~イノベーション、デジタル化を梃子に~
「成長と分配の好循環」の実現に向け、「財政を有効活用し民間主導の持続的な経済成長を高め、財政も改善していく」との考え方の下、経済・財政一体改革を着実に推進すべき。
令和4年度予算について、科学技術立国、デジタル田園都市、経済安全保障、人的資本の強化といった重点課題への対応に向けてメリハリのきいた予算とするとともに、その成果をしっかりとデータで把握し、EBPMを徹底することが重要である。その際、縦割り構造をできるだけ排し、必要な横ぐしをさして取り組むべきである。
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1.人が育つ環境の整備
成長と分配の好循環のためには、デジタル技術を含めた科学技術の活用が不可欠であるが、それを支える人材をしっかり育てることも、重要課題である。
デジタル時代に求められる人材育成に向け、社会人のリスキリングと学び直し機会の拡充が急務である。そのための費用面での支援や、ニーズにあった高等教育のフレキシブルな提供等の改善に向けて、産学官連携と大学改革を推進すべきである。
また、イノベーション基盤としての大学改革も極めて重要である。来年度からの中期目標期間における運営費交付金の配分に当たっては、教育と研究の質の向上に重点を置くべきである。
大学ファンドについても、外部資金の拡大と合わせ、大学経営、研究の質を考慮し、できるだけ客観的に評価できる取組に基づいて徹底したメリハリをつけて配分すべきである。
大学内の人材育成という点においては、若者・女性の活躍を積極的に推進し、競争環境を確保した上での研究費の若手研究者への重点的配分、理系女子の枠の拡大等が推進されるべきだろう。
さらに、スタートアップと協働するオープンイノベーションに対しインセンティブ措置を講じるなど、産学連携等による研究開発、イノベーションのビジネス化を強力に支援すべき。
初等中等教育においては、才能や個性を育む個別最適な学びや協働的な学び、学習環境の格差防止を実現するため、全国の小中学校で一人一台端末がフル活用されるよう、教員のICTリテラシーの向上と業務負担の軽減といったボトルネックを速やかに解消すべきである。
2.デジタル化を通じた業務の見直し
デジタル化を含めた技術革新の有効活用は、社会変革の原動力である。先進的な企業だけではなく、行政の分野においてもデジタル化を積極的に取り入れることで、人手不足による弊害を回避するだけでなく、行政サービスの向上も期待できる。
そのためにも、国・県・市町村間の紙ベースの行政手続きの重複を一括検証し、デジタル化に向け、必要な制度改革、予算措置等を講じ、今後3年間で徹底改革すべきである。
また、人手不足、建設資材の高騰などに直面する建設現場の生産性向上も喫緊の課題である。進捗の遅れている中小建設業等におけるICTの活用、インフラDX等の全国展開等を徹底して推進すべき。
3.技術革新を活用した地域活性化
各地域においても、デジタル田園都市国家構想の下、デジタルによる恩恵が受けられる社会を実現し、「成長と分配の好循環」を全国隅々まで展開すべきである。そのためにも、都市の在り方、国と地方の連携、PPP/PFIを通じた官民の連携の在り方等をしっかりと見直し、民間資金・ノウハウも活かした基盤づくり、成長産業の振興に取り組むことが重要である。
また、ウィズコロナに向け、今次感染症の経験を踏まえ、地方行財政の在り方を見直していくべきである。
そのためにも、都市のコンパクト化、広域連携による集約・再編、災害リスクエリアの特定・利用回避、予防保全など、自治体の維持管理費縮減につながる取組が積極的に促進されるよう支援を行うべきである。
また官民連携によるインフラ整備については、令和4年度以降のPPP/PFIの中期の計画を早急に策定し、野心的な目標、重点分野別の取組方針とKPI等を具体的に掲げ、地銀等を巻き込みながら、大胆に推進すべき。
その際には、PPP/PFI業務にデジタル技術を活用し、民間参入を促進すべき。課題を洗い出し、インフラDX化、行政府の業務のデジタル化と合わせて課題解決すべきである。また、上下水道、文化・スポーツ施設、公民館や公園は、民間の新たな知恵を呼び込みPPP/PFIが積極的に活用され普及するようにすべきである。
令和4年度予算において、地方一般財源の総額については、2021年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保すべき。また、感染収束後、早期に地方財政の歳出構造を平時に戻すこととされており、来年度から段階的に着手すべきである。
コロナ対応として行われた国から地方への財政移転の規模や内容については、適切なものであったかについて、事業の実施計画や地方公共団体の決算等も踏まえて、見える化としっかりとした検証をすべきである。
また、国と地方自治体、自治体間の関係等について、今回の感染症対応で直面した課題等を踏まえ、地方制度調査会等において検討を進め改善に向けて取り組む、国と地方の新たな役割分担について、行政全般の広域化についての具体的推進等の観点から、法整備を視野に入れつつ検討を進めることとされており、早急に着手すべき。
デジタル化を活用し関係人口を拡大することが地域活性化のカギ。兼業・副業の取組を推進している企業と地方自治体との連携を通じた、人材や経営リソースのマッチング等も強化すべき。また、ビッグデータ等を活用し、自治体を巡る関係人口を捕捉し、政策に生かしていくべき。
参照
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