倫理指針

生命科学・医学系研究 倫理指針 第2 用語の定義 (24) から (27)

(24) 個人情報

生存する個人に関する情報であって、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。

① 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。(26)②において同じ。)で作られる記録をいう。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)

② 個人識別符号が含まれるもの

(24)の「個人情報」については、以下のいずれかに該当するものはこの指針に規定する「個人情報」に該当する。

① 情報単体で特定の個人を識別することができるもの(本人の氏名、顔画像等)

② 情報単体で特定の個人を識別することはできないが、他の情報と照合することで特定の個人を識別することができるもの

③ 個人識別符号が含まれるもの((26)の解説を参照。)

①及び③については、その該当性の判断において機関ごとの相対性を認めない概念であるが、②は照合することができる他の情報の範囲等が機関ごとに異なるため、機関ごとの相対性を認め得るものである。すなわち、この指針にいう「個人情報」に該当するか否かは、前記②で照合することができる他の情報の範囲によって異なることを踏まえ、各機関の実情に合わせて判断する必要がある。「他の情報と照合することができ」については、後段の解説を参照。

(24)の「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等」は、「個人情報」の一部分であって、これらだけが「個人情報」であるとすることは適当でない。「その他の記述等」としては、住所、年齢、性別、電話番号、保険証番号、診療録番号等が挙げられる。また、顔写真等の映像や音声記録も、それによって特定の個人を識別することができることとなる場合には、この指針にいう「個人情報」(故人である場合には「個人情報等」)に含まれる。

(24)の「特定の個人を識別することができる」とは、情報単体又は複数の情報を組み合わせて社会通念上そのように判断できるものをいい、一般人の判断力又は理解力をもって生存する具体的な人物と情報の間に同一性を認めるに至ることができるかどうかによるものである。

(25) 個人情報等

個人情報に加えて、個人に関する情報であって、死者について特定の個人を識別することができる情報を含めたものをいう。

(25)の「個人情報等」とは、(24)の「個人情報」に加え、死者について特定の個人を識別することができる情報を含めたものを指す。なお、個人情報保護法の「個人情報等」は「個人情報又は匿名加工情報」を意味しており、この指針に定める「個人情報等」とは異なる。

(24)の「個人情報」及び(25)の「個人情報等」は、⑸の「研究に用いられる情報」であって匿名化されていないものだけでなく、例えば、代諾者等からインフォームド・コンセントを受けた場合における当該代諾者等の氏名、続柄、連絡先等のように、⑸の「研究に用いられる情報」でない場合もあり得る。また、⑸の「研究に用いられる情報」のうち、例えば、傷病の家族歴について研究対象者から聴取した場合における、研究対象者Aさんの母方の祖母の病歴といったように、その氏名等の記述が含まれていなくても、特定の個人(上記の例では、Aさんの母方の祖母)を識別することができるものは、「個人情報」(故人である場合は「個人情報等」)に含まれる。

(24)及び(25)の「個人に関する情報」とは、氏名、住所、性別、生年月日、顔画像等個人を識別する情報に限られず、個人の身体、財産、職種、肩書等の属性に関して、事実、判断、評価、個人の内心、外観、活動等を表す全ての情報であり、評価情報、公刊物、インターネット等によって公にされている情報や、映像、音声による情報も含まれ、暗号化等によって秘匿化されているかどうかを問わない。

(26) 個人識別符号

次に掲げるいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、個人情報の保護に関する法律施行令(平成15 年政令第507 号)その他の法令に定めるものをいう。

① 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの

② 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの

 

(26) の「個人識別符号」とは、当該情報単体から特定の個人を識別することができるものとして個人情報の保護に関する法律施行令(平成15 年政令第507 号)に定められた文字、番号、記号その他の符号をいい、これに該当するものが含まれる情報は個人情報となる。

「① 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの」については、次に掲げる身体の特徴のいずれかを電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、特定の個人を識別することができる水準が確保されるよう、適切な範囲を適切な手法により電子計算機の用に供するために変換されたものが、個人識別符号に該当する。

