倫理指針

令和2年・3年改正個人情報保護法を踏まえた生命・医学系指針の見直しについて(取りまとめ)

令和3年 10 月 2 6 日
生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議
第124 回 科学技術部会
令和3年10月27日
参考資料2

目次

1.指針見直しの趣旨・背景

  • 個人情報保護委員会では、 個人情報の保護に関する国際的動向、情報通信技術の進展、それに伴う個人情報を活用した新たな産業の創出及び発展の状況等を勘案し、いわゆる3年ごと見直しを進め、 令和2 年6月に 、 個人 情報の保護に関する法律(以下「個情 法」という。)が改正され た。 また 、 国や地方のデジタル業務改革の推進に伴う個人情報の取扱い の一元的な監視監督体制の確立、官民や地域の枠を超えたデータ利活用の支障となり得る現行法制の不均衡・不整合の是正及び国境を越えたデータ流通の増加を踏まえた国際的な制度調和の必要性が向上したことを踏まえて、デジタル社会の形成を図るための関係法律 の整備に関する法律(令和3年法律第 37号)に より 、 令和 3 年 5 月に 、 学術研究に係る適用除外規定の見直し や 、個情法、行政機関個人情報保護法 及び 独立行政法人 等個人情報保護法の3本の法律 を 統合するとともに 、統合後の法律において地方公共団体の個人情報保護制度についても全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化する こと等の 内容を含む 法律が成立、 公布された 。
  • 個人情報の取扱いについては、 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 (以下「指針」という。 においても所要の規定が設けられていることから、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省による「 生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議 」(以下「合同会議」という。)を開催し、上記個人情報保護制度の見直し等を踏まえた指針の 見直しを行うこととしたもの。
  • なお、 過去の 合同会議での指摘事項からの積み残し課題については 、医療情報の活用の現状なども踏まえ、 引き続き 検討を行うこととした。

2.合同会議における見直し対象の指針

  • 人を対象とする 生命科学・ 医学系研究に関する倫理指針 (令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)

3.個情法の主な改正事項と検討事項

指針に関連する個情法の主な改正 事項 及び指針への反映事項は以下のとおり。

<個情法の主な改正事項及び指針への反映事項 (注 以下の表は 法と指針の正確な対応関係を示したものではない)>

個情法の主な改正事項 指針への反映事項 検討事項
①個人情報の定義等の統一 (令和3年改正)
  • 個人情報の定義等を国・民間・地方で統一 等
  • 個人に関する情報の用語(個人情報、匿名化等)の定義 の見直し
  • (1) の1)
②学術研究に係る適用除外規定について、義務ごとの例外規定として精緻化 (令和3年改正)
  • 民間部門の学術研究機関にも、安全管理措置等に関する義務については、他の民間事業者と同様の規律を課す
  • 学術研究機関等が 学術研究目的で個人情報を取り扱う場合に 関し 、①利用目的による制限、②要配慮個人情報の取得制限、③個人データの第三者提供の制限など の規律について 、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除き、 一定の 例外規定を置 く 等
  • 指針の適用範囲、指針における個人情報の管理主体
  • 令和3年改正法における学術例外規定の精緻化を受けたインフォームド・コンセント等の手続の見直し
    • ①新たに試料・情報 を取得して研究を実施する場合
    • ②自機関で保有する既存試料・情報を用いて研究を実施する場合
    • ③他の研究機関に既存試料・情報を提供する場合
    • ④既存試料・情報の提供を受けて研究を実施する場合
  • (1)の2) 、3)
  • (2)全体
  • (3)の3)、4)
③「仮名加工情報」 の 創設 、 個人関連情報の第三者提供規制(令和2年改正)
  • 氏名等を削除した「仮名加工情報」を創設し、内部分析に限定する等を条件に、開示・利用停止請求への対応等の義務を緩和
  • 提供元では個人データに該当しないものの、提供先において個人データとなることが想定される情報の第三者提供について、本人同意が得られていること等の確認を義務付け 等
  • 指針の対象となる情報の整理
  • 個人関連情報の位置づけ
  • (1)の1)
  • (3)の1)
④事業者の守るべき責務の在り方 、 個人の権利の在り方 (令和2年改正)
  • 漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれがある場合に、委員会への報告及び本人への通知の義務化
  • 違法又は不当な行為を助長する等の不適正な方法により個人情報を利用してはならない旨 の 明確化
  • 保有個人データの開示方法 について、電磁的記録の提供を含め、本人が指示できるようにす る 等
  • 個人情報の漏えい等の個人の権利義務を害するおそれのある場合の報告及び本人への通知 、個人情報の不適正な利用の禁止、本人による個人情報の開示請求・利用停止請求の各規定の見直し
  • (3)の5)、6)、7)

