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1.趣旨
著作権法の一部を改正する法律(令和3年法律第52号。以下「改正法」という。)では、図書館関係の権利制限規定の見直しとして、国立国会図書館においてデジタル化された絶版等資料のデータを各家庭等から閲覧することができるよう、国立国会図書館がインターネット送信することを可能とする関連規定の整備が行われた。
本政令案及び省令案は、上記の絶版等資料の個人向けのインターネット送信に関して、改正法による改正後の著作権法(昭和45年法律第48号。以下「新法」という。)において政令及び省令に委任された事項に関する規定の整備を行うものである。なお、以下では、本政令案による改正後の著作権法施行令(昭和45年政令第335号)を「新令」、本省令案による改正後の著作権法施行規則(昭和45年文部省令第26号)を「新規則」という。
(なお、以下の改正概要に記載した具体の文言については、技術的な修正があり得ることを申し添える。)
2.政省令の改正概要
(1)インターネット送信された著作物等の表示の大きさ【新令関係】
新法第31条第5項第2号(同法第102条第1項において準用する場合を含む。以下同じ。)では、国立国会図書館からインターネット送信された著作物等を受信装置を用いて公に伝達することを可能とし、(1)一般的に個人で利用されるパソコンやタブレット端末、家庭用スクリーンなどを用いて伝達する場合のような、個人的に又は家庭内で閲覧する場合の表示の大きさと同等の大きさ以下の大きさで表示する場合(イ関係)と、(2)業務用の大型スクリーンなどを用いて公に伝達する場合のような、個人的に又は家庭内で閲覧する場合の表示の大きさと同等の大きさを超える大きさで表示する場合(ロ関係)とで、それぞれ要件を定めている。
新法第31条第5項第2号イでは、上記の(1)と(2)を区別する基準となる個人的に又は家庭内で閲覧する場合の表示の大きさと同等の大きさについて政令に委任している。
そこで、新令では、社会の実態を踏まえ、その具体的な表示の大きさとして、100インチを定めることとする。
(2)特定絶版等資料に係る著作物等のダウンロードを防止等するための措置【新規則関係】
新法第31条第4項(法第86条第3項及び第102条第1項において準用する場合を含む。以下同じ。)では、本改正により絶版等資料のデータの送信先が図書館等から各家庭等に拡大することに伴い、権利者の利益が不当に害されることを防止する観点から、インターネット送信に当たって、データのダウンロードを防止・抑止する技術的措置を講ずることを省令に委任している。
そこで、新規則では、関係者間での協議を踏まえ、
①国立国会図書館において特定絶版等資料に係る著作物等のダウンロードを可能とするボタン等の提供を行わないこと
②著作物等のデータに利用者ID等の情報を表示し、かつ、プリントアウト時にその旨のメッセージを示すこと
のいずれかの措置を講ずることを定めることとする。
(※)特定絶版等資料とは、絶版等資料(絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料)から、近々復刻する蓋然性が高いものを除いたものをいう(新法第31条第6項)。
(3)登録情報(氏名及び連絡先その他文部科学省令で定める情報)【新規則関係】
新法第31条第4項各号では、データのダウンロードを防止・抑止する技術的措置を講じて送信したとしても、利用者による悪質な違法行為によって権利者の利益が不当に害されることを防止する観点から、利用者を登録・管理する仕組みを設けることを定めている。
新法第31条第4項第1号では、上記の登録に際し、氏名及び連絡先のほか、登録しなければならない情報を省令に委任している。
そこで、新規則では、関係者間での協議を踏まえ、「住所」を登録させることを定めることとする。
3.施行期日(予定)
令和4年5月1日