倫理指針

生命科学・医学系研究 倫理指針 第2 用語の定義 ⑶ 介入

⑶ 介入

研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む。)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。)をいう。

人の健康に関する様々な事象

⑶の「人の健康に関する様々な事象」とは、個々の患者における傷病の状態のほか、共通する属性を有する個人の集合(コホート)における健康動向やある種の疾患の発生動向等を指す。

この指針中に例示している「健康の保持増進につながる行動」や「医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査」のほか、人の健康に関する事象に影響を与える要因で、その有無や程度を制御し得るものとして、例えば、看護ケア、生活指導、栄養指導、食事療法、作業療法等が考えられる。「健康の保持増進につながる行動」としては、適度な運動や睡眠、バランスの取れた食事、禁煙等の日常生活における行動が考えられる。

制御する

⑶の「制御する」とは、意図的に変化させ、又は変化しないようにすることを指す。傷病の治療方法、診断方法、予防方法その他、研究対象者の健康に影響を与えると考えられる要因に関して、研究計画書に基づいて作為又は無作為の割付けを行うこと(盲検化又は遮蔽化を行う場合を含む。)は、研究目的で人の健康に関する事象に影響を与える要因の有無又は程度を制御する行為であり、「介入」に該当する。割付けには、群間比較のため研究対象者の集団を複数の群に分けて行う場合のほか、対照群を設けず単一群(シングルアーム)に特定の治療方法、予防方法その他、研究対象者の健康に影響を与えると考えられる要因に関する割付けを行う場合も含まれる。

通常の診療を超える医療行為

⑶の「通常の診療を超える医療行為」とは、医薬品医療機器等法に基づく承認等を受けていない医薬品(体外診断用医薬品を含む。)又は医療機器(以下「未承認医薬品・医療機器」という。)の使用、既承認医薬品・医療機器の承認等の範囲(用法・用量、使用方法、効能・効果・性能)を超える使用、その他新規の医療技術による医療行為であって、臨床研究法(平成 29 年法律第 16 号)第2条第2項に規定する特定臨床研究に該当しないもの(以下「未承認医薬品・医療機器を用いる研究」という。)を指す。また、既に医療保険の適用となっているなど、医学的な妥当性が認められて一般に広く行われている場合にも、「通常の診療を超える医療行為」に含まれないものと判断してよい。なお、「介入」に該当するのは、「通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するもの」であり、通常の診療を超える医療行為のみをもって直ちに「介入」とする趣旨ではない。

「医療行為」には、患者を対象とする場合のほか、健康人を対象とする場合や、傷病の予防、診断及び治療を目的としない、例えば、美容形成や豊胸手術等、人体の構造機能に影響を与えることを目的とする場合も含まれる。通常の診療を超える医療行為を伴わない場合であっても、研究計画書に基づいて作為又は無作為の割付けを行う等、研究目的で人の健康に関する事象に影響を与える要因の有無又は程度を制御すれば、「介入」を行う研究となる。

治療方法を、研究目的で一定期間継続する

研究目的でない診療で従前受けている治療方法を、研究目的で一定期間継続することとして、他の治療方法の選択を制約するような行為は、研究目的で患者の傷病の状態に影響を与える要因の有無又は程度を制御するものであり、「介入」に該当する。

他方、例えば、ある傷病に罹患した患者について、研究目的で、診断及び治療のための投薬、検査等の有無及び程度を制御することなく、その転帰や予後等の診療情報を収集するのみであれば、前向き(プロスペクティブ)に実施する場合を含めて、「介入」を伴わない研究(観察研究)と判断してよい。

「侵襲」を伴わないが、「介入」には該当する

「介入」を行うことが必ずしも「侵襲」を伴うとは限らない。例えば、禁煙指導、食事療法等の新たな方法を実施して従来の方法との差異を検証する割付けを行う等、方法等が異なるケアの効果等を比較・検証するため、前向き(プロスペクティブ)に異なるケアを実施するような場合は、通常、「侵襲」を伴わないが、「介入」には該当する。

参照

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html

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