4.指針見直しの基本方針

  • 生命科学・医学系研究と個情法の関係 について、 令和3年 改正 法における学術例外の精緻化により、学術研究機関等が生存する個人に関する情報を取り扱う生命科学・医学系研究を行う場合であっても、法の規定の適用を受けることとなる(学術研究目的での個人情報の取扱いに関する例外規定も同時に措置)。
  • 学術例外 規定 の精緻化を受けた見直しの基本 的考え方として 、
    (1)改正法により法の規律が例外なく一律に適用されることとなった事項については 、法 の規定に従い 、当該 規律の適用を受ける。指針見直しの方針としては、指針の対象となる個人情報等の取扱いであって、例外なく法の規律を受けることとなった事項(安全管理措置、開示等)については、指針において法の規定を遵守する旨 の規定 を置く。
    (2)学術例外 規定の対象となる事項 については、 改正法により、学術研究機関等が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合等、一定の要件の下、本人の同意を不要とする等の例外規定が定められている 。この 例外規定に該当する取扱いについては 、指針の目的を踏まえ、指針独自の規定を設けることとする。
  • また、 改正法 において 、例外規定に該当する場合であっても、学術研究機関等において 個人情報等の適正な取扱いを確保するために必要な措置を自ら講じること等 が努力義務として求められている。 この点について、 各機関が 人を対象 と する生命・医学系研究における個人情報等の取扱い の 方針(自主規範)を 策定するにあたり、 各機関において は、 この 指針の規定を参照し て策定することが想定される 。
  • こうした 考え方に基づき 、 今般 の 指針 見直しにおいても、 指針の適用範囲、インフォームド・コンセント取得の手続 (以下「IC手続」という。 、 試料・情報の 取扱い 等 について、研究対象者の保護等の考え方も踏まえた 検討 を行 い、指針見直しの方向性を取りまとめ た 。

5.個情法の改正に伴う指針見直しの検討事項

(1)改正法を受けた指針の体系にかかる規定の見直し

1)個人に関する情報の用語(個人情報、匿名化等の定義)

① 論点
  • 「個人情報」 の定義について、法においては「特定の個人を識別することができるもの( 他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含 む。」とされている一方で 、現行指針においてはこれと異なる定義をしている 。
  • また、死者の個人 に関する情報に関して、法の定義と異なっている現行指針の「個人情報等」の定義についても見直す必要がある。
  • 現行指針に定義する「匿名化」は、「個人情報等について、特定の生存する個人又は死者を識別することができることとなる記述等(個人識別符号を含む。)の全部又は一部を削除すること(当該記述等の全部又は一部を当該個人又は死者と関わりのない記述等に置き換えることを含む。)」 とされており、元の個人情報への復元可能性や、他の情報との照合の容易性までは言及していない。 この点について、法では「匿名化」は用いられておらず、復元可能性や照合の容易性を踏まえて、匿名加工情報の作成、仮名加工情報の作成といった用語の用い方をしている。 現行の医学系指針において、個人情報の定義は個情法と異なっている。
  • 個人情報保護制度において用いられる用語を、指針において異なる定義で用いることは個情法の適用関係に紛れ等を生じさせるおそれがあるため適当ではなく、これらの用語について法との整合性を図り、整理し直す必要がある。
② 見直しの方向性
  • 指針上の生存する個人に関する情報についての用語は、法との整合性を図り、「個人情報等」を含め、法の用語の定義・用い方に合わせて整理し直すこととする。
  • 死者 の 情報については、指針に定義 規定を置くことはせず、指針の規定に準じて生存する個人に関する情報と同様の取扱いとする旨の規定を置くこととする 。
  • 「匿名化」の用語は用いず、匿名化されている情報については、改正個情法上の該当する各用語をあてるとともに、仮名加工情報及び匿名加工情報に該当しない加工された情報は個人情報として取り扱う。
  • 現行 指針上の「対応表」は、個情法上の「匿名加工情報」「仮名加工情報」の加工の方法や加工に係る削除情報等についての法の規定との対応関係が明確になるよう整理を行う。
  • なお、指針の「試料・情報」の定義について、試料に付随する情報は「情報」に含まれる旨をガイダンスにおいて解説を追加する。

2) 指針の適用範囲

① 論点
  • 既に匿名加工情報となっているもののみを用いた研究は、指針の対象外とされてきた 。一方、 改正 法における 学術例外規定の精緻化によって、匿名加工情報の取扱いに 係る規律に ついて、学術研究機関 等 による学術研究にも例外なく適用されることとなった ことを 踏まえ、 同研究 について も 指針の対象とすべきか否か。
② 見直しの方向性
  • 学術研究 機関等 以外の 者が行う 研究については、 令和 3年改正前後で匿名加工情報の取扱いに係る法の規定が変わるものでなく、また、法により例外なく個人の権利利益が保護されることを踏まえ、引き続き、既に匿名加工情報となって いるもののみを用いた研究を実施する場合は、指針対象外とすることとする。
  • なお、 特定の個人を識別できない試料・情報(既に作成された匿名加工情報を除く。)のみを用いる研究については、 以下の点を踏まえ、 指針の対象とすることとする。
    • 試料からは個人情報(個人識別符号に該当するゲノムデータ)を取得し得ること、 また、 情報を取得した機関において特定の個人と紐づけて用いることが想定され得ること
    • 特定の個人を識別できない情報については、既に作成されたものを除けば、従来から指針の対象とし、研究に用いることの倫理的・科学的妥当性を確認することを求めてきた経緯があり、指針の対象外とする際にはその影響含め て多方面からの慎重な検討が必要であること

