倫理指針 規制

Let's 解読!倫理指針 Part 05 「研究者等の基本的責務(研究対象者等への配慮、教育・研修)」

第2章では、研究者等の責務が述べられています。

第2章は、大きく分けて、「研究者等の基本的責務」と「研究機関の長の責務等」の二つから構成されます。

今回は、研究者等の基本的責務(研究対象者等への配慮、教育・研修)です。

研究に参加してくれる人たちへちゃんと配慮しましょうね。研究業務に携わる人たちには、きちんと教育や研修を行いましょうね。ということです。

研究対象者等への配慮

⑴ 研究者等は、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して、研究を実施しなければならない。

⑵ 研究者等は、法令、指針等を遵守し、倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従って、適正に研究を実施しなければならない。

⑶ 研究者等は、研究を実施するに当たっては、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。

さりげなく添えられている「原則として」の記載には、注意しましょう。原則に従わない場合もある、ということです。

のちに「インフォームド・コンセントを受ける手続きを必要としないもの」が出てきます。

インフォームド・コンセントに関する規定の箇所なので、もっと後に出てきます。ややこしいですが、研究参加者からの同意取得は、研究を行う上で最も重要な要素の1つです。

⑷ 研究者等は、研究対象者等及びその関係者からの相談、問合せ、苦情等( 以下「相談等」という。) に適切かつ迅速に対応しなければならない。

研究対象者は研究に参加する患者さんたちを指すのは分かるとして、「その関係者」って広すぎるでしょ!というツッコミが聞こえてきそうです。

具体的には、研究対象者の親族等、関わりの深い者を指すようです。とはいえ、「関わりの深い者」とはまた曖昧ですね。

どうやら、感染症等に注目した研究を行う際など、「普段からよく会う人(同じ職場の同僚等)」も「その関係者」に含まれるとかなんとかいう話があるようです。

統合指針のガイダンスが楽しみですね。

⑸ 研究者等は、研究の実施に携わる上で知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。研究の実施に携わらなくなった後も、同様とする。

「研究の実施に携わる上で知り得た情報」は、すぐに思い当たるものとしては、研究に参加している人達から得た情報や、研究に参加している施設や機関の情報でしょう。

ですが、そうしたデリケートな個人情報、施設情報だけではなく、研究デザインや、その研究で使われている測定方法やアンケート調査項目、解析手法などの研究の独創性に関する情報も含まれます。

その研究に研究者として参加しなかったら知り得なかった情報」は、研究が終わった後も不当に漏らしたり、自分の知識だと思って使ってしまったりしないように気を付けましょう。

⑹ 研究者等は、地域住民等( 死者を含む。) 一定の特徴を有する集団を対象に、当該地域住民等の固有の特質を明らかにする可能性がある研究を実施する場合には、研究対象者等及び当該地域住民等を対象に、研究の内容及び意義について説明し、研究に対する理解を得るよう努めなければならない。

教育・研修

研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。

研究に関する倫理は、世の中の状況や価値観の変化に応じて刻々と変化するので、常に学び続ける必要があります。

それこそ、新型コロナの前後で世の中の価値観は大きく変わりました。

  • 外出時にはマスクが当たり前(今までは、マスク着用はそこまで強くは求められていなかった)
  • 並ぶときも詰めて並ばずにソーシャルディスタンスを保つのが普通(今までは、ぶつからない程度で詰めて、スペースを無駄にしない場面も少なくなかった)
  • テレワークできるならテレワークが基本(今までは、出社できるなら出社するのが基本)
  • 満員電車は極力避ける(今までは、乗車率100%超えは当たり前)

もう少し、臨床研究・生命科学研究に近い話題を持ってくるならば、「遠隔診療」でしょう。これまでは「対面初診原則」は絶対不変の価値観として取り入れられていました。

ところが、不要不急の外出を避けるようにという世界全体の強い風潮と差し迫った感染症の脅威に対応するため、その絶対不変の価値観も揺らいでいます。

同意取得の方法も、今までは「対面できちんと説明するか、紙の文書で直筆の署名をもらう」のが普通でした。

ですが、オンラインによる遠隔診療が普及すると、同意取得のプロセスも遠隔診療に合わせる必要があります。

実際、統合指針の同意取得の部分には電磁的同意も追加されているので、同意取得のプロセスは今後どんどん変化していくでしょう。

「研究内容を丁寧に説明して、同意を得る」という、研究倫理の根幹を支えるプロセスにおいても、新型コロナによる価値観の変化が影響を与えています。

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