  1. (1)細胞から採取されたデオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配列ゲノムデータ(細胞から採取されたデオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配列を文字列で表記したもの)のうち、全核ゲノムシークエンスデータ、全エクソームシークエンスデータ、全ゲノム一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)データ、互いに独立な40 箇所以上のSNP から構成されるシークエンスデータ、9 座位以上の4 塩基単位の繰り返し配列(short tandem repeat:STR)等の遺伝型情報により本人を認証することができるようにしたもの
  2. (2)顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状によって定まる容貌
  3. (3)虹彩の表面の起伏により形成される線状の模様
  4. (4)発声の際の声帯の振動、声門の開閉並びに声道の形状及びその変化によって定まる声の質
  5. (5)歩行の際の姿勢及び両腕の動作、歩幅その他の歩行の態様
  6. (6)手のひら又は手の甲若しくは指の皮下の静脈の分岐及び端点によって定まるその静脈の形状
  7. (7)指紋又は掌紋
  8. (8)上記(1)から(7)の組合せ

また、「② 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの」については、次に掲げるものが個人識別符号に該当する。

  1. (1)パスポートの番号 (旅券法(昭和26 年法律第267 号)第6 条第1 項第1 号の旅券の番号)
  2. (2)基礎年金番号 (国民年金法(昭和34 年法律第141 号)第14 条に規定する基礎年金番号)
  3. (3)運転免許証の番号 (道路交通法(昭和35 年法律第105 号)第93 条第1 項第1 号の免許証の番号)
  4. (4)住民票コード (住民基本台帳法(昭和42 年法律第81 号)第7 条第13 号に規定する住民票コード)
  5. (5)マイナンバー (行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25 年法律第27 号)第2 条第5 項に規定する個人番号)
  6. (6)次に掲げる証明書にその発行を受ける者ごとに異なるものとなるように記載された個人情報保護委員会規則で定める文字、番号、記号その他の符号
    • 国民健康保険の被保険者証 (国民健康保険法(昭和33 年法律第192 号)第111条の2 第1 項第2 項に規定する保険者番号及び被保険者記号・番号)
    • 後期高齢者医療制度の被保険者証 (高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80 号)第161 条の2 第1 項に規定する保険者番号及び被保険者番号)
    • 介護保険の被保険者証 (介護保険法(平成9 年法律第123 号)第12 条第3 項に規定する保険者番号及び被保険者番号)
  7. (7)その他(1)から(6)に準ずるものとして個人情報保護委員会規則で定める文字、番号、記号その他の符号

個人識別符号に関する詳細な定義については、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(平成28 年個人情報保護委員会告示第6号)(以下「個情法ガイドライン(通則編)」という。)等を参照すること。

(27) 要配慮個人情報

本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する記述等が含まれる個人情報をいう。

(27) の「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものが含まれる個人情報をいい、具体的には次の(1)から(11)までの記述等が含まれる個人情報をいう。ただし、次の(1)から(11)までに掲げる情報を推知させる情報にすぎないもの(例:宗教に関する書籍の購買や貸出しに係る情報等)は、要配慮個人情報には含まない。

  1. (1)人種
  2. (2)信条
  3. (3)社会的身分
  4. (4)病歴
    病気に罹患した経歴を意味するもので、特定の病歴を示した部分(例:特定の個人ががんに罹患している、統合失調症を患っている等)が該当する。
  5. (5)犯罪の経歴
  6. (6)犯罪により害を被った事実
  7. (7)身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の個人情報保護委員
    会規則で定める心身の機能の障害があること
    次の①から④までに掲げる情報をいう。この他、当該障害があること又は過去にあったことを特定させる情報(例:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17 年法律第123 号)に基づく障害福祉サービスを受けていること又は過去に受けていたこと)も該当する。