3) 指針における 個人情報の管理主体

① 論点
  • 法においては、個人情報取扱事業者が個人情報を取得・保有し、個人情報の 取扱 いに関する義務を負 う こととされている 。 この点、 生命・医学系研究においては、 インフォームド・コンセント の取得・情報の取得の主体は研究者であるが、その情報の保有主体は当該研究者が所属する機関であることが想定される。
  • また、 生命・医学系研究において、 保有する情報を提供する主体としては、研究者と既存試料・情報の提供のみを行う者とがあり、保有する個人情報を研究で利用する主体としては、当該情報を保有する研究機関に所属する研究者、共同研究機関、研究に関する業務の一部を委託された者がある。
  • こうした点を踏まえて、 生命 ・医学系研究における情報の取扱いの主体について の 考え方の 整理が必要である。
② 見直しの方向性
  • 現行指針においては、
    ・研究実施における指針不適合の報告、情報等の保管に関する手順書の策定や監督について、研究機関の長の責務として規定していること
    ・既存試料・情報の提供のみを行う者が当該提供を行うにあたり、当該者が所属する機関の長による必要な体制や規程の整備、提供の許可が必要である旨規定していること
    を踏まえれば、指針においては、 研究が実施される研究機関の長又は既存試料・情報の提供のみを行う者が所属する機関の長が個人情報の管理にかかる措置、体制整備等について責任を負っているものと考えられる。
  • このことを踏まえ、 指針上、 生命・医学系研究における個人情報の管理に
    係る責任主体は、研究機関の長又は既存試料・情報の提供のみを行う者が所属する機関の長とする こととする 。
  • ま た、共同研究機関における個人情報の管理に係る責任は当該共同研究機関が負う(第三者としての位置づけ) こととする 。

(2) 令和3年 改正法における 学術例外規定の精緻化を受けた インフォームド・コンセント等の手続の見直し

  • 令和3年 改正法において 、 学術例外規定の精緻化がなされたことを受け、指針における IC手続 についても見直す必要 があり、 具体的には、指針の規定のうち法の適用を受ける規定を明確化し 見直しを行う 必要がある 。
  • 基本的な方針として、現行指針の考え方を 踏襲し、研究 の 実施に当たっては、原則 としてあらかじめインフォームド・コンセントの 取得を求める こととし、改正 法の規定に則して 見直し が必要な規定 については、 法 の規律 にあわせて指針の水準を高める。
  • また、 本人同意 にかかる 法 の 学術例外規定を踏まえ、指針 上の インフォームド・コンセント取得の原則の例外の在 り方について、 研究における試料・情報の取扱いにかかる現行指針の場合分け に即して検討を行った 。

1) 新たに試料・情報を取得して研究を実施する場合 (引き続き 、 オプトアウトによる新規の要配慮個人情報の取得を認めるか)

① 論点
  • 法 においては、 学術例外を含む例外規定 の適用がある場合 、要配慮個人情報 の 取得 に際して 、 本人の 同意を受けることを必要とせず、利用目的の本人への通知等のみが求められている。 この点について、 指針においては、引き続き、原則 本人の 同意の取得を求め、例外を認める場合は、引き続きオプトアウトによる取得を求めることが適切か について検討を行 った 。
  • また、オプトアウトによる取得 の 場合、 現在の オプトアウトの方法 (「通知又は公開」の方法)や 本人への通知等を行う事項( 法における 共同利用に係る通知・公表事項が含まれる) について 、現行の 在 り方が 適切か についても検討を行った 。
  • さらに、 指針の規定上、学術例外やその他の例外が適用されるか否かで書き分けが必要か について検討を行った。
  • 加えて、 研究協力機関が個人情報を取得し、研究者等へ提供する場合の個人情報の取扱いの位置づけを明確化し、 指針上 必要 な 手続を規定すべきか について検討を行った 。
② 見直しの方向性
  • 研究倫理の観点と現行指針の規定を踏まえ、法において本人同意を不要としている場合においても、指針においては 引き続き 研究対象者等の同意( インフォームド・コンセント )を得ることを原則と する。
  • 研究対象者からの要配慮個人情報の新規取得については、一律に原則 インフォームド・コンセント を取得することとし、一定の場合(例外規定が適用され、試料を用いない研究かつ研究の実施等について拒否する機会を保障する場合であって研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがない場合)に、 IC 手続 は適切な形で簡略化されることができるものと 規定 する 。
  • また、オプトアウトの考え方として、ガイダンスにおいては「研究対象者等が容易に知りうる状態に置く必要がある」としており、ホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲載等を例示しているが、 こ れで十分か については 引き続き検討 していくこととする。
  • 法における本人同意の例外規定を指 針 において 規定する際は、「学術研究」と「特段の理由」とに書き分けることとする。
  • 研究協力機関が個人情報を研究機関に対して提供する場合には、第三者に該当し、本人同意に基づいて提供を行うことを原則としつつ、第三者提 供に係る本人同意については研究機関が代理で取得すること や、 研究機関が個情法上の「委託」に相当する形で、試料・情報の取得を研究協力機関に委託すること は 許容 される ことと 整理 し 、その旨をガイダンスにおいて 解説 を追加する。

