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医療ビッグデータとEBMの基本
そもそも医療ビッグデータって何?
医療ビッグデータとは、単に医療分野における大規模なデータ群を指すのではなく、多様な情報源から生成される構造化および非構造化の健康関連情報を統合した複雑なエコシステムを意味します。これらのデータは、個人の健康状態から集団全体の疾病動向までを多角的に分析するための基盤となります。
医療ビッグデータを構成する主要な情報源は多岐にわたります。具体的には、電子カルテ(EHR)、CTやMRIなどの医療画像、臨床試験データ、ウェアラブルデバイスから収集される個人の活動量や心拍数といったデータ、ゲノム情報、そして医療費請求のために医療機関から保険者に提出される診療報酬明細書(レセプト)などが含まれます。特に日本では、2011年より原則として全てのレセプトの電子化が義務付けられており、これが全国規模での診療データを蓄積する上で極めて重要な基盤となっています。
これらのデータは、その性質から大きく三つに分類できます。第一に、病院や診療所で生成される「臨床データ」、第二に、保険者が保有するレセプトを中心とした「クレームデータ」、そして第三に、個人がウェアラブルデバイスや健康管理アプリを通じて生成・管理するパーソナルヘルスレコード(PHR)に代表される「リアルワールドデータ(RWD)」です。
医療ビッグデータの真価は、個々のデータソースを独立して利用することにあるのではなく、これら断片化された情報を統合し、患者の生涯にわたる健康状態の変遷(ペイシェントジャーニー)を追跡可能にすることにあります。例えば、ある患者の病院での臨床データ(診断、処方)、保険者への請求情報(クレームデータ)、そして日常生活における健康データ(PHR)を連携させることで、より包括的で精度の高い分析が可能となります。後述するメディカル・データ・ビジョン(MDV)とDeNAの戦略的提携は、まさにこのデータ統合による価値創出を目的とした先進的な取り組みです 3。
EBMってどういう考え方?ビッグデータが果たす役割
根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine, EBM)とは、「良心的で、明確かつ賢明な、現時点で最善の根拠の活用」を通じて個々の患者に関する意思決定を行う医療アプローチです。これは、医師個人の経験や主観的な判断に過度に依存するのではなく、客観的な科学的根拠に基づいて最適な治療法を選択することを目的とします。EBMの実践は、医療の質の標準化、患者の保護、そして治療効果の最大化に貢献します。
医療ビッグデータは、このEBMの理念を現代の技術で具現化するための不可欠な要素となっています。従来、EBMの「根拠」は主に出版された臨床試験の論文などに限定されていました。しかし、ビッグデータ解析技術の登場により、数百万から数千万人規模の実世界の診療データ(RWD)を解析し、これまで見過ごされてきた治療効果の傾向、副作用のリスク、特定の患者群における薬剤の有効性などを明らかにすることが可能になりました。これにより、より現実に即した、強力な「根拠」を大量に創出できるようになったのです。
市場の成長を牽引する要因の一つとして、従来の出来高払い制度から、治療成果に基づいて報酬が支払われる価値に基づく医療(Value-Based Care)への移行が挙げられます。この新しいモデルでは、治療の有効性を客観的なデータで証明する必要があるため、ビッグデータ解析の需要が必然的に高まります。このように、医療ビッグデータは、EBMという数十年来の医療哲学を、技術的に実現可能にし、さらに発展させるための強力なエンジンとして機能しています。
EBMが抱える現代の悩みごと
EBMは医療の質を向上させる強力なパラダイムですが、万能ではなく、現代において深刻な課題に直面しています。皮肉なことに、これらの課題は、ビッグデータとAIが解決策を提供すると同時に、新たな複雑性を生み出す原因ともなっています。
第一の課題は「情報過多」です。臨床医がEBMを実践するためには、最新かつ最善の科学的根拠を常に把握している必要があります。しかし、医学研究の量は爆発的に増加しており、ある報告によれば、医学知識の総量は3ヶ月未満で倍増し、2024年1月だけで19万件以上の論文が発表され、そのうち2,390件が臨床試験であったとされています。このような情報洪水のなかで、一人の臨床医が全ての関連研究を評価し、診療に活かすことは物理的に不可能に近いのです。これは、EBMの理想と現実との間に深刻な乖離を生じさせています。
第二に、「根拠」の質と適用範囲に関する問題があります。EBMでは、ランダム化比較試験(RCT)が「ゴールドスタンダード」と見なされる傾向が強いです。しかし、生命維持治療や外科手術のように、倫理的・実践的な理由からRCTの実施が困難な医療介入も少なくありません。また、貧困や生活環境といった社会的要因が複雑に絡み合う疾患に対して、管理された環境下でのRCTの結果をそのまま適用することは難しい場合があります。
第三に、集団を対象とした研究から得られる「平均的な」エビデンスを、多様な背景を持つ「個々の」患者にどう適用するかという根本的な問題が存在します。EBMは、患者個人の価値観、特有の病態生理、そして臨床医の経験知といった要素を十分に組み込むことが難しい場合があり、時に画一的な医療につながる危険性を指摘されています。
これらのEBMが直面する課題、特に情報過多という認知・物流上の限界は、医療AIの必要性を直接的に示唆しています。AIは単なる業務効率化ツールではなく、人間が処理しきれない膨大な情報を統合・分析し、EBMの実践を支援するための不可欠なソリューションとして登場しました。臨床意思決定支援システムやAIによる文献レビューは、情報過多の問題に対する直接的な回答です。しかし、この解決策は、後述するアルゴリズムのバイアスや透明性の欠如といった、新たな倫理的・技術的課題を提起することにもなります。
