ビジネス全般

政策科学推進研究事業(令和4年度厚生労働科学研究)

目次

1.研究事業の目的・目標

【背景】

経済のグローバル化の進展、雇用環境の変化、人口減少及び高齢化による生産年齢人口の減少、世帯や家族のあり方の変化等、社会・経済構造の大きな変化が起こる中、社会保障にかかる費用は増大し、社会保障のあり方が問われている。社会・経済構造の大きな変化に対応した持続可能な社会保障制度とするよう不断の見直しを行っていくことは、未来への投資につながるものであり、わが国の経済社会にとって最重要の課題である。また近年、エビデンス(科学的根拠)に基づいた施策立案が求められており、将来の人口動態やその社会経済・社会保障との相互作用について、より精緻に予測するための手法の開発や年金制度の検証、医療資源の最適化や地域医療の制度設計に必要なモデル検証といった理論的・実証的研究が必要である。

【事業目標】

社会・経済構造の変化と社会保障に関する研究を推進することにより、医療・介護・福祉・年金・雇用・子育て等の各社会保障施策についての費用対効果などの客観的根拠を得ることや、効果的・効率的な社会保障施策立案に資することを目標とする。

【研究のスコープ】

  • 社会・経済構造の変化と社会保障に関する研究
  • 世帯・個人の経済・生活状況と社会保障に関する研究
  • 社会保障分野における厚生労働行政施策の効果的な推進等に関する研究

【期待されるアウトプット】

  • 社会保障や社会支援の充実や効率化に資する、実態把握や費用対効果などの客観的根拠の創出。
  • 医療資源の効率化、少子高齢化や国際化に鑑みた将来の人口推計など、さまざまな施策の推進に資する基盤データの構築。

【期待されるアウトカム】

幅広い社会保障分野において、部局横断的に人文社会学系(法学・経済学・社会学等)を中心とする研究課題を推進し、客観的根拠や科学的根拠に基づく政策立案により、効果的・効率的な社会保障政策等の実施に貢献する。

2.これまでの研究成果の概要

  • 「イギリス・カナダの私的年金における確定給付型及び確定拠出型共通の限度額の設定・管理方法等についての調査研究」では、イギリス・カナダ両国における各種文献調査及び現地有識者へのヒアリング調査を通じて、我が国において「非課税拠出の枠」を設ける場合のポイントについて整理を行った。(令和2年度)
  • 「外国人患者の受入環境整備に関する研究」では、本邦の外国人医療の現状と課題を分析し、「外国人患者受入れのための医療機関向けマニュアル」「地方自治体のための外国人患者受入環境整備に関するマニュアル」「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル」をとりまとめた。(平成 30 年~令和2年度)
  • 「診療現場の実態に即した医療ビッグデータ(NDB 等)の解析の精度向上及び高速化を可能にするための人材育成プログラムの実践と向上に関する研究」では、人材育成として、令和元年度にはデータベース研究人材育成に関する対面型講義を開催し、令和2年度には Webinar 開催によるオンライン教育プログラムを開発した。加えて、大規模データを用いた多数の英文原著論文を出版した。(平成 31 年~令和2年度)
  • 「医療・福祉専門職種の人材確保のための需給両面から見たマンパワー推計に関する研究」では、専門職別従事者数の将来見通しを作成し、「医療・介護専門職については、264 万人から 337 万人まで 1.28 倍に拡大する。また保育士も含めた場合には、乳幼児人口の減少を受けて保育士数が減少するため、296 万人から 361 万人まで、1.22 倍の増加率にとどまる。」との推計結果を得た。(令和2年度)

3.令和4年度に継続課題として優先的に推進するもの

特になし

4.令和4年度に新規研究課題として優先的に推進するもの

①医師の労働時間短縮に向けた取組のプロセスと効果の検証

令和6年度の医師の時間外労働の上限規制の適用に向けて、医師の労働時間短縮に難渋している医療機関に対し、医師の労務管理や勤務環境改善について十分な見識を有するコンサルタント等による支援を行い、これを通じて医師の労働時間短縮の取組マニュアルを作成・検証する。

②法学的視点からみた社会経済情勢の変化に対応する労働安全衛生法体系に係る調査研究

労働安全衛生法体系に関して、立法趣旨、関係判例、運用実態等についての逐条的な体系整理を行うとともに、社会経済情勢の変化を踏まえた法学的な課題を抽出し、将来の社会経済学的予測の中で、同法改正において考慮すべき課題等の提案を目指す。

③DPC 制度の適切な運用及び DPC データの活用に資する研究

適切な診断群分類作成のための検証や、DPC データの回復期・慢性期を含む入院医療の評価への活用手法の検討等を行い、診療報酬改定に向けた議論の基礎資料を得るとともに、DPCデータの第三者提供の適切な運用に向けた検討を行う。