2) 自機関で保有する既存試料・情報を用いて研究を実施する場合 学術研究機関等 が学術研究目的で既存情報の利用目的を変更して自機関で利用をする場合、引き続きオプトアウトによる目的変更を認めるか

① 論点
  • 法の学術例外その他の例外規定が適用される場合、既存情報 の自機関利用における 利用目的の変更に際し、改めて 本人の 同意を受けることを必要としないが、変更後の利用目的の本人への通知等が求められている。 この点について、 指針において、引き続き、原則 として 同意の取得を求め、例外を認める場合は、オプトアウトによる利用目的変更を求めることが適切か について検討を行った 。
  • また、 既存情報が仮名加工情報である場合に ついて 、それが個人情報である場合は利用目的を公表している場合、またそれが個人情報でない場合、 IC手続 の要否をどうするか について検討を行った。
  • さらに、 指針の規定上、学術例外やその他の例 外が適用されるか否かで書き分けが必要かについて検討を行った。
② 見直しの方向性
  • 既存情報を用いて研究を実施する場合、ヘルシンキ宣言等においては、再利用に対する インフォームド・コンセント の取得 を求めているものの、例外的な場合も想定されている こと等を踏まえ、 学術例外やその他の例外規定が適用される場合であって、目的外利用する研究においては、引き続き、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、オプトアウトを許容(拒否機会は保障) することとする 。
  • 既存の個人情報である仮名加工情報の目的外利用については、法の規律により、変更された利用目的が公表されることをもって、 IC手続 を不要 とし、また、 個人情報でない仮名加工情報の目的外利用については、 IC手続 を不要と することとする 。
  • 法における本人同意の例外規定を指 針上で規定する際には、「学術研究」と「特段の理由」と に分けて 書き分けることとする。

