デジタルヘルス

スマートトイレについて

2020年7月26日

こんにちは。E太郎(Evidence太郎)です。今回のテーマは「スマートトイレ と リアルワールドエビデンス」です。

IoT(Internet of Things)は、スマートフォンとスマートスピーカーを皮切りに、徐々に私たちの身の回りに増えてきていますが、ヘルスケアという側面から劇的に私たちの生活を変えるのはトイレかもしれません。

Park, S., Won, D.D., Lee, B.J. et al.

A mountable toilet system for personalized health monitoring via the analysis of excreta.

Nat Biomed Eng 4, 624–635 (2020).

https://doi.org/10.1038/s41551-020-0534-9

今年の4月に、Nature Biomedical Engineeringに掲載された上記の論文のアブストラクトには下記のように書かれています。

The ‘smart’ toilet, which is self-contained and operates autonomously by leveraging pressure and motion sensors, analyses the user’s urine using a standard-of-care colorimetric assay that traces red–green–blue values from images of urinalysis strips, calculates the flow rate and volume of urine using computer vision as a uroflowmeter, and classifies stool according to the Bristol stool form scale using deep learning, with performance that is comparable to the performance of trained medical personnel. Each user of the toilet is identified through their fingerprint and the distinctive features of their anoderm, and the data are securely stored and analysed in an encrypted cloud server.

要点をさらにかいつまむと、「尿の色を識別できる」「尿の量を測れる」「ブリストル便性状スケール(BSスコア)という指標に基づいて便の状態を識別できる」ということが述べられています。成分分析というところまではまだこれからという状況だとしても、これらの情報が日々蓄積されるとすれば、それだけでも活用の幅は非常に大きいでしょう。なお、誰の便なのか、という識別は、指紋情報等で行うようで、収集されるデータはクラウドサーバーに飛ばせるようです。ついでに体重測定機能も付けてもらえれば、体重計に乗る手間も省けて一石二鳥かもしれないですね。

来客の方が家のトイレを借りる時などは、プライバシーモード等のボタンを押せばデータが蓄積されずに消去される、等とすれば細々とした悩みは避けられそうです。

BSスコアで便の状態を日々チェックできるだけでも当面は新しい発見が出てきそうですが、スマートトイレと付随アプリの普及が進むことで、投資の機運が高まり、成分分析のようなコストのかかる分野にも裾野が広がる日が来ることを願います。きっと、成分分析のための機能を搭載するためには、当面はカートリッジ交換などの手間がかかると予想されるので、カートリッジ交換が1年に一回で済むような技術の開発も必要になりそうです。

 

それでは、また。

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