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医薬部外品に関する臨床評価ガイドライン(平成29年4月13日)

医薬部外品に関する臨床評価ガイドラインについて

平成29年4月13日

薬生薬審発0413第1号

各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知

医薬部外品の製造販売の承認申請に際し添付すべき資料の範囲等については、「医薬部外品等の承認申請について」(平成26年11月21日付け薬食発1121第7号厚生労働省医薬食品局長通知)により取り扱っているところです。

今般、医薬部外品の製造販売承認申請時に添付すべき資料として求められる「安全性に関する資料」及び「効能又は効果に関する資料」のうち臨床評価に関する資料について、その作成上の留意点等を別添のとおりまとめたので、貴管下関係業者に対し周知方よろしく御配慮をお願いします。

医薬部外品に関する臨床評価ガイドライン

1.目的

本ガイドラインは、医薬部外品の製造販売承認申請(以下「承認申請」という。)時に添付すべき資料として求められる「安全性に関する資料」及び「効能又は効果に関する資料」のうち臨床評価に関する資料を作成する上で留意すべき点等について示すものである。その対象は、顔面や全身皮膚、口唇等(以下「皮膚等」という。)に適用するものであって、繰り返し使用される医薬部外品及びその有効成分であり、これらについて開発段階での有効性及び安全性の評価において検討すべき事項を示すものである。その他の医薬部外品及びその有効成分並びに医薬部外品の添加物については、本ガイドラインを参考として必要な評価を実施するものとする。

本ガイドラインは、現時点における科学的知見に基づき、基本的な考え方をまとめたものであり、学問上の進歩等に応じて見直されるべきものである。最新の科学的知見を反映した合理的根拠に基づいたものであれば、必ずしもここに示した方法を固守するよう求めているものではない。

2.開発の考え方

新規に開発される医薬部外品は、新医薬品と同様、製造販売後に初めて広く多くの人に使用されるものであるが、その使用においては医薬品と異なり対象を限定することなく、広く一般の消費者によって使用されるものである。その開発段階においては、ヒトにおける使用経験は限定されていることから、有効性のほか特に安全性については、適切な評価に加え、様々な視点から情報収集・分析されるなど慎重に確認されるべきである。

3.ヒト試験実施における留意点

ヒトに関わる試験を実施する前には、検討した製剤の処方や処方濃度に関わる有効性及び安全性について、基礎的な検討を十分に行うとともに論文などによる公知の情報等を収集しておくことが必要である。ヒト試験のデザインを検討する場合には、物理的化学的性質や安全性に関するデータ、その他の関連情報も含め、実使用の状況等を踏まえて慎重に検討することが必要である。特に、製品の処方や処方濃度により毒性や効果が増強されるなどの変化がないか、十分に注視して試験を行う必要がある。また、ICH-GCP1の精神を踏まえ十分な信頼性確保に努めるべきである。

ヒトを対象とした試験については、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年12月22日付け文部科学省・厚生労働省告示第3号)」に準拠して実施すること。倫理審査委員会での審議・承認、被験者の自由意思に基づく書面による同意書の取得は必須である。

(1) ヒトパッチテスト

ヒトパッチテストは、皮膚等に適用される製剤のアレルギー性接触皮膚炎の原因を確認するとともに、成分や製品の皮膚一次刺激性の評価方法として再現性が高く、繰り返し使用するうえでの刺激性を予知する有力な方法である。医薬部外品の皮膚刺激性を評価する場合には、日本皮膚科学会認定専門医(以下「皮膚科専門医」という。)の指導のもとで試験条件を設定した上で適切に試験を実施し、得られた結果から刺激性評価を適切に評価する必要がある。表1に示す試験条件、評価方法等が参考となる。

表1 ヒトパッチテストの単回刺激性評価の試験条件と評価方法
対象 日本人40例以上
投与濃度 原則、製剤及び原料を用いるパッチテストにおいては、十分な安全域を確認するために使用時濃度を含めた数段階で実施する。なお、濃度設定については、倫理的問題がない場合には使用時よりも高い濃度を設定すること。
陰性対照 通常は溶媒又は生理食塩水が用いられる。蒸留水は浸透圧によって皮膚反応を生じる場合があるため、皮膚刺激性評価では陰性対照として用いるのは好ましくない。ただし、蒸留水で希釈した原料の皮膚刺激性反応を判定する場合には、溶媒対照として蒸留水を用いてもよい。
貼付部位 通常、上背部(傍脊椎部:正中線の部分は除く)の外観上正常な部位に閉鎖貼布する。
観察・評価
  • 原則、貼布24時間又は48時間後にパッチテストユニットを除去し、除去による一過性の紅斑の消退を待って通常2時間後に初回の観察を行い、除去後24時間後、48時間後に持続する刺激反応を観察する。皮膚反応の発現状態によっては72時間以後も判定し、アレルギー反応の有無を確認する。
  • 判定は本邦基準注)又はこれに準じた方法により実施する。
  • 皮膚科専門医により紅斑、浮腫等の程度を判定、評価する。
  • 観察日毎に被験者の使用部位の状態を写真で記録し、写真上でも評価を行うこと。