3)他の研究機関に既存試料・情報を提供する場合

ア)学術研究機関等が学術研究目的で他の機関へ既存情報を提供する場合、引き続きオプトアウトによる提供を認めるか
① 論点
  • 個情法の学術例外においては、既存情報を学術研究機関等が学術研究目的で他の機関へ提供する場合、改めて同意を受けることを必要としないが、引き続き、指針においては 、 原則 として 同意の取得(例外としてオプトアウト)を求めることが適切かについて検討を行った 。
  • さらに、指針の規定上、学術例外やその他の例外が適用されるか否かで書き分けが必要かについて検討を行った。
② 見直しの方向性
  • 既存情報を学術研究目的で提供する場合、ヘルシンキ宣言においては、再利用に対する インフォームド・コンセント の取得 を求めているものの、例外的な場合も想定されている ことを踏まえ、 学術例外が適用される研究においては、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、オプトアウトを許容 することとする 。
  • 学術例外の適用に応じてオプトアウトが許容されるか否かが異なるため、提供主体の位置づけ(提供先と研究を実施するか否か)を踏まえた書き分けを することとする 。
イ)個人データの提供先が学術研究機関 等 である場合で、当該学術研究機関が学術研究目的で利用する場合、引き続き、オプトアウトによる提供を認めるか
① 論点
  • 法の学術例外においては、学術研究機関等が 既存情報を 学術研究目的で他の機関へ提供する場合、改めて同意を受けることを必要としないが、 指針においては 引き続き、 原則同意の取得(例外としてオプトアウト)を求めることが適切かについて検討を行った。
  • さらに、指針の規定上、学術例外やその他の例外が適用されるか否かで書き分けが必要かについて検討を行った 。
② 見直しの方向性
  • 既存情報を学術研究目的で提供する場合、ヘルシンキ宣言においては、再利用に対する インフォームド・コンセント の取得 を求めているものの、例外的な場合も想定されていることを踏まえ、学術例外が適用される研究においては、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、オプトアウトを許容することとする。
  • 学術例外の適用に応じてオプトアウトが許容されるか否かが異なるため、指針上、 提供主体の位置づけ(提供先と研究を実施するか否か)を踏まえた書き分けをすることとする。
ウ)学術研究機関等 が研究の成果を公表する場合等に、指針上、特段の手続を設けるべきか
① 論点
  • 法において学術例外が適用される場合は、学術研究の成果の公表等にかかる情報の提供について、特段の手続は課されていない が、 指針においては、研究成果の公表に際した情報の提供にかかる インフォームド・コンセント 等の手 続について規定すべきか検討を行った。
② 見直しの方向性
  • 指針上、特段の手続 規定 を設けることとはしないものとする 。
エ)オプトアウトにより取得した試料・情報について、 さらなるオプトアウトによる第三者提供を認めるか
① 論点
  • 現行指針においては、オプトアウトにより取得した試料・情報は、当該機関においては既存試料・情報という扱いになり、さらに他機関へ提供する際のオプトアウトも認められている が、法の 学術例外その他の例外規定が適用される場合、引き続き、オプトアウトにより取得した情報のオプトアウトによる提供を認めるかについて検討を行った。
② 見直しの方向性
  • 指針の対象となる研究における個人情報の取扱いにおいては、利用目的が研究に限定されていることが前提となる。また、当該研究における個人情報の取扱いが適正であるか、個人情報を 提供することにより当該個人情報を提供した研究対象者の権利利益を不当に侵害するおそれが生じることがないかも含めて、研究の倫理的・科学的妥当性について倫理審査委員会に審査されることとなる。
  • これらのこと を 、指針の下でオプトアウトによる取得・提供が繰り返され、個人情報を提供される研究対象者の権利利益を不当に侵害 されない ことを前提として、学術例外その他の例外規定が適用される場合においては、引き続き、オプトアウトにより取得した情報のオプトアウトによる提供を認め得ることと する が、個々の事案に即して 適切に 判断されるも のとする 。
オ)学術例外が適用される提供を行う場合において、法 の規定に 合わせ「困難な場合」の要件を不要とするか
① 論点
  • 指針においては、インフォームド・コンセント取得の全ての例外の適用にあたり 、研究対象者等から同意を受ける手続が困難であることを要件として規定しているが、引き続き、全ての例外の適用に対して、「 IC手続 が困難であること」を要件として求めるべきか について検討を行った 。
② 見直しの方向性
  • 他の研究機関に既存試料・情報の提供を行う場合、 現行指針の規定を踏まえ、 IC手続 が困難かつ「特段の理由」があるとき に はオプトアウト による提供を認めること とする。
  • また、学術例外 の適用がある場合 について は 、 オプトアウト手続が適正に行われることを条件に「 IC手続が困難であること 」を要件に課さないこととする。 ただし 、オプトアウトの考え方については、1)②にあるとおり、引き続き検討とされているところ、今般の見直しにおいては、引き続きIC手続が困難であることを要件として残すものとする。
カ)オプトアウトにより既存試料・情報を提供する際 に 研究対象者等へ通知し、又は公開する事項について、法 の 共同利用の 規定 に合わせる必要はないか
① 論点
  • 現行の 指針第8の1⑶ (他の研究機関に既存試料・情報を提供しようとする場合のインフォームド・コンセント) は、研究の実施に際し必要とされる既存試料・情報の提供に関する手続であり、その後の当該既存試料・情報を用いた研究の実施については、別に規定を設けているところ、利用する者の範囲、当該既存試料・情報の管理責任者についての通知等は必要か について検討を行った 。
② 見直しの方向性
  • 指針において、 改正法において追加された通知等事項を加え、利用する者の範囲、当該既存試料・情報の管理責任者については、通知等事項から削除すること とする 。
キ)ア)においてオプトアウトを認める場合、海外への第三者提供についても同様に認めるか
① 論点
  • 外国にある第三者に提供する場合、 現行 指針では 、 原則 として、 適切な同意を求めているものの、改正法で定められているような、提供先国の制度等についての情報提供等までは求めていない。 個情法上の第三者提供の例外(改正後の法 27 条 1 項各号)が適用される場合であっても、改正法第 28 条と同様の規律を適用した規定とするべきか について検討を行った 。
② 見直しの方向性
  • 外国にある第三者に提供する場合には、 引き続き、 現行指針の規定を維持し、 原則 として、 適切な同意を求め ることとする。
  • 個情法上の第三者提供制限の例外が適用される場合であっても、①本人の同意を得た場合、②基準適合体制を整備した事業者に対する提供である場合、③我が国と同等の水準国にある事業者に対する提供である場合 に限り提供できる こと と する 。 ② 、③に該当しない場合で、かつ、本人同意の取得が困難な場合にあっては、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、オプトアウトを許容 することとする 。
  • ①の場合には、改正法第 28 条第 2 項と同様、同意取得にあたり、外国の名称等の情報を本人に提供する必要があると する 。
  • ②の場合には、改正法第 28 条第 3 項と同様、相当措置の継続的な実施を確保するために必要な措置を講ずるとともに、本人の求めに応じて当該必要な措置に関する情報を本人に提供する必要があると する 。
  • これらの法改正に伴う新たな内容については 指針に規定し、 ガイダンスにおいて解説を追記する。
ク)学術研究を行う学術研究機関等 だけ、情報の提供に係る記録の作成を不要とするか
① 論点
  • 法においては、学術例外その他の第三者提供の制限の例外に該当する場合、個人データ の 提供に際して、提供に係る記録の作成は不要とされている。 一方、 指針においては、研究主体に関わらず、試料・情報の提供・取得に係る記録の作成を求めている。法に合わせて、学術例外その他の例外に該当する場合において は 、記録の作成を不要とするか について検討を行った 。
② 見直しの方向性
  • 現行指針においては、試料・情報の提供に関する記録の作成・保管は、不適切と考えられる試料・情報の流通が発生した際に事後的に流通経路を追跡できるようにすることを目的として おり、 研究公正の観点から、引き続き、同様の規定と する 。

