倫理指針

同意説明文書を作ってみよう!倫理指針に忠実に

2020年12月8日

臨床試験、臨床研究を行う上で最も重要な文書の1つが同意説明文書です。

英語ではインフォームドコンセントフォーム(Informed Consent Form)というので、その頭文字をとってICFなどと呼ばれることもあります。

当然ながら研究の種類だったり、研究に参加する方々(研究対象者)の属性に応じて中身を変える必要がありますが、基本的な要素というものは決まっています。

倫理指針の中に、同意説明文書に盛り込むべき要素が羅列されていますので、一つ一つ見ていきましょう。

その際に、実際の同意説明文書ではどのように書かれるのかも合わせて確認した方が分かりやすいので書き添えてみます。

江藤先生
全部で21要素あるから大変よ。

目次

① 研究の名称及び当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けている旨

この研究の名称は**************************です。

また、この研究の実施について、当施設の責任者である XXXXX の許可を受けています。

許可番号#######

② 研究機関の名称及び研究責任者の氏名(他の研究機関と共同して研究を実施する場合には、共同研究機関の名称及び共同研究機関の研究責任者の氏名を含む。)

この研究は、次のような体制で実施されます。

研究機関:XXXXX病院

研究責任者:XXXXX

③ 研究の目的及び意義

この研究の目的は***********************です。

この研究の意義は***********************という点にあります。

④ 研究の方法(研究対象者から取得された試料・情報の利用目的を含む。)及び期間

あなたがこの研究に参加することに同意した場合、**********************ということを行って頂きます。

また、研究に参加する際には、次に示すスケジュールに従って来院や*****を行って頂きます。

あなたがこの研究に参加する期間は、同意日から数えて約MMヵ月です。

ただし、研究の途中で同意撤回が行われた場合は、同意撤回日があなたの研究参加終了日となります。

この研究には他にも参加者がいます。

この研究全体の終了予定日はYYYY年MM月DD日です。

⑤ 研究対象者として選定された理由

この研究の目的は***********************であり、その目的のために参加についての基準が設けられています。

あなたは研究参加の基準に当てはまると担当医師により判断されたため、この同意説明文書を読んで頂いています。

研究参加についての基準は、次の通りです。

  • XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
  • XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
  • XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
  • XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
  • XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
  • XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
  • XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
  • XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

⑥ 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益

この研究に参加する場合、*************ということを行って頂くため、通常の診療のみの場合に比べて、***********な面で手間がかかったり、心理的負担が発生する場合があります。

また、この研究に参加する場合、**********や***********に起因する不利益も考えられます。例えば、****************。

加えて、研究参加によって通常の診療のみの場合よりも来院頻度が増えるため、時間や金銭面での負担が増えることも考えられます。

⑦ 研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても随時これを撤回できる旨(研究対象者等からの撤回の内容に従った措置を講じることが困難となる場合があるときは、その旨及びその理由)

この同意説明文書を読んで同意欄に署名をした後でも、研究終了後Y年以内であれば同意を撤回することができます。

研究終了後Y年を超過すると、この研究を通じて収集された試料(血液など)は全て破棄され、収集された情報はあなたを特定できない状態に加工されてXXXXXというデータベースに移管されます。

そのため、同意撤回を使用としても、収集された試料はすでに破棄されており、収集された情報はすでにあなたの情報化どうかを特定できない状態になっているため、同意撤回ができなくなります。

同意撤回を希望する際には、この研究が終了してからY年以内に次の連絡先までご連絡ください。

連絡先

施設名:************

電話番号:************

⑧ 研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤回することによって研究対象者等が不利益な取扱いを受けない旨

この研究に参加することについて、同意しない場合でも、あるいは途中で同意を撤回した場合でも、同意しなかったことや同意撤回したことによる不利益を受けることは一切ありません。

⑨ 研究に関する情報公開の方法

この研究の情報は、臨床研究実施計画・研究概要公開システム(Japan Registry of Clinical Trials, jRCT)で公開されます。

また、原則として、研究結果は学術誌または学会を通じて発表されます。

⑩ 研究対象者等の求めに応じて、他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を入手又は閲覧できる旨並びにその入手又は閲覧の方法

あなたが希望する場合、この研究についての研究計画書や研究の方法に関する資料を閲覧することができます。

ただし、閲覧することによって研究の目的が達成できなくなる恐れがある部分は、希望されても閲覧できない場合がありますのでご理解ください。

また、閲覧時には指定された手順等をお守りいただく必要がありますので、ご協力をお願いします。

この研究についての研究計画書や研究の方法に関する資料の閲覧を希望する際には、次の連絡先までご連絡ください。

連絡先

施設名:************

電話番号:************

⑪ 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法、匿名加工情報又は非識別加工情報を作成する場合にはその旨を含む。)

この研究が正しく行なわれたかを確認するために、当病院の関係者や倫理審査委員会の担当者が、あなたの診療録などの記録を見ることがあります。

これらの人たちには、診療録などの記録の内容を外部に漏らさないことが義務付けられており、あなたのプライバシーに関する情報がこの研究の関係者以外に漏れることはありません。

なお、この同意文書に署名されますと、あなたの記録を見ることに了解を頂いたことになりますので、その点に納得できる場合にのみ署名してください。

この研究から得られたあなたの検査結果などは記録および保管され、学会の発表や医学雑誌の論文に提出する資料に記載され、公表・使用されることがあります。

ただし、いずれの場合でも、あなたの氏名は番号や記号で置き換えることによってわからないようにし、あなたのプライバシーに関わることが外部に漏れることは一切ありません。

