結果報告書(第一次)」においては、「審査の過程で、外資比率について」、担当課の「チェック体制や分担が明確になっていないこと」等の問題があると認められ、「その改善が急務」である旨の指摘がなされている。

また、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)において、「外為法上の投資審査・事後モニタリングについて、関係省庁の連携強化を進めつつ、執行体制の強化を図るとともに、指定業種の在り方に係る検討を行う」こととされている。

今般の放送事業者等による放送法の外資規制に抵触する事案を受けて、審査体制の強化を図ることが重要であるとの認識の下、上記の指摘を十分に踏まえて、まずは放送分野において審査体制を強化し、各部署における外資規制の審査手法等の共有が図られ、横断的に外資規制審査ができるようにすることが必要と考えられる。

この点に関しては、構成員から、総務省の事務体制等の高度化により外資規制の実効性を高める取組は必要なことであり、外部情報を活用すること等により審査の効率を高めつつ、審査担当者にとって必要な情報が簡便に見えるような仕組みの整備が必要ではないかという意見のほか、総務省側の審査体制と併せて事業者等の側もこれに向き合えるような体制をしっかりと整備してほしいという意見が多数示された。

また、関係団体から表明された意見のように、行政庁と事業者等との綿密なコミュニケーションを図ることができる体制とすることも念頭に置きながら、審査体制を整備することが期待される。

(3)今後の方向性

外資規制の審査体制の強化を図るため、総務省に外資規制の審査を総合的かつ一元的に取り扱う体制を整備することが適当と考えられる。その際、行政庁と事業者等との綿密なコミュニケーションを図られるよう留意することが求められる。

また、外資規制の実効性を一層確保する観点から、事業者等において、外資規制に適合するために講ずることのできる措置等をしっかり認識するとともに、行政庁に外資規制の適合状況の報告を行うために必要な体制強化等に取り組むことが強く求められる。

第6章 今後の進め方

総務省において、第1章から第5章までに示した「今後の方向性」を踏まえ、所要の制度整備等について具体的な検討を進めることを提案する。

今後は、外資規制の実効性を確実に確保する観点から、行政庁及び事業者等の双方において外資規制の適合状況はもとより履行状況のフォローアップを行うとともに、事業者等の側と審査側におけるデジタルデータの活用可能性を追求しながら運用の改善に努め、審査・運用の充実が図られるようPDCAサイクルを回していくなどの取組を行っていくことが望まれる。

参照

-デジタルヘルス

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