日本ではあまり普及していないかもしれませんが、「実装研究(implementation research)」という言葉はこれからその重要性が認知され始め、活性化していくことが想定されます。
一体どんなものなのか、少し見てみましょう。
実装研究は、行政による政策を含め、科学的な研究成果を実際の社会に当てはめるうえでの障害などを明らかにすることが主目的です。
基本的に、科学の努力は、研究の目的を達成するためにの試行的な研究の結果から得られた知識をもとに、どうやって社会全体に還元できるかが焦点となります。
試行的な研究では、得られた結果を広く適応可能、という点は議論されないことが常です。
※当然ながら、投資に対するリターンは注目されるべきですが、「学問の発展」という観点からは必ずしも常にリターンに重きを置かなければならないとは限りません。
インプリ(iimplementation)という言葉は、ビジネスシーンで使われることはたまにあります。「それってアイデアとしては面白いけれど、どうやってインプリするの?」のような使い方です。アイデアは面白いけど、実際の業務に落とし込もうとすると色んなハードルあるよね、という指摘時に使われることがあるでしょう。端的に言うと「机上の空論じゃないことを示せ」です。
実装研究も似たような文脈で発展してきた節があります。かっこよく表現するなら「科学的には非常に先進的かつ重要だが、実社会においてどの程度有用な知見なのか」でしょうか。科学の最新知見と、世の中のニーズのギャップを埋めないと、今の社会の仕組みに組み入れることは難しいぞ、ということです。
そもそも「実装研究」という概念そのものを独立させる必要があった、ということ自体が相当に重い事実です。学際的な知識と経験、人脈等が必要とされる分野なのでしょう。