急成長中!医療ビッグデータ市場の今と未来
世界の市場はどれくらい大きい?驚きの成長率
世界の医療ビッグデータおよびアナリティクス市場は、力強い成長軌道に乗っており、今後10年間にわたり二桁成長を維持すると予測されています。複数の調査機関が若干異なる数値を公表していますが、その成長性の高さについては見解が一致しています。
市場調査レポート間の数値の差異は、調査対象とする市場の定義(例:「医療ビッグデータ市場」と「ヘルスケアアナリティクス市場」の違い)や、算出方法論に起因します。しかし、いずれの報告も年平均成長率(CAGR)が11%から22%という非常に高い水準にあることを示しており、この分野への投資と期待がいかに大きいかを物語っています。以下の表は、主要な調査機関による市場規模予測を比較したものです。
表1: 世界の医療ビッグデータ・アナリティクス市場規模予測の比較
調査機関 | 調査対象市場の定義 | 基準年・市場規模 | 予測年・市場規模 | 年平均成長率(CAGR) |
IMARC Group | ヘルスケアビッグデータアナリティクス | 2024年: 468億米ドル | 2033年: 1,235億米ドル | 11.28% (2025-2033) |
Straits Research | ヘルスケアにおけるビッグデータ | 2024年: 507億米ドル | 2033年: 1,454億米ドル | 16.70% (2025-2033) |
Towards Healthcare | ヘルスケアにおけるビッグデータアナリティクス | 2024年: 406億米ドル | 2034年: 1,910億米ドル | 16.73% (2025-2034) |
The Business Research Company | ビッグデータヘルスケア | 2025年: 340億米ドル | 2029年: 761億米ドル | 22.3% (2025-2029) |
SNS Insider | ヘルスケアにおけるビッグデータ | 2023年: 686億米ドル | 2032年: 2,834億米ドル | 16.78% (2024-2032) |
PharmiWeb.com | ヘルスケアアナリティクス | 2022年: 338億米ドル | 2030年: 1,523億米ドル | 20.70% (予測期間) |
この表から明らかなように、市場は今後10年間で3倍から4倍に拡大する見込みであり、医療分野におけるデータ活用の重要性が急速に高まっていることがわかります。
日本市場ならではの特徴とこれからの予測
日本市場もまた、世界的な潮流と同様に、あるいはそれを上回る勢いで拡大すると予測されています。日本の市場成長には、世界共通の要因に加え、日本特有の社会構造が大きく影響しています。
富士経済グループの調査によると、日本の医療ビッグデータ市場は2025年に120億円規模に達し、そのCAGRは約15%と、世界の成長率を凌駕する可能性があるとされています。さらに、市場の中でも特に「医療ビッグデータの二次利用ビジネス」というセグメントに焦点を当てた調査では、2024年比で83.2%増の350億円に達すると予測されています。この「二次利用」とは、製薬企業のマーケティング支援や創薬研究、保険会社のサービス開発などを目的として、匿名加工された医療データをデータベースとして提供するビジネスモデルを指します。この分野の高い成長予測は、まさにJMDCやMDVといったデータアグリゲーター企業の事業モデルの将来性を示唆しています。
日本市場の成長を後押しする特有の要因としては、第一に世界で最も進行した「超高齢社会」があります。これにより医療需要が増大し続けていること。第二に、質の高いデータが比較的得やすい「国民皆保険制度」の存在。そして第三に、政府主導による「医療分野のデジタル化推進」、特にレセプトの電子化義務付けが、データ蓄積の確固たる基盤となっている点が挙げられます。これらの要因が組み合わさることで、日本は医療ビッグデータ活用において世界的に見てもユニークで有望な市場となっています。
なぜ市場はこんなに伸びているの?4つの大きな理由
世界および日本の医療ビッグデータ市場の急拡大は、複数の強力な要因が相互に作用し合うことで生まれています。
- 電子カルテ(EHR)の普及: EHRの導入率向上は、市場成長の最も基本的な駆動力です。EHRは、日々の診療活動を通じて膨大かつ詳細な臨床データを継続的に生成し、解析可能なデータの源泉となっています 1。
- 価値に基づく医療(Value-Based Care)への移行: 治療の「量」ではなく「質」や「成果」に対して報酬が支払われるこのモデルは、医療費の抑制と患者アウトカムの向上を目指します。この移行は、治療効果を客観的データで測定・証明するためのアナリティクス需要を直接的に喚起します。
- テクノロジーの進化: 人工知能(AI)、機械学習(ML)、予測分析といった技術の飛躍的な進歩が、従来は不可能だった高度なデータ解析を可能にし、新たな医療サービスの創出と需要拡大を促しています 1。
- ウェアラブルデバイスとIoTの浸透: スマートウォッチや健康管理デバイスの普及は、個人の健康状態に関するリアルタイムのデータストリームを生み出しています。これにより、遠隔患者モニタリングや個別化された予防医療への道が開かれ、データ解析の新たなフロンティアとなっています。
これらの要因は、強力な自己強化型の成長サイクルを形成しています。例えば、米国におけるHITECH法のような政府の政策がEHRの導入を促進し、価値に基づく医療への移行を後押しすることで、ヘルスデータに対する「需要」が創出されます。一方で、テクノロジー業界が提供するAI、クラウド、IoTといった革新的な技術が、そのデータを解析するためのツールの「供給」を担います。この政策主導の需要と技術主導の供給の合流が、市場の持続的な成長を確固たるものにしています。
市場を細かく見てみよう!どんな分野が伸びている?