⑫ 試料・情報の保管及び廃棄の方法

研究中、すべての試料・情報は施錠可能な場所で保管され、セキュリティに十分注意して取り扱われます。

また、あなたが同意撤回をしない限り、研究終了後Y年間は保管されます。

あなたが同意撤回した場合、あなたの試料・情報は同意撤回後速やかに廃棄されます。一度廃棄した場合、元に戻すことができませんのでご注意ください。

なお、研究終了後Y年を超過した段階で、この研究のために収集された試料は全て適切な方法で廃棄します。

一方、研究終了後Y年を経過した段階で、この研究のために収集された情報は、あなたを特定することができない情報に変換され、XXXXXXというデータベースに移管し保管されます。

XXXXXというデータベースに移管された後は、データベースの規定に従って保管され、保管期間もデータベースの規定に従うことになります。

そのため、研究終了後Y年を超過すると、あなたの情報を特定できないため、同意撤回ができなくなりますのでご注意ください。

⑬ 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

この研究は、株式会社XXXXXと当施設の間でこの研究に関する契約を締結し、受託研究として実施されます。

当施設は、この研究に関する契約に基づき、株式会社XXXXXから資金提供を受けます。

この研究を開始する前に、利益相反委員会による審査を受けており、管理および公表されています。

利益相反に関する情報は、ウェブサイト(https://*****************)からも確認できます。

⑭ 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

この研究の内容について、何か聞きたいことや心配なことがありましたら、研究担当医師または相談窓口におたずねください。

研究担当医師

XXXXX病院

研究責任医師:XXXXXX

研究分担医師:XXXXXX

電話番号:NNN-NNN-NNNN

相談窓口

XXXXX病院 XXXXXXセンター

電話番号:NNN-NNN-NNNN

⑮ 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

あなたがこの研究に参加される場合には、研究参加に伴う移動や、研究のために費やされる時間や労力の負担を軽減するため、研究参加のための来院1回につきXXXX円をお支払いいたします。

あなたの指定する銀行等の口座に、原則として来院の翌月末までに、1カ月分がまとめて振り込まれます。

なお、振込用に使えるご自身の銀行口座がない場合には、その旨をあらかじめ担当医までお伝えください。

また、何らかの事由によりこの負担軽減費の受け取りを辞退することもできます。

⑯ 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、他の治療方法等に関する事項

この研究に参加しない場合、保険診療下で選択できる治療のうち、あなたにとっていずれが最適かが検討され実施されます。

保険診療では、*****や*****、*****などの治療選択肢があります。

疾患の状態に応じて、経過観察といった判断がなされる場合もあります。

⑰ 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応

この研究で行われる医療行為は保険診療下で実施することができないため、研究終了後は、保険診療の範囲の治療に変更することになります。

研究終了と同時に治療方法が変わることによって、あなたの体調が変わる可能性も考えられます。

研究に参加するかしないかを考える際には、こうした点についても十分考えて判断して頂くようお願いします。

⑱ 研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い

この研究を通じて収集された遺伝子検査の結果をあなたにお伝えすることもできますが、あなたが知りたくない場合はお知らせしません。

この同意書の署名ページに、結果の開示に関するチェック項目がありますので、十分読んで理解した上で、結果の開示希望の有無の意思表明をお願いします。

結果の開示のチェック項目が空欄だった場合は、あなたが知りたくないという意思表明を行ったとみなして、結果を開示することをしません。

遺伝子検査結果の開示を希望する場合、遺伝カウンセラーによる説明や相談を希望することもできますので、担当医師または次の連絡先までご連絡ください。

特に連絡がない場合は、遺伝カウンセラーではなく担当医師による結果の開示や説明のみになる場合があります。

連絡先

施設名:************

電話番号:************

⑲ 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容

この研究に参加している間に、お体の調子がいつもと違ったり、持病が悪化するような感覚がありましたら、どんな些細なことでもすぐに担当者にお知らせください。

詳しいお話を伺ったり、適切な処置や治療などをおこなうことがあります。

また、健康被害が生じた際には、その健康被害に対する補償が受けられます。

ただし、あなたの故意により健康被害が生じた場合には、補償が受けられないことがありますのでご注意ください。

⑳ 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容

この研究のために収集された情報は、別の研究にも利用される場合があります。

あなたがこの同意説明文書に署名した場合、この研究のために収集された情報を、別の新たな研究に利用することに対しても同意したものとみなされますので、十分理解した上で署名してください。

この研究のために収集された情報を、別の新たな研究に利用する場合の利用目的は制限しませんが、利用する時点での適切な規制や指針に従って利用されます。

もしあなたの情報を使用してほしくない場合は、この研究終了後Y年以内に申し出てください。

研究終了後Y年を経過した段階で、あなたの情報はあなたを特定することができない状態に加工され、XXXXXというデータベースに移管されるため、同意撤回ができなくなります。

㉑ 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの場合には、研究対象者の秘密が保全されることを前提として、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者並びに倫理審査委員会が、必要な範囲内において当該研究対象者に関する試料・情報を閲覧する旨

この研究に関して、厚生労働省などによる調査が必要になった場合、あなたの個人情報や秘密を守りながら、調査のために必要な範囲に限ってカルテを始めとする試料・情報の閲覧が行われる場合があります。

そのような場合に、あなたの情報を閲覧する可能性があるのは、モニタリング業務の担当者、監査担当者、倫理審査委員会の担当者と、必要最低限の範囲に限られます。

なお、「厚生労働省などによる調査」は、本研究に関して重大な問題が発生した場合に行われるものです。

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