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オンライン服薬指導に関するコロナ特例措置の恒久化について (省令等の改正に向けた論点)

令和4年1月19日
事務局

オンライン服薬指導の新型コロナウイルス感染症に係る特例措置(以下「特例措置」という。)の恒久化が、「規制改革実施計画」(令和3年6月18 日閣議決定。以下「実施計画」という。)に盛り込まれ、その後の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11 月19 日閣議決定。以下「経済対策」という。)及び「当面の規制改革の実施事項」(令和3年12 月22 日規制改革推進会議。以下「中間取りまとめ」という。)でも記載されているところである。

今後、これらを踏まえ、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(昭和36 年厚生省令第1号。以下「省令」という。)及び関連する通知が年度内に改正されることとなるが、あらかじめ、以下の論点について対応方針を明確にする必要があるのではないか。

1.オンラインではなく対面指導を原則とすることの妥当性(オンラインの位置づけ)

【論点】

  • 現行の省令・通知においては、オンライン指導と対面指導との関係に関して次の規定が存在。対面が原則との考え方が通底しているのではないか。
  • ①事前に対面で服薬指導を行っている場合などの要件を満たす場合についてのみオンライン服薬指導が可能となっていること(原則は不可との扱い)。
  • ②対面の服薬指導(以下「対面指導」という。)を日ごろから継続することを例に挙げ、オンライン服薬指導を行う前提として、信頼関係の構築を要求していること(対面指導には同様の要求は存在しない)。
  • ③あらかじめ患者にオンライン服薬指導の実施について希望を確認する必要があること(対面指導には同様の規定は存在しない)
  • ④オンライン服薬指導と対面指導との組合せが必要であること

これらの例にみるように、対面指導が原則となっており、(特に初回について)服薬指導をオンラインで行うことが例外である。

※注 特例措置においては「信頼関係」等の構築がオンライン服薬指導の前提となったり、又はあらかじめ患者の希望を確認すること、対面を組み合わせることは要求されていない。中間取りまとめでは、「対面・オンラインの手段のいずれによっても行うことができることとする。」と記載。

【事務局の考え方】

  • 診療については、オンラインによる場合は触診ができないといった事情により、患者の状態、疾患等によっては、対面診療の実施が必要な場合も存在する。他方、服薬指導については、(手技を要する薬剤の初回指導を除けば)オンラインによる実施を対面による実施に劣後させる合理的理由はないのではないか。したがって、上記①から④までの事項を含め、改正案策定に当たっては、対面指導を原則とせず、オンライン服薬指導と対面指導の双方を対等な取り扱いとすることとする必要があり、当該考え方に立脚した改正が確保される必要があるのではないか。

2.オンライン服薬指導に対する対面服薬指導とは異なる要件加重の妥当性

【論点】

  • 現行通知においては、オンライン指導については、薬剤師と医師又は歯科医師との連携確保など、対面の場合には要件とされていない事項が追加的に要求。(一般論として、薬剤師と医師等の連携確保が望ましいとしても)オンライン服薬指導に限って求める根拠に乏しいと考えられる。
  • 現行省令・通知においては、薬機法など上位法令で既に定められている要件(遵守事項、留意事項等)を、重複して再度、規定するケースが存在(加えて、その際の表現に差異が存在するケースもある)。この結果、オンライン服薬指導には、対面指導と異なる追加的な対応が求められているかの誤解を生じ得る状況。

【事務局の考え方】

  • 今後の改正案策定に当たっては、1.の考え方を踏まえ、オンライン服薬指導の実施に当たって、対面指導とは異なる実施要件(例示や推奨事項を含む)を設けることは適切ではないのではないか。
  • 国民にとってのわかりやすさの観点を含め、上位法令で既に記載されている事項を省令や事務連絡に改めて重複記載することは回避することが妥当ではないか。仮に、薬剤師への情報提供を目的として確認的に記載する場合は各事項につき、対面の場合に要求される事項と比較し異なるあるいは追加的な要件を課すものではない旨を明確にすることが妥当ではないか。

3.オンライン服薬指導を行わない場合の明確化

【論点】

  • 中間取りまとめにおいて「患者の求めに応じて、薬剤師がオンライン服薬指導の実施を困難とすべき事情の有無」について判断することとなっている。
  • 現行通知では、オンライン服薬指導が行われるための患者側の要件として「対面による服薬指導が行われる場合と同程度に清潔かつ安全であり 、かつ、プライバシーが保たれるよう物理的に外部から隔離される空間」が必要とされている。

【事務局の考え方】

  • 「オンライン服薬指導の実施を困難とすべき事情」は、具体的には情報通信機器の不保有や操作不習熟が想定され、それ以外の事項は想定されないのではないか。
  • 部屋の清潔さ等は服薬指導の適切な実施に基本的には関係の乏しく、また、プライバシーの確保の要否については、基本的には、患者の判断によるものであることから、これらの要件は廃止することが適切ではないか。

4.服薬指導計画の簡素化

【論点】

  • 現行省令・通知では、あらかじめ患者ごとの服薬指導計画(対面指導との組合せや緊急時の対応方針)を作成し、患者に説明することや作成された計画を処方医に共有することが求められ、共有された医療機関でなければ薬局に処方箋を郵送することができないこととされている。一方、コロナ特例においては、服薬指導計画の策定は必要とされておらず、それによる具体的問題は指摘されていない。

【事務局の考え方】

  • オンライン服薬指導の実施に限って、緊急時の対応方針など詳細な計画の策定を求める合理的な必要性はなく、副作用発生時その他患者側の事情で患者が薬剤師に連絡する必要が生じた場合の当該薬剤師の住所や連絡先のみを伝達するものとすることが適切ではないか。

※注 中間取りまとめでは「服薬指導計画と題する書面の作成は求めず、服薬に関する必要最低限の情報等の記載でも差し支えないこととする。」と記載。

5.訪問診療

【論点】

  • 現行の通知においては、訪問診療を受ける患者に対してオンライン服薬指導を行う場合に、それ以前に薬剤師が処方医等と連携して訪問診療を実施していること、オンライン診療時の処方箋により調剤された薬剤についてはオンライン服薬指導を行ってはならないことなどの規定が存在。

【事務局の考え方】

  • 訪問診療に当たって、オンライン服薬指導についてのみ特別な制限を設ける合理的な理由は乏しく、当該規定を廃止するか、又は対面指導と共通する事項を規定することが適切ではないか。

※ 現行の通知では、オンライン診療と訪問診療の場合にしかオンライン服薬指導が認められていない。

参照

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