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NTTの時代(゚∀゚)キタコレ!! 千年カルテとライフデータイニシアチブ

2020年12月14日

ファイザーがNTTデータとライフデータイニシアチブとの契約を締結しました。

これはかなりすごいことです。

米国最大の製薬企業と、NTTデータという国内有数の技術とネットワークを有する企業がデータ活用について繋がったのです。

次世代医療基盤法に基づいて、データを匿名化処理できる企業は、日本ではまだ2つしか存在していません。

ここであれ?と思った方もいるでしょう。

ファイザー、NTTデータは知っているけど、ライフデータイニシアチブって何でしょう?

ライフデータイニシアチブ

ライフデータイニシアチブとは、アカデミア中心に構成・運営されている一般社団法人です。

ライフデータイニシアチブの事業は、主に5つの柱から成ります。

活動の主軸となるのが千年カルテというデータ基盤サービス事業です。

江藤先生
千年カルテ事業の活性化が主な目的ね。大別すると「政府・医療者・アカデミアからの協力を得ること」と「持続可能な運営資金を確保すること」がライフデータイニシアチブの使命とも言えそうね。

(1)千年カルテ本格事業開始に向けた取組みの推進

  • 次世代医療基盤法に基づく認定事業者として次世代基盤法に基づく安全管理基準に準拠した適切な事業運営を行う。
  • 参加医療施設、患者並びに医療情報利活用者からの信頼関係を築く

(2)千年カルテの事業目標を達成するための様々な研究の推進

  • 千年カルテに参加する医療施設、患者並びに医療情報利活用者に評価を得られるサービス機能の企画・開発を継続する。
  • ”患者の一生涯に寄り添う医療連携サービス”の実現を図る。
  • 安定した事業の推進を図る。

(3)画像情報連携を含めた既存施設/新規施設の確保

  • 千年カルテの価値を広く日本国民に還元する。
  • 既存の医療施設に加え、新たな医療施設の拡大を図る。
  • 医療情報、サービス機能の拡充を図る。
  • 医療施設が保持する画像情報の連携を早期に実現する。

(4)事業運営資金の確保

  • 千年カルテの事業の安定化のために、医療情報利活用事業を早期に立ち上げる。
  • 中期事業計画に定めた自立採算を実現させる。
  • 医療情報利活用者の獲得を始め、安定的な事業収支を実現するための様々な取り組みを推進する。

(5)その他当法人の目的を達成するための取組みの推進

  • 千年カルテの安心・安全を担保するためISMS(ISO/IEC 27001)の継続認定を受ける。
  • 千年カルテの参加施設並びに委託事業者とのコミュニケーションの拡充を図る。
  • 千年カルテの利用実績を積み重ねると共に広報活動を進め広く国民に浸透させる。

千年カルテ

名前の通り、千年続くカルテを作る、というコンセプトなのでしょう。

江藤先生
シンプル・覚えやすい・イメージしやすい名前で好きだな~

千年カルテの活動は、2015年の「次世代医療ICT基板協議会」が始まりとされます。

千年カルテは、日本全国津々浦々の医療機関からカルテデータを一か所に集めて巨大なデータ基盤を構築するというモデルです。

医療機関から患者さん一人一人のデータを集めてきて、匿名加工化という匿名化処理を行って、ファイザーのような製薬企業を含む様々な民間企業が利用できる形(個人情報が除かれて利用しやすくなっている状態)にする、というのが千年カルテの革新的な部分とされます。

江藤先生
NTTデータはどんな役割を担っているのかしら?

千年カルテにおけるNTTデータの役割

千年カルテ事業に対して、NTTデータは次の3つの役割を担っています。

  1. 匿名加工医療情報の利活用事例の蓄積
  2. セキュリティ等運用体制の維持、改善
  3. 千年カルテ事業の理解促進
江藤先生
簡単にまとめるなら、「技術面の推進」と「民間事業者に対する営業」の2つが主な活動ね。

① 匿名加工医療情報の利活用事例の蓄積

  • 次世代医療基盤法に基づく利活用事例を更に蓄積する。
  • 引き続き民間企業、学術機関、行政団体からの利活用ニーズを収集し、提案する。
  • 幅広い主体による千年カルテの利活用を推進する。

② セキュリティ等運用体制の維持、改善

  • 次世代医療基盤法に基づく認定医療情報等取扱受託事業者として認定匿名加工医療情報作成事業者を支援する。
  • 委託業務を適切に運用を行う体制(組織、運用ルールなど)、情報基盤の維持を行う。
  • 委託業務の運用徹底に必要な改善活動を実施する。

③ 千年カルテ事業の理解促進

  • 認定事業及び次世代医療基盤法に関わる広報活動を進める。
  • 医療情報取扱事業者、国民、匿名加工医療情報取扱事業者全ての関係主体による、当法人事業の理解促進を図る。

これからの世界

電子カルテは一か所に集約される時代はすぐそこまで来ています。

千年カルテ、マイナンバーカード、オンライン診療と、カギとなる要素はすでに実社会に溶け込み始めました。

データ基盤の構築に必要な材料は揃っているといえます。

後は、構築したデータ基盤を安定的に運営し、国内外へ価値を提供する基盤へと育てていくフェーズに入っていくでしょう。

資源が少ないと言われがちな日本ですが、こうしたデータ基盤は資源の1つです。

無駄に細分化して価値を損ねるのではなくて、一か所に集めてデータの潜在力を引き出して世界に誇るデータ基盤として育てていくのが日本の今後のためにも有用でしょう。

当然ながら、データベースを構築する時に、世界的な標準フォーマットに従って構造化しておかないといつまで経ってもガラパゴスと揶揄されてしまうので、そうならないように注意しながら。

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