判定基準は、以下の6段階の基準に従う。

本邦基準 反応
反応なし
± 軽度の紅斑
紅斑
++ 紅斑+浮腫、丘疹
+++ 紅斑+浮腫+丘疹+小水疱
++++ 大水疱

物理的化学的性質又は非臨床試験の結果等より、物質の安全性を考慮し適切な試験条件を設定すること。また、貼布期間中は、入浴、スポーツ、発汗の多い労働は控えることが適切である。陽性所見が観察された場合は、その所見が消退するまで観察し、それに要した日数、転帰等を記載する必要がある。

また、試験の実施に際しては製剤の特性や使用方法を考慮し、適切な処置方法で実施する必要がある。揮発性の製剤はそのままでオープンテスト(通常の使用濃度で、同一部位に5~7日間連続塗布する)を実施、又はパッチテストユニットに塗布後十分揮発した後に貼布する。パーマネント・ウェーブ用剤や染毛剤はそのままでオープンテストを実施し、洗浄剤は1%水溶液を中心に使用方法も考慮した数濃度の設定を行い、その他の製剤はそのままで貼布する。

(2) ヒト長期投与(安全性)試験

試験期間

被験者数

原則、投与期間は12か月、評価対象例数として100例以上の安全性データを収集する。試験開始時点の登録例数は、脱落例等を考慮し設定する。
用量設定 原則、実使用部位で実施し、実際の使用方法から想定され得る皮膚内濃度を考慮した用量設定を行う。
評価項目 評価項目(評価基準)及び観察日・回数は試験製剤個々の特徴を踏まえ、皮膚科専門医と相談の上、設定する。

薬理作用、非臨床安全性試験や類似の薬理作用を有する既知の成分の安全性情報等から想定される有害事象があれば、それらを十分に考慮した上で評価項目を設定する。

観察・評価 試験期間中、観察・評価は皮膚科専門医が行うこと。

観察日毎に被験者の使用部位の状態を写真で記録し、写真上でも評価を行うこと。

ヒト長期投与(安全性)試験は、原則、次の①から③までを全て満たす製剤を対象として、実際の使用方法における長期投与時の安全性を評価することを目的とする。

①新規有効成分含有医薬部外品

②皮膚等に適用される製剤

③日常的に繰り返し使用する製剤

また、既承認有効成分を含有する医薬部外品であっても、同一の効果が期待される成分を新たに複数配合する場合、新たに効能を追加する場合、又は経皮吸収性を高める等、より優れた効果を期待した製剤を開発する場合等にあっては、ヒト長期投与(安全性)試験を必要に応じて実施する。

適切な臨床試験の計画に際しては、皮膚科専門医と相談し、その評価に皮膚科専門医が携わることにより、有害事象の評価を含めて適切な評価が可能になると考える。以下の表2のような試験デザインが参考となる。

表2 ヒト長期投与(安全性)試験

ヒト長期投与(安全性)試験は、原則、同製剤の重ね使用や同一の有効成分を含有する化粧水、乳液・クリーム、パック等の同時使用を想定した試験デザインにて実施する必要がある。開発時に想定していない使用方法を新たに追加する場合には、原則、改めて長期投与(安全性)試験を実施する。

試験製剤については、使用状況を記録として保存し、使用量を把握する必要がある。その際、試験製剤の製造に関わる記録(ロット番号、製造年月日等)も保存する。

試験製剤による有害事象等が発現した場合に備えて、皮膚科専門医への紹介など被験者の安全確保のために適切な医療提供を行うことができる体制を構築しておく必要がある。

また、光過敏反応等も含めて、種々の有害事象が観察された場合は、その所見に関わる詳細な状況、処置、転帰等を記載しておくこと。

(3) 効能又は効果に関する試験2

ア 効能又は効果を裏付ける基礎試験

本試験は、承認申請の効能又は効果に係る基礎的試験の結果を、薬理学的観点等から示すものであり、作用機序等が明らかとなる知見が得られている必要がある。また、この段階において、ヒトにおける使用試験を実施する上で必要な情報を十分収集する必要がある。