4)既存試料・情報の提供を受けて研究を実施する場合

ア)学術研究目的で情報の第三者提供を受けた学術研究機関等は、当該提供に係る状況の確認を不要とするか
①論点
  • 法においては、学術例外その他の第三者提供の制限の例外に該当する場合、個人データの提供を受けるに際して、提供者の氏名や住所、当該個人データの取得の経緯について確認は不要とされている。 一方、 指針においては、研究主体に関わらず、試料・情報の提供・取得に係る記録の確認は同一としている。 法に合わせて、学術例外その他の例外に該当する場合においては、確認不要とすべきか について検討を行った。
②見直しの方向性
  • 偽りその他不正の手段により取得された試料・情報を生命科学・医学系研究に用いないことを確保する観点から 、引き続き、同様の規定 を維持すること と する 。
イ)学術研究目的で情報の第三者提供を受けた学術研究機関等は、当該提供に係る状況の公開を必要とするか
①論点
  • 法においては、個人情報のオプトアウトの際に、当該個人情報を提供する者は、提供される個人情報の項目等について本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くこととなっている。 また、 法における学術例外では、本人同意が不要とされている。 一方、 指針では、同意の取得の有無によらず、試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする者においても同様の項目を公開することとなって おり、 学術研究機関 等 における学術研究においては、公開を不要とするべきかについて検討を行った 。
②見直しの方向性
  • 研究倫理の観点と現行指針の規定を踏まえ研究機関の主体に関係なく、いつでも同意の撤回をする機会 を与えることが望ましいため、引き続き、同様の規定 を維持すること とする。

(3)その他

1)個人関連情報の位置づけ

①論点
  • 令和2年改正において設けられた個人関連情報にかかる取扱いについて、現行 指針においては、個人関連情報は、研究に用いる生存する個人に関する情報のうち、個人情報等に該当しないものに区分されるもの となり 、その取扱いについて明示的な規定はない 。この点、 個人関連情報の提供を受ける者が行う インフォームド・コンセントの 手続について、指針に規定を設けるか 、また、 個人関連情報の提供に関する本人同意の確認及び記録の作成について、既存試料・情報 を提供する者が行う必要がある手続として、指針に規定を設けるかについて検討を行った 。
②見直しの方向性
  • 個人関連情報 にかかる取扱いについて、以下の事項について 規定するとともにガイダンスにおいても 解説を追加することとする。
    • 第三者提供については、個情法上の取扱いに準じた取扱いとする 。 また、提供を受けた研究機関は、研究を実施するにあたっては、第8の1⑵(自らの研究機関において保有している既存試料・情報を用いて研究を実施しようとする場合のインフォームド・コンセント)の規定に 準じた IC 手続を求める。
    • なお、提供元と提供先との契約等により、提供先において個人関連情報を個人情報として利用しない旨が定められている場合には、原則として、 手続不要とする旨を解説する。
    • 個人関連情報の海外への提供 や 個人関連情報の提供に関する記録の作成については、 それぞれ関連の項目において取扱いについての解説を追加する 。

2)試料、死者情報の取扱い

ア)試料について
①論点
  • 現行 指針 上 IC手続 について、新たに試料・情報を取得して研究を実施する場合及び自らの研究機関で保有している既存試料・情報を用いて研究を実施する場合については、試料を用いるか否かで場合分け、更に新規取得の場合においては、要配慮個人情報を用いるか否かで場合分けをした規定としている。
    この点、 既存試料・情報の提供に係る手続については、海外提供を含め 、試料を提供するか否か、要配慮個人情報を提供するか否かといった点で 場合分けはしていない 。
  • 既存試料・情報の提供に係る IC手続 について、 指針上、 試料を提供するか否か、要配慮個人情報を提供するか否か で場合分けをすべきか について検討を行った 。
②見直しの方向性
  • 既存試料・情報の提供に係る 規定について 、 試料、要配慮個人情報を提供するか否かで場合分けし 、 IC手続 を規定すること とする 。また 、 その際、試料、要配慮個人情報を提供する場合は 、 原則 として インフォームド・コンセント を 取得 する。 試料、要配慮個人情報が提供されない場合は 、インフォームド・コンセント 又は 適切な同意を受けるものとし、学術研究、特段の理由による例外に該当する場合においてはオプトアウトによる提供を可とする。
イ)死者の情報について
①論点
  • 現行指針においては、生者 の 情報も死者 の 情報も区別することなく一括りに取り扱 うこととしているところ、 死者の情報の保護について、指針上どのように 位置づけるべき かについて検討を行った。
②見直しの方向性
  • 死者の情報の保護については、生存する個人の情報と同様に取り扱う旨を指針に 規定 を置き、各規定における考え方についてはガイダンスに おいて 示すことと する 。