④急性期、回復期、慢性期の入院患者における医療ニーズ及び必要な医療資源投入量の評価体系の検討・導入に資する研究

急性期、回復期、慢性期をとおして、各入院患者に必要な医療及び医療資源投入量をより適切に評価するため、中・長期的な入院に係る新たな評価体系について、実際に診療報酬において活用するための検証を行う。

⑤保険収載されている医療技術の再評価方法を策定するための研究

保険収載後の医療技術(医師等による手技など)の再評価に係る文献や海外の最新の状況等をベースに、現行の評価方法では不十分な点等を明確化する。さらに、専門的な観点から再評価を推進するため、具体的な評価方法を策定することを検討する。

⑥リアルワールドデータ(RWD)に基づく外科手術等の高度化・多様化する医療技術の評価及び RWD の活用に資する研究

高度化・多様化する医療技術に対応するため、RWD を活用し、コスト以外の実臨床上の有用性の客観的・定量的な測定を踏まえた評価指標等の開発や、データを利活用する観点から、K コード(医科点数表区分番号)と STEM7(手術基幹コード)の関係を明確にする方策を検討する。

⑦医薬品・医療機器等の費用対効果評価制度の安定的運用のための公的分析と公的意思決定方法及び医療技術における費用対効果評価の活用に資する研究

費用対効果評価制度において提出された企業分析の検証・再分析を実施する公的分析の質の向上、未解決の技術的課題の検討や人材育成に取り組み、医薬品、医療機器等の費用対効果評価制度の安定運用を目指す。

⑧レセプトデータ等を用いた医療保険制度における所得状況等と疾病構造の関係等の分析のための調査研究

所得と疾病構造・受診行動の関係について、レセプトデータに基づく分析や、実地調査などを行うことにより実態を把握し、関係性を分析する。

⑨確定給付企業年金における支払保証制度の導入可否の検討に資する調査・研究

受給権保護の観点から検討を求められている支払保証制度について、最終的な結論を得るため、これまでの社会保障審議会や各種研究会における支払保証制度に関する検討結果及び諸外国の事例等を調査・研究することにより、各論点に対する考え方を整理する。

5.令和4年度の研究課題(継続及び新規)に期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組

①医師の労働時間短縮に向けた取組のプロセスと効果の検証

コンサルタント等による支援により医師の労働時間短縮が得られた場合には、好事例となる。また、その取組内容や結果に至るプロセスをマニュアル化し、広く周知することで、同じく労働時間短縮に難渋している医療機関への横展開が期待される。

②法学的視点からみた社会経済情勢の変化に対応する労働安全衛生法体系に係る調査研究

労働安全衛生法体系に関する法学的教本を作成し、労務・安全衛生担当者等へ法学的教育を行い、意識の変革を促すとともに、COVID-19 の影響もあり急速に変革する社会に対応するための法制度の見直しにかかる基礎資料として活用する。

③DPC 制度の適切な運用及び DPC データの活用に資する研究

中央社会保険医療協議会における令和6年度診療報酬改定に係る議論の際に活用されることが見込まれる。また、DPC データの第三者提供の適切な運用や、技術的課題への対応が期待できる。

④急性期、回復期、慢性期の入院患者における医療ニーズ及び必要な医療資源投入量の評価体系の検討・導入に資する研究

中・長期的な入院に係る新たな評価体系及びその検証結果については、令和6年度診療報酬改定に係る令和4~5年度の中央社会保険医療協議会及び入院医療等の調査・評価分科会における議論の際に活用する。

⑤保険収載されている医療技術の再評価方法を策定するための研究

日本の制度において、医療技術の再評価を適切に実施するための具体的な評価指標・評価体系及びその活用方法等を明らかにする。また、本研究の成果は、中医協での議論の際や医療技術評価分科会等での運用時に活用する。

⑥リアルワールドデータ(RWD)に基づく外科手術等の高度化・多様化する医療技術の評価及び RWD の活用に資する研究

RWD に基づく高度化・多様化する医療技術に係る客観的・定量的指標等を開発する。また、本研究の成果は、中医協総会や医療技術評価分科会における議論の際に活用する。

⑦医薬品・医療機器等の費用対効果評価制度の安定的運用のための公的分析と公的意思決定方法及び医療技術における費用対効果評価の活用に資する研究

持続可能な安定した制度設計の議論のための基礎資料として用いられ、診療報酬改定に合わせて分析ガイドラインを補足する解説書やマニュアル等の作成等、費用対効果評価の標準的な分析手法を確立することが期待される。

⑧レセプトデータ等を用いた医療保険制度における所得状況等と疾病構造の関係等の分析のための調査研究

医療保険制度において、持続可能性の確保に向けた給付と負担の見直しの議論等、制度改正に向けた検討における基礎資料として活用する。

⑨確定給付企業年金における支払保証制度の導入可否の検討に資する調査・研究

長年の検討課題であった支払保証制度の導入可否について、速やかに最終的な結論を得るため、今後社会保障審議会企業年金・個人年金部会において議論を行う際に活用する。

参照

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