    • ① 「身体障害者福祉法(昭和24 年法律第283 号)別表に掲げる身体上の障害」があることを特定させる情報
    • ② 「知的障害者福祉法(昭和35 年法律第37 号)にいう知的障害」があることを特定させる情報
    • ③ 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25 年法律第123 号)にいう精神障害(発達障害者支援法(平成16 年法律第167 号)第2 条第2 項に規定する発達障害を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害を除く。)」があることを特定させる情報
    • ④ 「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第4 条第1 項の政令で定めるものによる障害の程度が同項の厚生労働大臣が定める程度であるもの」があることを特定させる情報
  8. (8)本人に対して医師その他医療に関連する職務に従事する者((9)において「医師等」という。)により行われた疾病の予防及び早期発見のための健康診断その他の検査((9)において「健康診断等」という。)の結果
    疾病の予防や早期発見を目的として行われた健康診査、健康診断、特定健康診査健康測定、ストレスチェック、遺伝子検査(診療の過程で行われたものを除く。)等、受診者本人の健康状態が判明する検査の結果が該当する。
    具体的な事例としては、労働安全衛生法(昭和47 年法律第57 号)に基づいて行われた健康診断の結果、同法に基づいて行われたストレスチェックの結果、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57 年法律第80 号)に基づいて行われた特定健康診査の結果などが該当する。また、法律に定められた健康診査の結果等に限定されるものではなく、人間ドックなど保険者や事業主が任意で実施又は助成する検査の結果も該当する。さらに、医療機関を介さないで行われた遺伝子検査により得られた本人の遺伝型とその遺伝型の疾患へのかかりやすさに該当する結果等も含まれる。なお、健康診断等を受診したという事実は該当しない。
    なお、身長、体重、血圧、脈拍、体温等の個人の健康に関する情報を、健康診断、診療等の事業及びそれに関する業務とは関係ない方法により知り得た場合は該当しない。
  9. (9)健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により心身の状態の改善のための指導又は診療若しくは調剤が行われたこと
    健康診断等の結果、特に健康の保持に努める必要がある者に対し、医師又は保健師が行う保健指導等の内容が該当する。
    指導が行われたことの具体的な事例としては、労働安全衛生法に基づき医師又は保健師により行われた保健指導の内容、同法に基づき医師により行われた面接指導の内容、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき医師、保健師、管理栄養士により行われた特定保健指導の内容等が該当する。また、法律に定められた保健指導の内容に限定されるものではなく、保険者や事業主が任意で実施又は助成により受診した保健指導の内容も該当する。なお、保健指導等を受けたという事実も該当する。
    「健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により診療が行われたこと」とは、病院、診療所、その他の医療を提供する機関において診療の過程で、患者の身体の状況、病状、治療状況等について、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者が知り得た情報全てを指し、例えば診療記録等がこれに該当する。また、病院等を受診したという事実も該当する。
    「健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により調剤が行われたこと」とは、病院、診療所、薬局、その他の医療を提供する機関において調剤の過程で患者の身体の状況、病状、治療状況等について、薬剤師(医師又は歯科医師が自己の処方箋により自ら調剤する場合を含む。)が知り得た情報全てを指し、調剤録、薬剤服用歴、お薬手帳に記載された情報等が該当する。また、薬局等で調剤を受けたという事実も該当する。
    なお、身長、体重、血圧、脈拍、体温等の個人の健康に関する情報を、健康診断、診療等の事業及びそれに関する業務とは関係のない方法により知り得た場合は該当しない。
  10. (10)本人を被疑者又は被告人として、逮捕、捜索、差押え、勾留、公訴の提起その他の刑事事件に関する手続が行われたこと(犯罪の経歴を除く。)
  11. (11)本人を少年法(昭和23 年法律第168 号)第3 条第1 項に規定する少年又はその疑いのある者として、調査、観護の措置、審判、保護処分その他の少年の保護事件に関する手続が行われたこと
    なお、研究で用いる試料・情報に(1)から(11)までの記述等が含まれることのみをもって「要配慮個人情報」に該当するものではなく、当該試料・情報が特定の個人を識別することができないものである場合は、当該試料・情報は「要配慮個人情報」には該当しないことに留意すること。また、個人識別符号に該当するゲノムデータに遺伝子疾患、疾患へのかかりやすさ、治療薬の選択に関するものなどの解釈を付加し、医学的意味合いを持った「ゲノム情報」は、要配慮個人情報に該当する場合があることに留意すること。

要配慮個人情報に関する詳細な定義については、個情法ガイドライン(通則編)等を参照すること。

参照

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html

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