3)現行指針第 9 章(個人情報等及び匿名加工情報)の取扱い

①論点
  • 民間部門における個人情報及び匿名加工情報の取扱いについては全て、改正前の 法では第 4 章に規定され、学術研究機関等が学術研究目的で取り扱う場合においては、同章の規定が包括的に適用除外とされていたことから、 現行 指針第 9 章において必要な規定を 置いて いた。 法改正 により 、 学術研究機関等が学術研究目的で取り扱う場合 であっても 例外なく適用を受けるものとして規定されている内容について、引き続き、指針に同様の規定を 置く べきか について検討を行った 。
②見直しの方向性
  • 個人情報及び匿名加工情報の取扱いに関して現行指針第 19 20 及び 21 に定められている内容は、法において例外規定は定められていないため、 指針から 削除すること とする。

4)公的部門における取扱い

①論点
  • 令和3年 改正法においては、 主体の属性として、 民間 事業者 、規律移行法人、行政機関等(国の行政機関及び独立行政法人等)の三 類型があるが、 現行 指針においては 、 「研究機関」の定義を分けて記載していないところ、 法に合わせて 三類型に分けて 指針上 記載する必要はあるか について検討を行った 。
② 見直しの方向性
  • 規律移行法人については、基本 的に 民間 部門 と 同じ規律が適用される が、①開示請求等に係る制度、②匿名加工情報(行政機関等匿名加工情報を含む。)の取扱い については、 国の行政機関等と同様の 規律 が適用されるところ 、 このことは 法定事項であることから、ガイダンス において 解説を追加する こととする 。
  • また、 例外なく法の規律の適用を受ける事項については 、 見直しの基本方針に従い、 指針に個別の規定を置かず、法を遵守する旨の規定を置くこととする。
  • 個人情報を取り扱う主体及び取り扱う内容によって法における本人同意の例外の根拠条文は異なるが、法の 例外規定の対象となる 取扱いについて、指針において インフォームド・コンセント 取得の例外又は インフォームド・コンセント 不要とする試料・情報の取扱いは、主体の区別なく同一とし 、指針の規定 上 は三類型に分けることはせず、主体の 類型により根拠条文が異なる旨 をガイダンスにおいて解説 することと する 。

5)個人情報の漏えい等の個人の権利義務を害するおそれのある場合の報告及び本人への通知

① 論点
  • 個人情報の漏えい等の場合の指針上の取扱いについて、以下の点について検討を行った 。
    • 研究の実施において個人情報の漏えいがあった場合に、個情委への報告対象となるもの、ならないものについて、それぞれ指針上の扱い(大臣報告の対象とするか否か)をどうするか。
    • 個情委への報告対象の漏えい等があった場合にとるべき措置、報告対象とならない漏えい等があった場合にとるべき措置について、指針に規定を設けるか。
    • 研究者等から委託を受けた者の個人情報の取扱いにおいて報告対象の漏えい等があった場合の手続をどうするか。例えば、委託 元に通知することを基本として指針に規定を設けるか。
    • 死者 の情報の漏えい等が あった場合の手続はどうすべきか。
② 見直しの方向性
  • 改正法において 一定の場合に義務化され た 委員会へ の 報告に 加えて 、 法の定める 報告基準に満たない漏えい等 についても 、 速やかに倫理審査委員会の意見を聴き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大であると 判断される場合には、指針上の 大臣報告 の 対象と する こととしてガイダンスに例示する 。
  • 個人情報の漏えいがあった場合に取るべき措置については、委託先における漏えいも含め、ガイダンスにおいて、 個情 法の規定やガイドラインの記載等を参照するよう解説する。
  • 死者の情報については、要配慮個人情報に相当する ゲノム 情報 等 の漏えいがあった場合等、親族への影響が否定されないときに指針不適合の報告対象とし、ガイダンスに例示 する 。

6)個人情報の不適正な利用の禁止

① 論点
  • 個人情報の不適正な利用の禁止 は、令和2年改正法において 新設された規定であり、現行指針に当該規定に相当するものはない が、 指針 上の取扱いについて、また、 死者に係る情報についても、改正 法の規定と同様の取扱いとするかについて検討を行った。
② 見直しの方向性
  • 同規律は、 個人情報を取り扱う 全ての 者に例外なく適用される ものであり 、指針には改めて記載 を せず、 指針上は 個人情報の取扱いについては 個情 法を遵守する旨記載し、本規定を含め法の規定を遵守すべき個人情報の取扱いについて、ガイダンスに記載する こ とと する 。 また、 死者の情報について は 、個人情報と同様に取扱い、 個情 法等の規定に準じて取り扱う旨 を 指針に規定する 。