市場をより詳細に理解するためには、その構成要素(セグメント)ごとの動向を分析することが有効です。
- コンポーネント別: 市場は主に「ハードウェア」「ソフトウェア」「サービス」の3つに分類されます。2024年時点では、データストレージなどのハードウェアが大きなシェアを占めていますが、将来的には分析ツールなどのソフトウェア部門が最も速い成長を遂げると予測されています。
- アプリケーション別: 主な用途として「臨床分析」「財務分析」「業務・管理分析」があります。現状では、治療効果の分析や創薬研究といった臨床分析が市場を支配していますが、今後は病院経営の効率化や資源配分の最適化を目指す業務分析の分野が著しく成長すると見られています。
- 導入形態別: 従来は、各医療機関が自前のサーバーでシステムを運用する「オンプレミス型」が主流でした。しかし、初期投資が少なく、拡張性やアクセス性に優れる「クラウド型」ソリューションが最も高い成長率を示しています。
これらのセグメント分析から読み取れる重要なトレンドは、市場がよりアクセスしやすく、スケーラブルなサービスモデルへと移行していることです。特に「ソフトウェア」および「クラウド型」セグメントの急成長は、SaaS(Software as a Service)のようなサブスクリプションベースのビジネスモデルが主流になりつつあることを示しています。これにより、従来は高額なシステム投資が困難であった中小規模の医療機関や研究機関でも高度なデータ分析ツールを利用しやすくなり、市場全体の採用がさらに加速することが期待されます。また、「業務分析」の成長は、市場が純粋な臨床研究の領域を超え、医療機関の経営課題解決という、より広範なビジネスニーズに対応し始めていることを示しています。
どんな企業が活躍してる?国内外のトッププレイヤーたち
医療ビッグデータ市場の成長を牽引しているのは、独自のデータ資産と技術を武器に、新たな価値創造に挑む先進企業群です。本章では、特に日本市場で中心的な役割を果たす国内主要プレイヤーと、世界市場の動向を左右する海外企業の戦略を詳細に分析します。
日本の主要プレイヤーたちの戦略
日本の医療ビッグデータ市場は、それぞれ異なる強みを持つ少数の有力企業によってリードされています。以下の表は、主要3社の戦略的な違いを明確にするため、その事業概要を比較したものです。
表2: 国内主要医療ビッグデータ関連企業の事業概要と戦略
企業名 | 中核となるデータ資産 | 主要サービス・製品 | ターゲット顧客 | 近年の戦略的動向 |
エムスリー株式会社 | 30万人以上の医師会員ネットワークとそこから得られる集合知(インサイトデータ) | 医療従事者専門サイト「m3.com」、製薬企業向けマーケティング支援、医療AIプラットフォーム | 製薬企業、医療機関、医師 | 医療AI開発(BMAX、心エコーAI)、健康経営支援(White Jack Project)など、医師コミュニティを基盤とした高付加価値サービスの展開 |
JMDC株式会社 | 国内最大級の保険者データ(レセプト、健診データ) | ヘルスデータプラットフォーム「Pep Up」、製薬企業向けRWD分析、保険者向け保健事業支援 | 健康保険組合、製薬企業、保険会社、医療機関 | オムロンとの連携によるデバイスデータ統合、AI査定など新ソリューション開発、エコシステム全体へのデータユーティリティ提供を目指す |
メディカル・データ・ビジョン(MDV) & DeNA | 国内最大級の病院臨床データ(MDV)と保険者・PHRデータ(DeNA)の連携 | 診療データベース分析サービス「MDV analyzer」、共同開発の全国推計機能 | 製薬企業、アカデミア、医療機関 | 2022年の業務提携により国内最大規模の民間医療データベースを構築。データ資産の規模と多様性で他社を圧倒するプラットフォーム戦略 |
エムスリー株式会社:医師コミュニティが強み