特に、効能又は効果を裏付ける基礎試験としては、重ね塗りや同一有効成分を含有し、同時使用が想定される化粧水、乳液・クリーム、パック等の開発を想定し、十分な曝露量(適用が可能な最大用量での濃度又は実使用時の適用部位の濃度に対して十分な安全域を確保する)で検討を行い、細胞障害性がないことや予期しない薬理作用が認められないことを確認する必要がある。また、当該成分や類似成分に関する薬理作用等に関わる文献等については十分に調査し、安全性上懸念のある薬理作用等が報告されている場合には、当該作用についても十分に検討を行うこと。

また、同様の効果が期待できる既承認の有効成分を、新たに複数組み合わせた製剤を開発する場合には、ヒトにおける使用試験を実施する前に配合時の有効性及び安全性について基礎的な検討を行い、配合することにより望ましくない薬理作用の発現、効果の増強、毒性の増強がないこと又は有効性が緩和な作用を逸脱することがないことを確認する必要がある。

イ ヒトにおける使用成績に関する試験

本試験は、有効性等に係る実使用を想定したヒトにおける使用試験である。

新有効成分含有医薬部外品等については、既に実施済みの安全性試験や効能又は効果を裏付ける基礎試験等の結果を十分に踏まえ、実使用における有効性等を確認することを目的に、原則、ヒトにおける使用試験を皮膚科専門医の管理下で実施する必要がある。

なお、有効性等の評価においては、「医薬部外品」の範疇の効果であるかという視点を踏まえ試験をデザインするとともに、承認申請における効能又は効果を標榜することが適切であるか精査する必要がある。また、有効性のほか、有害事象及び副作用の有無等についても、非臨床データや基礎的な検討において得られた情報並びに類似成分も含めた文献等における報告も参考の上、安全性についても適切な評価項目を設定して確認することが望ましい。いずれの事象に関しても、発現及び経過の詳細、重篤度、処置の有無並びに処置の内容及び予後(治療後の経過)を記録し、試験に関与する医師が被験物質との因果関係について判定する。

有効性の評価に際しては、現在の科学的水準を踏まえ、目視・写真や触診による評価に加えて可能な限り定量的な評価方法により検討することが望ましい。また、盲検下でプラセボ対照比較試験を実施することが望ましい。なお、これら評価は皮膚科専門医、皮膚科専門医と同等の臨床経験を有する皮膚科医又はこれら医師の管理下、評価に熟達した研究者によることとする。また、医薬部外品は、一般の消費者が使用することから使用者自身による実感も重要であり、被験者へのアンケート調査等によっても有効性を確認する。試験実施計画書においては、評価項目について適切な統計解析手法を用いることを事前に規定し、有効性に係る判定基準を規定しておく必要がある。

4.海外試験データの扱い

外国で実施されたヒトに関わる試験成績は、ICH―GCPに準拠して実施されている等、信頼性が確保されていることが重要である。

ヒトパッチテストでは原料成分に係る試験については適当な対照成分(日本で十分使用経験のある同様な目的に使用される成分)がおかれた試験であることが必要である。また、原則、顔面又は口唇等に長期間にわたって使用される製剤(化粧水、乳液、クリーム等)の試験については、国内で実施された貼布試験データ又は使用経験データも併せて添付する必要がある3

ヒト長期投与(安全性)試験、ヒトにおける使用成績に関する試験においては、メラニン色素や光線に関連する効能を標榜する製剤、あるいはパーマネント・ウェーブ用剤や染毛剤等、人種や製剤の使用環境等によって有効性及び安全性に差異があると思われるようなものにあっては、国内で実施された試験成績が必要である。なお、ヒトに関わる試験を海外で実施する場合には、当該試験における評価者は、本邦における皮膚科専門医と同等以上の臨床経験を有する専門医であることが必要である。

  1. International Conference on Harmonization(ICH)-Good Clinical Practice(GCP)
  2. パーマネント・ウェーブ用剤及び染毛剤については、「パーマネント・ウェーブ用剤及び染毛剤の有効性を評価するための試験方法のガイドラインについて」(平成9年3月27日付け厚生省薬務局審査課化粧品審査室事務連絡)によることで差し支えない。
  3. 「外国で実施された化粧品等に係る試験データの取扱いについて」(昭和61年3年12日付け薬発第231号厚生省薬務局長通知)

参照

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2616&dataType=1&pageNo=1

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