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IT人材の給与水準の実態(平成29年8月21日)

個人向け調査の結果のほか、企業向け調査の結果もあわせて、IT関連産業における給与水準の実態を様々な観点から明らかにし、職種やスキル標準レベルごとの平均給与の差、年功型企業と能力・成果重視型企業の給与カーブの違いなどを浮き彫りにしていく。

IT関連産業における給与水準の実態

職種別

  • 以下は、回答者の職種別に給与水準とスキル標準レベルの平均を分析した結果である。職種としては、下図に示す区分を用いた(情報サービス・ソフトウェア関連については、ITスキル標準を想定した職種を設定)。
  • プロジェクトマネージャやプロデューサーなどの管理系職種の方が、ITアーキテクトなどの高度SEやIT技術スペシャリストよりも給与平均が高い。
  • 職種毎の平均スキルレベルの違いは、SE・プログラマとしてキャリアをスタートし、キャリアアップにより、管理系やアーキテクト系に職種が変わるIT業界の一般的なキャリアパスと整合的な結果になっている。

職種別の年収平均とスキル標準レベル

職種 スキル標準レベル平均 平均年収 n
コンサルタント 4.1 928.5 万円 214
プロジェクトマネージャ 4.2 891.5 万円 774
高度SE・ITエンジニア(基板設計担当・ITアーキテクト) 4.0 778.2 万円 418
SE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装) 3.5 593.7 万円 1123
SE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装) 3.4 568.5 万円 403
SE・プログラマ(組込ソフトウェアの開発・実装) 3.4 603.9 万円 208
IT技術スペシャリスト 3.9 758.2 万円 202
IT運用・管理(顧客向け情報システムの運用) 3.4 608.6 万円 484
IT保守(顧客向け情報システムの保守・サポート) 3.3 592.2 万円 385
IT教育(IT関連講師・インストラクタ等) 3.6 651.0 万円 52
上記に関する業務の営業・マーケティング 3.5 783.3 万円 362
インターネット関連企業:営業・マーケティング 3.2 682.1 万円 61
インターネット関連企業:プロデューサー/ディレクター 3.7 792.9 万円 45
インターネット関連企業:コンテンツクリエイタ/デザイナー 3.1 411.0 万円 53
インターネット関連企業:エンジニア/プログラマ 3.2 592.2 万円 132
インターネット関連企業:顧客サポート/ヘルプデスク 2.9 390.9 万円 53
インターネット関連企業:その他 2.8 589.3 万円 31

スキル標準レベル別

  • 以下は、回答者のスキル標準レベル別に、給与水準の平均を分析した結果である。
  • スキル標準のレベルが上がるほど、年収の平均は徐々に高くなり、「レベル6/7」の平均値は1,000万円を超える結果となっている。
  • また、「レベル1」から「レベル3」までの給与水準の上昇は緩やかであるのに比べて、「レベル4」以降は、上昇幅が大きくなっていることが読み取れる。

スキル標準レベル別の年収の平均

スキルレベル 平均年収 レベル説明
レベル1 437.8万円 新人・初級者レベル/仕事に慣れ始めたレベル
レベル2 499.2万円 上位者の指導のもとに仕事ができる若手人材レベル
レベル3 576.0万円 独立して仕事ができる中堅人材レベル
レベル4 726.1万円 部下を指導できるチームリーダーレベル
レベル5 937.8万円 社内での指導者・幹部レベル
レベル6/7 1129.9万円 国内で著名なレベル/国際的に著名なレベル

IT関連企業の給与水準における年功の影響度

  • 今回は、個人向けの調査とあわせて、IT関連企業を対象とする調査を実施しているが、企業向け・個人向け双方の調査において、IT人材の給与決定における「年功の度合い」を調べたところ、それぞれ下図のような結果となった。
  • 企業側の回答を見ると、年功の影響を「小さい」と回答した企業が約57%と最多になっている。
  • 個人側の回答を見ると、「年功序列がベースだが、能力や成果によってある程度違いがある」との回答が約46%で最も多く、「年功序列がベースだが、能力や成果による違いが大きい」が25%と続いている。

自社の給与水準における年功の度合い

「年功型」と「能力・成果重視型」の比較

  • 「年功の影響度」についての回答結果から、 IT関連企業の給与制度を「年功型」と「能力・成果重視型」、「中間型」に分類し、それぞれの企業群における年齢別の給与水準を比較した。
  • 下図によれば、「年功型」は最低水準と最高水準の差が小さいことがわかる。これに対して、「能力・成果重視型」は、若いうちから高い年収を得られる可能性がある反面、55歳時点での最低水準と最高水準の差は大きく、「年功型」に比べて年収の到達範囲が広いといえる。

「年功型」と「能力・成果重視型」の生涯年収の比較

  • 25歳から55歳までの年収の合計を仮に本調査における「生涯年収」と捉えて、それを比較すると、25歳から55歳まで最高水準で推移した場合は「能力・成果重視型」の生涯年収が最も高くなり、最低水準で推移した場合は「能力・成果重視型」の生涯年収が最も低くなることがわかる。「生涯年収」の上下の幅も、「能力・成果重視型」の場合が最も広くなっている。

<参考>米国との比較(前回調査)

  • 我が国IT関連産業においては、「能力・成果重視型」の企業で最高水準の年収を達成したとしても、「年功序列型」企業での最高水準の年収を達成した場合と比べて大きな差が出ているわけではない。また、「能力・成果重視型」企業における最高水準と最低水準の差も、2倍未満に留まり、米国と比べると圧倒的に低い。

日米のIT人材の年代別の年収分布

出典:経済産業省「IT人材に関する各国比較調査」(平成28年6月)

<参考>各国IT人材年収分布と全産業平均年収との比較(前回調査)

  • 左図は、我が国と米国、アジア諸国のIT人材の年収分布と国内全産業の平均年収との比較を示したものである。日韓以外のアジア諸国においては、IT人材の平均年収が国内全産業平均の4~10倍と高い水準になっていることがわかる。
  • 左図と右図を合わせてみると、年収水準は、職の人気とも密接に関連していることがわかる。

IT関連企業の給与制度の今後の動向 ~ 給与水準の差の拡大意向

  • 下図は、給与水準の「最高水準」と「最低水準」の差について、IT関連企業が今後どのように対応する意向を持っているのか(拡大を志向しているのか)という点について尋ねた結果である。
  • 業種別の結果(左図)をみると、「受託システム開発」や「技術者派遣」については、 「最高水準」と「最低水準」の差を「今後大きくしていきたい」という回答が約半数となっている。
  • また、従業員規模別の結果(右図)をみると、1,001人以上の大企業と5人以下の小規模事業者以外の企業群において、今後大きくしていきたいという回答が44~50%と高い水準であることがわかる。

参照

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