エムスリーの競争優位性の源泉は、単なるデータ量ではなく、30万人以上の日本の医師が登録する医療従事者専門サイト「m3.com」という強力な「コミュニティ」にあります。このプラットフォームは、製薬企業にとって比類なきマーケティングチャネルであると同時に、臨床研究やAI開発のための貴重な基盤となっています。
同社は、この医師ネットワークを活用し、医療AI分野へ積極的に投資しています。具体的な取り組みとしては、日本ベーリンガーインゲルハイムと共同開発した間質性肺疾患検出支援AI「BMAX」や、順天堂大学との共同研究による心エコー検査自動化AIなどが挙げられます。これらのAIツールは、開発段階から医師コミュニティの知見を活用し、実用化後は「m3.com」を通じて直接医師に提供されます。この「開発・展開・フィードバック」のサイクルを自社プラットフォーム内で完結できる点が、他社にはない強力な競争力となっています。さらに、健康診断結果から余命を予測する新指標を開発する「White Jack Project」など、医師の知見を基にした新たなヘルスケアサービスの創出にも注力しています。
JMDC株式会社:データプラットフォームで医療を支える
JMDCの戦略は、日本最大級の保険者データ(レセプトおよび健診データ)を核として、医療エコシステム全体にデータと分析サービスを提供する「ヘルスデータプラットフォーム」を構築することにあります。同社の事業は、「保険者・生活者向け」「インダストリー(製薬・保険会社)向け」「医療提供者向け」の三つの領域を柱としています。
生活者向けには、740万以上のIDが発行されているPHRサービス「Pep Up」を提供し、個人の健康増進を支援します。インダストリー向けには、膨大なリアルワールドデータを活用した医薬品の市場分析や患者の治療実態(ペイシェントジャーニー)分析サービスを提供し、製薬企業の意思決定を支援します。近年では、保険会社向けにAIを活用した引受査定業務の効率化ソリューションも開発しています。
さらに、オムロン ヘルスケアとの資本業務提携を通じて、血圧計などのデバイスから得られるバイタルデータを自社のプラットフォームに統合し、リアルタイムの疾患予測アルゴリズム開発を目指すなど、データソースの拡充にも積極的です 2。JMDCの戦略は、医療に関わるあらゆるプレイヤーの業務プロセスに自社のデータを深く組み込むことで、代替困難なデータユーティリティとしての地位を確立することにあります。
メディカル・データ・ビジョン(MDV) & DeNA:最強タッグで巨大データベースを構築
MDVとDeNAの提携は、日本における民間最大規模の医療データベースを構築することを目的とした、典型的な「プラットフォーム戦略」です。この提携は、それぞれが持つ補完的なデータ資産を統合することで、個々では成し得ない価値を創出するものです 3。
MDVは、全国の病院から許諾を得て収集した約4,000万人規模の質の高い臨床データベースを保有しています。一方、DeNAは、子会社が運営するヘルスケアアプリ「kencom」などを通じて、約800万人規模の保険者データおよびPHRデータを蓄積しています。2022年の業務提携により、両社のデータベースを連携させ、保険者データで1,500万人超、病院データで約4,000万人という巨大なデータ基盤を構築することを目指しています。
この統合データベースは、MDVが製薬企業やアカデミア向けに提供するWeb分析ツール「MDV analyzer」を通じて利用可能となります。さらに、両社は共同で、自社のデータベースから日本全体の患者数や処方動向などを推計する「拡大推計機能」を開発し、特許を取得しました。これは、単にデータを集積するだけでなく、そのデータを加工・分析する独自の技術力によって、データそのものに加えて技術的・知財的な参入障壁を築こうとする明確な戦略の表れです。
海外企業の動きも要チェック!日本への影響は?