7)本人による個人情報の開示請求・利用停止請求等

① 論点
  • 個人情報の利用停止等の要件や 特定の個人を識別できる試料・情報の提供停止の要件について、改正 法の規定と同様の取り扱いとするか 。 また、死者の情報の取扱いをどうするかについて検討を行った。
② 見直しの方向性
  • 同規律は、 個人情報を取り扱う 全ての 者に例外なく適用される ものであり、指針には改めて記載せず、個人情報の取扱いについては個情法を遵守する旨を 記載し、本規定を含め法の規定を遵守すべき個人情報の取扱いについて、ガイダンスに記載することと する 。
  • 試料の第三者への提供については、個人情報の利用停止請求と同様に、 指針に 個情法等の規定に準じて取り扱う旨を規定する。
  • 死者の情報の開示、利用停止については、研究対象者本人の生前の意思、名誉等を十分に尊重するものとした上で、その請求を行い得る者は、当該死者の情報が生存する個人に関する情報でもある場合の当該個人に加え、研究対象者の配偶者、子、父母及びこれに準ずる者とし、また、開示・利用停止に係る手続は、 個情 法等の規定に準ずる手続を規定することを求める旨を ガイダンスにおいて解説する 。

8)経過措置(改正指針の施行日) 等

① 論点
  • 指針の経過措置 (施行日)等について検討を行った 。
② 見直しの方向性
  • 改正法の施行日である令和4年4月1日を改正指針の施行日 と する。 改正指針の施行の際現に 改正 前の疫学研究に関する倫理指針、臨床研究に関する倫理指針、ゲノム指針又は医学系指針の規定により実施中の研究については、なお従前の例によることができることとする 。
  • ただし、この場合においても 、令和4年4月1日に施行される個人情報保護関連法令及びガイドラインの遵守を前提とする。

6.今後の検討課題

  • 本合同会議においては、個情法の改正を受け 、法の施行スケジュール等の状況に鑑み、 見直すべき 関連の事項 について 優先して検討を進めた。
  • それ以外の検討事項については、引き続き 検討 を行うべきものとして、今回の指針改正後、 研究現場に配慮しつつ、社会情勢の変化、医学研究等の進展等諸状況の変化に迅速に対応す る観点から 、機を逸することがないよう 本合同会議において 検討を 行い 、 必要に応じ て 指針 の 見 直しを行うことが望ま れる 。

(参考)生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等 に関する合同会議の開催について

※第1回合同会議配布時点

1.背景・目的

医学系研究等に係る倫理指針については、令和3年3月23日付けで「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」及び「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を廃止、これらを統合した「人を対象とする生命科学・医学系研究に関
する倫理指針」(以下「生命・医学系指針」という。)が新たに制定されたところ。

一方で、現在、個人情報保護制度の見直しが進められており、令和2年6月に個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)が改正(公布日から2年以内に完全施行)され、更には、学術研究に係る適用除外規定の見直しや、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の3本の法律の統合、統合後の法律において地方公共団体の個人情報保護制度についても全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化する等の改正案(地方公共団体に係る規定を除き、公布後1年以内に施行予定)が国会審議中である。

個人情報の取扱いについては、生命・医学系指針においても所要の規定が設けられていることから、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省による「生命・医学系研究に係る倫理指針に関する合同会議」※(以下「合同会議」という。)を開催し、上記個人情報保護制度の見直し等を踏まえた当該指針の検討を行う。

※「人を対象とする医学系研究等の生命倫理に関する専門委員会」(文部科学省科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会)、「医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会(仮称)」(厚生労働省厚生科学審議会科学技術部会)、「遺伝子治療等臨床研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会」(厚生労働省厚生科学審議会再生医療等評価部会)及び「個人遺伝情報保護ワーキンググループ」(経済産業省産業構造審議会商務流通情報分科会バイオ小委員会)の合同開催。

2.運営方法

合同会議の運営については、以下のとおりとする。

(1)合同会議の座長について

  • 座長は、委員の互選により選任する。
  • 座長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(2)タスク・フォースの設置について

  • 特定の事項を調査・検討するため、合同会議の下にタスク・ フォースを置くことができる。
  • タスク・フォースの委員及びタスク・フォースの座長は、合同会議の座長が指名する。タスク・フォースの座長は、調査・検討の経過及び結果を合同会議に報告するものとする。

(3)議事及び会議資料の公開について

  • 合同会議の議事及び会議資料は、原則として公開とする。ただし、審議の円滑な実施に影響が生じるものとして、議事及び会議資料を非公開とすることが適当であると合同会議が認める案件を調査審議する場合は、非公開とする。
  • タスク・フォースを設置する場合、その議事は率直かつ自由な意見交換を確保するため原則として非公開とし、会議資料及び議事概要を会議後速やかに公表する。ただし、タスク ・ フォース座長が特に必要と認めるときは、会議資料及び議事概要の一部を公表しないものとすることができる。

(4)その他

  • 合同会議及びタスク・フォースの運営に関し(1)~(3)以外に必要な事項は、それぞれ座長が合同会議に諮って定めることとする。

参照

-倫理指針

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