医薬品医療機器等

レベスティブ皮下注 [テデュグルチド](審議結果報告書2021年6月1日)

2021年7月9日

審議結果報告書

令和3 年6 月1 日

医薬•生活衛生局医薬品審査管理課

[販売名]

レベスティブ皮下注用3.8mg

[一般名]

テデュグルチド(遺伝子組換え)

[申請者名]

武田薬品工業株式会社

[申請年月日]

令和2年10月27日

[審議結果]

令和3年5月26 日に開催された医薬品第一部会において、本品目を承認して差し支えないとされ、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告することとされた。

本品目は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当するとされた。

[承認条件]
  1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

別紙 審査報告(1) 令和3年4月6日

起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等

短腸症候群(SBS) は、小腸の外科的切除又は先天性欠損に起因し、小腸からの栄養吸収低下により栄養欠乏状態に至るため、多くの場合、水分及び栄養補給のために継続的な非経口的栄養補助(経静脈サポート)を必要とする。非経口的栄養補助は、必要な栄養及び水分を補給することはできるものの、カテーテル関連感染症、血栓症、糖代謝異常、脂質代謝異常等の合併症を発症することや、患者及び介護者の負担が大きく、日常生活に著しい影響を及ぼすことが間題となっている。

本薬は、テデュグルチド(遺伝子組換え)を有効成分とする天然型ヒトグルカゴン様ペプチに2(GLP-2) の遺伝子組換えアナログの注射剤である。天然型ヒトGLP-2のN末端2位のアラニンがグリシンに置換されていることから、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4) による分解を受けにくい。GLP-2は幹細胞増殖促進、上皮細胞アポトーシス抑制、粘膜バリア機能強化、胃排出速度低下、胃酸分泌抑制、臓器血流増加等の作用を示し(ScandJ Gastroenterol 2009; 44: 314-9等)、本薬も同様の効果を示すことが期待される。海外では、本薬はSBSに対して2012年8月に欧小卜1、2012年12月に米国で承認されて以降、2021年3月現在、海外40カ国以上で承認されている。

以上の背最等を踏まえ、一般社団法人日本外科学会から厚生労働省に対して開発要望が提出され、2014年4月22日開催の第19回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断された。当該結果を受けて、厚生労働省から開発要請l) がなされた。

今般、申請者は、SBS患者を対象とした国内臨床試験成績等により、有効性及び安全性が確認されたとして、医薬品製造販売承認申請を行った。なお、本薬は、「短腸症候群」を予定される効能・効果として、2014年11月20日付けで希少疾病用医薬品に指定(指定番号(26薬)第356号)されている。

機構における審査の概略

臨床データパッケージについて

申請者は、国内第Ill相試験を非盲検非対照で実施し、海外第Ill相試験とともに臨床データパッケージを構成したことについて、以下のように説明した。

SBSは患者数が限られており、本薬はSBSに対する希少疾病用医薬品の指定を受けている。2011年に行われた全国調査では354例の腸管不全患者が報告され、このうちSBS患者は195例であった。現在、国内においてSBSを効能・効果として承認された薬剤はなく、治療は主として経静脈サポートの他、食事療法、経口水分補給等の対症療法に限られている。SBS患者が極めて限られていること、SBSに対する治療薬はないことから、国内第III相試験は非盲検非対照試験として実施した。

一方で、海外第III相試験ではプラセボ群を設定し、SBSに対する本薬の至適用量、有効性及び安全性の検討がなされていることから、当該試験成績の利用可能性を検討した。外因性民族的要因について、SBSの病態には国内外で明らかな差はなく、またSBS に至る病因も国内外で同様である(J Pediatr Gastroenterol Nutr 1992; 14: 359-70、ArchSurg 1991; 126: 841-6等)。SBSの治療について、欧米では本薬がSBSに対して既に承認されているが、その他に有効な治療法はない。経静脈サポートの適応や目標とする栄養管理状態に関して、国内のガイドライン(「静脈経腸栄養ガイドライン第3版」一般社団法人日本静脈経腸栄養学会編)と海外のガイドライン(ClinGastroenterol Hepatol 2005; 3: 1066-70等)で明らかな差はない。したがって、国内第III相試験でも海外第III相試験と同じ評価方法を用いることで、国内外の試験成績の比較は可能と考えた。内因性民族的要因について、本薬は皮下投与後にペプチドやアミノ酸に分解されると考えられること等を踏まえると、本薬の薬物動態は、民族的要因の影響を受けにくいと考える。また、SBS患者に0.05mg/kgを皮下投与したときの血漿中本薬濃度には大きな差異は認められなかった(6.2.6参照)。以上より、海外第III相試験成績の利用は可能と考えた。

機構は、本邦のSBSの患者数や治療環境、外因性及び内因性民族的要因に関する申請者の説明等を踏まえると、国内第III相試験を非盲検非対照試験として実施し、海外第III相試験成績とともに臨床データパッケージを構成したことは特段問題ないと考える。

参照

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