日本市場の動向を理解する上で、グローバル市場を形成する海外企業の動きを無視することはできません。特に製薬企業とテクノロジージャイアントの戦略は、国内プレイヤーにとって機会と脅威の両側面を持ちます。
大手製薬会社(GSK、ロシュ)のデータ公開戦略
グラクソ・スミスクライン(GSK)やロシュといった巨大製薬企業(メガファーマ)は、自社で実施した臨床試験のデータを匿名化した上で、外部の研究者がアクセスできるシステムを構築し、データ公開を推進しています。この動きは、研究開発の透明性を高め、医学研究全体の進展に貢献することを目的としています。
このデータ公開のトレンドは、JMDCやMDVのようなデータアグリゲーター企業にとって二つの意味を持ちます。一つは、これまで独占されていた高品質な臨床試験データの一部が利用可能になることで、研究の民主化が進むという側面。もう一つは、臨床試験データだけでは捉えきれない「実世界での」医薬品の効果や副作用を分析できるリアルワールドデータ(RWD)の価値が、相対的にさらに高まるという側面です。メガファーマの動きは、臨床試験データとRWDが相互補完的な関係にあることを浮き彫りにし、国内データ企業の独自の価値を際立たせています。
ITの巨人たち(Google, AWSなど)の役割
Google、Amazon、NVIDIA、Microsoftといったテクノロジージャイアントは、医療ビッグデータという「ゴールドラッシュ」における「つるはしとシャベル」の提供者として、市場の基盤を支えています。彼らは、AWS HealthLake、Google Cloud Healthcare API、Microsoft Cloud for Healthcareといった、医療データの管理・分析に特化したクラウドプラットフォームを提供しています。また、NVIDIAは創薬やゲノム解析のためのAI開発を強力に推進しています。
現時点では、これらの巨大企業が日本で直接JMDCやMDVとデータ収集で競合しているわけではありません。むしろ、彼らの提供する高度なインフラとAIツールは、国内企業を含むエコシステム全体の「イネーブラー(実現者)」として機能しています。しかし、彼らがGoogleの診断支援AI「AMIE」のように、医療分野のアプリケーションレイヤーへ巨額の投資を続けていることは見逃せません。長期的には、これらのテクノロジージャイアントが、その圧倒的な技術力と資本力を背景に、より高付加価値な分析サービス市場へ参入してくる可能性は、国内企業にとって重大な戦略的脅威となり得ます。
医療AIはここまで来た!すごい応用例と乗り越えるべき壁
医療ビッグデータは、人工知能(AI)、特に機械学習技術と結びつくことで、その価値を飛躍的に高めます。AIは診断支援から創薬、個別化医療に至るまで、医療のあらゆる側面に変革をもたらす可能性を秘めています。
AIが名医の目に?画像診断のサポート
AIの応用が最も進んでいる分野の一つが、画像診断支援です。ディープラーニング(深層学習)を用いたAIアルゴリズムは、レントゲン、CT、MRIといった医療画像を解析し、人間の目では見逃しがちな微細な病変や異常を検出することで、放射線科医の診断を補助します。
その応用は、単なる病変検出の精度向上に留まりません。エムスリーと順天堂大学が共同で進める心エコー検査のAI活用研究は、その好例です。この研究では、AIが心エコーの計測を自動化することにより、検査技師の負担を増やすことなく、1日あたりの検査数を18%増加させることに成功しました。同時に、1検査あたりの計測項目数は従来の25項目から85項目へと3.4倍に増加し、より詳細なデータ取得が可能になりました。これは、AIの価値が「診断精度の向上」だけでなく、「臨床現場のワークフロー最適化」と「データ取得の質の向上」にあることを示しています。このような生産性の向上は、医療機関にとって大きな経済的利益をもたらします。
薬づくりのプロセスが変わる!AI創薬のインパクト
伝統的な創薬プロセスは、莫大な時間と費用を要する、試行錯誤の連続でした。AIは、このプロセスを根本から変え、データ駆動型の医薬品設計へと転換させる力を持っています。AIは、膨大なゲノム情報、タンパク質構造、化学物質のデータベースを解析し、新たな創薬ターゲット(標的分子)を特定したり、有望な化合物候補の分子構造を予測したりすることができます。
NVIDIAのような企業は、自社の強力なコンピューティング基盤を活用し、創薬プロセスを加速させるためのパートナーシップを積極的に結んでいます。生成AIを用いて新たな分子構造を設計したり、薬剤の作用をシミュレーションしたりする技術も開発されており、新薬が市場に出るまでの期間とコストを劇的に削減できると期待されています。これは、製薬業界にとって中核的な価値提案となります。
あなただけの治療法を。ゲノム情報で実現する個別化医療
医療ビッグデータの究極的な応用目標の一つが、個別化医療(Personalized Medicine)の実現です。これは、患者一人ひとりのゲノム情報、臨床データ、さらにはライフスタイルデータを統合的に解析し、その個人に最適化された治療法や予防策を提供する医療アプローチです。
例えば、特定の遺伝子変異を持つがん患者にのみ著しい効果を示す分子標的薬の投与や、遺伝的リスクに基づいて生活習慣の改善指導を行うことなどがこれにあたります。AIは、このような複雑で多次元なデータを統合し、個々の患者に最適な治療方針を導き出す上で中心的な役割を果たします。しかし、この個別化医療の実現は、技術的な側面だけでなく、後述するデータの統合、コスト、そして公平性といった倫理的・社会的課題(ELSI)が最も先鋭化する領域でもあります。個別化医療の成功は、技術そのものよりも、これらのシステム的な課題をいかに解決できるかにかかっています。
AI導入の前に考えたい、技術と運用の課題
医療AIは大きな可能性を秘める一方で、その導入には複数の技術的・運用的な課題が存在します。
第一に、AIは万能ではなく、誤った結論を導き出す可能性があります。医療という人命に直結する領域において、一つのエラーがもたらす結果は極めて重大です。そのため、AIの性能評価と品質管理には最大限の慎重さが求められます。
第二に、AIがどれほど高度な分析を行っても、最終的な診断や治療方針の決定責任は、現時点では人間である医師が負うという原則があります。AIはあくまで医師を支援するツールと位置づけられており、医師の専門的判断を代替するものではありません。この「人間中心(human-in-the-loop)」のモデルは、当面の間、医療AI活用の基本的な形となるでしょう。
第三に、AIモデルの学習には、大量かつ高品質なデータが必要ですが、特定の希少疾患などでは、十分な量の学習データを確保することが困難な場合があります。
これらの課題を乗り越え、AIが医療現場で広く受け入れられるためには、技術的な精度向上はもちろんのこと、その判断プロセスが透明で信頼でき、既存の臨床ワークフローにシームレスに統合され、専門家である医師の能力を奪うのではなく強化する形で設計されることが不可欠です。
忘れてはいけない大切なこと。倫理・法律・社会の課題(ELSI)
医療ビッグデータとAIの活用は、技術的な進歩と並行して、深刻な倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal, and Social Issues, ELSI)を提起します。これらの課題への対応は、技術開発そのものと同等、あるいはそれ以上に、この分野の健全な発展にとって重要です。
個人の情報は守られる?プライバシーとセキュリティの問題
医療ビッグデータ活用の根幹には、イノベーションのためのデータ利用促進と、個人のプライバシー保護という、時に相反する二つの要請の間の緊張関係が存在します。
この問題の核心にあるのが「インフォームド・コンセント」のあり方です。従来の同意取得モデルは、特定の目的のためにデータを利用することを前提としていました。しかし、AIの時代においては、収集されたデータが将来的にどのような新しい解析に用いられるかを予測することは困難です。患者が、複雑なアルゴリズムによる自身のデータの使われ方を十分に理解した上で、真に「情報に基づいた同意」を与えることが可能かどうかが問われています。
また、EUのGDPR(一般データ保護規則)や米国のHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)のような厳格なデータ保護法規制への準拠は必須です。患者、医療機関、テクノロジー企業の間で、データの所有権と管理責任をどのように分担するかも大きな論点となっています。
プライバシー保護は、単なる法規制遵守の問題ではありません。ひとたび大規模なデータ漏洩や不正利用が発生すれば、社会全体の信頼が損なわれ、医療データ活用そのものへの協力が得られなくなり、業界全体の発展が停滞するリスクがあります。したがって、プライバシー保護技術への投資と透明性の高いガバナンス体制の構築は、企業にとって極めて重要な経営課題です。
AIは公平?アルゴリズムに潜む偏見(バイアス)とは
AIモデルは、学習に用いたデータに含まれる偏りを、そのまま学習・増幅してしまう危険性があります。これにより、既存の社会的な健康格差が、AIによって意図せず維持・拡大される可能性があるのです。
具体的な事例として、米国で実際に問題となったケースが挙げられます。あるアルゴリズムは、患者の医療ニーズを測る代理指標として「過去の医療費」を用いました。しかし、人種間の経済格差や医療アクセスへの格差により、黒人患者は同程度の健康状態の白人患者に比べて医療費が低い傾向にありました。その結果、アルゴリズムは黒人患者のリスクを過小評価し、結果として不公平な医療資源の配分につながってしまったのです。
同様に、主に白人層の皮膚画像を学習した皮膚がん診断AIは、有色人種の患者に対して精度が低下する可能性が指摘されています。
アルゴリズムのバイアスは、単なる技術的な問題(不均衡な学習データ)が、「害をなすなかれ」という医療倫理の根幹を揺るがす深刻な倫理・社会問題へと転化する典型例です。この問題に積極的に取り組まない企業は、効果がない、あるいは有害な製品を市場に出してしまうリスクだけでなく、深刻な法的・評判上の損害を被るリスクを負います。したがって、「AIの公平性」の確保は、研究開発およびリスク管理における最重要機能の一つと言えます。
もしAIがミスをしたら?誰が責任をとるのか
AIシステムが診断エラーを起こし患者に損害を与えた場合、その責任は誰が負うのでしょうか。AIを開発した企業か、それを導入した病院か、あるいはAIの提示した情報に基づいて最終判断を下した医師か。この責任の所在は、法的に極めて曖昧なままです。
特に、ディープラーニングのように内部の判断プロセスが複雑で不透明な「ブラックボックス」型AIの場合、なぜエラーが起きたのかを特定することが困難であり、責任の所在の特定を一層複雑にしています。
日本の現状では、AIはあくまで支援ツールと位置づけられ、最終的な法的責任は医師にあると解釈されています。しかし、将来的にAIの自律性が高まるにつれて、この考え方が妥当であり続けるかは不透明です。AIの法的責任に関する明確な枠組みの欠如は、医療機関や医師が高度なAIツールの導入に躊躇する大きな要因となっており、市場の成長を阻害する可能性があります。この法的空白は、政策立案者や法専門家による早急な対応が求められる課題です。
社会に受け入れられるために。新しい「同意」の形とは
医療AIの普及は、技術的・法的な課題をクリアするだけでは不十分であり、最終的には社会がそれを受け入れるかどうかにかかっています。そのためには、社会との対話を通じて信頼を醸成し、新たな合意を形成していくプロセスが不可欠です。
このような背景から、日本でもELSIという概念そのものへの注目が高まっています。大阪大学や中央大学などがELSIを専門に研究するセンターを設立したことは、その象徴的な動きです。これは、ELSIがもはや学術的な概念に留まらず、技術開発と社会実装における中核的な戦略課題として認識され始めたことを示しています。問題が発生してから事後的に対応するのではなく、技術開発の初期段階から社会的な影響を予見し、市民との対話を通じて倫理的な設計を行う「ELSI対応型研究開発」が求められています。
医療ビッグデータの未来予想図と、私たちが考えるべきこと
医療ビッグデータとAIが拓く未来は、計り知れない可能性を秘めています。しかし、その恩恵を最大化し、持続可能なエコシステムを構築するためには、テクノロジーの進化を見据え、業界、政策、社会が一体となって課題に取り組む必要があります。
テクノロジーはさらに進化する!「予測」から「提案」へ
ヘルスケアアナリティクスの進化は、三つの段階で捉えることができます。第一段階は、過去に何が起こったかを分析する「記述的分析(Descriptive Analytics)」。第二段階は、将来何が起こるかを予測する「予測的分析(Predictive Analytics)」。そして、現在市場が向かっている第三段階が、何をすべきかを推奨する「処方的分析(Prescriptive Analytics)」です。
これは、AIが単に「この患者は将来、心筋梗塞を発症するリスクが高い」と予測するだけでなく、「したがって、この薬剤をこの用量で投与し、週に3回の運動を推奨する」といった具体的な介入策まで提示することを意味します。この進化は、AIの役割を、受動的な分析ツールから能動的な意思決定パートナーへと根本的に変えるものです。しかし、この変化は、医師の自律性や患者の自己決定権、そして法的責任の所在といったELSIの課題を一層増幅させるため、その解決がますます重要となります。
業界の垣根を越えた連携がカギ
今後の医療ビッグデータ産業の発展は、単一の企業努力によってではなく、異業種間の連携によって駆動されます。MDV(医療データ)とDeNA(消費者向けテクノロジー)の提携や、JMDC(保険者データ)とオムロン(健康機器)のパートナーシップは、その未来を象徴する動きです 2。
医療の価値連鎖全体を一つの企業が独占することは不可能です。最も成功するプレイヤーは、臨床データ、クレームデータ、デバイスデータ、ゲノム情報、ライフスタイルデータといった多様な情報源からのデータを、安全かつ相互運用可能な形で接続するオープンなエコシステムを構築、あるいはその中で重要な役割を担う企業となるでしょう。未来は、閉鎖的な「データのサイロ」にあるのではなく、開かれた「データのネットワーク」にあるのです。
これからの医療データ活用のために、私たちができること
医療ビッグデータ分野の健全な発展に向けてできることを考えてみましょう。
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社会 |
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産業界では、「信頼を組み込む設計(Trust by Design)」が最優先事項となるでしょう。ELSIの原則(公平性、透明性、プライバシー保護)を、最終的なコンプライアンスチェックとしてではなく、製品開発ライフサイクル全体にわたって組み込む必要があります。特に、AIの判断根拠を提示する「説明可能なAI(XAI)」技術への投資と、堅牢なデータガバナンス体制の構築が欠かせません。
政策立案者としては、AIの法的責任やデータ利用に関する、リスクベースの明確な規制枠組みを整備することが急務です。また、研究目的での安全なデータ共有を促進するための官民パートナーシップを醸成し、アルゴリズムのバイアス問題に対処するために、多様で代表性の高い国民的データセットの構築を支援すべきです。
社会全体では、医療AIに関する市民対話とデジタルリテラシー教育を推進し、技術への理解と信頼を構築することが求められます。また、AIが社会の価値観と整合性を保ちながら開発・利用されることを保証するため、独立した第三者による監督機関の設置も検討が必要になってきそうですね。
最終的な目標は、テクノロジーが人間の幸福に奉仕し、その恩恵が一部の人々に偏ることなく、社会全体で公平に享受されるシステムを構築することにあります。医療ビッグデータとAIは、そのための極めて強力なツールとなり得ますが、その舵取りは、我々人間自身の賢明な判断に委ねられています。
参照情報
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- JMDC 会社紹介資料 /About JMDC - Speaker Deck, https://speakerdeck.com/jmdc/about-jmdc
- DeNAとメディカル・データ・ビジョンが業務提携 協業により国内 ..., https://dena.com/jp/news/4858/
- DeNAと国内最大規模1500万人超の保険者DB構築へ 共同記者説明会 明日11日(水)11時半に開催 | 2022年5月10日のプレスリリース | メディカル・データ・ビジョン株式会社(MDV), https://www.mdv.co.jp/press/2022/detail_1755.html
- Limitations of evidence-based medicine - Pulmonology, https://www.journalpulmonology.org/en-limitations-evidence-based-medicine-articulo-S2173511515002146
- Healthcare Analytics Market Size/Growth 2025-2035 - PharmiWeb.com, https://www.pharmiweb.com/press-release/2025-02-12/healthcare-analytics-market-sizegrowth-2025-2035
- Healthcare Analytics Market is Projected to Grow at ~20% CAGR by 2030 with Surge in Big Data and Cloud-Based Solutions - PharmiWeb.com, https://www.pharmiweb.com/press-release/2025-04-17/healthcare-analytics-market-is-projected-to-grow-at-20-cagr-by-2030-with-surge-in-big-data-and-cloud-based-solutions
- Big Data Healthcare Market Overview 2025: Competitive Shifts, Forecast Models, and Emerging Opportunities, https://blog.tbrc.info/2025/05/big-data-healthcare-market-growth-4/
- Complexities of evidence-based medicine: Challenges for practice ..., https://academic.oup.com/ajhp/article/82/6/359/7749055
- 'Obsession' with evidence-based medicine is hindering development of solutions to complex health problems, experts say | PHRP, https://www.phrp.com.au/media/media-releases/obsession-with-evidence-based-medicine-is-hindering-the-development-of-solutions-to-complex-health-problems-experts-say/
- The Limitations of Evidence-Based Medicine: Applying Population-Based Recommendations to Individual Patients | Journal of Ethics | American Medical Association, https://journalofethics.ama-assn.org/article/limitations-evidence-based-medicine-applying-population-based-recommendations-individual-patients/2011-01
- Achievements and Limitations of Evidence-Based Medicine - JACC Journals, https://www.jacc.org/doi/abs/10.1016/j.jacc.2016.03.600
- 世界のヘルスケアビッグデータ分析市場、2033年までにUSD 123.5十億に達すると予想, https://www.imarcgroup.com/pressrelease/ja/healthcare-big-data-analytics-market-statistics
- Big Data Analytics in Healthcare Market Growth, Opportunities and Segment Analysis, https://www.towardshealthcare.com/insights/big-data-analytics-in-healthcare-market-sizing
- Big Data in Healthcare Market Size to Reach USD 283.43 Billion by 2032, Fueled by AI and Predictive Analytics — SNS Insider - GlobeNewswire, https://www.globenewswire.com/news-release/2025/04/19/3064339/0/en/Big-Data-in-Healthcare-Market-Size-to-Reach-USD-283-43-Billion-by-2032-Fueled-by-AI-and-Predictive-Analytics-SNS-Insider.html
- 医療ビッグデータの活用企業例!今後の動向や市場規模を解説 - Geekly(ギークリー), https://www.geekly.co.jp/column/cat-technology/medical-big-data-market-size/
- 医療関連データの2次利用ビジネスの市場規模は2030年に350億円、富士経済の調査, https://dcross.impress.co.jp/docs/news/003926.html
- プレスリリース | エムスリー株式会社, https://corporate.m3.com/press_release/page/2
- 順天堂大学・エムスリーAIの心エコーAIの共同研究が北米心臓病協会(AHA)の最新科学トピックに採択~世界の医療現場でのAI活用変革に期待, https://corporate.m3ai.co.jp/news-003.html
- 「JMDC」に関するプレスリリース一覧 - PR TIMES, https://prtimes.jp/topics/keywords/JMDC
- メディカル・データ・ビジョンと共同開発した「拡大推計機能」について特許を取得 - DeNA, https://dena.com/jp/news/5246/
- 医療とAIのニュース・最新記事 - The Medical AI Times - 現役の医師や研究者が執筆・監修, https://aitimes.media/
- 生成AIの医療分野での活用に向けた3つの提言 | 研究プログラム - 東京財団, https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4553
- Ethical and legal considerations in healthcare AI: innovation and ..., https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.241873
- Ethics of AI in Healthcare and Medicine - HITRUST, https://hitrustalliance.net/blog/the-ethics-of-ai-in-healthcare
- 生成AIのELSIリスクの概要, https://www.sra-japan.jp/cms/wp-content/uploads/2024/06/Katirai-r.pdf
- AI in healthcare: legal and ethical considerations in this new frontier, https://www.ibanet.org/ai-healthcare-legal-ethical
- Legal and Ethical Consideration in Artificial Intelligence in Healthcare: Who Takes Responsibility? - Frontiers, https://www.frontiersin.org/journals/surgery/articles/10.3389/fsurg.2022.862322/full
- 【ELSI】を知っていますか? 進みすぎた科学が抱える「倫理的・法的・社会的な課題」 - スタディラボ, https://studyu.jp/feature/theme/elsi/
- ELSIとは - 大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター), https://elsi.osaka-u.ac.jp/what_elsi